自分の経験上、こうやって敵が正面から出てくる場は
自分の能力に自信たっぷりのアホ(①)、仲間がいない単独(②)、敵の力を測るための先遣部隊(③)、『スタンド能力』に関わる(④)、のどれかに分けられる。
ズッケェロ もしくは『
「オレがわざわざ君たちの目の前に現れた理由はねェ〜君たちの『心の傷』を見抜くためなんだよねェ〜 あの『運転手』なんかは典型的なギャングらしい『心の闇』だったねェ〜 オレの『
男が唐突に喋り出す。気色悪い喋り方だ、見た目も1980年代のアメリカン・ヤンキーみたいでロシアン・マフィアとは思えない、時代も地域も色々錯誤してる情けない男というべきか。
外見の話よりもまずは『能力』の推察だな。この時点で目の前に現れた理由は④であることが確定した、そして最も気になるのは『心の闇』だ、奴の『スタンド能力』らしい『
「フーゴ……アイツ隙まみれだぜ? 棒立ちしてオレらをまるでヤギみてーにノンキに見てるだけだ、不意討ちで始末できると思うぜ。」
サーレーが耳打ちする、ぼくも同じようなことを考えていた。
現に相手は『スタンド』を出そうともせずこちらを観察しているだけだし、ぼくの『パープル・ヘイズ』やサーレーの『クラフト・ワーク』のスピードならヤツが『スタンド』を出す前に始末できる可能性が高い。今度はこちらからサーレーに小声で囁く。
「サーレー、ぼくが今後一言でも言葉を発せばそれが『攻撃』の合図だ。」
「
ヤツはこっちを笑いながら攻撃しようともせず見ている、それがなんとも不気味だ。本当に『刺客』なのか疑問に思うぐらい『敵意』を感じない。逆に奇妙で冷や汗が出てくる、『スタンド使い』ではあるんだろうが。だがこういう場合は先手必勝ッ!
「
「見えたぜ」
『攻撃』の手を取った直後気づく、明らかに妙だ、ヤツは避ける気を見せない。それに「見えたぜ」?
『スタンド』が見えているということなのか? それとも『心の傷』が見えたということなのか?
「ウソだろ…オイオイ…」
攻撃が当たるまでの刹那、突如サーレーが『スタンド』を解除する。
「どうしたサーレーッ!こんな時によォッ!」
半分キレてるな。
「フーゴ…お前には見えないのか…?あの…あの…真っ二つのズッケェロをよおッ!」
「何だとッ!どこだッ!見せろッ!」
「どこって…そこじゃあねえかフーゴ!ふざけてんのか?」
「ぼくには少なくとも真っ二つのズッケェロなんか見えなかったぜサーレーッ! こりゃあヤツの『スタンド攻撃』なんじゃあないか?」
『心の傷』か、確かに連絡が取れないズッケェロのことはぼくも気にしていたが相棒のサーレーにとっては死活問題だ、それをヤツにつけ込まれたと見ていいだろうな。
「だがアイツにはぼくの『パープル・ヘイズ』が打ち込まれているはずだッ! あれを喰らえば生身の人間はひとたまりもッ…」
アイツの方向を見たその時、元来決して見ることのできない光景を見た、なんとぼくの『スタンド』がぼく自身に殴りかかろうとしているではないかッ!
「フーゴッ!」 再び現れた『クラフト・ワーク』がぼくの『パープル・ヘイズ』の拳を空中に固定する。幸い『カプセル』は一つも割れていないようだ。
「グラッツェ、サーレー。」
「
「へーっ自分の『スタンド』が『心の闇』なんて変わってるねェ〜 その点サーレーは相棒の心配をするなんて立派だねェ〜 君たちの機転に『敬意』を評してオレの名を教えてやるよ。オレの名は『ハート・アイ』 ラブ&ピースの精神で生きてるからこんな名前なんだァ〜。」
コイツ…ぼくたちが能力にかかったのを皮切りにいい気になっていやがる。だが今のぼくには『スタンド』の操作権を再び奪い取る気力もない、生まれてから今までの嫌な思い出や辛い出来事が常に想起される。
飼ってたカナリアの死、祖母が焼いてくれたパンナコッタがいじめの一環でつぶされた時、お祖母ちゃんの死、教授とのいきさつ、虐められた大学、仲間はずれにした家族、仲間を信頼できなかった自分。
今のスタンドパワーは間違いなくヤツの方が上だな。
あるいは…ぼくの『心の闇』を克服するかだ、そんなことがぼくにできるか?
醜悪な姿でアブクを吹きながら今にもぼくを殺しそうな『パープル・ヘイズ』を認めることがこのぼくにできるのだろうか?
ちょっとハート・アイの喋りはTOUGHというか猿エッセンスを入れてます