なのは魔改造をするつもりはなかったのに(-_-;)
(??side)
高町なのははまだ子どもだ。身長は子どもだが、魔法を知ったときの頃より伸びている。女の象徴である胸部も成長はしている。
しっかりと成長していると彼女も自覚している。
しかし、それでも彼女はまだ子どもだ。ソラと違い前世の記憶はない。『神器』という不思議な力もない、魔法という力のみ。
それを武器にして如何に戦うか、まだまだ未熟だ。
もちろん、なのははそれを自覚していた。
(戦闘経験はあちらが上。ありきたりな攻撃だと、あっという間にやられる)
奇策と奇襲。如何に強者と言えど、予想外な行動には対応しきれないはずだ。
シャドーはなのはを敵と判断したのか、地を蹴り、クナイを向けて突貫してきた。
なのはは、シャドーを見失ってはいけない気がした。視界から外れたら最後、逆に奇襲でやられると思った。
スフィアを浮かび上がる。『アクセルシューター』という追尾型の魔力弾だ。
その数は三十個。全力全開で彼女は対処するつもりだ。
クナイを投げつけてきたシャドーは投擲後、影に潜り込んだ。なのはの内心は驚愕と焦燥感が浮かぶが、並行思考でその感情を落ち着かせ、相手の動きをどう出るか予想した。
武芸を得意とする父と兄の動きをいつも見ていたからこそ、相手がどう出るか考えた。
(弱い私が相手なら――――背後!)
なのははスフィアを後ろへ動かす。前方のクナイを杖で弾くと、今度はやはり背後からクナイが飛んできた。
爆風が起き、クナイが消滅したのを見たシャドーはやや驚愕に染まるが、すぐさま影に潜り込んだ。
影の中にいるシャドーは海に潜ったダイバーと同じだ。動きは鈍くなるが、それでも一般的から見れば早い。ゆえに彼はすぐになのはの背後から現れる地点へたどり着いた。
なのはは気づいてないない。そう判断したシャドーは、指と指に挟んだ二本のクナイを投げつける。
このまま気づかないまま串刺しになる。そう思っていた矢先、スフィアがクナイを爆破した。
またしても、とシャドーが思った刹那、なのはがこちらに振り向いていた。
そして槍のような杖の先端からエネルギーが収束されていた。
「『ディバインバスタ』ァァァァァ!!」
なのはの十八番。極太砲撃がシャドーに向かってきた。
影へダイビングした彼はなぜ、なぜと内心では理解できていなかった。
レプリロイドは人ではない。感情はない。されど、今のシャドーは皮肉にも人間らしいところを見せた。
「アリエナイ。ナゼ、ワカル……?」
気配はないはず。なのにクナイを防げたことが理解できなかった。
なのはがなぜシャドーの行動を予測できたのか。
なのははいつも士郎から聞いていた。彼の戦いの軌跡――――様々な暗殺者、刺客、はたまた武芸者との話をいつも聞いていた。
その話でよく聞いていたのが暗殺者の話だ。
『暗殺者のもっともな武器は気づかれないことだ。如何にして相手に察知されず、確実に抹殺する』
気づかれず、相手を殺す。それは最高の奇襲であり、必殺技だ。どんな最強の敵と言えど油断し、隙を見せれば致命傷は免れない。
如何にして相手に気づかれないまま、仕事を終わらせるかで暗殺者の力量が計れるということだ。
なのはは士郎の話から様々なことを学んだ。しかし、経験が足りないため、シャドーが見つけられないという中途半端な形で渡り合っている。
勝敗が分かれるとすれば、シャドーを発見するかしないかで決まる。
なのはは警戒心を緩めず、耳を澄ませる。士郎は続けてこう言っていた。
『そして、確実に抹殺する奥義があることを忘れてはならない。もし気づかれない奇襲が失敗すれば次に来るのは』
(必殺の奥義!!)
予想通りシャドーが正面から巨大な手裏剣を形をしたエネルギー弾を投げてきた。
ヘリのプロペラのごとく回転したそれがソラや雷斗の身体であっても直撃すれば真っ二つだ。
華奢ななのはが直撃すれば間違いなく即死だ。エネルギー弾の速度は早いため、なのはの反射神経であっても避けられない。
身体の一部を犠牲にしなければ回避はできそうにもない。
防御など論外だ。必殺技の一撃をわざわざ正面から挑もうとするとすれば、天道衛のようなタフガイでなければ無事では済まない。
ゆえになのはがとる行動は一つのみ。エネルギー弾に向けてレイジングハートを構える。
「カートリッジ!」
三つの薬莢が飛び出し、魔力のドーピングを発動。そしてレアスキルの集束を利用し、周囲にある魔力と自身の魔力を込める。
ディバインバスターを超える砲撃魔法が、今完成した。
「『ディバインバスター・フルパワー』!!」
大きな魔法陣から放たれた魔法はエネルギー弾と激突した。
一見、手裏剣の回転が衰える気配は見せない。しかし、そのエネルギー弾は『斬る』ことが目的ではなく『斬った上での爆破』する手裏剣だ。なのははレイジングハートを握りしめ、叫んだ。
「壊れろォォォォォ!!」
手裏剣が徐々にひび割れていき、そして爆破した。
シャドーはまさか自身の必殺技が破られるとは思いもしなかったのか、驚愕に染まっていた。なのははその隙を逃さなかった。
バインドで相手の身体を拘束し、スフィアで相手に一斉放射した。砂煙が舞い、それが晴れたとき倒れたシャドーの姿を確認した。
「勝ったの……?」
なのははその姿を視界に入れてから安心してしまった。
『
そのためレイジングハートの警告の声を聞き遅れてしまった。背後に振り返るとそこにいたのは機械的な部分を顔に見せたシャドーがクナイを向けて迫っていた。
レイジングハートの判断で自動的なシールドが張られたが、レプリロイドの腕力は普通を逸脱していた。シールドは破られ、腹部にクナイが突き刺さる。
激痛と驚愕で顔を歪ませながらなのはは落下していった。
(どうして……! 私は確かに……)
なのははシャドーを倒したはずだった。しかし倒したシャドーはのっぺら坊のツルツルな人形になっていた。
「ワガ、カワリミニ、ヒッカカッタノハ、キサマガ、ハジメテデハナイ」
(変わり身……?)
そう、砂煙で見えなくなったところでシャドーは変わり身を使っていた。当たったのは最初のスフィアのみだ。
負傷は少なくし、なのはが油断したそのときを狙っていたのだ。
なのはは己の失念に悔いた。士郎にも聞かされたことだ。
『倒した――――そう思ったときが一番危険なんだ』
「ごめんなさい……おと、うさん……」
地に落ち、膝についた彼女は痛みと後悔で涙を流す。シャドーは彼女をとどめを刺すべく、近づいていた。
「やめろ! 僕が狙いなんだろ? なら、僕からやれ!」
「キョヒ。コノモノハ、ワガシュノ、ヤボウノ、キケンインシト、ハンダン。マッサツ、マッサツ」
野望とはなんだと聞きたいところだが、なのはに残された手段は雷斗から教わったことだ。それを実行するしかなくなった。
彼女は『名前を忘れ去られた彼』を止められなかったことと、神威ソラを傷つけたということに後悔した。
自分に力があればと何度も考えた。そして彼女は士郎の元に通う雷斗に目をつけて、『召喚術』について学んだ。
倫理に反するものは当然のごとくあったが、受け入れられるものを受け入れて、身に付けた。
なのはは目を瞑り、集中する。『リンカーコアの魔力』と『ソラ達の魔力』は形質が似ていた。ゆえに魔力さえあれば『召喚術』が使える。
そんななのはが喚ぶのは『神器』ではない。『神器』は文字通り、才能と感覚でしか喚べないものだ。不平等だが、魂の一部を武器にするということは努力でどうにかなるものではないのだ。
ではなのはが喚び出すのは何か?
彼女にはフェイトのような使い魔はいない。また使い魔を呼んだところで、シャドーはどうにかできるものではない。
「クタバレ」
「やめろォォォォォ!!」
アオが叫ぶ中でもなのはは集中する。
思い描くのは、強き女性。
何者にも立ち向かってきた不屈の心の女性。
運命にも挫けず、最後まで戦い続けた女性。
そんな人に私はなりたい。
クナイはなのはの胸元まで近づいたところで止まった。理由はなのはが止めたのだ。
そして彼女は獰猛な笑みを浮かべる。
「クス……よくもやってくれたわね」
声はやや違う。瞳もアメジストから紅くなっている。
そして何よりも子どもの身体にも関わらず、妖艶さが滲み出ていた。
「キサマ、ナニモノ」
「さあ? そんなことを自分で考えてちょうだい」
なのは腕をへし折った。信じられない腕力にシャドーは困惑したことを期に、レイジングハートで突き飛ばした。
彼女は妖しく笑いながら、レイジングハートをかつぎ上げ、言葉にした。
「おいで……遊んであげるわ」
アオはそのとき、ひぐらしの鳴く声が聞こえた気がした。
高町なのは: 士郎さんのパーフェクト教室で知識で渡り合えたが実践経験――――特に殺し合いは慣れていないので、敵わなかった。しかし最後の手段で召喚術を使い、ある人を召喚する。――――ここからが彼女の魔改造の本領発揮です
ひぐらしの鳴き声: 幻聴。本来聞こえない土地なのに……
シャドー: 忍者のレプリロイド
手裏剣のエネルギー弾: 風遁螺旋手裏剣。風のチャクラはないよ
次回: すーぱーなのはちゃんタイムなのです☆
※グロ注意