とある転生者の憂鬱な日々 リメイク版   作:ぼけなす

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第八十一話 救世主と魔導師

 

 ノエル=アーデルハルト。究極の生命体という名の変態である。

 悪魔が黒幕と思い気や、お邪魔虫の登場にオレは愕然とする。

 

「いんや。ソラの考えは間違いじゃないよ。ワタシが黒幕だよん」

「オイ。一から説明しろ」

 

 「いいよーん」と陽気に答えて、ノエルは紙芝居を取り出す。子どもの手作り感のある絵がある紙だ……。

 

「んーと、まずはワタシがキミの記憶を取り戻した話をするねー」

「初っぱなからとんでもないなオイ!」

 

 そこから!? 最初っからクライマックスじゃねぇか!

 

「まぁまぁ。落ち着いて落ち着いてー。まぁ、悪魔ちゃんと殺り合って、記憶をとったどー!と喜んだんだけど、どうもワタシはつまらないと思いました」

「そりゃ……記憶を取り戻したらオレの問題が解決するしな」

「そーそー。なので、ワタシは考えました。どうすればこの展開がおもしろおかしくなるのかを!」

 

 キュピーンと目を光らせる。嫌な予感がするんだけど……。

 

「そう。この世界にいる悪のリーダーであるヴァイルちゃんに、異世界のこととソラのお話をしてあげました! んで、異世界侵略しようぜって提案したのだぁー!」

「……んで、侵略しようと行動していたのか?」

「ううん。五秒で飽きたから丸投げした」

「飽きるの早っ! てか、大望を丸投げするなよ!」

「だって、ヴァイルちゃんノリノリでさー。なんというか飲み屋の軽いノリでやったのに、大マジで困って困って……。だから、冷めちゃったよ。テヘッ」

「飲み屋のノリで侵略宣言するなよ……」

 

 つーか、こいつの行動パターンが読めなさ過ぎる……。マジなのかジョークなのか、わけがわかんない……。

 

「というか、飽きたのなら関わる必要ないんじゃ……」

「ソラが関わってきたら話は別! だってキミの巻き込まれ体質は面白いから!」

「うわっ。最低だこいつ」

「最低なんて生ぬるいぜボーイ。ワタシは最低よりも、災厄な変態なんだぜー?」

 

 そういえばそうだった。こいつが起こした事件は数知れず、キアラも頭を痛くさせていた……。

 

「なら、もうこんな茶番は終わりにしろよ」

「ところがどっこい。そうはいかないにゃー」

「どういう……」

 

 刹那、ノエルはオレの懐に飛び込み、コピーの内部にあった欠片を胸に埋め込んできた。

 肺から空気を吐き出し、吐き気と頭痛が生じて、膝についた。

 

「ノエ、る。おま……え、何を……!」

「チミの記憶を元に戻しただけさ。まあ、しばらくは頭痛と吐き気で動けなくなるけど」

 

 ノエルはクルクル回って言い出す。

 

「さてさて、『無血の死神』が動けない今! 残りのメンバーは生き残れるのだろうか! あ、まどかちゃんとほむらちゃん、キアラちゃんは生かしてあげるよん」

 

 ……こいつ。まさか!

 

「たか、まちと……フェイトに、何を……!」

「何って遊ぶんだよ? あのおもちゃを如何におもしろおかしくなるのかを確認しに!」

 

 忘れていた。こいつは師匠(ストッパー)がいなければ災厄だ。

 

 他人はおもちゃ。

 世界は遊び場。

 

 この世に生きとし生けるものを使っておもしろおかしくさせて遊ぶ『最凶』の変態だ……!!

 

「……ま、て」

「おんや。これは意外。まさか、あのソラがなのはんとフェイトそんを気にかけるなんて」

「前の、オレは……そうかもしれないが……今はあいつらは仲間で戦友……! 殺されてたまるか……!」

 

 もう戦友が死ぬのは見たくない。

 もう戦友がいなくなるのは見たくない。

 

 だからオレは強くなろうとした。ノエルはそんなオレを見て、慈愛の笑みを浮かべていた。

 

「……そっか。キミはもう誰かを信じる気持ちを取り戻したんだね」

 

 ノエルはニコリと笑って、そして――――そんなオレにボディブローを与えた。

 口から血と胃液を吐き出し、今度こそオレは倒れた。

 

「ノエ、る……」

「そこで寝ていてちょ。結果は彼女達次第だし、まあ、キミの言う信頼してあげてよ」

 

 ノエルはそう言って、背中を向ける。オレはそのまま意識を失っていき――――………………。

 

 

 

(??side)

 

 

 

 一方、フェイトとキリトはヴァイルの猛攻――――いや、拙い攻撃に欠伸をしていた。

 いや、猛攻と言えば猛攻なのだが、アームの動きはあまり早くないし、何よりフェイトとキリトにはこれまで培ってきた経験で簡単に回避できるものだった。

 

「な、なぜだ……! このワシのアームがなぜ届かない!?」

「遅いし、雷斗さんに比べたらマジでザコいよ」

「お前、はっきり言い過ぎだろ……」

 

 「そうかな?」と呟きながら、ヒョイッと避けるフェイトにヴァイルは顔を赤くして憤慨する。

 遂には胸から大砲らしきものを出して、二人に標準を定める。

 

 自身を改造し、そして強化してきた自分が負けるはずがない。その叡知の決勝であるこの魔力砲撃『アルカシャ』で証明してみせる。

 

 そう意気こんだヴァイルの次に映った光景は、キリトが大砲を真っ二つにしているところだった。

 

「キリタニィィィィィ!」

「『バルディッシュ ザンバーフォーム』――――行きます!」

 

 太剣モードにしたフェイトは、ヴァイルとすれ違う形で彼を切り裂いた。彼の身体は半分機械のため、非魔法設定でも破壊されるが、ヴァイルはまだ死んでいなかった。

 

「おのれ、おのれェ! こうなったらこのビルごと爆破を――――」

「ごみーん。それだけは勘弁してちょ♪」

 

 ヴァイルの頭を鷲掴みにする女性が現れた。その女性は突如、現れた。

 気配を消して現れたわけでもなく、転移してきたわけでもなく、まるで既にここにいたという現れ方をしてきた。

 

「き、貴様! 何を!」

「いやー、ヴァイルちゃんノリノリなのはいいけど、ビル倒壊で自爆はダメだよん。悪人は悪人らしく、惨たらしく散っていくのが本懐だからねーん♪」

「ま、待て! ワシを殺すつもりか?」

「え、そだよ。だってキミはもう用済みだし」

 

 ヴァイルは上半身だけでも身体を動かそうとするが、ノエルは首を切断して頭だけにした。それでもヴァイルは生きているところ、頭以外は機械に改造していたということだろう。

 

「ワシの仲間ではないのか! 同志ではないのか!?」

「確かにワタシと同じく狂気を持つ人だったねー。だ け ど ♪」

 

 グチャリ!!

 

「ワタシに比べたらケツの青い子どもさ」

 

 ノエルはリンゴを潰すようにして頭を砕いた。肉の破片はなく、まるで頭がそのまま赤い液体になったという形で、ノエルはヴァイルの頭を破壊した。

 

 フェイトやなのはは思わず嘔吐しかけ、シエルは口を手で隠してショックを隠せないでいた。

 

「ノエル、貴様はいったい何をしていた」

「何って、後始末。ぶっちゃけ、これ。ワタシが始めたことだしねー♪」

 

 ノエルは他人事のように自身が起こした事件を語る。楽しそうに、愉快に嗤って語るその女性に、シエルは震えが止まらない。

 そして、彼女に食いついたのはフェイトだった。

 

「あなた、人の命をなんだと思っているのですか! そんな自分勝手なことが許せると思っているのですか!」

「えぇー。なーに正義の味方感出してるのー?」

 

 ノエルは嗤う。彼女のその笑みで、誰もがゾッとすることを言いのける。

 

「ワタシにとって他人の命なんて玩具。世界は遊び場。

 

 

――――人の命だとか、そんな倫理観あるわけないじゃん♪」

 

 言った。この女は他人の命よりも、自身の愉悦を優先する、と。

 言った。この女は世界は自身を楽しませる娯楽施設である、と。

 

 ノエル=アーデルハルトは狂っている。この女は人を人として認めない狂人だ。

 

 絶句した。フェイトだけでなく、キリトやシエルもだ。

 対してまどかとほむらは呆れて嘆息を吐いていた。キアラは頭を痛そうにしていた。

 

 この二つに明らかな温度差を感じたキリトは、まどか達へ疑念を向ける。

 

「相変わらず、自分勝手な人ね」

「でも……らしいと言えばらしいかもね」

「まあ、こういう女だから仕方あるまい」

 

 

「お前らはなんでそう呑気なことが言えるんだよ!!」

 

 

 キリトほ彼女達に剣呑な視線を向ける。なぜ、そう呑気にしていられる。

 目の前に黒幕とも言える女がいるのにも関わらず、警戒しないのだ。

 

 キアラは「やれやれ」と呟いて、キリトを落ち着かせる。

 

「落ち着けキリト=キリタニ。この女は他人の命なんか本当にどうでもいい最低最悪な快楽主義者だ。ゆえに、何を言っても改心しない」

「だったら、コイツを捕まえろよ! 管理局は次元犯罪者を捕まえる組織だろ!」

「捕まえるだけ無駄さ。彼女は簡単に脱獄できるし、刑務所を破壊できる。そして何より厄介なことに、刑務所から被害が広がる可能性がある」

 

 仮に刑務所に入れたとしよう。その刑務所が翌日どうなると思うか。

 

 

――――ある者は筋肉主義者に目覚めたり

――――ある者はSMに目覚めたり

――――ある者はロリショタに目覚めたり

――――ある者は露出狂に目覚めたり

 

 

 被害がある意味ひどい方向で広がっていくのだ。

 キリトの言い分はわかる。なんせ、自分の仲間を亡き者にし、傷つけた女に対して怒り狂うのは無理もない。むしろ、彼が怒るのは正しいことなのだ。

 

「そんなことが……!」

「あり得る。わたしもかつて彼女の勝手な行動に対して拘留所に入れたことがある。その翌日どうなったかわかるか? 拘留所にいた人間全てがオカマバーのママになったんのだぞ」

「何、その変態ハザード!?」

「要するに彼女を反省させることや改心することも諦めろ。彼女にとって『台無し』にすることは、『呼吸』することに等しい」

 

 『呼吸』することは罪か。

 『食べる』ことは罪か。

 

 ノエルという女と一般人の違いはそこにある。

 『快楽殺人犯』と同じように、ノエルの行動は自身を満たすためでもある。

 

「しかし、このままで済ませるのは癪だ……。というわけだ、ノエル=アーデルハルト。貴様を管理局法の違反のため、拘束することにする」

「およ。拘束してひどいことしちゃうの? エロ同人みたいに!」

「するか。化け物め!」

 

 キアラの左目が光り、『支配』が発動する。『支配』でノエルの動きを止めようとした。これを受ければ、ノエルとは言え、動けない。そう誰もが思った。

 

 しかし、彼女は無意味と言わんばかりに『支配』を全く受け付けず、クルクル回って踊っていた。

 

「無駄無駄ー。このワタシに『支配』や『操作』や『洗脳』などなどの相手に干渉するものは聞かないにょー?」

「なら、私の出番!」

 

 ほむらとまどかの射撃にはさすがのノエルも当たるのを嫌がるのか、回避に移った。

 チャンス。キリトはそう思い、ノエルの腕に『闇に染まる剣』を突き刺し、押し倒した。

 

 さすがの、キリトの凶行にフェイトは批難する。

 

「キリトくん! やり過ぎ――」

「おー、さすが何代目か知らない『斬り込み特攻部隊 隊長兼少佐』さん。遠慮ないなぁ」

 

 ゾッとキリトの背筋に悪寒がはしる。ノエルの腕を貫いた。なのに、身体から一滴(・・)も血が流れてこない。

 彼はその場から飛び退いた。神器はそのままノエルの腕に刺さったままで、彼女はそれを引き抜いて捨てる。

 

「うーん。まさか、ワタシがラスボス扱いされるとは意外意外。……なんでだろ?」

「あなたが余計なことをしたからよ」

 

 ほむらの言う通り、普通にソラの記憶を返せばよかったのにこの女は何もかもおもしろおかしくしてしまう。

 おもしろおかしく世界を混沌に陥れ、『台無し』にしてしまう。

 

 それが彼女の一番恐ろしいところだ。

 

「うにゃー。これは人数が多いよねー。よっし。二手に別れましょ」

 

 ノエルがパチンッと指を鳴らす。その瞬間あと、フェイトとなのはを除いたキアラ達がパッと消えた。

 

「みんなをどこに!」

「ちょっとソラのところに。キミ達の相手はこ の 子 ♪」

 

 彼女の背後から現れたのは、古宮アオの姿だ。しかし、違っているのは瞳に光がないところだ。

 洗脳は解けていないようだ。

 

「さてと、お二人さんは古宮アオ――――『救世主』さんに勝てるかなぁー?」

 

 ノエルも消えた直後、アオは『全てを開く者』を構える。

 戦うしかない。フェイトとなのはは覚悟を決め、デバイスを構え始める。

 

 




ノエル=アーデルハルト: 裏ボス。味方と思っている人がいたら間違いなく、おもちゃにされます……(--;)。彼女の目的というものは一切なく、ただ楽しみたいから遊ぶという童心全開の狂人である。

神威ソラ: 高町とフェイトを一応仲間として見ている。まぁ、それなりに一緒に戦ったので戦友扱い。ちなみに戦友だからと言ってまどか達を天秤にかけられたら、間違いなく、まどか達に片寄る

ヴァイル: 噛ませ犬パートツー(笑)。元々はそれなりの科学者だったが、自身の研究データを盗まれ、大切な家族を失い、挙げ句、冤罪で学界から追放されて復讐鬼になった模様。ノエルという狂人に出会わなければ、アオという救世主によってただ捕まって終わる悪党だったのに……

次回: フェイトそん超進化(笑)
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