とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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(変更点)

・キリトの父親は前作に登場したあの人!?
・キリトくんが強化されてる件


第七十七話 女の戦いと風の守護者VS黒の剣士

 

 

(まどかside)

 

 

 青い女――――アクアさんだっけ? その女性に向けて私は矢を撃つ。

 槍で防がれたり、回避させられたりされ、今度はこちらに接近するところでほむらちゃんが、銃弾を撃ち込む。

 

 お互い攻防により牽制し合い、停滞した戦いになっていた。

 

「……なかなかやるわねお嬢ちゃん達」

「当たり前よ。こちらはソラをいじって遊ぶために何度も彼を攻めているのよ。これくらいできて当然よ」

「いや、それ違うでしょ。絶対。そんな方法で鍛えられるとしたら、彼が不憫なのだけど」

「ソラくんは私達の嫁だからモーマンタイ!!」

「自信満々にサムアップされても……」

 

 困ったと言った表情になったアクアさんに、ほむらちゃんが撃ち込む。

 

 しかし、身体を仰け反らせ、逃げられる。ほむらちゃんは悔しそうに剣呑な視線を向ける。

 特に胸にある実った果実を()りたいと思ってるようだ。

 

「そこの黒髪の娘が私の胸に殺気の視線を向けてるのだけど!?」

「当たり前よ。全国の『アケミホムラ』は巨乳の敵よ。これはどの世界でも常識よ」

「どんな常識!?」

 

 ほむらちゃんは胸のことをコンプレックスに思っている。前世もそうだけど、マミさんのあの豊かな山に視線を向けていたなぁ。

 さっきまでシリアスだったのに、今となってはおっぱい談義になっている。

 

「くっ、別に気にすることじゃないわよ! ほら、お嬢ちゃんの胸のことを気にしない男の子だっているはずよ!」

「そんな男はソラ以外いないわ。巨乳なんかに渡してたまるものですか」

「じゃ、じゃあ!」

「だが、しかしこれは私個人の私怨よ。八つ当たりよ。よって今すぐその肉を剥ぐ」

「このお嬢ちゃんさっきから怖いのだけど!?」

 

 ハイライトが消えた瞳で、ゴルフクラブを振るうほむらちゃんを見て、猟奇的だと思った。

 青い機械兵さんことパルテノンさん達は「おい、お前いけよ」「ヤだよ……怖いし」というふうにドン引きしていた。

 表情はないのに、行動がなんとも人間くさい。

 

 そんなほむらちゃんに私は魔法の言葉を与えようと思います。この言葉を聞けばほむらちゃんはハイライトが消えた目に光が宿ると思うし、元気になると思う。

 

 私は、スゥと息を吸って、叫んだ!

 

 

 

 

「ほむらちゃーん!! 貧乳はステータスだよー!」

 

 

 

 

 ……………………………………。

 

 空気がピシッと凍りついた。ほむらちゃんはゴゴゴゴゴ!!と怒りに震えて、私に視線を向けていた。

 

 えっと、間違えた……? おかしいなぁ。ノエルさんが『貧乳の娘にとっての誉め言葉』って言ってたのに。

 仕方ないやと思って私は、続けて言った。

 

「って、アクアさんが言ってましたー!!」

「言ってないわよ!?」

「やはりお前かァァァァァ!!」

「話、聞いてた!?」

 

 聞いてないからキレたんだよねー。と、アクアさんが逃げ回ると、なんと古宮アオくんの手を掴むと、その姿がアオくんと一緒に消えた。

 

 転移したみたい……。ほむらちゃんは悔しそうに膝についた。

 

「逃げられた……」

「仕方ないよ。ほむらちゃんの猛攻に逃げるのが精一杯に見えたし」

「あの皮下脂肪を剥ぎ取れたのに……!」

「サバイバルナイフを地面に何度も刺さないで。なんか怖いから」

 

 猟奇的な行動がそのうち板に付きそうな気がしてならない。私がそんなことを考えているときに、だ。

 

 私達の前に以前見た白いレインコートを着た男が現れた。その男はパーカーの脱ぐと、顔を表した。

 

 その顔はどこかの誰かに似ていたような気がするが、今はそんなことを考えるべきじゃない。

 

「……何しにきたのかな?」

「そんな目で見るな。別にお前のような幼児体型には用はない」

「別にいいもん。おっぱいを大きくしたらロリ巨乳になれるもん」

「……それ、女性が堂々と言うもんじゃないからな? まあいい。オレが用があるのは、」

 

 コートの男がほむらちゃんに指を向け、

 

「朱美ほむら。一緒に来てもらおう」

 

 ピカッと指が光ると、私の視界が白く塗りつぶされ、目が見えるようになったとき、

 

「ほむら……ちゃん? ほむらちゃんー!!」

 

 ほむらちゃんはいなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

(キリトside)

 

 

 アオが四天王の女に誘拐され、俺は外に出て、外部から攻めてきたパルテノン達を殲滅していた。相手は雑魚ばかりなので、集まらなければ大したことはない。

 

 それに地理的にはビルが並び障害物が多いので、待ち伏せとかしないこの連中には安心して殲滅できる。

 

 俺の――――『闇に染まる剣』は強化系の神器だ。

 

 時間が立つにつれて、身体能力を強化していくという条件なのだが、時間がかからないと強くなれないのが欠点だ。

 

 パルテノン達は敵ではないが、もし四天王と戦うことになれば悪戦苦闘は免れなさそうだ。

 

 ……なぜ、四天王について語ったかと言うと、目の前の空にその四天王がいるのだ。

 

 四天王ウィン。四天王のまとめ役であり、風の守護者という異名を持つ男だ。

 相手のエキスパートは空だ。よって得意の空中戦に持ち込まれればまず勝ち目はない。

 

(飛べないことはないが、俺ってどちらかと言えば陸戦が得意なんだよな……)

 

 陸戦に持ち込ませるという考えはあるが、具体的にはどうするかは作戦は立てていない。

 空中戦にいる相手を地上へ落とすとなると、まず、飛行できる機能たる部分を、遠距離での攻撃か自身が飛んで攻めるかだ。

 

 ……どちらも、ハードでとても危ういことに変わりない。

 

「何者かは知らないが、ここで果ててもらう。あの男をズタズタに引き裂かなければ溜飲が下げられない」

「あっそ。じゃあ、俺なんか放っていけばいいのにご苦労なことで」

 

 ウィンは紫に光るビームサーベルから、斬撃が飛んできた。空気の塊を刃物したかのような斬撃を、身体ごと飛んで回避する。

 

 十字を刻まれた地面を見て、その鋭利さを痛感した。

 

「まだまだいくぞ」

 

 ウィンが放つ斬撃を回避しながら、ビルの壁へ跳躍。そして壁を足場にして駆け巡る。

 ここで説明すると、普通の人間にはそんかことができない。魔力を壁に流して吸盤のように吸着させ、魔法で身体にかかる重力をやや転換させているのだ。

 

 そうすることにより、忍者のようなことができる。……まあ、はっきり言って燃費が良くないことが欠点だが。

 

 俺が忍者のように駆け巡るとウィンは舌打ちして次なる一手を出す。

 

 何かを回すような動作をした刹那、竜巻が起きた。大きなものではなく小さなものだが、巻き込まれた物体が切り刻まれていた。

 

「えげつねー!!」

「バラバラになれ!」

 

 そんな猟奇的な結末になってたまるかと、竜巻から逃げる俺。そんな俺に追い討ちとばかりに斬撃を飛ばしてきた。

 

 アイツ、ホントふざけやがって。

 

「無理ゲーすぎる! こんな状況で攻撃しろとか、俺には無理だろ!」

 

 有利なことを理解しているのか、ウィンは笑みを浮かべていた。嗤うこの男に、何も言えないのが悔しいがどうすればいいのか……。

 一度、地についた方がいいと判断した俺だが、ウィンの目が光っていたことに気づかなかった。

 

「そら!」

「んな!?」

 

 すさまじい早さでウィンが接近し、斬りかかってきた。

 しまった。こいつ、接近戦(クロスレンジ)ができたんだ。

 

 遠距離ばっかだったから油断した!

 

 空中から押された俺は後方へ飛ばされ、少しだけ滞空する。ウィンは竜巻を起こし、それを俺に向けてきた。

 

 今度の竜巻は渦潮をそのまま起こしたかのような形だ。回避に移ることができず、直撃した。

 

「が、あァァァァァ!!」

 

 身体が切り刻まれる。傷口を開かれ、血が吹き出すのが止まらない。

 そのまま俺は竜巻から弾き出され、背中を強打した。

 

 痛みで身体が震え、意識もやや混濁する。

 

「フンッ。この程度か」

 

 ウィンは見下ろしながら、鼻で嗤笑する。傷口から血を流す俺はもはやまな板の鯉なのだろう。

 

「今すぐ楽にしてやる虫けら!」

 

 ウィンのビームサーベルを構え、空中からこちらへ飛び出す。俺は立ち上がったときには、もうビームサーベルの間合いだ。

 振るえば、俺の身体を切り裂くだろう。さて、そんな俺は嘆息を吐いて――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、いいや」

 

 

 

 

――――諦めの言葉を吐き出す。ただし、それは……、

 

 

「んな!?」

 

 

 自分に対してではなく、相手に対する言葉。

 ウィンのビームサーベルを後ろへステップして回避。並大抵のステップでは、ビームサーベルは直撃していた。

 

 しかし俺の一歩は約三メートルくらいもあった。それに対してウィンは驚愕に染まっていた。

 

「馬鹿な。私の計算ではお前はもうそれほどの力は……!?」

「んー、ま。計算が合わないのはお前が『神器』を軽視していたからだろ」

 

 というか、俺にとってやっとエンジンがかかったって感じだ。

 普通の人間はレプリロイドには勝てない。『神器使い』とは言え、身体はちょっと頑丈な人間でしかない。

 

 超能力も、魔法も、武器もない人間が、兵器と肩を並べることはできない。

 

「お前のノーコンさと遊んでくれたおかげで助かった。やっと反撃に移れる」

「何を言っている!」

 

 ウィンは斬撃を飛ばす。俺はその斬撃に神器をぶつけると反射したかのようにウィンへ跳ね返る。

 慌てて回避するウィンは俺の姿を見失ったのかキョロキョロ首を動かす。

 

「どこだ!」

「後ろ」

 

 ズバッと背後から俺はウィンの飛行機能の部分を切り裂く。翼のようにジェット噴射していたのかコイツ。

 まあどのみちぶっ壊したことで、ウィンは地面へ落下していく。

 

 俺は神器を足場にして跳躍して、ウィンに迫る。手に再び召喚した神器を構える。

 

「こんなことが……!」

「あ、そうだ。自己紹介が遅れたな」

 

 今さらだが名乗っていなかったので、一応しておこう。

 

「『斬り込み特攻部隊 隊長兼少佐』――――キリト=キリガヤ。『無血の死神』の次に強いんじゃねって言われてる」

 

 ウィンを縦一閃。真っ二つにする。ヂヂヂヂと紫電を鳴らし、爆発してから俺は神器を戻す。

 

「アンタじゃあ、死神と比べるまでもねーよ。死神と渡り合った魔王と伊達に師匠にしてないからな」

 

 ここにはいない師匠兼義理の父に向けて俺は退屈そうに呟くのだった。

 




アケミホムラ: 全世界(並行世界)のアケミホムラは、巨乳撲滅宣言をします(笑)

闇に染まる剣: キリトの神器。時間が経つにつれてステータスが全強化されていく

キリト=キリガヤ: 魔王デウスの義息。血の繋がっていない妹(デウスは娘)がいる。そして初代隊長であるソラが組織した伝統的な部隊の隊長。長期戦に持ち込めばソラと互角に渡り合える
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