ロボット中毒者、神ゲーに挑む。   作:インビジブルです男

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闘争こそが人類の可能性


じゃじゃ馬の誕生

ソルトが素材をかき集めると、システムウインドウが幾つも表示される。

それはそれぞれ『エイン』のパーツを示しており、太刀『ムラマサ』2振り、背部追加ブースター『イダテン』、背部に浮遊する2つのミサイルランチャー『ヘルメス』に、射撃用のレーザーライフルである『エウドロス』、そして頭、胴、腕、脚の基本フレーム群。

 

「いいね...最高だ。」

 

ソルトは興奮しながら《鍛造》で素材を組み合わせていく。

シナリオ進行条件の簡単さのせいか、制作時間は凄く長い。

だが、彼にとってロボットを作る時間は至高のひとときであり、その時間の流れは1時間が5秒程度に感じる程。

 

彼が素材を組み合わせる為にハンマーを振るう度に閃光が走り、鉄片や結晶、そしてモンスターの素材が吸い寄せられる用に合成されていく。

火花が散り、重金属が唸りが響く度に『エイン』は形を成してゆく。

 

だが、ここで問題が発生した。

 

【素材が不足しています:高出力メカニカルコア】

 

「おいおいちょっと嘘だろ!?」

 

「これで足りねえのかよ!?」

 

「さっき拾ったのじゃダメっぽいしな...」

 

本人はさっきと言っているが、実際は3時間前の出来事である。

ソルトが頭を抱えていると、施設の奥から低い機械音がした。

 

ギギ...ギギギギギギギ...

 

「んだよ...こんな時に限って敵か?」

 

ソルトが音のした方に視線を移すと、闇の向こうで赤い光が1つ、2つとゆっくりと点いていった。

 

やがて、それらの光が形を取り、無数の小型防衛ユニットが立ち上がる。

 

【シナリオ進行度:75%】

【目標:小型防衛ユニットの破壊】

 

「OK...やってやろうじゃねえか。」

 

ソルトは作成途中のアーマーから1度離れ、目の前の敵を殲滅することに目標を変更する。

ハンマーを構え、ゆっくりと小型防衛ユニットの大群に歩いていく。

 

「俺に敵意を向けたこと、後悔すんなよな!」

 

ソルトがハンマーを振るう度、小型防衛ユニットは粉砕される。

赤い光は1つ、また1つと弾け飛び、その数はどんどん減っていく。

 

数分の格闘の末、ソルトは最後の小型防衛ユニットを破壊した。

その中心部には赤い光の塊が存在し、ソルトはそれを拾い上げる。

 

【入手:高出力メカニカルコア】

 

「ビンゴ♪」

 

ソルトはニヤリと笑い、作成途中のアーマーに歩み寄る。

 

「最後のピースだ...」

 

「ありがたく受け取れ!」

 

アーマーの胸部に《高出力メカニカルコア》を置き、ハンマーを叩き付けると、コアが《エイン》の胸部に吸い込まれていき、施設全体が赤い光に包まれた。

 

【入手:RA-01 Ain】

 

「よっしゃぁぁぁぁぁ!」

 

「やっと完成したぜ!」

 

彼の前に立つのは、漆黒を基調とし、深紅のラインを持つ重量級寄りの中量級アーマー。

無骨でありながら洗練された曲線美を持ち、腰の尾のような燃料タンクが更なる威圧感を出し、頭部の装甲には鋭い意匠が走る。

肩にはシールドのようなもの、前腕には流線型の装甲があり、脚部にも脛を守るかのように装甲が配置されているため、防御は完璧。

背部にはブースターが配置され、2つの無人兵装がが浮かんでいる。

両肩にも2艇のレーザーライフルが浮かび、その銃口から閃光が放たれるのを待ち望んでいるようにも見える。

その佇まいはまるで、長い眠りから醒めた戦神のようだった。

 

「メッチャかっこいいじゃん...」

 

ソルトは迷わずそれを装備する。

少し細いバイザー型のカメラアイから見えるその景色は、ソルトがシャンフロに求めていたロボットアーマーの景色そのもの。

 

【シナリオ進行度:90%】

【最終目標:試作防衛機構《アトラス》の討伐】

 

「おっ、早速ボス戦か?」

 

「試験運用に持ってこいだな!」

 

ソルトが体を少し動かし、動作に異常が無いことを確認すると、先程小型防衛ユニットが現れた場所から、機械の四脚に、近代戦車の砲塔をポン付けしたような巨体が現れる。

 

「お前だな!」

 

「俺の的になってもらうぜ!」

 

ソルトが腰から2振りの《ムラマサ》を抜くと、その刀身の赤いラインが光を宿す。

 

「いくぜ!」

 

『キイイイイイイイイン!』

 

《アトラス》が咆哮のような電子音を響かせると、砲塔から榴弾砲が発射される。

 

「うおおっ!?」

 

ソルトはそれを避けようと、クイックブーストで回避しようとするが、出力の調整が難しく、思ったよりも離れてしまう。

 

「えぐいえぐいえぐい!!ちょっ...待て待て待て待て!!」

 

《イダテン》と《エイン》のブースターが自動的に起動し、ソルトの意志とは別に体が宙を舞う。

視界がぐるんと回転し、壁を抉り、床を滑走。

さらにはジャンプと共に再加速。

 

「おいおいちょっと待てよ!制御効かねえぞ運営!!」

 

彼の嘆きは悲鳴に近い。

『ネフホロ』とは異なる制御方式に振り回されるが、その表情は何処か楽しげだ。

 

「でも...最高だな、これ!」

 

ブースターの出力を上げ、ソルトはムラマサを振るう。

赤い残光を描きながら、《アトラス》の外装を一閃する。

金属音と共に装甲の欠片が宙を舞うが、相手も負けじとミサイル砲塔を展開し、ミサイルを発射。

 

「そう来るか!」

 

「ならこっちも...ミサイルで!」

 

ソルトがそう言うと、同じ速度で追従していた《ヘルメス》から16発のレーザーミサイルが発射される。

それはミサイルを撃ち落とし、余ったものは全て《アトラス》に命中。

それを見たソルトは、ブースターの出力をさらに上昇させた。

 

「制御出来ねぇし、止まれねぇなら...このまま突っ切る!」

 

彼がそう言って突撃する。

ムラマサの双刃が交差し、閃光が走る。

 

直後、轟音と共に《アトラス》は爆散し、ソルトはブースターの出力を落としながら着陸。

 

【ユニークシナリオ:《鋼の胎動》クリア】

【報酬:職業進化《機戦者(メカニスト)》】

 

「つっっっっよぉぉ...」

 

「へへへっ!最高の神ゲーだな!」

 

ソルトはアーマーの中で満面の笑みを浮かべると、ブースターの光が消える。

赤い残光がゆっくりと消えていく中、ソルトの視界にシステムウインドウが現れた。

 

【新職業《機戦者(メカニスト)》が解放されました。】

【専門武器種:片手剣、両手剣、大剣、斧、槌、槍、二刀流、拳、ライフル、ショットガン、スナイパーライフル、ピストル、ミサイル、ビット】

 

「おいおい、武器種多すぎねぇか?」

 

「大体の武器が使用可能か...まあ、《ムラマサ》、《ヘルメス》とかが優秀だから変えはしねえけどな。」

 

ソルトは誰も居ない施設の中、1人システムウインドウを見ながら佇む。

 

「さーて、もうそろそろゲーム閉じるか。」

 

「明日も学校だし、忙しくなる。」

 

「...はっ!?もう夜中の0時じゃねえか!?」

 

「とっとと寝ないと...」

 

ソルト()は大急ぎでゲームを閉じ、寝た。




じゃじゃ馬アーマー 《エイン》爆誕

追記2025/10/13:追加ブースター自体は無くても大丈夫だけど、ないと腰の燃料タンク(尻尾)と上下のバランスが気持ち悪くなるから付いてる。
機能的には無くても問題ないが、付けることが推奨されているってことです。

今後、エインがぶっ壊れて完全に新しいアーマーを作る的な展開をするか

  • おけまる
  • ダメです
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