完全に繋ぎ回です。
天哉と天晴
とある病院にて、
「兄さん!」
飯田天哉は病室に走り込む。体育祭後にスマホを確認した所、兄であるインゲニウムこと、飯田天晴がヴィランとの戦闘に敗れ、病院に搬送された、と連絡が入っていたのだ。
体育祭の片付けやHRには参加せず、急いで病院に向かい、病室にたどり着いた天哉を出迎えたのは
「おお、天哉!体育祭お疲れ様!」
わりと元気そうな兄であった。
「なんとー!?」
天哉、病室ないでズッコケる。
「こら、天哉。ここは病院なんだ、静かにしなさい。」
嗜められた天哉だったが、気にせず兄に質問していく。
「兄さん!大丈夫なのかい!?怪我は?」
「あぁ。結構しっかりと斬られてはいたが、命に関わる傷じゃあない。何針も縫った大怪我には変わりないが、傷が塞がって、暫く安静にしていれば、また問題なくヒーロー活動を再開できる、ってお医者さんには言われたよ。」
「そ、そうか。良かった。」
兄の無事を確認することができ、天哉は胸を撫でおろす。
「でも、兄さんにそこまでの手傷を負わせたヴィラン、いったいどんな奴だったんだい?」
尊敬する兄が負けた、ならば仇は自分が、という黒い感情が渦巻き始めていた。
「ああ、今世間を騒がしている、ステインに遭遇したんだ。」
「ステイン!例の何人ものヒーローを殺害している、指名手配中の超危険ヴィランじゃないか!」
そいつが仇か!と黒い感情が更に渦巻き、
「まあ、そのステインも俺の目の前で、ボッコボコにされて連れていかれしまったんだけどな。」
アハハ、と力なく笑う兄を見て、再度ズッコケる天哉。兄のベットに手をかけながら、
「ひ、ヒーロー殺しは既に確保されていたのかい!?でもそんなニュースは。」
「ああ、いや。ステインを倒したのはヒーローじゃない。ステインを倒し、俺を助けてくれたのは、本人曰くヴィランらしい。」
「ヴィランが兄さんを助けた?なぜ?」
「頼み事をされたから、かな?」
「頼み事?」
「ああ、親切な女の子にお礼を伝えてくれ、って。」
「??」
何故そんな頼み事をヴィランから?という疑問を浮かべた天哉は言葉が止まってしまい。天晴は弟から視線を外し、窓の外に視線を向ける。
『なぜ、助けた?』
『最初に言ったろ。アンタにはお願い事をしている。ガキを見つけたら礼を伝えておいてくれよ。』
『なぜ、君のような人がヴィランに!?』
『一緒に行こうぜ、って俺を誘った奴がヴィランだったからだよ。』
『助けてくれて、ありがとうございました。』
『・・・気まぐれだよ。』
「颯爽と現れ、人を助け、報酬を求めず去っていく。まるで、コミックの中のヒーローのようなヴィランだったな。」
「兄さん、何か言ったかい?」
「いや、なんでもない。せっかくだ天哉。時間が許す限り、体育祭の話を聞かせてくれよ。」
そんなことを言い出す兄を、今度は弟が嗜める。
「兄さん、安静にするよう言われているんだろ?今日はもう横になった方が良いんじゃないかい。」
「なら少しだけなら良いだろ。ほら、座った座った。」
そこから体育祭の話題で盛り上がり、ついでにUSJの話題も出て、
「え゛、スピナーってオールマイトに傷をつけるほどの実力者だったの?」
自分を助けた相手の実力をより正しく理解するのであった。
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C組祝勝会
とある焼肉屋にて、
「それでは心操、瓦斯島、並びに我々C組の健闘を讃えて、乾杯!」
「「「「カンパーイ!!」」」」
C組委員長の号令のもと、C組生徒一同がに集まり、体育祭の打ち上げを実施していた。
「そら、しっかり食べなさいよ心操。これからヒーロー目指すってんだから、もっと太く、強くならないと。」
「そうだぞ。ほら瓦斯島も焼肉屋でまず最初にフライドポテトを食うな。肉を食え、肉を。委員長を見習って、もっとガッシリしねぇと。」
「いや、パワー系個性の委員長と比べられてもよ。」
「そうそう。人には向き不向きが、」
お世辞にもガッシリとした肉体とは言えない二人はクラスメイトたちから揶揄われ、言い訳を述べているが、
「ん?俺の個性は補助系だぞ。」
「「「「・・・はい?」」」」
「自分の活力を他のものに与える個性なんだが、心操、瓦斯島を第一種目の第二関門の所で投げた時にも、実はコッソリ活力を送ってたんだ。」
ハッハッハッ!と笑う委員長を他所に、C組生徒たちは改めて委員長の容姿を確認する。
オールマイトとはまでは言わないまでも、そこら辺にいる一般ヒーローよりもよっぽど厳つい体格をしており、その全身は筋肉の鎧に包まれている。
「え?あの筋肉、全部自前?」
誰かが呟き、
「「筋トレします。」」
心操と瓦斯島に肉体改造を決意させるのであった。
「お、筋トレか!良いぞ筋トレは。持論だが、健全な精神は健全な肉体にこそ宿る。焦らず頑張れ!」
「「説得力があり過ぎる!!」」
ここから心操、瓦斯島の肉体改造道が始まる・・・のか?
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B組チクショウ会
B組教室にて、
「それではこれより、B組の体育祭反省会を始める!」
「何も当日やらないでも!」
担任のブラドキングの音頭と生徒たちの悲鳴が響く。
「鉄は熱いうちに打つに限る!だが、あえて言おう!皆んな、よく頑張った!特に物間、鉄哲、そして塩崎、トーナメントの試合、最終的に敗れはしたが、素晴らしい戦いだった!」
「しっかり褒めてくれる僕らのブラキン先生!でもやっぱし今日じゃない!」
嘆く生徒たちを他所に、ブラドは考えを述べていく。
「B組最大の失敗は第二種目、騎馬戦のチームの組み方だ!物間たちを含めたトーナメント出場者は的確にチームを組むことができていた!ならば今必要なのは、クラスメイトたちと親睦をより深め、コミュニケーション力、果てはチームアップ力を高めていこう!ドリンク、軽食は用意した。さあ皆んなで反省会だ!」
「おっ、おぉ、的確なアドバイス。」
ブラドの指示を受け、飲み会を片手に、軽食を摘みながららクラスメイト同士で会話をしていく。話題は当然体育祭であり、A.Tについての話題も出る。
「訓練とかで物間のA.Tヤバいな、って思ってたけどさ、物間が言ってた『緑谷くんたちの方が数段凄いよ。』ってのがガチすぎて本当に、もう言葉も出なかったわ。」
「あれだけ差があると、祟る以外に対抗手段がないね。」
推薦組であり、自分の実力に多少の自信を持っていた取蔭や、ポルターガイストという便利個性を持っていた柳は、第二種目で勝己たちに瞬殺されたこと、ガチバトルトーナメントのレベルが違い過ぎる試合を思い出し、若干凹みながら愚痴をこぼす。
「だが、まだまだこれから評価をひっくり返す機会はいくらでもある!それにヒーローは単純に戦闘力で評価されるのではない。個性を伸ばし、出来ることを増やし、経験を積む。特に君たちは個性の使い方の練度を上げることで実力を跳ね上げることが出来るはずだ!これからも頑張っていこう!」
「オッシャー!やるぞ!俺はまず、打倒切島だ!」
「いつか、常闇や轟の奴も切り刻んでやるぜ!」
鉄哲や鎌切を筆頭に、気持ちを新たにしたB組、彼らが輝く日も近い!
「それでも、緑谷、爆豪の二人には勝てる気がしないよね。」
普段「ん。」「そ。」としか話さない小大がボソッと、呟く。
「「「「「それはそう!!!!!」」」」」
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「ああ、分かった伝えておく。」
ピッ、と勝己は電話を切り、内容を出久たちに伝える。
「おい、出久、麗日。明日俺んちで出久の祝勝会やるってよ。麗日、発目にも伝えといてやれ。お前らのお袋さんたちも来るってよ。」
「決勝のカード同士で祝勝会ってどんなだよ!」
近くにいた切島が思わず突っ込んでしまう。
「今僕んとこにも母さんから連絡来た。カッちゃんが良ければ、って話なんだけど大丈夫?」
「あぁ?オールマイトにも言っただろ。この敗北を飲み込むってよ。ギャーギャー言う気はねぇし、勝ったテメェを讃えてやるよ。」
「なんだろ。実力でも負けて、器でも盛大に負けて、勝てる気がしないんだが。」
「「「「「それな。」」」」」
瀬呂の発言にクラスの殆どが同意するのであった。
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