ダークシャドウ好きだけど光が弱点なのは相性が悪すぎる。
頑張って書きましたのでお楽しみください。
観客席
「良かった、間に合った。」
1年A組の生徒たちが固まっている観客席に轟が戻ってきた。
「轟、良い試合だったな。」
「素晴らしい試合だった。多くを学ばせてもらったよ、轟くん。」
「きらめくナイスゲームだったよ。」
クラスメイトたちが口々に声をかけるなか、
「轟、緑谷のあの蹴りを受けてなお、あれだけの戦意を滾らせて戦ってたの、流石だったよ。」
尾白がトレーニングでもらった出久の一撃を思い出し、震えながら賞賛の言葉を送ると、
「ああ、あれは凄い威力だった。でもあの時、気絶したのは少しだけだったのに、ガキの頃から最近の記憶までを一瞬で思い出す体験をしたんだ。不思議だったよ。」
「「「それは走馬灯だ!」」」
出久にボコボコにされた経験がある生徒たちが一斉にツッコミを入れた。
「轟さん、よくぞご無事で。」
本気で心配していた八百万が、目に涙を浮かべながら声をかける。
「悪かったな、八百万。せっかくお守り代わりにジャージ作ってもらったのに、負けちまった。」
「いえ、そんな。轟さんの勇姿、この目に焼き付けさせていただきました。私も負けないよう、これからも精進いたしますわ。」
「そうか。なら俺も、カッコ良い所をもっと見せられるようもっと努力しねぇとな。一緒に頑張ろうぜ、八百万。」
「はい!」
そんな二人の様子を見て、峰田が轟を呪殺できそうな視線で睨み、瀬呂に頭を叩かれていた。
「芦戸ちゃん、芦戸ちゃん。私のことはイジるのに、あっちはええの?」
お茶子が轟と八百万のやり取りを指差しながら、少し不満そうに芦戸に問いかける。
「いやー、あの二人は天然過ぎて、逆にコッチがダメージを喰らっちゃうことが多いからさー。」
「・・・なら、私のことも弄らんといてほしいんやけど。」
「麗日はほら、反応が面白いから。」
「そういう芦戸ちゃんの反応も、私は初々しくて好きだけどな〜。」
「葉隠、シャラップ!」
「え、何?葉隠さん、そこんとこ、もっと詳しく。」
「シャラーーーップ!」
「ケロッ。皆んな、会場の撤収が終わったみたいよ。爆豪ちゃんが出てき、って。」
「うっわ。」
フィールドを見ていた蛙吹は途中で言葉を止め、耳郎も驚きの声を上げる。
「漫画とかで戦意を表現するときに、ビリビリ、って表現使うときあるじゃん。今絶対に爆豪からの戦意で空気がビリビリしてるって。」
冷や汗を流しながら語る上鳴の言葉を聞き、クラスメイトたちがフィールドに視線を送る。そこには闘争心マックス状態の勝己がフィールドに立っていた。
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物間「まあ、緑谷くんと轟くんの、あんな試合見た後じゃ、そうなるよね。」
B組の生徒たちも勝己のただならぬ戦意を感じていた。
回原「やば、オレ鳥肌立っちゃったよ。」
拳藤「ええ。あんな凄い闘志、正面から受けたら、試合にならないかもしれない。」
宍田「ビースト化してない今の我輩でも野生の感が働き、あれとは戦うな、と警報を鳴らしているようであります。」
接近戦が主体の面々の多くは、より顕著に勝己の戦意を感じとり、その強烈さに驚愕していた。
黒色「だが、対戦相手の常闇も容易い相手ではないはずだ。あの闇はそう簡単に負けたりしない。」
小森「黒色くんは常闇くんの応援をするノコ?」
黒色「え、あ、いや、何かシンパシーを感じるというか、なんというか。」
内心で常闇を応援していた黒色は、思わず呟いた言葉を小森に拾われ、アタフタするのであった。
鎌切「刃もねぇのに、あの触れたら刻まれそうな雰囲気。クソ、俺も決勝トーナメントに出れてりゃ、アイツとヤレたかもしれねぇのか。悔しいぜ。」
角取「ウィーの場合、完全にティームメイキングでミスしたのが、リーズンでーすね。」
取蔭「いや、二人組で、しかも角取を騎馬にする選択をした鎌取が悪いでしょ。」
話が逸れていってるは否めないが、それでも全員が勝己から視線を外せないでいた。そして対戦相手である常闇もフィールドに上がってきた。
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「さあ、二人とも準備は良いわね?」
「はい。」
「早く始めましょうや。」
「準決勝第二試合!第一種目、第二種目を一位で突破したこの男は、ライバルが待つ決勝の舞台に辿り着けるのか!?最強の爆破使い、爆豪勝己!相対するのは、傍から見れば無敵にしか見えない強個性、ダークシャドウで猛威を奮ってきた闇使い、常闇踏陰だ!爆豪の進撃を止めることが出来るのか!?」
「どちらも高い戦闘力を有している生徒だ。前評判は爆豪だろうが、相手が油断した瞬間に、試合をひっくり返せる実力を常闇は持っている。最後の一瞬まで勝敗が分からない試合になるな。」
「くー!ワクワクが止まらねぇ試合が続くなー、オイ!それじゃあ行くぜ、レディーーー!スターーート!」
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先手を取ったのはもちろん勝己。爆速で距離を詰め、近距離爆破を叩き込んだ。
しかし、そう容易く倒せる相手が準決勝の舞台に立つはずもなく、爆煙からダークシャドウの腕が伸び、勝己に掴み掛かろうとする。すかさず爆破で距離を取る勝己だったが、常闇の次の行動が予想外だったのか、表情が驚きに変わる。
ダークシャドウが伸ばした腕、その指を地面に突き刺さしたかと思えば、腕を縮める勢いを利用して今度は常闇が勝己に向かって突進していく。煙の中から飛び出てきたその姿に会場が騒めく。
「なるほど、それならダークシャドウに闇を溜めながら攻めに転じられる。」
やはり直に見たいと思い、入場ゲート付近で試合を観戦していた出久は常闇が取った戦法に納得する。
常闇は普段の様にヘソの位置からダークシャドウの全身を外に出すのではなく、袖口からダークシャドウの腕、そして顔を襟口から出し、それ以外はジャージの下にいる状態することで外部からの光の影響を減らし、闇を溜めやすい状態を作ったのである。後に、ブラックアンクと呼ばれる技に近い状態である。
「ダークシャドウ!可能な限り、俺と意識を同調しろ!行くぞ!」
「オウヨ!」
スピードはもちろん、全力で防御した切島を一撃で気絶させる攻撃力、そして爆破という光源。勝己もちろんのこと、出久も、炎を使い始めた轟も、準決勝に残った相手は全員が、常闇と相性が良いとは言えなかった。
しかし、相性が悪いからといって、簡単に諦めてしまうようでは、自分が彼らを追い抜くことなど一生無理になってしまう。そう考えた常闇は、頭を回し、知恵を絞った。そこから生まれたのが今の戦法である。
常闇はダークシャドウの腕だけを伸ばし、薙ぎ払う様に振るう。その攻撃を難なく躱す勝己は再度前に詰め、今度は連続で爆破を叩き込んだ。常闇はダークシャドウの両腕を自身に巻き付け、防御の姿勢を取り、その攻撃を耐える。そして、勢いよく両腕を外に広げ、再度薙ぎ払い攻撃を敢行した。
「ハッ!良い防御だ。それに弱点を克服するための工夫も悪くねぇ。」
「(やはり光が弱点なのは悟られていたか。)」
普段から優秀である勝己には、ダークシャドウの弱点は知られているか、戦闘中に悟られるだろうと考えていた常闇は自身の勘が的中した事を理解する。さらに、
「だが、攻撃がお粗末だ!そんな攻撃、当たんねぇし、当たったとしても、大したダメージ入んねーぞ!」
自身の作戦通り、勝己が自身の攻撃力を勘違いする様に誘導できていると感じた。
「(試合が始まるギリギリまで、明かり絶った部屋で闇を補給し続けた。今は力を小出しし、こちらからも攻めることで相手からの攻撃を減らす。チャンスが来た瞬間、全力の、渾身の一撃を叩き込む!)」
これが常闇が見出した、彼が勝己に勝つための作戦である。
「(常闇の奴は決して弱くねぇ。このままやり合ってもジリ貧なのは分かっているはずだ。なら何かある。この状況をひっくり返す切り札が。ハッ!本当に面白れぇ。切島も、轟も、飯田も、物間も、常闇も、どいつもこいつも本気でトップ目指して、俺に、俺らに立ち向かって来やがる!出久、コイツらといれば、俺らはまだまだ強くなれるぞ。だが、)勝つのは、俺だ!!」
「おおっと!爆豪が吠える!そして攻撃が更に熾烈になっていくぞ!」
「(さあどうする常闇、このままじゃ切り札を出す前に負けるぞ。タイミングを見誤るなよ。)」
相澤が見守る中、試合は佳境を迎える。
近距離、中距離からの爆破攻撃に耐えながら、常闇はチャンスが近づいてきていることを察していた。
「(一撃で、タフな爆豪を撃破できるかは分からない。ならば、狙うは場外。)」
狙いが悟られないよう、少しずつ、目的の位置、フィールドの角を目指して移動し、たどり着く。そして、ここまで近距離戦では終始防御を選択し続けてきた相手の攻撃に対して、この試合初めて、回避を選択する。攻撃をスカされた程度でバランスを崩すほど勝己は甘くはないが、爆破による空中機動を続けていた勝己は空中ではあるが、フィールドの外に飛び出る。
すぐに追撃をかけようと、旋回した勝己の目の前に広がったのは、
「ここだ!ダークシャドウ、右腕全力解放!」
巨大な闇の拳であった。
ダークシャドウの右腕のみを全力で解放し、これまで溜め込んだ闇を全て使い切るつもりで力を込める。
「ラグナロク!!!」
考えていた技名が叫び、渾身の一撃を勝己に向けて振り下ろした。
ドッッッゴッーーーン!!!
「強烈ーーー!凄まじい威力だダークシャドウ!おい、イレイザー!お前のクラス、ヤバいのばっかじゃねーか!」
「否定はしないが、今は実況に集中しろよ。」
「いや、あんな威力、当たったら終わりだろ。」
「当たればな。」
実況解説の声を聞き、観客たちはダークシャドウの攻撃によって砂煙が立っているフィールドを注視する。
今、会場内でフィールドの状況を正しく把握しているのは、目と風探知を併用した出久とお茶子、普通に目で状況を追ったオールマイトとエンデヴァー、そして攻撃を実行した常闇本人である。
「・・・お前のことだ、真正面から受けてくれると思ったのだがな。」
「テメェのミスは立ち位置だ。確実に場外に叩き落とすための作戦だったんだろうが、空中のあの位置で、さっきの一撃を受けるのは俺にとってリスクがデカ過ぎたんだよ。悪りぃが避けさせてもらった。」
砂煙が晴れ、フィールドの状況を観客も把握することができた。そこには、いつでもブラスターを発射できる体勢で常闇の背後を取った勝己の姿があった。
ダークシャドウの拳が当たる瞬間、クラスター・ターボを発動した勝己は超爆速で攻撃を躱し、そのまま常闇の背後に回り込んだのである。
「相性が悪かったが、それを理由にしてちゃ本物のヒーローにはなれねぇ。弱点克服するなり、長所を伸ばすなりしたら、また相手してやるよ。」
言葉にはしていないが、互いに勝敗は理解している。
「ああ。必ずお前らを追い抜いてみせる。お前らのような光が強ければ、強いほど、俺たちの闇も強くなる事を覚えておけ。」
「次ハ負ケネーゾ!」
「(厨二感半端ねーな。)おう。」
「審判、降参する。」
「良いのね?それじゃあ、んん。常闇の降参により、爆豪くん決勝進出!」
「決着ー!常闇渾身の一撃を躱し、勝利を掴み取ったのは、爆豪勝己だー!」
「常闇も、今できる最善を尽くしていた、さっきの試合と変わらず、準決勝に相応しい試合だった。」
「そしてー!会場全体のオーディエンスが理解していると思うが、改めて言うぜ!ガチバトルトーナメント決勝戦のカードは!緑谷出久VS爆豪勝己だーーー!」
ワッッーーー!!
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