A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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USJ襲撃を書きおえて改めて思いますが、やっぱりヒロアカって面白いなってなっています。ただ、原作の完成度が高すぎて弄れるところが少ないのが2次創作作品が少ない原因なんでしょうか。

私の作品もこのままいくと、色々なところで不都合やご都合主義が必要になりそうで、怖いです。

改めてですが、この作品はヒロアカ時空にA.Tがあれば、という作品なのでA.Tの性能や出久たちが人間辞めているのはどうしようもないと思っています。

カッちゃんが最終決戦でクラスター使ってトマトにならいのと同じです。


第12話 USJ襲撃 戦いの後で

 

 

死柄木、スピナー、そして荼毘は、黒霧が展開したワープゲートを通り、自分たちのアジトの一つであるバーに戻ってきていた。

 

「いやー、負けだな今回の襲撃は。同類たちの実力は確かだったし、何よりも平和の象徴は健在だった。」

 

バー内にある椅子に座り、軽い雰囲気で会話を始める死柄木。そんな死柄木に対し、

 

「いや、もともと挨拶とテストだけで、勝ちも、負けもない襲撃の予定だったじゃないか。お前が勝手に前に出すぎて、あろうことかナンバーワンとタイマンなんかしたもんだから今後の予定がズレまくりだよ。特に脳無。どうすんだよ置いてきちまったぞ。」

 

「あー、そうだな。過ぎたことはしょうがないが、・・・ヤバいかな?」

 

『なんじゃい。ワシと先生の合作脳無、回収して来なかったんかい?』

 

部屋の隅に設置されたモニターから声が響き、老人と思しき声から質問が飛んできた。

 

「申し訳ありません、ドクター。万が一、例の抹消の個性で私がワープゲートを発動できない状況になり、撤退が困難になることを避けるため、私がアジト側からゲートを開きました。そのため脳無の座標を把握できず、回収できませんでした。申し訳ありません。」

 

「気にし過ぎんなよ黒霧。むしろお前の判断が的確だったおかげですんなり退くことができたんだ。お前があの場に残っていたら確実にイレイザーヘッドの個性を喰らって、もう一戦やるハメになってたよ。」

 

「だからそれはお前が勝手に、」

 

「俺としてはそんなことよりよ、オールマイトは弱体しているって話、ありゃぁ雑な情報過ぎだぜ先生。確かに全盛期以下なんだろうが、それでも十分に無理ゲーだった。」

 

スピナーの言葉を遮り、死柄木は視線をモニターに向け、反応を待つ。

 

『それは申し訳ないことをしたね、弔。すまない、僕の見通しが甘かったようだ。』

 

ドクターと呼ばれた老人の声とは別の男の声がモニターから流れてきた。誰をも受け入れる聖者のような声でもあり、全ての人間を不幸に陥れる悪魔のようにも聞こえる声であった。

 

『ただ、黒霧の話が少し腑に落ちない。あの脳無には、オールマイトと連携されると面倒というのもあって、先ず最優先でイレイザーヘッドを攻撃、可能であれば持ち帰るよう設定してあったはずだ。』

 

「(ああ。同類たちを無視して、イレイザーヘッドを狙ってる場面が多かったのはそういうカラクリか。)」

 

『上位の脳無として調整し、オールマイト並みのパワー与え、そのオールマイトの攻撃に耐えられる防御力、再生力を兼ね備えた、かなり出来の良い怪人になったと自負していたんだ。』

 

自身とドクターが作った怪人の能力を正確に把握しているからこその疑問であるが、

 

『だから、イレイザーヘッドも弱いヒーローではないが、あれに対応できるだけの実力はなかったと思うんだがね。』

 

「それは同類たちの実力の問題だよ、先生。今年の雄英の新入生に、俺やスピナーの同類がいるのは報告してあったろ。そいつらが全員、今日襲撃をかけたクラスに揃っていてね。一人に黒霧が封殺されて、残り二人に脳無が完全に抑えられてたよ。」

 

死柄木が補足を入れる。そもそも、出久、勝己、そしてお茶子の三人の実力がなければ、確実に相澤は最初の一撃で行動不能にされ、生徒側には多くの負傷者、または死者が出ていただろう。だが現実は違う。

 

勝己の冷静な判断と指示、そして序盤は出久、引き継いだお茶子、そして13号や他のA組生徒たちの奮闘により、黒霧や呼び寄せたヴィランたちは完全に対処され、救援を呼びに行かれてしまった。

 

何よりも、対オールマイト用の怪人であった高位の脳無はまともな有効打を一度もいれることすらできず、最後の足掻きを行う前に生徒4人によって沈められたのである。

 

「俺やスピナークラスの実力を持った生徒が最大で3人いるってことは事前に伝えてあった。」

 

『ああ、情報はもらっていたね。』

 

「その情報を持ちながら、あの脳無一体でなんとかなるって考えてたんなら先生、あんたが自分で言ったてたように、見通しが甘かったんだよ。」

 

自分が予定にない行動をとり、前に出て戦闘するわ、オールマイトとタイマンかますわ、については完全に棚上げした発言である。しかし、どことなく挑発するような言い回しでもある。

 

『ふむ。緑谷出久、爆豪勝己、そして麗日お茶子。この3人が本当に今の君ら二人に匹敵する力を持っているとなると、自分の失敗を反省せざるを得ないね。だが、悔やんでばかりではいられないよ弔。それに今回の襲撃、目的自体は達成したのだろう?」

 

「ああ。脳無のテスト自体は問題ないし、性能は対オールマイトに設定していないのであれば十分すぎる強さだった。」

 

『そうじゃろう、ワシと先生の自信作じゃ。』

 

「問題点としては、指示されたことを優先してしまう関係で、行動の汎用性がない。人形の限界だなありゃ。」

 

『むう、やはり意識を持たせることが急務かの。』

 

「最後の足掻き、氷を砕くことよりも緑谷出久への迎撃を行なっていれば、また話は変わって、・・・いやカウンター食らって逆くの字がくの字に変わっただけかな。組織としての挨拶、というか宣言か?もサラッとではあるが済ませた。あと、俺から緑谷出久と爆豪勝己への挨拶もできた。麗日お茶子はその場にいなかったが、まぁ二人から伝わるだろ。」

 

自身の指で自分の行ったことを数えながら、今回の襲撃目的が達成されていることを確認していく弔。そして、

 

「ああ、あと。俺とスピナー、それと荼毘の3人ががりで、周りからの横槍がなければ、って条件さえ整えられれば、倒せそうだったよ、平和の象徴。」

 

『・・・へぇ。それは朗報だよ、弔。』

 

スピーカーから聞こえる声は、朗報だと言うわりには平坦であり、若干の不機嫌さすら感じられる声色だった。死柄木弔はもともと自分の作品であり、器であった。その器に自分が知らない間に別の何かが詰め込まれ、別の作品になりかかっている。

 

『(弔、君はいずれ僕になるんだ。圧倒的な感情は必要だが、強固な意志は必要ないんだよ。)』

 

自分の計画に大きな修正を入れる必要を感じ始め、声の主は全てを自分の思うがままにするため、新たな暗躍を進めるのであった。

 

「(先生。あんたには世話になってきたし、悪いとは思っているが、これ以上あんたの人形でいてやる義理はないんでね。好きにやらせてもらうよ。)」

 

魔王とその弟子は本来の流れとは異なり、各々の思惑をもって、その悪意を拡大させていくのであった。

 

ーーーーー

 

モニターから声と死柄木との会話が始まったあたりから空気を読んで部屋を出ていたスピナーと荼毘だったが、

 

「良かったのか?」

 

「何が?」

 

スピナーの質問に対し、荼毘が聞き返す。

 

「今回、黒霧の要請を受けて俺たちは救援に向かった。俺は良い。死柄木の言葉を借りるなら俺たちは同類だ。」

 

「らしいな。詳しくはよく知らんが。」

 

「俺自身、アイツのやろうとしている事に加担し、共に歩んでいくと決めている。だが荼毘、お前にはお前の目的があるじゃねーか。あそこで共倒れになる可能性だってあったのに、なんで手札を晒してまで死柄木を助けた?」

 

スピナーの疑問はそこである。あの時、自分もオールマイトと死柄木を分断するために技を放とうとしていた。しかし、それよりも早く荼毘は炎を放っていたのだ。そのせいで荼毘というヴィランの存在がヒーロー側に明るみになってしまった。このご時世、どのような個性を持っているか、というのはヴィランにとって隠せるなら隠せるだけ利になるのだ。

 

「ハッ、なんだ、寂しいこというじゃねーか。俺はお前らのこと少しは仲間だと思ってんだぜ。」

 

「は?」

 

「あいつ、死柄木とお互い死にかけ一歩手前までやりあったのが良かったのかね。俺の狙いがエンデヴァーだってアイツが知ったら、俺が目的を達成するためも手伝いをしてやるから、俺には自分の手伝いをしろって言ってきた時のアイツの目が最高でよ。心底めんどいって顔しながら、ギラついた目でこっち見てんだ。」

 

死柄木やスピナーとの出会いを思い返しながら、荼毘は自身の思いを言葉にしていく。

 

「スピナー、お前の人を見る目は確かだよ。アイツは本物だ、本物のイカれ野郎だ。だからアイツに協力するって決めてからは、俺も最低限はお前らを仲間だと思ってるよ。」

 

少し照れくさそうに話し終えた荼毘に、

 

「荼毘・・・めっちゃ似合わねーこと言ってんな。」

 

ゴッッウ!

 

余計なことを言ったスピナーは燃やされるのであった。

 

「あっつ!悪かった、冗談だって。はい!マジすみませんでした。その技は不味いって!」

 

ーーーーー

 

USJ

 

A組の生徒たちがお互いの無事を確認しあっており、怪我をした生徒たちは念のため応急処置を受けてから校舎に移動する事になった。

 

「デクくん、本当に火傷は大丈夫なん?以前みたいにヤバいことなってへん?」

 

お茶子は過去にイフリートソールを使用した出久の足を直に見ているため、出久がどれだけ大丈夫、といっても信用ならないという雰囲気で側を離れずにいた。すると耳郎が、

 

「おーい、麗日。女子は一回ミッドナイト先生の所に集まって指示があるんだって。行ける?」

 

「え、ほんま?どうしよう、デクくん放置するわけにもいかへんし、爆豪くんは爆豪くんで怪我人やし。」

 

お茶子がどうするべきかで悩んでいると、

 

「緑谷はオイラが見てるから女子はさっさと行ってこいよ。」

 

峰田が話に入り、そう提案した。

 

「あっ、ありがとう峰田くん。お茶子さん、峰田くんがいてくれるみたいだから、耳郎さんと一緒にミッドナイト先生の所いってきて良いよ。」

 

「うーん、分かった。なんかあったら必ず呼んでな。じゃあ峰田くん、デクくんのことお願い。」

 

そういうとお茶子は耳郎とミッドナイトの元に向かった。

 

「峰田くん、ありがとう。正直助かったよ。」

 

お茶子たちが離れていくのを確認しながら、出久はそんなことを口にした。

 

「(ケッ!これ以上オイラの前でラブコメ展開させてたまるかってんだ。)いいってことよ。んで、どうすっ、って本当に大丈夫か緑谷、めっちゃ震えてんぞ?」

 

先ほどまで、お茶子たちが近くにいたときはしていなかった小刻みな震えが出久の体に出ていた。

 

「はっ、はは。いや、お茶子さんに心配かけるわけにはいかないから、我慢してたんだけど、そろそろ限界だったから、本当に救かったんだ。」

 

「我慢って、やっぱ火傷がヒデーのかよ。どうする?先生たち呼んでくるか?」

 

「いや、火傷は多分大丈夫。ないとは言わないけど。そこまで酷いものじゃないから。」

 

「だったらなんだよその震えは。(まるでさっきまでの、戦闘中に震えてたオイラみたいじゃんかよ。)」

 

「じっ、実は普段は大丈夫なんだけど、カッちゃん以外の強い人と戦ったり、イフリートソール、あっ、さっき使ってた技ね、を発動したりするとトラウマがぶり返しちゃって。少しの間、震えが止まらなくなるときがあるんだ。」

 

「トラウマってお前。」

 

個性把握テストでも、対人屋内演習でも、そして今回のヴィラン襲撃でも、峰田から見た出久は、どこまでもヒーローであった。強く、賢く、笑顔を絶やさない、女子と仲良くしているこの男を正直妬んでいた。だがら、目の前で震えているこの男が自分が先ほどまで妬んでいた男と本当に同一人物なのか、と疑問に思ってしまった。

 

「あと、今回は高火力を使いすぎた部分もあって。正直炎も怖いし。」

 

「炎もかよ!あんだけポンポン撃っといてお前、炎が怖い、は無理がありすぎんだろ。」

 

「ははは。それ、前にカッちゃんにも似たようなこと言われたことがあるよ。でも本当に怖いんだ。モノが焼ける音にはビクリとするし、人が燃える匂いを嗅いだら吐き気がする。自分で出した炎が何かに引火したりしないかいつもビビってるし、いつか炎に燃やし尽くされるんじゃないかって思うと夜も眠れない日もあるんだ。」

 

「・・・。」

 

「でもお茶子さんや明さんにはあんまり心配かけたくないから、なるべくバレないようにしようと頑張ってるんだ。でも、さっきは危なかった、だから峰田くん、ありがとう。」

 

「お、おう!その礼は受け取っておいてやるよ。(野郎〜、ブルブル震えてるくせによー。行動だけじゃなく、心までカッケェとかズリィーだろうがよ。)」

 

峰田が心から出久を認めた瞬間だった。

 

「あ、でも妬むのも、呪うのもやめねーからな、このモテ野郎。」

 

「急に!?」

 

 

 

ーーーーー

 

「爆豪、大丈夫か?」

 

「これが大丈夫に見えんなら、マジで眼科行けや、先生。」

 

相澤が声をかけた爆豪はフルクラスターの副作用によって未だ全身に痛みがあり、移動するにも難儀していた。

 

「目が個性なんだ。定期的に眼科は通院している。いや、大丈夫じゃないなら動き回るな。周囲の警戒なら俺たちがやっておく。」

 

「そ、そうだぜ爆豪、痛ぇんなら休んでた方が良いって。」

 

痛みと疲労からか、普段ほどの覇気がないにも関わらず、まるで手負の獣が如く警戒を解かない勝己に若干ビビりながらも切島も声をかける。

 

「・・・癖になってんだよ、戦闘後の周囲への警戒は。出久が今の状態になっちまってる時は特にな。」

 

「緑谷のあの状態は以前もあったのか?」

 

勝己がチラッと切島を見た後で、

 

「先生、つうか雄英側は俺らの件をどこまで把握してんだ?」

 

「事件の始まり、から日本、アメリカでのざっくりとした流れて程度だ。正直、例のキーやアメリカでのお前らの旅路に関しては把握してない部分や飲み込みきれていないことが多数ある。」

 

「(アメリカ?キー?なんのことだ?)」

 

話に着いて行けていない切島は頭に疑問符をつけていた。

 

「当時のアメリカ政府の対応は?」

 

「・・・知っている。」

 

「なら、分かんだろ。昼も夜も関係ねぇ。ヴィランに襲われたかと思えばヒーローが、ヒーローを撃退したかと思えばヴィランが、たった数日だったが、俺たちからすれば終わりの見えねぇ地獄だった。俺と出久は、そんな中で、麗日や発目、博士を守らなきゃなんなかったんだ。戦闘後、俺か出久が常に周囲を警戒する習慣が身についてんだよ。」

 

この会話の最中も、死柄木たちがワープゲートの向こうに消えていったあとからずっと、周囲に気を配り、残党がいれば即座に鎮圧できる状態を勝己は継続しているのである。

 

「出久のあの発作は炎への恐怖もあんだろうが、主な原因は別もんだ。」

 

「戦いへの恐怖か?」

 

相澤が出久の正確から戦いそのものに忌避感を持っている可能性を考えた。そうであればヒーローとしての素質を考え直さなければ、思っていると、

 

「あいつがそんなタマかよ。今回、発作が強く出てんのは出久が全力で、加減なく、人の形をしたあのクソ怪人を攻撃するハメになったからだよ。アイツがもし何かにビビってるとしたら、自分が誰かを殺してしまうかもしれないことに、だよ。」

 

ーーーーー

 

周囲が慌ただしくしている中、轟は一人、自分の左手を見つめいていた。

 

「(俺がこの左手を使っていれば、事態は好転していたのか。もし、緑谷や爆豪、そして麗日がいなかったら、あの黒霧と呼ばれたワープゲート持ちのヴィランや、脳無と呼ばれた怪人を相手にして、俺は勝つことができたのか。この左手を使わない状況で。)」

 

「轟さん!」

 

女子が集まっていた方向から、同じ推薦入試組である八百万が走ってくる。

 

「どうした、八百万?」

 

「先ほど麗日さんから、おそらく緑谷さんが火傷を我慢しているだろうから、何か冷やせるものは出せないか、と相談されまして。私も戦闘でかなりの脂質を消費してしまっているので、氷嚢ぐらいしか作れそうにないので、入れるための氷を用意していただけないかと。」

 

「あぁ。緑谷のやつ派手に炎を使ってたな。」

 

「はい、どうでしょうか?轟さんも複数のヴィランを相手にされ疲労されていると思うので、もし難しそうなら別の手段を考えるのですが。いかがでしょうか?」

 

本人が意図した訳ではないだろうが、戦闘の疲労がある中で、轟の元まで駆けてきた八百万は少し前かがみの姿勢になっており、所謂上目遣いの状態で轟にお願いをしている形になっている。これが峰田はもちろん他の一部の男子であったなら、一発アウトな状態である。そんな八百万の上目遣いを正面から食らった轟は、

 

「分かった。ただ氷を入れたモンを運ぶのは今のお前の状態じゃキツイだろ。一緒に俺も緑谷のとこ行くから、そこで頼む。」

 

ノーダメージである。この男、あの強烈な上目遣いをスルーするとどころか、逆にイケメンムーブ、俺が代わりに、を素でやってのけたのである。真なるイケメンのイケメンムーブをカウンターでもらった、八百万は、

 

「本当ですか、救かりますわ。麗日さーん!轟さんも緑谷さんのところまで行ってくれるそうですわー!」

 

こちらもスルー!なによこの子たち。高校生でしょ、もっと初心で青春な展開はないわけ!

 

「・・・おい、マイク、それにミッドナイトも。状況が状況なんで真面目に働いてもらって良いですか。」

 

「「すみませんでした。」」

 

大人であるヒーローたちがよく分からないことをしている状況を尻目に、出久のところに向かう二人。二人のうちの一人の頬が若干赤くなっていたのはおそらく気のせいである。

 

ーーーーー

 

その後は警察も到着し、死柄木から同類という表現をされていた出久、勝己は事情聴取を受けなければいけない立場であった。特に出久は荼毘とまで面識があったため、警察側も話を聞きたそうにしていたが、

 

「塚内君、頼む。今日の所は私に免じて、彼らを休ませてやってくれ。」

 

長年、巨悪と共に戦ってきた警察の友人に対し、オールマイトが待った、をかけたのであった。

 

「そうは言うがオールマイト、数十人のヴィランを引き連れ、君すら手こずらせるヴィランたちに関わる情報を彼らは持っている。この場合、早いうちに確認しておくに越したことはないだろう。」

 

「オールマイト、僕とカっちゃんなら大丈夫です。これくらいの傷、慣れたもんなので。」

 

今まさに担架で運ばれる先を相談されている本人から、そんな言葉を聞き、オールマイトだけでなく、話を聞こうとしている塚内の方まで表情を曇らせる。

 

「え、あ、あれ?何か変なこと言いましたか、僕。」

 

今、出久はA.Tを脱ぎ、イフリートソールを発動した足が露出している状態である。その足は今回できた新しい火傷に加え、多くの火傷によって痛々しい状態になっている。

 

「足もほら、以前はもっと酷かったんですが、」

 

「「((以前はもっと!?))」」

 

「炎を纏っている間だけ体を再生させてくれるって個性があって、その個性を使って、」

 

「おい出久、お前はあれをネタぐらいに思ってるかもしれねーが、他人からしたらヤベェとしか思えねぇ内容だからやめとけ。あのビックリグロ治療の説明は。」

 

勝己が出久のズレた発言を止める。

 

「「((ビックリグロ治療??))」」

 

「そ、そうかな。僕の鉄板ネタなんだけど。あっ!なんで、事情聴取は受け、」

 

「受けさせません。」

 

緑谷の言葉を遮り、お茶子は、私不機嫌です、と言う顔で出久の顔を覗き込んでいた。

 

ーーーーー

 

「デクくん、足、痛いんよね?」

 

「いや、痛いか、痛くないかなら、もちろん痛いんだけど、でも事情聴取も、大事だし、警察に協力するのは、ヒーローを目指す身なら当然というか。」

 

「痛いか、痛くないかで、答えてもろて良い?」

 

「はい、痛いです。」

 

お茶子からの威圧が凄まじく、出久は余計なことを言わず、簡潔に答えた。

 

「う、麗日少女よ、出久少年の気持ちは私も分かる、いや私も反対している側だから思いは君と同じだ。だか出久少年の言うことももっともであるからして、」

 

「オールマイト、」

 

「う、うむ。なんだい麗日少女よ?」

 

出久を庇うため、お茶子に説明をしようとしたオールマイトだが、先ほど出久がされたように、言葉を遮られてしまう。そして、

 

「すみません。静かにしておいてもろて良いですか?」

 

ニコッと笑顔を向けられ、丁寧だが、凄まじい圧が込められた言葉を向けられたのであった。

 

「はっ、はい!(この圧!まるで本気で怒った時のお師匠のよう。)」

 

この瞬間、今のお茶子に逆らうという選択肢はオールマイトから消え去った。ついでに、できる男である塚内は早い段階で距離をとっていた。

 

「デクくん。」

 

「はい!」

 

「なんでいつも、大丈夫って嘘つくん?」

 

「えっと、みんなに心配させたくないから、かな。」

 

「でも、デクくん。みんなを心配させないための嘘で、わたしは心配しとるんよ。」

 

「それは、本当に、申し訳ないと、思っております。」

 

ぎゅっ、とお茶子が出久の手を握る。その表情は俯いていて周囲からは見えない。ただ一人、担架に寝そべり、下からお茶子を見上げている出久を除いて。

 

「デクくん、わたしな、心配、させてほしいんよ。」

 

お茶子の顔は、歪んでいた。泣いているわけではない。しかし、今すぐにでも泣き出してしまいそうな、泣くのを必死に我慢している、そんな顔だった。

 

「わたし、分かってまうもん。デクくんが他の人を心配させへんためにつく嘘、分かってまう。」

 

「お茶子さん。」

 

「それが、ヒーローとしてのデクくんに必要な嘘なんは、わたしにも分かる。でも、同じように心配すんのなら、わたしは、デクくんの本音を聞いて、心配させて欲しい。」

 

思い人が、傷つき、悩み、苦しんでいる、そんな時、自分には正直に言って欲しいのだ。痛いと、怖いと、救けて、と。そして、寄り添わせてほしい。自分には本音を語ってほしい、みんな、ではない特別にしてほしい。お茶子の心からの本音であった。

 

「・・・ねえ、お茶子さん。」

 

「なに、デクくん。」

 

「お茶子さんも今日の戦闘で疲れているよね?」

 

「うん、疲れとる。」

 

先ほどまで、散々出久に本音を語ってほしいと伝えた手前、嘘はつけなかった。そんなお茶子に出久は、

 

「ごめんね、お茶子さん。疲れているところ申し訳ないんだけど、お茶子さんに手を握っていてもらえるとなんだか落ち着くんだ。だから、もう少し握っててもらって良い?」

 

「・・・デクくん。」

 

「なに、お茶子さん。」

 

「それ、本音?」

 

「うん、本音だよ。」

 

「握ってる。」

 

「うん、お願い。」

 

そんなやりとりをしていた二人の周囲はというと、カッちゃんとオールマイトによる交渉によって、事情聴取は明日以降に設定、ミッドナイトが青春オーラ過多で鼻血を出し、周囲の警官たちがブラックコーヒーを買い漁りに行くなどという珍事が起きていた。

 

ーーーーー

 

結論、出久と勝己の治療は保健室でのリカバリーガールによる治癒で事足りた。お茶子も保健室に着いてきていたが、出久を治療するリカバリーガールをすごい目で睨みつけていた。明にも無茶をしたことが発覚し、出久と勝己はしっかりと怒られたのであった。

 

襲撃翌日は休校となり、お茶子と明が緑谷家に泊まりに来るという珍事件もあったが、ようやく、長かった1日が終わる。

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 




ラブコメは、難しい。

休日午前出勤のため執筆が遅れるなー、と思いつつ、仕事を終わらせ、帰宅している最中に、700円くじを発見。

・・・10枚購入。荼毘った。∑(゚Д゚)
お茶子、トガ(幼少期)も出た。Σ(゚д゚lll)

小説を書くと運気って上がるんすかね?
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