A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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この作品は多くのキャラクターにご都合主義が発生しています。こんなんヒロアカじゃない、という時や、今このキャラはこの心情にはならんだろ。など色々あるかと思いますが、頑張って、頭捻らせて書いているので、ご了承ください。


第19話 ガチバトルトーナメントBブロック

 

体育祭の最終種目であるガチバトルトーナメント。Aブロックの一回戦が全て終わり、戦いはBブロックへと移行する。

 

初戦のカードは爆豪勝己VS物間寧人。

 

ステージで向き合う勝己と物間。両者共にA.Tを履き、いつ試合が始まっても問題ない準備万端の状態である。

 

「聞いたぜ、出久のファンなんだってな。あの野郎も偉くなったもんだ。」

 

「ああ、例の炎の少年と風の少女。あの動画を見たのがA.Tを始めたきっかけさ。」

 

「(そうするとA.Tを始めて一年そこら、それでこの身のこなしか。)はっ!後で出久からサインでももらっといてやろうか?」

 

「本当かい?ああ、ぜひ頼むよ。」

 

物間がこれまでで一番真剣な表情をするものだから、勝己は揶揄う気にもなれず、

 

「・・・はぁーっ。テメェが勝てたらな。」

 

「ははっ。勝ちたい理由が増えたよ。」

 

「二人とも、準備は良いわね?」

 

会話がひと段落したのを見計らい、ミッドナイトが二人に声をかける。

 

「大丈夫です。」

 

「ウス。」

 

ーーーーー

 

「さあ、Bブロック一回戦第一試合はA.Tライダー同士の激突だー!」

 

「爆豪の強さは、この会場の全員が知っている。逆に物間はここまで、その実力を巧妙に隠してきている。ただ、移動に関しては、障害物競走や、騎馬戦の結果を見るに大したもんだ。爆豪の速さとどう張り合うのか、それとも上回るのか、見ものだな。」

 

「Bブロック一回戦第一試合、レディ!スタート!!」

 

ーーーーー

 

A.Tを履いている人間の中でも、出久の移動速度は異常と言って良い速さである。

 

勝己やお茶子もキーを使用しているため、過去のA.Tライダーの記憶がインストールされ、一般的なライダーから見れば異常な技量を持っている。しかし、本来であれば、出久の速度に付いて行くことはできない。キーの記憶に加えて、出久は純粋なA.Tの練度を日々上げ続けているからである。

 

お茶子はその練度の差を、自身の個性によるブーストで補い、勝己は個性を使用した加速によってむしろ出久の速度を上回っている。つまり、

 

「ッチッ!それがテメェの個性か!」

 

「ああ。昔は嫌いだったけど、今ではとても気に入っているよ。」

 

「どうした爆豪!?いつもの爆破による加速を使用していないぞ!舐めプか何かか!?」

 

「物間の個性だな。あいつの個性はコピー、今は俺の抹消を使用しているな。(さっき頼まれたからな。)」

 

個性が使用できない状況では、勝己の速度は出久に劣る。

 

出久と同様に、開幕速攻を仕掛けようと考えていた勝己であったが、個性が発動せず、行動が遅れてしまう。その遅れを突き、物間は先制攻撃を行った。

 

しかも、その先制攻撃で、

 

「フェニクス・スマッシュ。」

 

「個性以外もコピーできるだと!?」

 

「いいや、これはただのモノマネ。何度も何度も動画を見て、練習を繰り返し、到達した成果さ!」

 

自身の好敵手である出久の十八番とも言える技を繰り出され、さしもの勝己も驚愕する。

 

ゴッッウ!!

 

炎が勝己に迫っていく。

 

「これは直撃コース!物間の放った炎が爆豪にモロにブチ当たるのか!?」

 

「(さあ、爆豪。個性なしでどう捌く?)」

 

会場全体が固唾を飲んで試合を見守る中、出久、お茶子、明の3人は、次の展開が予想できていた。

 

「惜しい、使い方が違うよ物間くん。」

 

スッ、

 

炎が勝己に直撃する瞬間、勝己はA.Tをほんの少し走らせた後、両手を炎に添えるように前に出し、

 

バッ!

 

フスマを勢いよく開けるが如く両腕を広げた。それと同時に、炎も左右二つに分かれ、道ができる。

 

「は?」

 

「火力は悪くねぇが、使い方がなっちゃいねぇ。」

 

完全に予想外の出来事に次は物間に隙が生まれる。そして、それを見逃す勝己ではない。

 

勝己が広げた両手を自身の前で円を書くように回す。その動作と共に、左右に別れた炎は風に巻き込まれて渦巻いていく。

 

「出久や死柄木が使ってる技と同じ名前だが、本来はこっちが元祖の撃ち方だ。」

 

渦巻く風に渾身の蹴りを叩き込み放つ技の名は、

 

「パイルトルネード・オリジン。」

 

竜巻状の風が物間に向かってステージを横断、そのまま壁に激突した。

 

「なっ!んじゃ今のはー!物間が開幕ブッパで緑谷の得意技を放ったかと思えば、その炎を巻き込む強力な風を爆豪が打ち返したー!」

 

「撃ち方が違ったが、ありゃパイルトルネードか?(そういえばUSJで自分も使える、と言っていたな。)」

 

会場が騒然としている中、

 

「探索。(さっき一瞬個性が戻った感覚があったが、パイルトルネードを撃つ動作中に、抹消を再度かけられたか。)」

 

勝己の足元から風が広がる。勝己、出久、お茶子の3人がアメリカで最も使用した技能である風による探知。そのレーダーに物間が引っかかる。そこに向かって、

 

「エアフォース。」

 

「くっ、ウイング・スマッシュ!」

 

物間が出久よりも小ぶりではあるが、炎の翼を発生させ、勝己のエアフォースを迎撃する。

 

しかし、

 

「今の攻防で瞬きしたな。」

 

個性を発動した勝己は、クラスター・ターボを使用し、一瞬で物間の背後を取る。

 

「吹き飛べ。」

 

ボッッッン!!

 

右の爆破がモロに直撃した物間は、そのまま吹き飛びかけるも、その場に踏ん張りきった。

 

「俺の個性に切り替えちまったか!」

 

自分の試合が次であるため、入場ゲート付近で観戦していた鉄哲は、物間がコピーを抹消からリアルスティールに切り替えた、いや切り替えさせられたことに気づく。

 

物間は全身を鉄の硬度に変質させ、爆破のダメージを抑え、衝撃波によって吹き飛ばされるのを耐えたのである。しかし、そのための代償として抹消はもう使用できない。

 

「(もともと切れかかっていたんだ、惜しくはない。試合が開始してから2分も経っていないが、ストックしておいた個性の使用可能時間も切れる。)」

 

物間は状況を悲観するのではなく、勝つために思考を重ねる。

 

「(あと使える個性は、試合開始直前にコピーできたリアルスティールのみ。)こんな状況になった時のために、鍛えた走りの技術さ。」

 

負けじとA.Tを走らせ、炎を繰り出す物間だが、

 

「ああ、悪くねぇ。テメェはもっと強くなれる。次が楽しみだ。」

 

そう言いながら、爆速×A.Tによる移動制御で物間を常に先回りし、迫る炎を全て爆破で相殺する勝己。

 

「まだ終わっていない!!」

 

爆破攻撃が迫るのを厭わず、勝己の正面に突っ込む物間。そのランによってエネルギーを溜め込み、近距離で、

 

「フェニクス・スマッシュ、トルネード!」

 

今の自身最大の火力を解き放つ。しかし、

 

「ほっ、んとに惜しいな、物間!次もっと炎を学んでこいや!」

 

その業火を、勝己は真正面から、クラスターを発動した爆破で打ち破り、追撃で物間を場外まで吹き飛ばした。

 

「物間くん場外!爆豪くん、2回戦進出!」

 

ワッッ!!

 

激闘の決着に会場が湧き上がった。

 

ーーーーー

 

場外まで吹き飛んだ物間だが、自力でステージまで戻ってきた。

 

「いや、やっぱり強いね。流石は緑谷くんのライバルだ。」

 

「その言い回しは、どことなく気に入らねぇから止めろや。」

 

お互い、先程までの激闘はどこえやら、軽口を叩き合う。

 

「二人とも、次の試合もあるから先ず挨拶を。」

 

ミッドナイトの指示を受け、互いに礼を交わし、ステージから降りていく。

 

「そういえば、最後に言っていた、惜しい、ってのは何故なんだい?」

 

「あぁ?あー、本当は俺が説明するより、専門の出久から聞いたほうが良いんだろうが、」

 

ーーーーー

 

「え!?炎の道って近距離以外は戦闘に向いてないの?」

 

まさかの事実に、出久やお茶子から解説を受けていたA組の面々の中で、耳郎が驚愕の声を上げる。

 

「うん。近距離で相手に直接叩き込むのが本来の使い方。遠当てで使おうとすると、勢いを出そうとすれば火力が、火力を出そうとすれば勢いがそれぞれ落ちちゃうんだ。だから炎の道で遠距離攻撃をする場合は風の道の使い手の人と連携するのが基本かな。」

 

「でも、緑谷。オメェばんばん中距離、遠距離打ちまくってんじゃねーか。」

 

峰田が疑問を口にすると。

 

「デクくんは炎と風の両方が使える、いわゆるハイブリッドライダーなんよ。」

 

「だから遠距離や中距離の攻撃は炎と風を掛け合わせ撃ってるんだ。僕も本当は近距離戦闘が主体なんだけど、カッちゃんに速度で追いつけなくて、中・遠距離の技を増やしたんだ」

 

「へーーー。」

 

クラスメイト一同は納得しつつ、

 

「「(だから、近接戦闘があんなに強いんだな。)」」

 

先日、出久にボコられた尾白、砂藤の二人は、別の方面で納得していた。

 

ーーーーー

 

物間「そういえば、爆豪くん。サインの件なんだが。」

 

勝己「・・・テメェ負けただろうが。」

 

物間「まあ、そう言わずに。」

 

勝己「そんなに欲しいんなら自分で行けや。」

 

物間「自分で行けるならとっくに行っているさ!何を言っているんだい君は!?」

 

勝己「テメェが一番何言ってんだ!?」

 

ーーーーー

 

B組ブロック一回戦第二試合では、それぞれクラスメイトが熱戦を繰り広げたことに当てられ、切島と鉄哲が激しい殴り合いを続けていた。

 

物間の奮闘という、原作(メタ)には無かった要素が加わり、鉄哲は更なる気合いを自身に注入し、より前のめりで攻勢に出ていた。

 

しかし、相手が下がらない。切島は攻撃よりも防御を意識し、必要以上の手は出していなかった。騎馬戦前に勝己から言われた言葉、それをこのガチバトルでも実践しているからである。

 

「俺は崩れねぇ。」

 

これから先、どんなヴィランが相手でも、崩れることの無い盾を目指す。選手宣誓で勝己は言った、俺たちは伝説の世代になるのだと。おそらく自分は、戦闘力でその世代のトップ層に入るのは難しいだろう。ならば、

 

「俺は、最強はいらねぇ。だが最硬の、世代最硬の盾は、俺が、なる!!」

 

何度、鉄の拳を撃ち込まれても決して崩れない、止まることはあっても後ろに退がることは無い。勝己とのトレーニングを通じて、足を硬化し、爪先を硬化し、スパイクとすることで踏ん張りを強化する技術を身につけていたのである。

 

攻撃をより多く当てているのは鉄哲である。より勢いがあるのも鉄哲である。だが、

 

ガン、ガン、ガン、ゴッ!、ガン、ガン、ゴッッ!

 

要所要所で打ち込まれる切島の拳によって、確実にダメージが溜まってしまっている。

 

「!?なんで、俺が場外ギリギリに!くっ!」

 

さらに、決して退がらない切島の圧に押されたのか、気がついたら場外まで数歩の距離まで来てしまっていた。そこから焦りが生まれ、切島の顔面を狙った大振りを打ってしまう。

 

「(こ、こ、だー!)」

 

切島は更に前に出ることで、鉄哲の攻撃を額で受け、打点もずらす。そして、

 

「レッドガントレット!!」

 

渾身の拳を、殴り続けた鉄哲の腹に叩き込む。

 

「ガッっはっ!」

 

腹に溜めていた空気を押し出された鉄哲は、そのまま前のめりに倒れていった。

 

「はあっ、はあっ、はあっ。」

 

息絶え絶えの切島であるが、変わらず立ち続けている。ミッドナイトが鉄哲の意識を確認し、

「鉄哲くん、戦闘不能。切島くん2回戦進出!」

 

「ッ!シャァッ!!

 

勝利宣言を受け、大きくガッツポーズを決める。

 

ーーーーー

 

その後、Bブロック一回戦第三試合が行われたが、常闇の速効に対して、八百万が盾で受けることに成功する。しかし、やはりパワーが足らず、そのまま押し切らる形で場外負けとなってしまった。

 

そして、Bブロック一回戦第四試合、飯田対瓦斯島が始まろうとしていた。

 

ーーーーー

 

瀬呂「なあ。」

 

お茶子「うん。」

 

芦戸「おかしいよね。」

 

上鳴「納得いかねぇ。」

 

ムスッとした顔で腕を組んでいる4人に対して、出久が遠慮がちに声をかける。

 

出久「ど、どうしたの皆んな?」

 

瀬呂「Aブロックは緑谷と心操との試合しか真面目にやっていないのに、なんでBブロックは四試合中、三試合もしっかり描写されるんだよ。」

 

お茶子「瀬呂くんや上鳴くんみたいに原作通りに瞬殺された訳やあらへん私と芦戸ちゃんの試合、オリジナルやったのになんで描写されへんのや。」

 

芦戸「そうだ、そうだー!」

 

出久「(きっと見どころが有るか無いかなんだろうなー。)」

 

常闇「同じBブロックでも、俺たちは端折られてしまったがな。」

 

八百万「わ、私は不甲斐ない試合になってしまったので、ちょっとほっとしたというか。」

 

轟「?不甲斐ないなんてことねーだろ。そもそも最終種目に出てるだけど大したもんなんだ。それに初撃は防げたじゃねぇか。八百万は誇ってれば良いだろ。」

 

八百万「はっ、はい。そうします。」

 

お茶子「・・・デクくん!私の試合どうやった?」

 

出久「え?あ、試合ね。芦戸さんのトリッキーな動きを、機動力を活かすことで上まっていたのが凄かった。何よりお茶子さんのA.Tの走りはいつ見ても凄い綺麗だよ。」

 

お茶子「えへへー。そうかなー。」

 

芦戸「・・・。」

 

切島「あーっ、なかなかにキツかったぜ。皆んな、どうだった俺の試合?」

 

芦戸「切島!私を褒めろ!」

 

切島「え、俺が褒めるの?えーと、お前は向上心があるし、周りも見れるし、スッゲーヒーロー向きな性格してるし。うん、芦戸。お前は総じて良い女だ!」

 

芦戸「恥ずいわ!!」

 

恥ずかしさのあまり、切島に物を投げつける芦戸だった。

 

切島「理不尽!?」

 

明「出久さん、出久さん。大会後で良いので、大会準備、運営をいっぱい頑張った私を褒めてくださいね。」

 

出久「大会後で良いの?」

 

明「はい、その時は私も出久さんをいっぱい褒めたいので、大会後が良いです。」

 

その他のA組生徒たち「(なんだこれ?)」

 

峰田「・・・切島、まさかお前ものなのか。」

 

ーーーーー

 

「なんか試合前に、すっごい頭の悪い会話が行われた気がする。」

 

「どうしたんだい、瓦斯島くん?」

 

「いや、なんでも無いです。」

 

「さー、ガチバトルトーナメントBブロック一回戦第四試合、一回戦最終戦のカードは、本来は韋駄天なんだろうが、それより速い奴らが多すぎてなかなか目立てていない。ヒーロー科1年A組、飯田天哉!」

 

「・・・これは激励と受け取るべきなのか。」

 

「対する相手は心操同様、普通科の星。入学してから一番ヒーローたちから自主的にアドバイスを貰らいに行ったのは間違いなくコイツだ!普通科1年C組、瓦斯島マキ!」

 

「まあ、確かに。めっちゃ行ったな、職員室。」

 

「二人とも、待機時間長かったけど準備は良いかしら?」

 

「問題ありません!」

 

「はい、大丈夫です。」

 

ミッドナイトが確認を行い、

 

「Bブロック一回戦第四試合、レディ!スタート!!」

 

ーーーーー

 

試合開始前

 

C組委員長「瓦斯島の出番か。」

 

C組生徒A「それじゃあ、皆んなでやりますか。」

 

C組生徒B「そうね。あいつの行動が無かったら私たち、こんなに前向きにこの体育祭、挑めて無かったものね。」

 

C組一同「というわけで、心操。掛け声よろしく。」

 

心操「え?俺?委員長じゃなくて?」

 

C組委員長「瓦斯島へのエールだ。心操、お前以外に相応しい奴はおらんだろ。山田先生から発声のアドバイスも貰っていただろう。」

 

心操「・・・そうだな。アイツへのエールは他に譲れないわな。それじゃあ、皆んな頼むな。」

 

心操が大きく息を吸い、そのまま勢いよく吐き出す。

 

心操「C組ー!ファイッ!!」

 

C組一同「オーーーッ!!!」

 

エールが聞こえたのか瓦斯島がその右手を掲げた。

 

ーーーーー

 

試合開始直後、両者同時に行動を始めていた。

 

飯田はフィールド全体を動き周ることで、相手に狙いを定めさせずに撹乱する作戦を選択。速攻を警戒していた瓦斯島は右手に溜め込んでいるガスをいつでも噴射できるよう構えを取り、左手からは範囲スモッグを薄く展開していく。

 

「初手の選択は瓦斯島が正解だな。」

 

「ケロッ、それはなぜ?爆豪ちゃん。」

 

「(・・・ちゃん付け。)瓦斯島のガスには探知機能もある。アイツは今、飯田の速さについていけない事を理解して、ガスを放出、飯田の位置を把握できるようにしてる。完全にカウンター狙いだな。」

 

「飯田ちゃんは?」

 

「飯田の場合、攻めが接近戦しかないんだ。俺みたいに後半戦有利な相手には本来短期決戦を挑むべきなんだよ。」

 

「ケロッ、飯田ちゃん負けてしまうのかしら。」

 

「飯田も弱くはねぇ。そう簡単には決まんねーよ。」

 

「オイ!緑谷と麗日がいねーぞ!アイツら二人でどこ行きやがった!?」

 

「二人ともAブロック二回戦に出るんだから、移動したんだよ。轟もいねーだろうが。」

 

峰田の叫びに瀬呂が蓋をする。

 

ーーーーー

 

「(クソ、思っていた以上に速い。鍛えて無いわけじゃないけど、俺の反射神経じゃカウンターが取れるか怪しい。)」

 

探知しても反応できるかギリギリの速さで移動され、一瞬でも気を緩めれば負けるのは自分だと思いながら、それでも自分にできる精一杯の準備を続ける瓦斯島。

 

「(反応されている、どうする、突っ込むべきか。今より多くのガスが散布されれば不利なるのは俺の方。ならっ!)」

 

飯田は撹乱から真っ向に切り替え、一気に距離を詰める。

 

「(来た、左斜め前方。)スモッグ・インパクト!!」

 

回転を加えたガス噴射を右手から撃ち出す。

 

「ここで!」

 

飯田はガスが噴射された瞬間、もう一段スピードのギアを上げ、更にたった一歩、左にステップを踏む。威力を上げるため、攻撃範囲が狭まっていたガスの一撃は、そのたった一歩で回避を許してしまった。

 

「ゴッハァッ!」

 

鋭い蹴りが胴に入り、瓦斯島は場外ラインギリギリまで転がっていった。

 

ーーーーー

 

C組生徒B「ああ!」

 

C組生徒A「ヤバい、良いの入った!」

 

心操「まだだ!アイツはあれくらいじゃ、やられねぇ。(そうだろ瓦斯島!)」

 

ーーーーー

 

「(あぁぁ!!クソ痛ぇ!でもフィールドには残った。まだ負けてねぇ。苦しい時ほど笑え瓦斯島。)」

 

たまたま職員室で出会った名前も知らないガリガリの教員。ヒーロー科の教員ということで、ヒーローを目指す上で心掛けることを聞いた際、苦しい時ほど笑え、と教えてくれた。

 

痛みに悶えながらもなんとか立ち上がり、飯田を睨み、そして笑う瓦斯島。その睨みと笑顔を見て、一瞬足を止めてしまった飯田だが、トドメを入れるため再度攻勢に出る。

 

「(助かります。こっちはさっき一撃で意識が朦朧としてるんでね。)」

 

瓦斯島は最後の技を準備する。技といっても、瓦斯島の持っている技はスモッグ・インパクトと範囲スモッグの二つだけ、なので今から放つのは、咄嗟に思いついた見様見真似の猿真似である。

 

両手を前に出し、今操作できる最大速度でガスを回転させる。

 

「これは!?」

 

「あれは!?」

 

飯田も会場も驚愕する。その技は見た目だけならば先ほど勝己が放った技にそっくりだったからである。

 

「いっけっ!!パイルトルネード・モドキ!!」

 

バッシュッ!

 

範囲攻撃を撃たれてしまったが、技の威力自体は大したことはなかった。飯田は攻撃を喰らうも、全力で踏ん張れば耐えられないことはない風圧だった。この攻撃を耐え切れば、と考えていたが、

 

「(なんだ、痺れが。ガスの個性だ、なるべく吸わないように気をつけてはいるが。もしや毒ガスも出せるのか!?)」

 

瓦斯島は追加で出しているガスを即効性の痺れガスに切り替え、放出、操作をしていた。

 

「後、二回勝って!爆豪さんと、戦うん、ガハッ!」

 

言い終わる前に、瓦斯島の体がくの字に曲がる。

 

「これを使わなければならないほど、追い詰められた。強かったよ瓦斯島くん。」

 

飯田はレシプロ・バーストを使用してパイルトルネード・モドキに構わず、突貫。無理やりガスを抜け、勢いを殺さないまま、瓦斯島に追加の蹴りを炸裂させた。

 

瓦斯島はそのまま場外まで蹴り飛ばされた。試合はそこで終わったが、

 

「くっ。僕も、体が、」

 

即効性の痺れガスを吸ってしまった飯田は、そのまま前のめりに倒れ伏すのであった。

 

「こっ、これは、勝者であるはずの飯田もダウン!」

 

「飯田は英断だったな。後数秒、技を出すのが遅れていれば負けていたのは飯田の方だった。」

 

フィールドではミッドナイトが救護ロボたちに担架を依頼していた。

 

「ミッドナイトが忙しそうだから、俺が締めるぜ!体育祭最終種目、ガチバトルトーナメントBブロック一回戦最終試合、勝者は飯田天哉。二回戦進出!そしてオーディエンス、熱いバトルを繰り広げてくれ生徒たちに改めて、盛大な拍手を頼むぜ!」

 

ワッーーー!

 

パチパチパチパチ

 

ーーーーー

 

C組生徒A「負けちまったか。」

 

C組生徒B「でも、凄い良い試合だった。私、瓦斯島が立ち上がった時なんか涙出てきちゃったもん。あっ、また出てきた。」

 

C組委員長「ウム、素晴らしい試合だった。」

 

C組生徒B「グス。あれ、そういえば心操は?」

 

ーーーーー

 

医務室

 

「よっ、起きてるか。」

 

「ギリギリなー。めっちゃ腹いてぇ。」 

 

「そりゃあんな威力の蹴りモロに喰らえば、普通はそうなるか。」

 

「心操も良いの貰ってたじゃん。」

 

「緑谷曰く、一発目は俺の洗脳でほぼ当てただけになってたらしい。二発目は、顎を擦るように打って、気絶後にすぐ起き上がれるくらいの威力に調整したんだと。」

 

「何それ、怖い。」

 

「それな。」

 

「「・・・。」」

 

話題が途切れ、無言の間が生まれる。

 

「負けたな。」

 

心操が再度口を開く。

 

「ああ、負けた。やっぱ強いなヒーロー科は。でも心操、お前はあの爆豪さんのライバルの緑谷さんと戦って奮闘してたじゃん。凄ぇよ。」

 

「誰かさんが、洗脳のこと話して無かったら勝ててたかもな。」

 

「ぐっ!それはすまん。」

 

「冗談だよ。俺もB組の人たちにお前の個性、伝えてたし。あのルールじゃそんなもんだよ。」

 

「はは、なんだそれ。・・・俺たち、やれることやったよな。」

 

「・・・ああ、そのはずだ。」

 

決して、自分たちの力だけでここまでこれた訳ではない。第1種目ではクラスの皆んなが協力してくれた。第2種目ではチームに恵まれた。

 

最終種目は一回戦敗退ではあるが、自分たちの実力や長所をアピールできたはずだ。

 

「えっと。この後、ヒーロー科に転科を希望する場合ってどうすれば良いんだっけ?」

 

「基本は2年になってかららしいぞ。1年生の間に希望を出して、補習とかで遅れを補って、2年生の4月で合流って形が基本らしい。」

 

「はー。じゃあまだまだ先だな。」

 

「お前らが望むなら、早くすることも出来んことはないぞ。」

 

「!?」

 

唐突に会話に加わったのは、相澤である。

 

「えっと、相澤先生。試合は?それにさっきのはどういう。」

 

「試合は一旦、ガスが完全に晴れるまで休憩となった。二人とも、今すぐにでもヒーロー科に合流させても良い実力だが、そうもいかん。だが、体育祭後にヒーロー科生徒たちは職場体験に行くことになっている。その期間、俺らヒーロー科1年担当のヒーロたちには時間ができる。その時間で、先ずお前らのトレーニングを実施する。そして、夏休み前にヒーロー科生徒が行う実技試験と同様のテストを行い、合格できるのであれば、ヒーロー科の夏合宿への参加も検討している。」

 

心操の質問に淡々と答える相澤、しかし、その目は真剣そのものである。

 

「あれだけの結果を示したんだ。お前らにその気があるなら、かなりハードであるが特例で夏休み明けにヒーロー科への合流ができるよう動いていくが、どうする?」

 

瓦斯島と心操は一度、互いに目を合わせ、すぐに相澤へと向き直り、

 

「「よろしくお願いします!」」

 

勢いよく頭を下げるのであった。

 

ーーーーー

 

体育祭1年生ステージ最終種目ガチバトルトーナメント、一回戦が全て終了。二回戦は、

 

Aブロック

第一試合 緑谷対対塩崎

第二試合 麗日対轟

 

Bブロック

第一試合 爆豪対切島

第二試合 常闇対飯田

 

激闘はまだまだ続く。

 

ーーーーー

 

1年生ステージ通路

 

出久の試合を近くで見ようと、入場ゲートに向かっていた轟だったが、そこでは父親であるナンバーツーヒーロー、エンデヴァーが待ち構えていた。

 

「・・・来てたのか。」

 

「?ああ。お前の晴れ舞台だ。せっかくなら直に見ようと思ってな。」

 

普段の憎しみすら籠った目で睨まれると思っていたエンデヴァーは愛息子からの視線が以前と違っていることに違和感を覚えた。しかし、本題が先である。

 

「焦凍、なぜ左を使わん。あの上位3人は今のお前の実力では左を使ったとて勝てるかどうか分からん強さだ。」

 

「あの3人の実力はあんたにそれほど言わせるもんなんだな、やっぱり。」

 

これまでの出久、勝己、お茶子の戦いを思い出していく。正直、今でも全く勝てるイメージが湧いてこない。

 

「なあ、・・・エンデヴァー。父親としてのあんたでは無く、ナンバーツーヒーローとしてのあんたに聞きたい。左を使えば俺はアイツらに勝てるのか?」

 

「・・・正直に言えば、分からん、というのが本音だ。USJでのヴィラン襲撃の情報は俺の元にも来ている。もし情報通りの実力を彼らが持っているのであれば、例えお前が左の、炎を使ったとしても勝てる保証は無い。そして、彼らのこれまでの戦いぶりは見事としか言いようのないものだった。」

 

轟にとって、エンデヴァーとはヒーローでは無く、憎むべき父親でしかなかった。しかし、今回ヒーローとして冷静に同級生たちの実力を把握し、左を使えば勝てる、などと言ってこない様子を見て、ほんの少しだけ、持っている印象が変わった。

 

「エンデヴァー、さっき一瞬だが左を使った。だが、これまで鍛錬を続けてきたのは右だ。正直、慣れない力をアイツらに使って、その隙を突かれる可能性の方が高いんじゃないかと思っている。」

 

「うむ、正しい判断だ。もし使用するのであれば、火力としてではなく、右を効率的に運用するため自身の体温調整、もしくは大火力が必要になった時だけの方が良いだろう。」

 

「「・・・。」」

 

お互い、子と父親として会話した際、これほどスムーズに会話したことなど無かった。しかし、ヒーロー科の生徒とナンバーツーヒーローとしての会話はテンポ良く進んでいた。

 

「エンデヴァー、あんたはなんでナンバーワンを、オールマイトを越えようとするんだ?」

 

「なんだ急に。・・・越えると決めてしまったのだ。一度決めてしまったことを曲げられるほど、俺は生き方が器用ではない。」

 

「そうか。」

 

「「・・・。」」

 

再度、無言の間が生まれ、エンデヴァーとしても、予定よりも長く話してしまったと考え、

 

「んん。それでは、俺はそろそろ行く。」

 

「ああ。ちょっと待て、最後に。」

 

「・・・なんだ?」

 

「今度、夏兄や冬姉、それと母さん、は無理か。それとエン・・・、親父と4人で話をしたいんだ。」

 

「何?」

 

「正直、俺のガキの頃の記憶なんて、あんたとの鍛錬の記憶しかねぇ。ただ、母さんが変わっちまったあの時期、ウチがどんな状況だったのか、それを改めて教えて欲しいんだ。」

 

「な!?」

 

完全に予想外すぎる息子からの提案に流石のエンデヴァーも驚愕する。

 

「それと今度、母さんに会いに行ってみようと思うんだ。」

 

「・・・。」

 

息子の変化についていくことが出来ず、言葉を失くしてしまったエンデヴァーだが、思考を重ね、

 

「母さんの件に関しては、お前の好きにするが良い。話し合いの方は、・・・なんとか日程を調整しよう。ただ、冬美や夏雄がその話し合いに参加してくれるかは、分からんぞ。」

 

「ああ、それは分かっている。」

 

「「・・・。」」

 

「焦凍、これはエンデヴァーとしてでは無く、父親としてだが、頑張れ、応援している。」

 

「ああ、・・・ありがとう。」

 

地獄の轟くん家が一歩前に進もうとしていた。

 

 





夏雄くんとエンデヴァーを和解させたい。荼毘を生かした。冬美ちゃんを幸せにしたい。・・・頑張って書こう。問題は、ヒロアカキャラが多すぎる。
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