とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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巻き込まれるのが普通な主人公……(笑)


第七十二話 巻き込まれるのはヤダ

 

(??side)

 

 

 なのはとフェイトはキアラとまどかに連れられ、次元艦から出てネオアルカディアの町を歩いていた。

 車はタイヤがなく無重力で浮いており、カフェにあるテレビは全て立体化した映像を写している。そしてその町に住む住人の三割は機械化したパーツをつけている人間だった。

 

「サイボーグ化しているなぁ。ねぇ、なのはちゃんも腕にサイコガンつけてみない? そしたら士郎さんが泣いてくれるよ!」

「悲しみのあまりでね! お父さんを悲しませたくないから!」

「……ちょっと見たいかも」

「フェイトちゃん!?」

 

 フェイトの最近のマイブームは戦隊ヒーローと変身ヒーローだったりする。成長して大人っぽい雰囲気なのだが、趣向は子どもっぽい。

 

「もう! そんなんじゃ神威くんが見つからないよ。ほら、真面目にして!」

「とか言いつつ高町。キミの熱い視線がなぜか家電製品に向いているのだが?」

「……気のせいなの。解体したいとかそういうのではないの」

(……忍さんの影響かな)

 

 この世界のなのはの趣味は家電製品鑑賞だったりする。ノエルの影響か、忍の影響かはさておき、彼女の趣味が変わりつつあるのは事実だ。

 ふと、なのはが自分より小さな男女の子ども二人を見て足を止める。その顔には憂のあるものへと変わったのを見たフェイトはなのはに聞いた。

 

「……まだ『名前を忘れた彼』のことを根にもってるの?」

「……うん。だって元々は良い男の子だったんだよ。なのに、あんなことをするなんて、まだ信じられなくて」

 

 なのはは天宮草太の存在を忘れていた。忘れそうになったが、皮肉にも絆の強さでなんとなく覚えていた。

 

 その彼が一般人を巻き込み、苦しめ、破滅したことが信じられなかった。

 

 きっと理由がある。原因がある。そんな考えがなのはを苦しめている。

 フェイトはもう過去のことを振りきって前を見ているが、なのはにとって幼馴染みである少年が非道の果てに死んだということを受け止められなかった。

 

(やれやれ……。ヤツがまさかここまで苦しめるとはどこまでも迷惑な男だ)

 

 とは言え、『もしも』の話をするならば。

 彼が、ソラを理解して悪ではないと判断していたら。

 彼が、ソラを嫉妬しても心を歪んでいなければ。

 彼が、悪魔に耳を貸さなかったら。

 

 

 もしかすると、ソラの『友』になり得たかもしれない。

 

「……まあ、そんな『もしも』はもう二度とないが」

 

 天宮草太は死んだ。しかし彼は死んでも影響を残していたのが、キアラにとって憂なことだった。

 

「うーん、それにしても良いニオイが……あ!」

 

 まどかの視線がある人物達を捉えた。その視線の先には――――

 

 

 

(ソラside)

 

 

 

 食堂で食べ物をいただいてからオレとほむらはキリトに連れられ、町の散策に出掛けていた。レジスタンスのリーダーさんとやらはどうも外に偵察に出掛けていた。

 まあレジスタンスの基地は処分認定されたレプリロイドばかりだから顔割れはしてるしな。

 

 人間のリーダーさんが変装とかしていれば問題なさそうだ。

 

 オレ達がいるのは一つのカフェテリアである。カジュアルでオシャレなところで、コーヒーを口に含みながら前の席に座っている少女に目を向ける。

 

 金髪のポニーで、自分より一つ上くらいの歳の少女だ。キャップをかぶって顔は見えないようにしているがいざ、面と向かうと青い瞳と整った顔立ちが見えた。

 

「は、はじめまして。レジスタンスのリーダーをしてるシエル……です」

「神威ソラだ」

「朱美ほむらよ。……ホントにこの小動物がリーダーなの?」

 

 ジロリと見られたシエルが「うっ」と尻込みした。まあ、朱美姉の凛とした雰囲気だからやや引っ込み思案になるのも無理ないな。

 

「というか、偵察だからって変装したくらいで大丈夫なのかよ。バレるじゃねぇの?」

「あ、大丈夫です。この防止は認識阻害させるキャップですから」

「万全……というわけか。じゃあここにはいない古宮も?」

「はい。あの人には私が作った帽子で認識阻害しています」

 

 なるほど、機械の認識を欺けるアイテムか。なら、レプリロイドとかもと思えたがそうはいかないらしい。

 レプリロイドは工場やらどこかの施設で造られたりする。

 そのときに存命されているか確認するためのマーキングが施されている。そして基地はそのマーキングから逃れるための認識阻害が施されている。

 

 つまり一歩出れば自身だけでなく、基地も危ないということになる。偵察は彼女と古宮の二人が行わなければならないのだ。

 

「というかキリトって仲間なのに変装しなくていいのか?」

「俺もお前らと同じ異世界から迷いきたんだ。だからまだ顔割れはしてないんだよ」

「へぇ。お前もか……」

 

 オレは彼女に聞きたいことを思い付く。

 

「シエルは最終的に何が目的でこのレジスタンスを創設したんだ?」

 

 彼女も追われる身なのだが、レジスタンスを隠れ蓑というわけでもなさそうだ。一人一人が『仲間』として繋がっているし、時おりシエルのことを呼び捨てにしていたりしていた。

 つまりしっかりとした組織であり、対等な仲間である。

 

 そんな組織はいったい最終的に何を求めるのか聞きたくなった。

 

「……私はレジスタンスのようなレプリロイドがもう現れるようなことがないように、レプリロイドと人が共存できる未来を作りたいです」

「共存していないのか?」

 

 シエルは頷いた。話によれば昔は共存していたがヴァイルが支配者になって以降、レプリロイドはほぼ奴隷として扱われている。

 損傷したレプリロイドは処分されるらしい。たった一回の損傷で、死刑宣告されるに等しいのだ。

 

 ……シエルはレプリロイドを人と対等に見ているがゆえに、レジスタンスを創設したんだな。

 

「もし、願うならばきょうりょ」

「え、ヤダよ」

「普通に断りやがった!!」

 

 キリトうっさい。当たり前だろ。巻き込まれるのはヤダだし。

 

「というかその世界の問題はその住人が解決すべきことなんだ。余所者であるオレ達が関わるまでねぇだろ」

「それは……そうだけど」

「納得しようがしまいが、オレ達にはなんのメリットがない。むしろデメリットだ。オレ達は管理局の仲間として、ここに来たんだからな」

 

 もしレジスタンスと行動すればキアラが苦い顔をするのは必然だ。

 だから余計なことはしない方がいい。

 

 オレの言葉に堪えたのかキリトは口を閉ざして膝に拳を握っていた。

 

「その代わり別にあんたらのことはネオアルカディアの連中には報告しない。信用できるお前らを信用できない連中に明け渡すつもりはさらさらないしな」

「そうですか……。それなら、安心です」

「……やけにあっさりとしていな」

「はい。私はひどいことをすることを望んでいませんので……。それに誰かが傷つくのが嫌ですし」

 

 まるでかつてのどこかの誰かの言葉だな。そうそう、あんな感じに外も中身ピンクの…………ピンク?

 

「ソラくんみーっけ!!」

「げばぼ!!」

 

 朱美妹にガッチリホールドされた!

 

「あーん。やっと見つけたよ。私の嫁! さあ、このまま宿で休もう。大丈夫。天井のシミを数えているうちに終わるから!」

「落ち着けこの変態!!」

 

 スリスリしてくる朱美妹を引き剥がそうとするがコアラのごとく、ガッチリホールドしてやがる。

 おかげで引き剥がしができない。キリトとシエルが目を点にしながら、呆然としていた。

 いきなりこんなのが現れたらびっくりするに決まってる。すると、朱美妹が……、

 

「はっ! ソラくん。この子があなたの浮気相手なの!?」

「浮気してねぇよ!」

「嘘だよ! エロ本みたいに浮気してたに決まってるよ! 千香ちゃんの同人誌の参考書はそんな感じだから!」

「どうでもいいわ! てか、あいつそんなもん持ってたの!?」

「ひどいよ……。私達夫婦は仮初めだったの? うぅ……――――ニヤリ」

「夫婦じゃねぇだろ。てか、お前の嘘泣きわざとか! おかげで周囲に誤解されてるじゃねぇか!!」

 

 まるでオレが妻をほったらかしにしている浮気している男じゃねぇか!

 最悪だ……。このピンクの行動全てはなんのためにあるんだろうか。

 

「はぁ、とにかくお前だけか? キアラは。高町やフェイトは?」

「あ、向こうにいるよ。おーい」

 

 ブンブンとハイテンションに手を振る朱美妹。やれやれと内心嘆息を吐いていると、その刹那。キアラ達と遮るかのように何かが振ってきた。

 

 ズドンとそれは地に突き刺さる。繭のような形をしたカプセルだ。

 そこから出てきたのはオレを襲ってきた紫のボディの機械兵達だ。

 

「こいつら……!」

「ソラ。お前のお客さんだな」

「いや、キリト。お前もだろ」

「まあな。でもまさかこんな白昼堂々と襲いかかってくるなんてな。どうかしてるぜ」

 

 全くだ。とにかくシエルを逃がして、迎え討たない――――と思った瞬間のあと。

 オレの足元がひび割れ、穴ができた。そこから掴まれた腕により、引きずり込まれた。

 

 「ソラくん!」と朱美妹の声が遠くなっていく中で、オレは足を掴んでいる腕を蹴る。

 機械的なアームだったので全く堪えない。

 

 落ちていく先に待っていたのは地下鉄の線路だ。リニアモーター的な電車の線路のため、レールがない。

 オレの足を掴んでいたのは全長十センチの機械兵だった。そしてその隣には炎を連想させるような女性がいた。

 

「よぉ。待ってたぜ救世主のモノマネヤロー」

「やめろそれ。偽物扱いすんなよ。てか、お前は誰……?」

「おれはフレイア。ネオアルカディア四天王の一人さ」

 

 ……幹部か。

 

「その四天王の様がこんな一般人になんのようだ?」

「んー、まぁ。テメェが大人しく上の元へ来てくれたらいいんだが、別にそうするつもりはねぇんだろ?」

「あぁ」

「ならさ、」

 

 フレイアの腕が発火し、炎が纏われる。獲物を狙う獰猛の獣の目。さらに三日月に口が歪め、地を蹴り肉薄する。

 

「殺り合おうぜぇ!」

「戦闘狂かこの女」

 

 ガァンと『神器』と拳がぶつかる。盾にした『神器』は鉄ではないので融ける心配はないが、手元が熱い。

 たぶん、火傷は避けられないなぁ。

 

 オレは身体をやや下がらせ、勢いによって前のりになったフレイアをそのまま蹴り飛ばす。あまり、飛ぶことないし、ダメージがなさそうだ。

 

「レプリロイドか……」

「四天王は全員レプリロイドさ」

「ヴァイルのおもちゃってことか? ご苦労なことだ」

「あのジジイのおもちゃ扱いするなよゴルァ!」

 

 大きく息を吸い込み、フレイアの口から火炎放射が吹き出した。大きな火の波が襲いかかる。

 

「ヤバッ」

「さあ、どうする!」

 

 この火炎放射は魔法ではなく、パーツによって精製された火炎だ。つまり、『魔法』など構成された幻想の産物ではなく、自然に作られたものだ。よってキャンセルはできない。

 おまけにここからだと一方通行の火炎放射だ。逃げ場はない。

 

 迫る火炎。

 ふと頭に浮かんだのは風の魔法。術式を組み込み、風の障壁を発動して防いだ。

 

 それを終始見ていたフレイアは不敵の笑みを浮かべていた。

 

「やるねぇ……燃えてきたぜ」

「勘弁しろ」

 

 こんな密封に近い空間で、熱は勘弁だ。現に汗が出ているし。

 




腕にサイコガン: こぶらー

フェイト: 『名前を忘れた彼』に対して少し思い入れがあるがしっかり前を向いている女の子。最近のマイブームがウルトラマンやら戦隊ヒーローなどなどのヒーローショー。……これが後にとんでもないことに(嘘)

なのは: 『名前を忘れた彼』に対して思い入れがある模様。なぜ、どうしてと苦悩しながらも前に進んでいこうと考えている。今回で彼女は化けます。ちなみに家電製品を鑑賞する趣味はトラハから(笑)

シエル: 原作通り心優しい少女。レジスタンスのリーダーなのに、リーダーっぽくない。ネットでは原作の彼女をシエル様と呼ばれているが、この作品からすれば良心である。……ちなみに天才なのでいろんな発明しています

フレイア: 戦闘狂の女レプリロイド。炎を使ってくる。戦うステージがステージなのでソラは苦戦します。

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