A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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唐突な前日譚


第0ー1話

 

アメリカ某所

 

ボッン!

 

ゴッウ!

 

爆破と炎風が激突する。

 

アメリカのとある施設にて、二人の少年、緑谷出久と爆豪勝己が戦いを、殺し合いを繰り広げていた。

 

「抗ってんじゃねぇぞ、デクの分際でーーー!!!」

 

「うるせーーー!!!」

 

両腕から火花を撒き散らしながら、爆速で動き回り、爆破を撃ち出していく勝己。

 

反撃として、炎を纏った脚から、同じく炎を纏った風弾を連続で放っていく出久。

 

「クソがーーー!!!」

 

「はーーー!!!」

 

相手の攻撃がモロに直撃し、倒れ込む二人。

 

二人が繰り出し続けた攻撃によって、元は研究施設であったその場所は既に半壊し、瓦礫の山と化していた。

 

そして、互いにボロボロであり、全身の至る所に火傷、打撲痕、裂傷があり、他者から見れば、何故まだ動けるのか、理解できない状況である。

 

「テメェが何を得ようが、関係ねぇんだよ!テメェはデクで、俺の下だ!後ろだ!俺の前に立つんじゃねぇ!!邪魔をするんじゃねぇ!!!」

 

「するよ!!嫌な奴だけど、あれだけヒーローに憧れていた君が、悪になることを、僕は認めない!認めてたまるか!!」

 

ヨロヨロと立ち上がる両者だが、目だけはまだ衰えることなく、相手を射殺すように睨み合っていた。

 

「その目で、その目で俺を見んじゃねぇ。」

 

「かっちゃん、」

 

「テメェに負けるようじゃ、ハナっから最強のヒーローになれるわけがねぇ!だから!だから、テメェに勝てる力を求めたんだ!手に入れたんだ!」

 

「かっちゃん!!!」

 

「だから、俺の前から、消え失せろ!!!」

 

もう遠距離では埒が明かないと考えた両者は、最後の余力を、最後に残った互いの意地を振り絞り、急速に接近していく。

 

「死ねやーーー!!!

 

「死んで、たまるかーーー!!!」

 

片方は、先ほどまでとは比較にならない爆裂を発光させる右腕を相手に突き出す。

 

もう片方は最大級の炎を逆巻かせた右足を相手に向けて振り抜く。

 

両者渾身の一撃が繰り出され、凄まじい衝撃音があたりに響き渡ると同時に、一つの戦いに決着がつくのであった。

 

ーーーーー

 

時は遡る。

 

この世界では人々に特異体質が発現し、コミックの中の出来事であった異能が世界中に広まり、社会を大混乱に陥れた。

 

しかしながら、人とは慣れるものであり、数十年の時を経て、かつては異能と呼ばれた力は、人々の“個性”とされ、世の中でありふれたモノへとなっていった。

 

世の中が個性を基準に回るようになると、探究の矛先もそちらに向いていとた。

 

これまで人類が探究する未知とは、宇宙であったりエネルギーであったりが対象としての定番であった。

 

それが異能の登場によって、多くの国家や企業は、その注目を“個性”に向け、多くの研究者や技術者も探究対象を変えていった。

 

そのため、宇宙進出とエネルギー問題の両方に取り組んでいた“ある新技術”の研究は集めていた支持を失い、路線変更を余儀なくされた。

 

その路線変更から産まれた新機構“A.T(エア・トレック)”に、無個性の少年、緑谷出久は出会った。

 

「お母さん、お願い!僕に、これ、A.Tを買って!これがあれば、僕でも、無個性の僕でも、ヒーローになれるかもしれないんだ!」

 

物語は、この出会いから数年後、緑谷出久中学2年生の夏から始まる。

 

ーーーーー

 

パンパンッ、パンパンッ、

 

乾いた炸裂音が部屋に数度響き、続いて何かが倒れる音が2回ほど聞こえた。

 

隣で、祖父が、お爺ちゃんが何かを叫んでいる。私は目の前の光景の情報を処理しきれていない。

 

父と母が、お父さんとお母さんが倒れている。二人から赤い何かが流れている。

 

私はその光景を理解できないまま、特に抵抗することもできず、車に押し込められた。お爺ちゃんは気がついたら気絶させられていた。

 

私たちは誘拐されていた。では、お父さんとお母さんは?なぜ、連れて行かれないのか?

 

あのままでは、あのままでは、どうなる?

 

結論が出ないまま、私、発目明は気を失った。

 

ーーーーー

 

「A班の奴らが誘拐しにいった博士は分かりますが、俺たちはなんでこんな小娘を誘拐してるんですか?」

 

「なんでもコイツの個性は無重力化らしくてな。研究すれば我々のA.Tが更なる飛躍を遂げる可能性があるらしい。」

 

「ああ。A.Tってもともと、宇宙開発関係の技術ですもんね。じゃあ、コイツはモルモットって訳ですが?」

 

「さてな、科学者たちが考えることは俺には分からん。」

 

そんな会話を聴かせられながら、誘拐犯たちが運転する車の中で私、麗日お茶子は拘束され、転がされていることしかできないのであった。

 

ーーーーー

 

「これを持って、その子と二人で逃げなさい、明。」

 

連れてこられた施設がかつて働いていた場所であったため、同じく誘拐されていた少女と孫娘をなんとか脱出させることに成功した老人は、今の状況について思考を巡らせる。

 

「(なぜ今さらになって、A.Tの研究を押し進める必要がある。なぜ娘夫婦が、あんな事に。)」

 

四人の無事を祈ることしかできない状況で、孫娘に託したあるアイテムを思い出す。

 

「(本来であれば破壊すべきだ。隠し倉庫が見つかっていないのだから、”アレ”は無事のはずだが、不要な力を与えてしまう”キー”は破壊するべきなんだ。だが、ある意味で緊急用の切り札。使用すれば、A.Tさえ履いていれば、大抵の輩はなんとかなるはずだ。リスクを無視すればだが。)」

 

改めて、脱出した二人と娘夫婦の無事を祈る。そして片方は叶い、もう片方は最悪な結末を迎える。

 

ーーーーー

 

とある路地裏

 

ザッ、シャッ、ギャッ、

 

「オイ!」

 

「え?」

 

ズルッ、

 

「あっ。」

 

A.Tのトレーニングで壁登り、ウォールライドに挑戦していた、緑谷出久は急に声をかけられたことで気を逸らしてしまい、登っていた壁から滑り落ちかける。

 

しかし、そこから体勢を整え、落下に備えて力むのではなく、むしろ力を抜き、体全体のクッションを活かして着地、そこから更にA.T走らせることで勢いを殺すことにも成功するのであった。

 

「ぷはっ!ビックリした!」

 

無事に地上に降りれたことで安心していた緑谷であったが、声をかけてきた相手に視線を向けると、

 

「デク!テメェ、こんなところで何やってんだ、あぁ!?」

 

幼なじにである、爆豪勝己が取り巻き二人を引き連れ、そこに立っていた。

 

「な、何って。A.Tの、エア・トレックの練習だよ。」

 

緑谷の言葉を聞き、爆豪は先ほどの光景を思い出す。

 

無個性のデク、一番凄くないデク、そのはずだった。そいつが、個性なしで数メートルはある壁を登り、こちらの声かけでバランスを崩したかと思えば、空中で体勢を整え、着地を成功させた。

 

「さっきの、なんか凄くなかったか?」

 

「ああ。あんな高いとこまで登ってたのもだけどよ、あそこから落ちて問題なく着地って、個性ありでもムズいだろ。」

 

爆豪の取り巻き、先ほど見た光景の凄さを感じていたのか、緑谷を褒めるような言い回しをする。しかし、それは、

 

ボン!

 

爆豪が持ち上げて右手から発せられた爆発音にてかき消されるのであった。

 

「なんか、言ったか?」

 

「な、なんも言ってないって!」

 

「そうそう!言ってない言ってない!」

 

明らかに不機嫌になっている爆豪の様子に狼狽えた取り巻きたちは、慌てて何も言ってはいない、と弁明する。

 

「フンッ。で、そんなオモチャの練習に精を出してるようだが、まさかテメェ、まだヒーローになれるなんて、くだんねぇ夢見てんのか?」

 

「く、くだらなくなんてないよ!A.Tがあれば、僕だって、」

 

ヒーローに、と続けようとした瞬間、

 

「きゃ!」

 

「わ!」

 

路地裏の奥から、少女が二人走りこんできて、そして盛大に転んだ。

 

「え?わ!だ、大丈夫ですか!?」

 

少女たちのもとに駆け寄ろうとする緑谷、その光景に自分の思い出したくない過去を思い出す爆豪、

 

そして、

 

「逃がさん。そして、邪魔だ。」

 

全身にアーマーのようなモノを着込み、A.Tを履いた大柄な男と、その男と同じ服装の男たち3人、が少女たちがやってきた路地裏の奥から現れ、

 

ゴッ!

 

「ぶっ!」

 

先頭にいた大柄の男によって、腹に強烈な蹴りが叩き込まれ、緑谷は壁際まで蹴り飛ばされてしまう。

 

「音飛隊長どうしますか?」

 

「捕えろ。ん?」

 

自分たちに駆け寄ろうとしたために暴力を振るわれてしまった少年に、逆に駆け寄ろうする少女たちを捕らえようと、音飛と呼ばれた男以外の男たちが手を伸ばす。

 

ボボン!!

 

その男たちを、爆豪が爆破で吹き飛ばす。

 

倒れた緑谷に視線を向けていた音飛に対し、

 

「いくら相手がクソデクとはいえ、一般市民に暴力を振るい、女を攫おうとしてんだ。テメェらもれなく、ヴィランだよな?」

 

取り巻きたちは逃げたが、少女たちの前に立つ爆豪。そこには打算があった。

 

「トップヒーローってのは学生のウチから伝説を残すもんだかよ、ここでテメェらぶっ殺せば、俺様のサクセスストーリーが盛り上がるよな!」

 

そう叫んだ爆豪は爆速で突き進み、明らかにリーダー格である音飛に爆破を叩きつけてやろう、右腕を振りかぶる。

 

「避けっ!」

 

「っるわ!」

 

倒れていた緑谷が叫び、反応した爆豪は音飛が繰り出した蹴りを問題なく避ける。

 

「そんな蹴りが俺様に当たるゴッ!?」

 

「避けた直後の行動が雑すぎる。」

 

初撃の蹴りを余裕を持って躱し、後ろに回り込んだ爆豪は相手の背中に爆破を撃ち込もうとするも、裏拳を顔面に叩き込まる。

 

「だが、動きは悪くない。そちらの少年も、私の蹴りに反応し後ろに下がることで、衝撃を逃していたな。」

 

音飛は一瞬だけ爆豪、緑谷に視線を向けるも、

 

「だが、大したことないな。」

 

ブチッ!

 

爆豪の中で何かがキレた。

 

ボッン!

 

「死ねや、クソヴィランが!!」

 

再度、爆速で相手に突っ込んでいく爆豪。

 

中学生とはいえど、才能の塊である爆豪の攻めは、そこらへんのヒーローなら瞬殺できる強さである。

 

しかし、その爆豪が全く相手になっていない。

 

なんとか立ち上がった緑谷だが、自分よりも明らかに強い爆豪とヴィランとの戦い割って入っていけず、ただ狼狽えていると、

 

「すみません、あなた!」

 

逃げていた少女の内の一人、発目明が、緑谷に声をかける。

 

「え?あ、僕?」

 

「はい、あなたです。力があれば私たちを助けてくれますか?」

 

「・・・助ける、助けるよ!僕に力が、個性があれば、助けるに決まってる!でも、ないんだ。僕は無個性だから、力が、」

 

「はい!では、個性は無理ですが、力をお渡しします!」

 

「え?」

 

カシュッ、

 

と音を立て、何かが緑谷のA.Tに差し込まれた。それと同時に、膨大な量の情報が頭に叩き込まれ緑谷は、意識が途絶え、地面に倒れてしまう。

 

「あれ?」

 

「は、発目ちゃん、何しとるん!?」

 

もう一人の少女、麗日お茶子か気絶した緑谷に駆け寄る。

 

爆豪も、流石に急に倒れた緑谷に意識がいってしまい、音飛に距離を取られる。

 

「キーを使用したのか。それはA.Tを使用する戦闘データを使用者の脳に直接叩き込むためのモノだ。しかも、それはオリジナル。我々の改良版とは違い、情報というよりも、かつてのA.Tライダーの記憶そのものが入っているという話だ。そんなモノを急に使われれば意識ぐらい失って当然だっ、おっと。」

 

「余所見してんじゃねぇぞ、クソが!!」

 

再開された爆豪の攻撃を難なく躱す音飛から指示が飛ぶ。

 

「貴様ら、早くその二人を連れていけ。ついでにそのガキは殺しておけ。もし本当にかつてのA.Tライダーの力を使われでもしたら面倒だ。」

 

爆豪に不意打ちされた男たちが復帰し、少女たちに近づいていく。爆豪は意識が完全に戦っている相手である音飛にしか向いていない。

 

自分たちを連れ去れにやってくる男たちから逃げなければならないのに、ここまでの逃走の疲労と恐怖で動けない麗日と発目、

 

どちらかは分からないが、

 

「助けて。」

 

と呟いた。

 

ーーーーー

 

「ふむ。A.Tはやり込んではいるが、精々よく見積もっても中の上程度の実力の無個性の少年に入れられた時はどうしたものか、と思ったが。なるほど、己の命の危機よりも、他者の助けを呼ぶ声に反応するか。良いな、その精神性。中々に壊れている。」

 

誰かが、僕の中で喋っている。

 

「では、知識と技術、そして経験を与えよう。足らないものは別のモノで補いたまえ。」

 

別のモノ?

 

「簡単に言おう。命を燃やせ。」

 

ーーーーー

 

ゴッウ!

 

「ぎゃっ!」

 

「なんだ!?」

 

「コイツ、急に!?」

 

少女たちに近づいていた、男たちのうち、先頭を歩いていた男が緑谷によって蹴り飛ばされる。

 

「ふむ。本当に面倒になったな。しかも、炎と風のハイブリットとは。」

 

「な、なんだ。なんでデクが個性を。」

 

男を蹴り飛ばした緑谷の足からは、炎が立ち上り、その周囲には風が吹き荒れていた。

 

「あれは個性ではない。A.Tによる技術だ。」

 

ザッ、

 

A.Tを走らせ、未だ狼狽えている男たちに接近する緑谷。

 

「ハァッ!」

 

燃え盛る蹴りがマトモに直撃し、別の男も沈黙する。

 

「お、音飛隊長!」

 

一人残された男は自分たちの隊長である音飛に助けを求めるが、自分でなんとかしろ、と冷たい視線だけが帰ってきた。

 

「クッ、ふざけるな!貴様みたいなガキに!」

 

身に付けたA.Tを走らせ、高速で接近する男が緑谷に殴りかかる。

 

「(速ぇ!)」

 

爆豪はモブだと思っていた男の動きに驚愕する。

 

完全に油断していたタイミングで爆豪や緑谷に攻められたため、後手に回り、仲間二人を気絶させられた男ではあるが、決して弱くはないのだ。

 

「そ、そうだ!ここに来るまで、小娘どもが助けを求めたヒーロー共をぶっ殺してんだ!俺たちが、この俺が、こんなガキに負けるわけがないんだ!」

 

勢いを取り戻したのか、A.Tを活かした連続蹴りを繰り出し、熾烈な攻めを見せる男であったが、

 

「なっ、なんで当たらない!?」

 

緑谷は、相手の攻撃を見切り、回避してみせる。

 

そして、

 

「ここ、だ!」

 

ゴッウ!

 

「ぼっ!?」

 

カウンター気味のタイミングで緑谷の前蹴りが決まり、相手の体はくの字に折れ曲がり、そのまま地面に倒れ伏した。

 

3人を行動不能にした緑谷が爆豪と戦っていた最後の1人、音飛と向き直る。音飛も緑谷に視線を向けていると、

 

「この俺様を無視してんじゃねぇ!」

 

爆豪が攻撃をしかけるが、音飛はそれを軽くいなす。

 

「(キーを使用したあの少年、今の装備でやり合うのは面倒か。)ここは引かせてもうとしよう。」

 

ゴッウ!!

 

逃がさない、と言うかのごとく脚から炎を滾らせる緑谷は、離れた位置で脚を引き絞る。

 

「ダァッリャ!!!」

 

ゴッッッウ!!!

 

緑谷が引き絞っていた脚を蹴り出すと、相手に向かって炎が津波のように襲い掛かっていった。

 

「フッ、炎の道の技は遠距離には向いていな、」

 

『ふむ。本当に面倒になったな。しかも、炎と風のハイブリット。』

 

ダッ!

 

自身の発言を思い出し、大急ぎで迎撃から回避に切り替えた男は、A.Tをフル稼働させ空中に大きく飛び上がり炎を回避する。

 

空振りに終わった炎の波はそのまま進み、路地裏の壁に直撃すると、

 

ドゴン!

 

そのまま粉砕した。

 

「な!」

 

「(あれの直撃は貰わない方が身の為だな。)」

 

爆豪は緑谷が放った炎の威力に驚愕し、音飛は冷静に分析し、緑谷の危険度を引き上げる。しかし、更新された危険度も正しくは見積もれてはいなかった。

 

破壊痕に意識がいっていた音飛が緑谷に視線を戻す。

 

すると、いつのまにか先ほどとは左右逆の構えを取っていた緑谷と視線がぶつかる。緑谷は空中にいる音飛を向けて、

 

「くっ、(まさか!?)」

 

「連射だと!?」

 

遅れて気がついた爆豪が叫ぶと同時に、

 

「もう、一発!!!」

 

ゴッッッウ!!!

 

空に向けて強烈な炎が打ち出された。

 

炎は、勢いや威力を落とすことなく突き進んでいき、空中にいる音飛に直撃するのであった。

 

ーーーーー

 

「な、あっ?」

 

緑谷がたった今、目の前で行ったことを頭の中で処理できていない爆豪は唖然と立ち尽くし、ろくな言葉が出てこない状態になっていた。

 

逆に、助けられた少女たちは緑谷に近づいていく。

 

「あ、ありがとう、助けてくれて!」

 

「っ!?え、あ、こ、こちらこそ、ありがとう。」

 

「なんでそっちがお礼を、ってなんで泣くん!?」

 

麗日からの言葉を聞き、緑谷の目から大粒の涙がとめどなく流れていた。

 

「ご、ごめん。ただ、嬉しくて。だれかの助けになれたことが、ありがとう、って言われたことが。」

 

「では!ついでに、もっと助けてください!」

 

「「わ!?」」

 

緑谷、麗日の会話に発目が割り込み、緑谷の手を両手で掴む。

 

「へぁ!?」

 

「実はまだ祖父が捕まってまして。ヒーローに助けを求めましたが、やられてしまったようで。助けてくれませんか?」

 

「いや、流石にここから先はヒーローに助けてもらった方が良いんじゃ、」

 

「オイ、助けてくれ、ってことは奴らのアジトの場所は分かんだな?案内しろや。」

 

「かっちゃん!?」

 

更に爆豪が会話に乱入。

 

「あのクソヴィランをぶっ殺さなきゃ俺の気が収まらねぇ。」

 

「え?でもアナタさっきボロ負けしてましたよね?」

 

「負けてねぇよ!」

 

「あぁ!相手にされてなかったんですね。」

 

「アァ!?」

 

ーーーーー

 

そんな会話をしていた僕らは、これから先に待ち受ける戦いの日々がどんなものか分かっていなかった。ただ、僕も力を手に入れたばかりで、正直内心で浮かれていたんだと思う。

 

「良し。行くよ、助けに。」

 

この瞬間に僕らの。長い長い夏が始まった。

 

ーーーーー

 

0ー1 覚醒

 

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