9月24日月曜日午前1時24分 ぼくとサーレーは『組織』から派遣された車に乗り込み、ジェノヴァに向かっていた。午前1時とはいえ、建物や港には微かな灯りが付きこの国らしい賑やかな朝に備えている。
目的地である『ジェノヴァ港』までは後30分もあれば到着するが、サーレーは相棒が心配なのか緊張しているらしい。
「ワインでも飲むか?極上の『キャンティ・クラシコ』が有るみたいだぞ。」
備え付けの冷蔵庫の中から『キャンティ・クラシコ』とワイングラスを二つ取り出し注いで行く。
芳醇な香りと鮮血のようなワインレッドがぼくたちの五感を刺激し、唾液の分泌を促す。
ゆっくりと香りを楽しみながら飲むぼくに対して、サーレーは緊張もあるのか思い切り一気飲みした。
「少しは緊張がほぐれた、感謝するぜ。パンナコッタ・フーゴ」 「フーゴでいい、この呼び方に慣れた。」
パンナコッタ・フーゴ、この名前は正直苦手だ、『名前』じゃあない『名字』の方が。
パンナコッタ家、ネアポリスの方じゃあ知らない人間はいない『名家』なんなら『貴族』だ。
元々没落貴族だったが、成金の祖父のおかげで成り上がったという『運』が良い人達。
そう思われるかもしれないけど実際は逆だ、権力と金に取り憑かれ無様に死んだ祖父、子供や妻への愛などなく自分の権威のためだけに生きる父、そんな祖父や父のためにご機嫌取りをしながら弟を虐める兄達、あの家は『幸福』なんかではない。
母さんが生きていれば違ったのかもしれないが、ぼくを生んだ2年後に母さんは死んだ。
そんなぼくの唯一の『家の希望』は祖母だった、大好きなお祖母ちゃん、ぼくの名前が祖父と同じになりそうだったときに唯一反対し、昔父や叔父達が大好きだった『お菓子』の名前をつけてくれた人。
ぼくを『フーゴ家の跡取り』としてではなく『パンナコッタ・フーゴ』として見てくれた最初の人。
だからそんな祖母が死んだ時は地獄だったし、未来が真っ暗だった。
そんな時照らしてくれると信じたのが『法学部の教授』だ。
あの人がぼくの最後の『希望』だった、けどあの人も祖父や父と同じクズだった。
ぼくを『
だから『彼』のチームに入った、『彼』と同じような光り輝く人間になりたかった。
けど実際は違う、ぼくも結局祖父や父と同じ、自分のことしか考えられないクズ。
彼ら二人をバカにしながらも自己保身に走る姿は、はたから見れば二人と何も変わりやしないだろうな。
そんな事を考えながら貴重な時間を睡眠に費やそうとしていた時だった。
「オイオイオイ…フーゴ!起きろよ…」
「なんだよサーレー…ぼくは眠いんだ、寝かせてくれよ。」
「見ろよ…アレ」
アババッアバババブババババ 許して…助けてッ嫌だぁぁぁあ
なんだ…アレは、運転手が頭でもおかしくなったのか奇声を上げて暴れている、しかもこのままじゃあマズイぞ!このままいけば電柱に激突しちまう。
使うしかないか『あいつ』を。
「…『パープル・ヘイズ』ッ!」 『パープル・ヘイズ』を出すのはもう半年ぶりだ、あの時…『ポンペイ』の時から以来だな。
「『パープル・ヘイズ』!この車のドアを蹴り潰しぼくとサーレー、ついでに運転手を投げ飛ばせッ!」
「オイオイ…オメーに運んでもらわなくてもオレにも『スタンド』はあるんだぜ?『クラフト・ワーク』ッ!この車のタイヤを『固定』しろッ!」
『パープル・ヘイズ』が車のドアを蹴飛ばすと同時に、サーレーの『クラフト・ワーク』がタイヤを『固定』する。そういう『能力』なんだろうな。
『固定』の勢いに合わせて『パープル・ヘイズ』は運転手を車から蹴飛ばし、ぼくとサーレーを車から投げ飛ばした。
「ハァハァ…君の『スタンド』が車を固定しなければダメージはこれ以上に出たはずだ、感謝するぜ。サーレー」
「感謝するのはこっちの方だ、おめーの『スタンド』が無ければ『固定』したところでオレ達は今頃丸焦げだな。」
『パープル・ヘイズ』の破壊力は『スタンド』の中でもトップクラス、いくら『固定』したとは言え爆走する車の勢いも加算され、ぼくとサーレー ついでに運転手は中々の傷を負っていた。
そんな中燃え盛る車の炎の中から男が一人出てくる、何やら『ただならぬ雰囲気』を持つ男…
「死んでねーのか…つまんねーな、あの運転手も『スタンド使い』と思ったが…やはり後方のヤツらに掛けるべきだったな。オレの『パラノイア』をよぉ〜」
『スタンド使いはスタンド使いといずれ惹かれ合う』間違いない…コイツもまた『敵のスタンド使い』だッ!
ズッケェロは死んでません、
文字数は本当に改善したいです