ヒロアカ最新話泣けました。いや、本当に涙出た。
こっちの最新話遅くなりましたが、よろしくお願いします。
誤字脱字は許してください。
プレゼントマイク「今、連絡があったが。二回戦最終試合の予定だった、常闇対飯田だが、飯田の棄権により、不戦勝で常闇の準決勝進出が決まったぜ。」
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瓦斯島「ヤッベ。毒が強すぎたかな。」
心操「しょうがなく無いか?みんな必死なわけだしよ。」
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物間「となると準決勝は緑谷くん、轟くん、爆豪くん、常闇くんの四人になったわけか。」
鉄哲「誰が優勝してもおかしくは無い、が。」
拳藤「やっぱ、緑谷と爆豪が頭一つ抜けてる印象だね。」
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蛙吹「飯田ちゃん、大丈夫かしら。」
瀬呂「後で見舞いでも行くか。」
飯田「いや、それには及ばないよ。」
上鳴「お?飯田、大丈夫そうじゃん。なんで棄権したんだよ、勿体無い。」
耳郎「バカっ!痺れが残ってるとか?無理しないで病室にいた方が良いんじゃない?」
飯田「いや、後学のためにも、ここから先の試合は見逃せないよ。」
切島「だよな、俺もリカバリーガールに無理言って回復してもらってきたぜ!」
砂藤「お、切島!ナイスカウンターだったぜ。俺と尾白が緑谷にボコられた甲斐もあったぜ。」
切島「その節はマジですまん。いや、でも、実は爆豪に一発入れたの覚えてなくてよ。あんま実感がないというか。」
芦戸「え?勿体無い。カッコよかったよ、切島!良い負けっぷりだった。」
切島「負けっぷりは余計だけどよ。そうか、芦戸から見てもカッコよかったんなら踏ん張った甲斐もあったぜ。ありがとな!」
芦戸「お、おう!」
峰田「切島、貴様やはり、そうなのか。」
お茶子「明ちゃん、私もう大丈夫やから。そろそろ離してくれへん?」
明「む〜〜〜。」
葉隠「あ、お茶子ちゃんお疲れ様!凄い試合だったね!」
お茶子「あはは、負けてもうた。でも、しっかり反省して、次に活かす!」
障子「麗日は凄いな。俺たちも負けてられないな。」
口田「(コクコクコク)」
尾白「次は緑谷と轟か。さっきの麗日戦もそうだが、凄い規模の戦いになりそうだな。」
八百万「炎を使い始めた轟さんが、緑谷さんを相手にどう立ち回るのか。正直試合展開が読めませんわ。」
青山「キラめく試合になりそうだね。」
各々が準決勝に思いを馳せている中、保須市ではな本来の流れではあり得なかった戦いが繰り広げられていた。
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保須市路地裏
そこには一人のヒーローが倒れていた。ヒーローの名はインゲニウム、先ほどヒーロー連続殺傷犯であり、指名手配もされているヴィラン、ステインを発見、追跡したが返り討ちに合い、再起不能にされる間際だった。
そこに割って入ったのは、先ほどインゲニウムに500円玉を届けられた男、特徴的なトカゲの外見をした男、スピナーである。
「ただのヴィランだと?ならば何故邪魔をする?俺は今から、このヒーローの紛い物を消し去らねばならんのだ。」
自身のことヴィランだと語った相手を殺気を込めて睨みつけるステイン。しかし、そんな睨みを気にすることなくスピナーは会話を続ける。
「いや、俺としてはそいつ殺されんのは困るんだわ。」
「なに?」
「そいつには俺から頼み事をしていてな。」
その言葉を聞き、ステインの額に青スジが浮かび上がり、殺気が増す。
「貴様!ヒーローを語りながら、ヴィランと取引をしたのか!?やはり生かしておけッ!?」
足元にいるインゲニウムに再度トドメを刺そうと、ナイフを取り出したが、
ザッン!
胴あたりを狙った真空の刃が飛んできたため、たった今取り出したナイフで防御するも、押し負け後方に飛ばされるのであった。
「グッ、(速く、重い一撃、対応を誤れば一瞬でやられる。)」
攻撃を喰らいながらも、分析にし、体勢を整えるステインは先ほど飛ばされた刀も拾い、油断なくヴィランを名乗った男を見据える。
「貴様、並のヴィランではないな。名乗れ。」
「いや、並のヴィランなんで、もうここでお開きにしようぜ。あんたもコイツをここまで痛めつけたんだ。もう満足だろ。もし、まだ不満があるんなら俺から伝えておくからよ、下がってくねぇか。」
「残念だが、並のヴィランも、紛い物のヒーローも、俺からすれば十分に粛清対象だ。ここで死ね。」
そう言いながら、刀を持って攻めてくるステインを見据え、
「おい、ヒーロー!あいつの個性、分かっている範囲で良いから教えろ!」
倒れているインゲニウムの盾になるよう、前に出たスピナーは情報を求め、話しかける。
インゲニウムもこのままでは自分の命が危ないことを理解し、
「さっき、あの刀で切られた後、急に体が動かなくなった。今もまだ動かない。」
自身が戦闘不能に追い込まれた流れを思い出し、ヴィランを名乗る人物に伝える。
「それだけじゃ分からん!切る前、後、何か変な動作はあったか?(パッと見る限り、武器に毒が塗ってある感じはねぇ。なら、このヒーローが動けない理由はおそらく個性。どんな個性だ?)」
「えっと、こっちに話しかけてきたり、武器を舐めたり、睨め付けてきたり、後は、」
「ストップ、二つ目をもう一回。」
「武器を舐めてた!」
「いつ!」
「切った後!」
「・・・体液、血液、DNA。どれかは分からんが、相手の体情報を得て、縛るタイプか?(あぶっね。それ以外のやつ、もうやっちまってる。)」
「ハァッ、血液、正解だ。」
「お、マジか、意外と当たるもんだな。んじゃ、そっちの個性がバレちまったんだし、正解した褒美にここらでお開きに、」
「しない。」
「ですよねー。」
チラッ。
「貴様の攻撃にも慣れてきたところだ。粛清させてもらう。」
「・・・しょうがねぇ。ちっとばかし、本気出すか。」
スピナーが本格的に構えを取り、ステインを迎え討つ。そして、数メートルは離れていたステインが一瞬で間合いを詰め、スピナーを自分の制空圏に入れてから刀を振るう。
「(速っ!?)」
自分が加速した後の速さに匹敵する速度で接近したステイン。しかし、インゲニウムが驚愕したのは、完全に奇襲だったはずのステインの攻撃を完璧に躱し、腹にカウンターの蹴りを入れている、自分を守る立ち位置にいる男の体捌きにである。
「ゴッ、何故!?」
ステインの足には収納型、シークレットブーツタイプのA.Tが履かれていた。それを使った高速の奇襲を仕掛けたのだが、完全に失敗に終わり、驚きを隠せずにいた。
「お前さっき、俺の攻撃には慣れ始めた、って言ったよな。今時、打撃やアイテムを使った攻撃以外はほとんど個性だ、ましてやあんな遠距離攻撃。だが、あんたは一瞬、俺のA.Tに目を向けてから、個性じゃなく、攻撃、と表現した。だが、一般のA.Tライダーじゃ、あんな攻撃をA.Tでできるなんて知らねぇよ。てことは、あんたは一般じゃない、高い実力を持ったA.Tライダーの可能性があるってこと、だっ!」
「ガッ!」
スピナーはステインに追撃を入れる。
「油断はしねぇぜ。今も、伸びた俺の足を目掛けてナイフを振り下ろそうとしてた訳だしな。」
「・・・なるほど、強い。」
ーーーーー
そこからの戦いはインゲニウムには目で追うのがやっとであった。そこらの一般ヒーローでは何が起きているか理解すら出来ない戦いを目で終えるだけで、インゲニウムが実力有るヒーローである証明なのだが、
「(体が動くようになった!だが、ここで割って入っても邪魔になるだけだ。)」
今はただ、自分の実力不足を悔やむだけである。
「(くそ!さっき天哉に、引くことも大事、なんて偉そうなこと言っておいて、引くに引けない状況作っちまった。自分を庇うために戦ってる相手を置いて引けるわけないだろ!)」
インゲニウムは耐える、チャンスを待つ。自分の最大の加速ならあの戦いに、一瞬だけなら割って入ることはできる。
「(助けに入れるチャンスを見逃すな、インゲニウム。お前はヒーローだ!)」
ただ、目の前に広がる斬撃の応酬を見て、
「(でも、命も大事にしよう、うん。)」
少し心が揺らいでいたりもする。
ーーーーー
「しつこ過ぎるだろ、アンタ!」
「獲物が目の前にいる状況だ!貴様らは、より正しい社会のため、供物となるが良い!」
「(より、正しい社会、だあ?)」
ここで、戦いが始まって初めてスピナーの攻撃に闘志ではなく、殺意が乗せられた。
「ファング。」
ザッッン!!
バキン!
刀では間に合わない、と判断したステインは咄嗟にナイフで防御しようとしたが、ナイフはこれまでとは比較にならない程に鋭さを増した真空の刃、いや牙に完全に押し負け、断ち切られ、
バシュッ、
「ぐぅぅ!」
ステインの胸に浅くはあるが、傷を付けた。
「おっと、悪い。つい、殺気を込めて撃っちまった。ついでだヒーロー殺し、お前が言う、より良い社会ってなんだ?」
インゲニウム、いや、天晴は震えていた。先ほどから自分を守るために戦ってくれている、ヒーローでなくてもヴィジランテでは?と思っていた人物が発している殺気に、直接向けられていないにも関わらず、震えが止まらずにいた。
「さあ、答えろよ。」
「今の社会には、偽物が蔓延っている。」
「さっきも言ってたな、偽物って。なんの偽物だよ。」
「英雄だ。この偽りが蔓延る社会を正すため、偽物どもや、犯罪者どもを粛清する。」
「プレゼンは下手くそか?結論を言えや。」
「・・・英雄回帰だ。英雄は資格などではない。自己犠牲の果てに得る、称号でなくてはならない。そう、あのオールマイトのように!だから、このヒーロー社会を壊し!真の英雄を取り戻すのだ!」
ステインから感じる狂気は本物であり、本気で社会を変えようとしているのは伝わってきた。
「は、はは、ははは。なるほど、今の社会を壊すって部分だけは、まあ、共感してやるよ。俺がアイツに会う前だったなら、アンタに惹かれたかもしれねぇな。」
笑っているのか、怒っているのか分からない顔を見せたスピナーは、かつて、死柄木弔に出会った時を思い出した。
ーーーーー
都会は良い、俺みたいな異業種の個性でも差別されない。
地元にいた頃は、外出しただけで、殺虫剤吹きかけられたこともあった。爬虫類系の個性でも、爬虫類の能力だけを持った奴はスゲェっ持て囃されて、外見的特徴が出ちまった奴は村八分にされていた。
俺は実家の奴らの中で特に酷い個性だったらしく、壁に引っ付くことぐらいしか出来なかった。そりゃ引きこもるよな。小・中と不登校を繰り返していたが、高校じゃ完全に引きこもりよ。両親からも諦められたのか、部屋と金と電気とネットだけは維持してくれたが、俺の存在は無いものとして扱われた。
ただ、そんな時、ネットで動画を見つけた。A.Tライダーたちが技を決める動画。普段なら陽キャ共が、って思って別の動画を見てたんだろうが、その時は何故か見入っちまった。画面の先には異業種だろうが、関係ねぇ。色んな奴らがA.Tの技術を競い合っていた。そして、画面の先の奴はこう言った。
『壁に貼り付けたりする個性とか持ってる人、A.T向いてるから初めてみな!』
そこから俺の行動は早かった。両親に頭を下げ、金輪際縁を切ることを条件に結構な額の金をもらって、俺は都会に出た。そこで、A.Tを購入し、ホームレスじみた生活を送りながら走りまくった。16歳になる前に家を飛び出したが、そこから2年以上、生活の全てをA.Tに捧げたもんだから、そこそこのA.Tライダーにはなれた。
チームは作らなかったが、一部の不良グループからはスピナーさん、なんて敬称付きで呼ばれるようにもなった頃、俺は死柄木に出会った。
「おい。そりゃあ、なんだ?」
「ああ?」
好きに街を走り、休憩していたところ、同年代の灰色頭の変な奴に、急に話しかけられた。
「早く答えろよ。それはなんだ?」
そいつは俺の足元、A.Tを示唆しながら再度聞いてきた。
「A.Tだよ。知らねぇのか?」
「なんだよ、A.Tって?」
「エア・トレック、個性がどんなもんだろうが、俺たちに自由をくれる魔法の靴さ。」
得意げに語った俺だったが、そいつの次の一言に愕然としてしまった。
「そんな、不自由そうな表情してんのにか?」
「は?」
不自由?誰が?俺が?不自由なんぞ、あのクソみてぇな地元を出た日から感じてなんかねーよ。
『本当か?』
当たり前だ、ここじゃ出歩いたって誰にも文句言われねぇ。
『だが、少なからず、差別は存在する。』
個性が使い物になんねぇヤモリでも問題ねぇ。
『個性の強弱、便利か不便か、なんならそこら辺は地元よりもヒデェかもしれねぇ。』
都会じゃみんな自由だろ!
『この前、少し世話したA.Tライダーが冤罪みたいな罪でヒーローにボコられてたな。危険な走りで市民を危害を加えかけた、とかな理由で。』
うるせぇ!!
「まあ、いいや。オイ、それ俺にも貸してくれ。」
「・・・いや、お前の一言に色々考えさせられたが、コイツは俺の相棒だ。貸さん。」
「なんだよケチくせぇな。良いじゃねぇか、少しくらい。」
「まあ、待て。俺の予備を貸してやる。サイズは、まあ、適当に試してみるだけだ、気にせず履いてみろ。」
A.Tは決して簡単に習得できるもんじゃねぇ。数回失敗したら飽きるだ、
ザッ、と走りだし、周囲少し回ったかと思えば、
ダンッ!と数メートルのジャンプを披露しやがった。
「・・・お前、何もんだ?」
「俺か?俺の名前は死柄木弔だ、よろしくな。」
そこから1年間、俺は死柄木と定期的に会うようになった。初対面の印象は最悪だったが、意外なことにゲームの趣味なんかも合い、歪ではあったが友人みたいな関係を維持していた。
死柄木の奴はコッチにはズケズケ色々聞いてくるくせに、こちらの質問にはほぼ答えなかった。ただ何度か服が血まみれの状態の死柄木に会ったこともあり、ヴィランであることは薄々気づいていた。
そんなある時、
「おい、スピナー。さっきボコった奴らから面白い話を聞いたぞ。一緒に宝探しに行こうぜ。」
「宝探しだ?なんだよ宝って。」
「なんでも使うと、A.Tがメッチャ上手くなるアイテムと、メッチャ強くなるアイテムがあるらしい。」
「・・・アホか。あるわけねーだろ、そんなもん。」
そんなものがあれば誰も苦労しない、と思っていると、
「それが結構ガチ情報っぽいんだわ。だから行くぞ。」
そう言いながら先をいく死柄木の後を俺は、追った。
ーーーーー
その後、お宝がありそうな場所は、意外とあっさり見つかった。裏でA.Tのパーツやヒーローアイテムのカスタム品を売ってるオッサンの店、俺もA.Tのパーツを買う用で何回か利用したことがある。その店に近づいた死柄木が、
「ここっぽいな。」
とか言いながら、店に入り、
「オイ、A.Tのお宝寄越せ、でなきゃ殺す。」
なんて脅したら、店主のオッサン、急に発狂して暴れ始めやがった。とりあえず押さえつけようとしたら、ガキが一人出てきて、スパナでオッサン殴り倒しやがった。
「おい、お前ら、そのお宝にいくら出せる?」
ガキがそんなことを聞いてきたもんだから、死柄木の奴は、
「宝探しの宝を有料で買うやつがいるかよ。タダで寄越せ。」
完全にヴィラン、というかただの強盗だな。
「分かった、タダでやる。」
「良いんかい!?」
思わず突っ込んでしまった。
「オッサンはアレがあると常に落ち着かないんだ。知り合いが死んで押し付けられたもんだからな。可能なら処分したいが、それはダメらしい。アンタらが引き取ってくれるなら、助かる。むしろ持ってけ。」
「オイ、死柄木。本当にお宝なんだろうな。」
「ちょうど俺も、自信がなくなってきたところだ。」
「一つはよく分からんものだが、二つは良いものだぞ。」
ガキが奥から持ってきたものはA.Tのパーツと謎のメモリだった。
「このA.Tのパーツ、型は古いが最高級品にだって引けを取らない性能だ。もし希望すんなら出張でアンタらのA.Tに組み込んでやろうか?」
「お、サービス良いな。」
「こっちは有料だからな。」
「・・・ちなみにいくら?」
「こんくらい。」
死柄木と値段を、確認すると、そこそこの値段が書いてあった。
「こんだけ取んだからには良い仕事するんだろうな。」
「任せろ。オッサンに預けられてから、店のA.T関係はほぼ俺がやってる。腕は良いから安心しろ。」
「お前、オッサンのガキじゃねぇのか?」
「オッサンの家族は2階に住んでんだよ。あれだ、さっき話題に出た、パーツとか押し付けた知り合い、そっちの孫だよ。」
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その後、パーツを組み込んでもらい、A.Tのメンテ(こっちは本当のサービス)までしてもらった礼に、ガキを店に送り届けることになった、・・・俺だけが。
死柄木はさっそくメモリみたいなお宝を試しみるらしく、1人残るそうだ、俺の住処に。
最近、あいつ本当に自由奔放になってきたな。
ガキを連れて、オッサンの店まで戻ってくると違和感があった。あれから結構の時間が経ち日も落ちている、にも関わらず店には電気がついていなかった。ガキの話だと、オッサンの家族も住んでいると言う話だったが、物音もしない。
「おい、ガキ。少し待て。」
「なんだ?何か、わっ!」
咄嗟にガキを引っ掴んで回避した俺の神対応を自分で褒め称えたいね。
店の入り口が開いたかと思えば、銃弾が飛んできやがった。
なんとか物陰に隠れることに成功したが、なんだよ銃って。ゲーム以外では絶対に関わりたくないもんの一つだぞ。しばらくして銃弾が飛んでこなくなったかと思えば、A.Tを履いた怪しい集団が出てきやがった。
「君たちかな?我らが望むものを持ち去ったのは。」
集団の先頭にいたリーダー格の男が話を始めたが、こっちからすればそれどころではない。
「おい、ガキ。あれ、本当にお宝か?呪いのアイテムとかじゃねぇよな?」
「しらね。祖父がオッサンに預けるまで存在も知らなかったんだからよ。」
「このガキ。」
ガキと話していたら、俺たちが隠れている物陰近くの壁に銃弾が撃ち込まれた。
「君たち、私の質問に答えなさい。我らが望む、オリジナルのA.T、そのパーツと、キーを、君たちは持っているのかね?素直に教え、渡してくれさえすれば殺しはしないよ。あの一家とは違ってね。」
「なんだって?」
思わず、聞き返してしまった。相手が言ったことが、冗談であってほしいという思いからだったが、
「いや、なに。ものが無いと分かって、私も頭に血が登ってしまってね。つい殺してしまったよ。」
クソ!最悪だ、どうする。A.Tを置いて、立ち去るか。いや、パーツと、あのメモリみたいなやつの両方があることは相手も把握している。
住処まで案内して、いや死柄木の奴はおそらくコイツらの仲間から情報を得てんだ。死柄木とコイツらが遭遇したら、何が起こるか分からん。
あいつらもA.Tを履いてやがる、俺の中途半端な実力じゃ逃げられるか分からん。
「おい、逃げろよ。一人ならなんとかなんだろ。あんた実力あるし。」
一人で虚しく思考を回していると、ガキが俺に、逃げろ、なんて言い出し始めやがった。
「ああ?そっちはどうすんだよガキ。」
「知らん、どうにかする。するしかないだろ、この状況。」
『よし、逃げるぞ。こんな状況、俺には何もできん。』
本当にそうか?
『当たり前だ。死柄木に初めてあった時、思い知っただろう。本当に才能がある人間と俺は違う。ヒーローみたいにガキを救う実力は俺には無い。だったら逃げて、それこそ死柄木を連れてきた方がまだ生き残れる可能性がある。』
その間にガキが殺される可能性がある。
『知ったことか。今日あったばかりのガキが死のうが知ったことかよ。』
殺されたくない、と思っているガキを死なせちまうのは自由じゃねぇだろ。
『関係ないさ。死柄木も言ってだろ。はなからお前(俺)は自由になんざなってないのさ。さあ逃げろ、伊口秀一。所詮お前(俺)は何者になれない。』
「じゃあ、人生最後に、好きに、自由にやるか。」
『「「・・・は?」」』
俺の心の声とガキと、集団のリーダーらしき男の声が重なった瞬間、俺はガキを抱えて一目散に逃げ出した。
ーーーーー
「おい、何してんだよ!アイツら銃持ってんだぞ!殺されるぞ!」
「ホントそれな!だが、今、俺は、最高に自由なんだ!ちょっと黙ってろガキ!」
ガキを背中に背負い直し、逃亡を続ける。後ろからさっきの奴らが追ってくる気配がある。全力で走っているから追いつかれてもないが、振り切れる気がしない。それでも、
「おっ!らっ!あっ!」
街中にある障害物を駆使し、全力で逃げる。人生最後になるかもしれないランなんだ、精一杯やってやるぜ。
パンッ!
「おわっ!撃ってきやがった!」
「ほら!早く置いてけよ!こんだけ走れんだ!私を置いてけば、逃げられるだろ!」
「うるせぇ。俺は今、人生最強、スター獲得状態だ!落下しなければ死なねぇよ!」
「・・・お前、マリ◯って言うより、◯ッシーじゃね?」
「◯リオ◯ートならヨッ◯ーだってスター使えるわ!」
ガキとバカ話をしながら逃亡を続けるも、全力で逃げ続ければ息も切れた。そして、俺は、
「さて、よく逃げましたが、ここまでですね。袋のネズミ、いえ袋のトカゲですか。もう逃げられませんよ。」
無意識に自分がよく走るルートに行っちまったせいで人の気配のない廃工場の方に逃げちまった。いや、人がいる方に逃げてたら、コイツら関係ねぇ奴も撃ちかねねぇ。体力も切れて一瞬体を休めよう、と止まった瞬間、工場の壁に追い詰められる形になっちまった。周りは6人、逃げられそうにもねぇ。
「ぜぇぜぇ、うるせぇよ。後5分休めば、もう5分逃げて、」
パンッ!
「ガッ!」
「おい、大丈夫か!?」
ガキが声をかけてくるが、返す余裕がない。
「ああ、失礼。もう鬼ごっこは結構なんでね。その子供を連れて逃げたということは、そちらがさっきの店の家族が言っていたパーツとキーの持ち主ですね。では、トカゲくん、君は用済みですね。死んでもらいましょう。」
「クッ、ソが。」
撃たれた。掠っただけだが、痛てぇ、熱ぃ、クソが、ここまでか。最後の最後に自由に走れて良い気分だったてのによ、これで終わりか。リーダーっぽい男が再び銃を俺に向け、
「では、さようなら。」
ボッッウ!!
・・・ボウ?パンではなく?恐る恐る目を開ける。
そこには、突風の直撃でもくらったのか、俺を囲っていた6人が間抜けにもぶっ倒れ、地面に転がっていた。何が起きたんだ?
「よぉ、スピナー。探したぜ。」
上から声が聞こえた。見上げると、工場の屋根の上から死柄木が俺たちを見下ろしていた。
ーーーーー
屋根の上から声をかけてくる死柄木だが、スピナーは違和感を感じていた。
「死柄木。お前、なんか雰囲気変わったか?」
「おおっ!流石スピナー、よく気がついたな。実はよ、そのガキから貰ったキーって奴を使ってみたんだが、これが凄くてよ、」
「なんだと!」
「ああ?」
死柄木とスピナーの割って入ってきたのは謎の集団のリーダー格の男。先ほど死柄木が放った攻撃をモロに受け、他の手下たちはまだ呻いているなか、一人立ち上がり、銃を構えていた。
「あれは我らの悲願に必要なもの。それを貴様ごときゴロツキが使用しただと!ふざけるな!」
「お前ら、昼間に俺がぶっ殺した連中の仲間か?情報ありがとよ。お陰でA.Tが自由をくれるっていうスピナーの言葉を本当の意味で実感できてるよ。」
そう言って、屋根から飛び降りた死柄木だが、着地の瞬間に風が吹き、音も無く着地した。スピナーたちに背を向けつ立つ死柄木。スピナーには何故かその背中がヒーローの、あのオールマイトの背中とタブって見えた。そんな死柄木がスピナーに声をかける。
「なあスピナー、お前が良ければなんだか、俺と一緒に世の中に喧嘩売らねぇか?」
「はぁ?」
相手にされていないことが癪に触ったのか、リーダー格の男が銃を撃ちまくっていた。しかし、銃弾は死柄木が手を前にかざしている空間に入るやいなや、着弾する前に崩れ去っていた。
「(初めて見たが、アレが死柄木の個性か?それにしても、)なんだよ、世の中に喧嘩を売るって。政治家かテロリストにでもなれってか?」
「あー。その二つならテロリストが近いかもな。喧嘩を売るっていうより、世の中をぶっ壊すって言い方が正しいかもな。」
そんな事を言う死柄木はスピナーたちに背を向けたままだが、その声は真剣だと感じていた。だからスピナーは死柄木に対して、
「お前に協力することで俺にメリットあんのか?」
そんな事を聞いてしまった。その言葉を聞き、死柄木は何かの構えを取り、両手で目の前の空間に触れたかと思えば、大きく円を描いた。
「とりあえず、」
そして、その空間に蹴りを入れたかと思えば、横に真っ直ぐ伸びていく竜巻が発生し、6人の襲撃者たちを含めた前方にある建物など全てを崩壊させ、消し飛ばしていった。
「「・・・すご。」」
スピナーたちはその威力に唖然とするほかなく、口をあんぐり開けていた。前方には非常に見晴らしの良い景色が広がった。
「こんな感じの、スッキリする光景は見せられるとは思うぜ。」
ようやく振り返った死柄木は、何かから解放されたような表情をし、ビックリするほどのドヤ顔をしていた。
「ハァーーー。」
っと大きなため息を吐いたスピナーは、
「俺は強くねぇから、あんま力にはなれねぇぞ。」
ニヤっと笑った死柄木は、
「そこは心配すんな。俺が使ったキー、お前も使ってみろよ。」
「ああ、あのA.Tがめっちゃ上手くなるってやつか。どんなんだった?」
「他人の記憶や経験が流れ込んできやがったよ。」
「マジで呪いのアイテムじゃねぇのそれ!?」
「私も協力する。A.Tを今後も使っていくなら、良い技師は必要だろ。」
「あん?ガキが何言ってん、」
「良いね。よろしく頼むぜ、ガキンチョ。」
「ってオイ、死柄木、良いのかよ?」
「本人の意思だ。自由に決めさせてやれよ。」
「ハァー、なんか俺、ため息が増えそう。・・・分かったよ。ガキ、名前は?」
「巻巻枢(マキマキクルル)だ。」
「「めっちゃ巻そう。」」
ーーーーー
「(そこから2年近く、色々あったな。俺もキー使ってみたり、黒霧や荼毘に会ったり、巻巻が『ちょっと金稼ぎ件、実力伸ばし件、アジト確保してくる。』つってどっか行ったり。定期的に帰ってきて、A.Tのメンテしてれてるが、普段何してだが。)」
過去を思い出していたスピナーは改めてステインと向き直る。
「おい、ヒーロー狩り、って呼べば良いか?」
「構わん、ヒーロー狩りでも、ステインでも、好きに呼べ。貴様を粛清する男の名だ。」
「んじゃステイン。俺の名はスピナー、以前話題になった雄英襲撃犯のメンバーだ。」
「「な!」」
まさかの暴露にステインも、庇われている天晴も驚愕する。
「英雄回帰には同調してやれねぇが、俺が勝ったらアンタをアジトまで連れていく。んで俺のボスと話してもらう。そこのヒーローも見逃してもらう。」
「・・・話すだけで良いのか?」
「ああ。話した上で、仲間になる気が有るならなれば良いし、無いなら無いで良い。自由にいこうぜ。」
「フン。悪いが、貴様ら二人とも粛清対象だ、死んでもらう。」
「ああ、俺は俺で、俺の自由のために、アンタを食い破らせてもらう。アンタ強いから加減間違えて殺しちまったらスマンな。」
互いに構えを取る。ステインは刀を突きを放つ形で構え、スピナーはこれから走り出すような姿勢となった。
天晴が見守る中、彼の顎が汗が一滴、落ちた瞬間、
ガッッ!!
勝負はついた。
ステインの腹にスピナーの横蹴りが炸裂。路地裏の奥まで転がっていき、そのまま動かなくなった。
「死、」
「死んでねーぞ。」
あまりの吹っ飛び方に、死を連想した天晴だったが、スピナーから訂正が入る。
「受け身を取ってねぇとこを見ると流石に気絶したな。(斬れ味無くした牙纏って打ったからな。・・・大丈夫だよな、死んでねーよな。)」
そう言うと、スピナーは天晴に背を向け、路地裏の奥に向かって歩き始めた。
「あっ。っ、ま、待て!」
漸く立ち上がった天晴はマスクを取り、素顔で、スピナーを見る。スピナーは立ち止まりはするも、振り返らず、
「なんだ?」
とだけ返す。
「なぜ、助けた?」
「最初に言ったろ。アンタにはお願い事をしている。ガキを見つけたら礼を伝えておいてくれよ。」
そう言って、また歩き出したスピナーに、再度質問する天晴。
「なぜ、君のような人がヴィランに!?」
「一緒に行こうぜ、って俺を誘った奴がヴィランだったからだよ。」
「そ、そうか。」
「「・・・。」」
「もう行くぞ。」
「最後に!」
「まだ、あんのかよ。」
少しゲンナリし、振り返るスピナーを見据えて天晴は、
「助けてくれて、ありがとうございました。」
「・・・気まぐれだよ。」
そう言って、スピナーはスマホを取り出した、誰かと話したかと思えば、黒いモヤが発生し、倒れていたステインごと、消えてしまった。
「ハァ、救急車呼ぶか。」
ーーーーー
ガチバトルトーナメント番外試合
ステインVSスピナー、ステインの戦闘不能でスピナーの勝利。
評価、コメントよろしくお願いします。