――――地雷設置(真顔)。踏んだら(主人公が)爆発します。
では胸くそ展開どうぞ~♪
(??side)
友江さやかは戦った。善戦した。されど、彼女は勝てなかった。
理由は質ではなく『数』だった。
「アンタ、ホントに……人間なの」
「ニンゲンニキマッテイルダロォ?」
やや濁っていた声が元に戻り、草太は倒れた彼女に近づく。
「全て忘れしまえ。そしたら今度はより良い世界になるはずさ」
笑う草太に、さやかは歯を食い縛り泣くことしかできなかった。
悔しい。けれど、もう身体が動かない。
「忘れたく……ないよぉ……」
その言葉を最後にさやかの意識は閉ざされた――――
(ソラside)
オレは荷物をまとめていた。ここから出ていくためだ。
未練なんて……あるに決まってる。このままでいいのか、と何度も考えた。
けれど、『神器』なんてないオレがどう足掻いても意味がない。どうすることもできない。
リュックの中には写真は入れていない。みんなを思い出すと未練がましいから。
そんなとき、さやかからラインが届いた。『助けて!』という連絡だ。
なんとなくだが、嫌な予感がした。
オレは家を飛び出し、魔力感知でさやかを捜した。
感知したのは路地裏だ。オレは全速力で向かう。
たどり着いたとき、さやかは――――
オリ主くんの唇を重ねていた。
「何やってんだ!」
オレは思わずオリ主くんの顔に拳をぶつけた。オリ主くんはさやかから離れていき、オレは彼女の盾になるかのように前に立った。
「大丈夫か! 何もされてないよなさやか!」
オレの声にさやかは、
「……うるさいわよ。アンタ、
そう言ってオレを突き放して、オリ主くんを心配しながら声をかけていた。
今……なんて言った?
「なん……で」
「なんなのよアンタ。あたしが心地よく口づけしていたのに邪魔をして」
やめろ。
「いつもあたしやまどか達に付きまとって」
やめてくれ。そんな冷めた目で。
「いい加減に鬱陶しいのよ。さっさと消えてよ」
やめてくれよ……さやか。
冷めた目で睨まれ、オリ主くんが笑みを浮かべたままさやかの肩を引き寄せて言った。
「ほむらが言っただろ? お前の居場所は――――もうない」
その言葉を聞いたとき、オレの中の何かが――――コワレテイッタ……。
「……そうか。友江さやかが」
翠屋にて、キアラにさやかがオリ主くん側についたことを説明した。彼女は剣呑な視線を誰かに向けていた。
「……よもやここまでとはな。合理的で冷たいわたしとは言え、これには怒りを覚えたい」
「嘘つけ。ホントはオレが手に入れやすい環境になったことを喜んでいるだろ」
「冗談ではない。どちらかと言えば、わたしから言えばつまらない状況だ。手に入れにくい恋だからこそ、燃えるものだろ」
「お前らしいよ」
オレが元気のない苦笑に、ふんっとそっぽを向いた。入れられた珈琲を飲んでいると彼女が口を開く。
「おそらく友江さやかはキミの記憶を『封印』されて新たに記憶を植え付けられたと見ていいだろう」
「洗脳という線じゃないのか?」
「彼女は世界改変の影響すら受けないほどの強固の耐催眠力者だぞ。洗脳やマインドコントロールにかけられたことに気づかないまま、無効化しているはずだ」
「あいつはアホだからなぁ」
「ははは」と笑っていると彼女に胸ぐらを乱暴に掴まれた。
「何を呑気なこと言っている! 奪われたのだぞ。キミの大切なモノを、人を、絆を奪われたのだぞ! なのに、なぜキミはヘラヘラしていられる!」
ヘラヘラしている……か。まあ、オレがヘラヘラしているのはたぶん、もう普通じゃないからだ。
オレはキアラが掴む胸ぐらを優しくほどいて、言う。
「オレは、さ。ずっと思ってたんだ。英雄という殺戮者になってからずっと、」
ずっと、彼女達といていいのか――――と。何度も思った。
幸せになっていいのか。
生きていていいのか。
殺戮者をやめていいのか。
ずっとずっとずっと考えていた。
英雄となって、転生して、幸せを感じて生きていていいのかと何度も何度も考えた。
もしかすると、オレがいない方がまどかやほむらは――――みんなは幸せじゃないのかと思ったことも何度も考えた。
「だから、キアラ。オレは消えるよ」
「何を言って……!」
「オレにはもう『神器』はない。大切なモノも何もかもない。戦う力がないオレに価値なんてないだろ」
「いや、ある! あるに決まってる!」
「誤魔化すなよ。『神器』のないオレに、何ができるんだよ」
その言葉にキアラは口を閉じてしまった。『神器』ないオレに残されたのは、戦いによって得た経験と人柄のみ。
戦う力がないオレはキアラにとって必要のない存在だ。
珈琲を飲み干して、キアラの代金を合わせたお金を置いた。
「ごちそうさま。もう会うこともないだろうけど――――また、な」
オレはそう言って翠屋から出た。彼女に背を向けたまま。
(??side)
キアラは彼の背中を見つめるしかなかった。彼はもう戦うことも、立ち上がることもない。
いろんなモノを奪われ、傷ついて悲しみを背負い、傷つきたくないから自分から離れていった。
「『また、な』……か。またキミはわたしの前から……」
「いいのかい? 彼を放っておいて」
翠屋の店主。高町士郎が彼女にそう語りかける。
「……別に問題あるまい。また会おうと言っていたからな」
「そうかな。私から見れば彼はもうここに戻って来なそうな気がしてならない」
士郎はしみじみ語る。かつて彼は見てきたのだ。
仲間だった男が、同期の友人がそう言って帰らぬ人となったのだ。彼は無惨な死を迎えたらしい。
誰もが悲しみ、誰もが彼が死んだことに寂しく思った。
「彼の背中はまさにかつて戦友だった私の友人に似ている」
「……店主」
「行ってきなさい。このまま後悔したまま、彼を孤独に生かせるか。想いを伝えて共に歩むのか」
「わたしは……」
自分は合理的で冷たい女だ。この地位に上がるために、自分はどれだけ汚れているのか……。
だが、それでも……。
(前世のわたしのようにはなりたくない!)
彼を見送ってしまったから死なせた。誰かが彼と共にいれば死なせることはなかったかもしれない。
いつだって、どこにいたって彼を死なせるきっかけは『孤独』なのかもしれない。
「店主、感謝する……」
士郎は笑顔で答えて、ソラを追いかけた。もう、理由なんていらない。
キアラはただ、自分はソラを求めているのだ。
キアラにとってソラはなんなのだろうか?
使える手駒。
頼りなる男。
最高の人材。
いや、そうではない。キアラにとって、初めてソラに会ったときから彼女は彼が眩しかった。
(幼い頃の彼は、純粋で真っ直ぐな小僧だった……。そして、絶望して希望を見失った彼が愛しいと思えた)
ああ、そうだ。助けたいと思ったこともあった。
自分が彼を助けたいと考えたこともあった。しかし、彼女は自分の家族のために、軍のために行動した結果、彼を孤独にした。
(もう、彼を一人にしてはならない。彼は、ソラはわたしのモノにしたい!)
一人の女として、恋に目覚めた女として、彼女は彼を追いかける。
だからなのだろうか――――
彼女の背後から迫る魔力弾に気づかなかったのは。
彼女の身体は宙に投げ出され、地面に叩きつけられた。頭から血を流し、襲撃者を睨みつける。
襲撃者は笑いながら、デバイスを向けていた。
「貴様……!」
「こんにちわ、キアラ提督――――いや、降格されて執務官かな?」
闇の書の事件以降。親族であるキアラもまた降格処分された。草太は眼帯を取ろうとするキアラの頭を踏みつける。
「おっと。あなたの『神器』は規格外ですからね。封じさせてもらいますよ」
キアラの身体に
「なんのために……なんのためにこんなことをした!」
憤りが抑えられなかった。彼から何もかも奪い、幸せを奪ったこの男の目的はなんなのか知りたかった。
「簡単な話さ。神威ソラは踏み台だ。その役割に全うしているだけだ」
「ふざけるな……!」
「ふざけてませんが……ねぇ!」
キアラを蹴り飛ばし、転がる彼女に非殺傷を解除されたデバイスを向けた。
ゆっくりと立とうとするキアラに草太は笑みを浮かべた。
「あぁ。そうそう。あの銀行強盗を仕組んだのも、神威にラインを送ったのも俺さ。全く、ホントに笑える一家だよ。あんなあっさりと騙されるわ、誘き出されるわ」
「おのれ……貴様というヤツは」
「まあ、最後に聞いてよかったですね……執 務 官」
デバイスから魔力砲撃が撃たれた。キアラは呑み込まれる前に、ソラのことを頭に思い浮かべながら、そして――――
(ソラside)
なんでここにいる。
なんでお前は追いかけてきた。
ホントに愚かとしか言いようがないよキアラ。オレのために追いかけて、傷ついて、そして死んでいく。
お前らしくないじゃないか。ホント、なんで……。
「なんで引き戻したのかなぁ。オレ……」
「ソラ……?」
間一髪。キアラを小脇に抱えて砲撃から逃れたのだ。
引き戻したとき、キアラは『神器』を封じられ、そして殺されそうになっていた。
だからオレは助けた。それ以外はない。
「なんだ。神威め。引き戻したのか」
「まあな。人殺しはよくないぞオリ主くん」
「ふん、そいつが孤独になろうとしたお前の邪魔をしたからだ」
「オレを一人ぼっちにする……? なんでそんなことする必要がある」
「踏み台とは誰もが迷惑に思い、なおかつ孤独だ。お前はそうなるべきなんだよ」
そんなわけのわからない理由でキアラを殺そうとしたのか、このクソヤローは……。
オレは俯き、拳に力が入る。掌に血が溢れ、ただ怒りを抑えた。
怒ったところで、暴れたところで、何かが返るわけでもない。
「まあいい。このままお前もろとも――――」
キアラを下ろしてオレは縮地の用法で一瞬で距離を縮めて、オリ主くんの顔を拳で撃ち抜いた。塀を破壊するくらいの威力で殴ってから、オレはキアラの懐からある人と連絡しようとデバイスを起動した。
(??side)
「かむ、い……め!」
『あらあら、怒らせちゃったわね』
「ふん、ヤツが怒ったところで何ができる。まあ、これでヤツを排除するきっかけはできたな」
草太は笑うと悪魔もクスクスと笑う。
『(それはどうかしらねぇ……。あの子を一人にして怒らせたらどうなるかなんて……。それに五木雷斗を試し斬りしたらしいけど、彼が
そのとき、悪魔の心境を
そしてこれは最低最悪の事態へのトリガー。真の恐ろしい事件の幕開けだった。
天宮草太(クソヤロー): 遂に『クソヤロー』にランクアップ。作者的には誰か抹殺してほしいと思う今日この頃。殺りたいは挙手してくださいな(笑)
友江さやか: ……敵側へ。しかし、不完全な封印のため何かの刺激で思い出すかも?
キアラ: ソラの嫁候補改め、倒れたソラの嫁。彼女がもし、倒れずソラの側にいたら……――――
神威ソラ: 徐々に自分を見失っていく元主人公……。その果てに待っているのは、前世の……かつての自分。彼が孤独になれば、そうなってしまうとキアラは恐れていた。……しかし、クソヤロー(草太)によって彼は一人になってしまった
高町士郎: 安定の良心キャラ。彼が見たソラの背中はかつて自分の同僚だった男が見せた最期の姿と重ねていた
悪魔: 草太をパワーアップさせた元凶。目的はソラらしいが、本人ではなく彼の持つ『あるもの』らしい
――――次回予告――――
――――……もう誰も頼らない。信じない
かつて大切な人を助けるためにループの渦に飛び込んだ少女の言葉。それは、孤独への合言葉。
彼は少女のようにならなかったのは、居場所があったから。帰る場所があったから。そして、そこに仲間がいたから彼は少女のようにならなかった……。
……しかし、彼にはもう帰る場所はない。そして仲間ももう誰一人もいない。
残されたのは未来の娘。彼女に差し掛かる自身を陥れた男の魔の手。
――――ゆえに、彼は遂に『戻ってしまう』
次回、『最凶の死神』――――
「誰も救わない救えない物語の始まり始まり~」
「何やってるの? ノエル」
「え、開幕の合図」
――――二人の『最凶』も参戦します。
ぼけなす: 「という次回予告です(笑)」