A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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書けましたが、カオスです。

レイコムさん、名前だけ借りたモブキャラの予定だったのに、気が付いたら、保須市編のメインヴィランになっちゃった。

この話からクロス作品が増えました。


第40話 職場体験 ヒーローVSヴィラン応用(中編①)

 

「さて、レイコム。貴様、己の罪を理解しているな?」

 

ヒーロー殺し、ステインがレイコムと呼ばれたヒーローに刀を向けながら、一歩、また一歩と近づいていく。

 

「し、知らない!俺はヒーローだ、罪なんて身に覚えがない!」

 

ステインが個性を発動するまで這ってでも逃げようとレイコムは這いつくばった状態であるため、ステインから顔が見えていない。

 

しかし、その声からは、過剰なほどにステインのことを恐れていることが感じられた。

 

「バカが。この俺が下調べをせずに貴様を襲っているとでも?先日のインゲニウムや、そこのネイティブの様に偶々遭遇してしまったわけではない。」

 

ガッ、とステインは蹴りを入れ、レイコムを仰向けにする。声同様、その表情は恐怖一色になっていた。

 

「俺は今日、貴様を襲うためにやってきたのだ、レイコム。」

 

「おい!やめろ、ヒーロー殺し!」

 

レイコム同様に身動きが取れず、後ろの状況を会話と音でしか判断できていないネイティブが叫ぶ。

 

「そいつが何をしたっていうんだ!」

 

「ヴィランと協力して、銀行を襲わせた。」

 

「は?」

 

あまりの内容に言葉をなくしてしまうネイティブ。

 

「ヒーローの巡回時間を教え、ヴィランが銀行を強襲。コイツはタイミングを見計らって他のヒーローよりも早く現場に到着し、人質を無事に救出する、という段取りだ。」

 

ステインの話す内容を聞くたびにレイコムの顔色がどんどん悪くなる。

 

「ヒーローが優先すべきは人命救助だ。たとえ金品は強奪されたとしても、人質を被害なしで救出したとなれば評価は上がる。ヒーローは名声を、ヴィランは金を、それがコイツの書いた筋書だ。」

 

「そんな、証拠はないだろ!」

 

ピッ、

 

『それじゃあ、手筈通り頼む。』

 

『ああ。それにしてもテメェも悪どいな。最初の銀行強盗はコッチから提案したが、先日の放火も含めて、また事件を起こさせて更に名声を得ようなんてよ。』

 

『うるさい。それより、確保しても問題ない奴は本当に用意できたんだな?』

 

『要望通りにな。個性の詳細はまた連絡しておくが、お前さんの個性なら確保できんだろ。俺とテメェの関係は知らねぇ、前回の銀行強盗を成功させた事実を餌に集めた奴だ。そいつを置いて俺は金だけ持って逃げっからよ、アンタはヴィラン確保の栄誉を得る。』

 

ピッ。

 

ステインがレコーダーのスイッチを切る。

 

「俺の相手はヒーローだけではない。悪戯に平和を脅かす、真の英雄と競う資格もないヴィラン共も当然粛清対象だ。」

 

手元にあるレコーダーを仕舞い、ステインは改めて刃をレイコムに向ける。

 

「おそらく貴様に裏切られた時用だったのだろう。貴様の共犯者のアジトにあった音声データだ。」

 

「レイコム、お前、マジか。」

 

「・・・。」

 

振り返ることが出来ないネイティブだが、ステインを無視し、思わずレイコムに話しかけてしまうが、レイコムは黙ったままである。

 

「では、死ね。」

 

ステインが刃を振り上げ、レイコムにトドメを刺そうとする。

 

「ま、まてヒーロー殺し!そいつがやっちまった事は分かった。本人の反応から本当なんだろう。だが殺すんじゃなく罪を償わせるじゃぁ、ダメなのか!?」

 

そう必死に叫ぶネイティブ。チラッと、一瞬だけステインがレイコムから視線を外した瞬間、

 

ガバっ、と上半身を上げたレイコムは口から氷弾を吐き出した。

 

「そんなものが当たる訳が、しまっ!?」

 

「へ?」

 

レイコムの狙い通りに、氷弾は真っ直ぐネイティブの背中目掛けて飛んでいく。その先端は鋭利で、明らかに当たったものを貫くことを目的としていた。

 

誰かが叫んだ。

 

ーーーーー

 

間に合ったのは偶然でしかない。

 

ここまで来るのに、隣で並走する友人の速度に追いつくために、路地裏という狭い道でありながらかなりのスピードを出していたため、エンジンが良い具合に暖まっていた。

 

そして角度的な問題で、自分よりも速い友人が気が付いていなかった。いや、気が付いていたのかもしれないが、僕らが角を曲がった瞬間に行動を開始した相手に対して、僕、いや俺の方が一瞬早く反応することができた。

 

「ぉぉおおお!!レシプロ、バースト!!」

 

助けなければ、と思い、俺は駆けた。

 

ーーーーー

 

油断。そうとしか言えない状況だった。ヒーローであるならば死を厭わぬ覚悟を持ってしかるべき。その考えを変えるつもりはないが、動きを封じられた状態での強襲、しかも仲間だと思っていた相手からの攻撃。

 

助けなければ、と思い、A.Tの偽装を外し、駆けようとしたその時、

 

「ぉぉおおお!!レシプロ、バースト!!」

 

目の前でヒーローが駆けだしていた。

 

ーーーーー

 

レシプロバーストを発動した天哉が頭から飛び込み、突き飛ばすことでネイティブをレイコムが撃ち出した氷弾の射線上から外す。今度は自分も、と体を捻るも一発だけ頭部に掠ってしまう。

 

その衝撃でヘルメットが弾け飛ぶが、天哉は気にせず、

 

「プハッ!大丈夫ですか!?」

 

「いや、君こそ大丈夫か、って今の氷は。レイコム、どういうつもりだ!?」

 

突き飛ばされた流れで、壁を背にしてもたれ掛かる姿勢に変わったネイティブは、目を氷を撃ったであろう下手人、レイコムに向ける。

 

ガキンッ、キンッ、

 

追撃で撃ち出された氷弾をステインが刀で切り飛ばし鋭い視線をレイコムに向けていた。

 

「えっと、俺はヴァンガード。俺たちは雄英の職場体験生で、マニュアルさんと、エンデヴァーの指示で、ヒーロー殺し、ステインの足止め、または確保に来た、んですが。」

 

ヒーロー殺しを追ってきたら、ヒーローが同じヒーローを攻撃し、それをヒーロー殺しが庇っている状況に出くわしたのである。

 

「(なんだこの状況は!?)」

 

天哉は混乱していた。

 

「ヒーロー、ではなく学生か。その顔、雄英体育祭の決勝トーナメントに出ていたな。簡単に状況を説明する。コイツ、レイコムはヴィランと通じて事件を起こしていた。もはやヒーローではなくヴィランだ。そっちのネイティブは俺の個性の影響でまだ動けない。お前はその男を連れて、速やかにこの場を離れろ。」

 

天哉に視線を向けることすらせず、重要な情報を伝えてくるステインに、天哉はネイティブを背にしながらステインとレイコムの両方が視界に入る位置で構えを取る。

 

兄の仇を目の前にしているが、

 

「・・・さっきも言ったが、俺が受けた任務はステイン、あなたの足止め、または確保だ。ネイティブさんを守ることも重要だが、ここであなたを放置すれば更なる被害者が予想される。ならば、そちらのレイコムさんとステイン、あなたをここで確保するのがベストだ。」

 

天哉は冷静に状況を判断する。

 

「それができる実力があるなどと、勘違いしているわけではあるまいな?」

 

言葉と視線に殺気を込め、目だけを天哉に向けるステイン。

 

隙あり、とステインと向き合っていたレイコムが更なる氷弾を撃ち出そうとした瞬間、

 

「言ったはずだ、『俺たちは』と。」

 

「スマッシュ。」

 

ゴッ、

 

「ギャフッ。」

 

バタン、

 

レイコムの首に蹴りの一撃を入れ、シュタッ、という効果音が聞こえるほど華麗な着地を決める出久。

 

喰らったレイコムは白目を剥きながらうつ伏せに倒れこんでいった。

 

「・・・なるほど。もう一人、ヴァンガードが間に合うと判断した時には既に次の行動に移っていた、というわけか。」

 

天哉への警戒は最低限とし、最大の警戒を出久に向けるステイン。

 

出久は天哉が自身よりも早くレイコムの攻撃に気づきレシプロバーストを発動した瞬間、上へと飛び上がっていた。

 

ステイン、そしてレイコムも敵と判断し、撃破が容易そうだったレイコムに奇襲をかけたのであった。一つ誤算があったとすれば、回避される前提で放った一撃が当たってしまい、威力調節を少し間違えたことぐらいである。

 

「天哉くん、警戒して。このヴィラン、ステインは強いよ。(そこらのプロヒーローじゃ、間違いなく勝てない実力者だ。それに、)」

 

チラッ、とステインの足元を見る、そこにはA.Tが履かれており、パーツ構成など見てステインへの警戒値を更に引き上げだ。

 

「A.T、使うんですね。」

 

出久は時間稼ぎも兼ねてステインに話題を振るが、

 

「シッ!!」

 

ザッッ!!

 

「ウィング・スマッシュ!!」

 

ゴッッウ!!

 

高速で接近したステインが日本刀を振り下ろし、出久は炎の翼で刃をはじき返した。

 

「ぐぅ!」

 

炎の翼によって一瞬、互いの姿が見えなくなる。ただの炎が相手であれば刃で薙ぎ払うが、先ほどの手ごたえを考えるとおそらく弾かれる、と判断したステインは距離を取ろうとする。

 

通常の相手であれば問題のない無難な判断であったが、

 

ゴッッウ!!

 

相手である出久は実践経験豊富な難敵である。視界が無くとも、風探知でステインの行動を把握し、

 

「(下がった。だったら、)フレイムソール!!」

 

防御として繰り出した炎に飛び込み、そのまま炎を纏って、ウイング・スマッシュ、フレイムソールを発動した出久がステインに突っ込んでいく。

 

フレイムソール発動時に纏う炎の翼はサイズは下がるが、その分炎も風も密度が増している。つまり、

 

ガッ!!

 

「斬れないか!」

 

炎の翼の強度が更に上がる。

 

ステインは防御も兼ねて出久に向けて再び刃を振るうも、文字通り刃が立たない。

 

「銃弾すら通しません!」

 

「それは流石に鉄壁過ぎないか!」

 

出久が蹴りを連続して繰り出し、ステインを攻め立てていく。ステインも負けじと刀を振るう。

 

「ハァッ!!」

 

「ぐっ、ハァァ!」

 

何度も刃を振るい、刀だけでなく、ナイフも使うが出久の体に傷一つ付けられていない。

 

「(この少年。やはり、雄英体育祭でも見たが、防御が異様に上手い。)」

 

「あっ。」

 

何かに気が付き、天哉が思わず声を上げ、

 

「どうした?」

 

先ほどまでとは比べ物にならない動きをするステインと、それを上回る動きでステインを翻弄する職場体験生の戦いを、唖然とした表情で見ていたネイティブが反応する。

 

「あ、いえ。気のせいかもしれないのですが、いや冷静に思い返すと、やはり。」

 

4月、いや入試も入れればもっと前から、ここまで天哉自身が見てきた出久の戦いを思い出す。実技試験、ヴィラン演習、USJでのヴィラン連合の襲撃、雄英体育祭、それらの戦いを振り返ると、ある共通点が浮かび上がった。出久のライバルである勝己との戦闘を振り返っても、毎日のように繰り返し行われている練習寄りの模擬戦を除けば、

 

「デク、緑谷くんは、これまでの戦いで、自損のダメージ以外、一撃たりとも被弾していないのでは、と。」

 

「はい?」

 

ーーーーー

 

中学2年生の夏、出久と勝己は何度もヴィラン、そしてヒーローからの襲撃に合っていた。大怪我を負ってしまった場合、治療に専念する余裕などなかった。回避と防御が彼らにとって重要な課題であった。

 

追われる日々が終わってからも、アメリカで出会ったあるヒーローのダメージを喰らわないことに関しての、神がかった技術を見て学ぶは無理でも真似る努力を重ねた。そして、出久は風探知と体の鎧を併用することで、そのヒーローの神回避に迫る回避と防御技術を確立したのである。

 

勝己に関しては趣味に合わない、ということもあり、その技術を真似ることはなかった。

 

つまり、

 

「くぅッ、厄介な相手だ!」

 

切り傷一つ、血の一滴でも流させれば実質勝ちが決まるステインにとって、その一滴を流すほどの傷すらつけさせない、回避と防御力を披露する出久は厄介どころではなかった。

 

「(同じA.T使いでも、まだスピナーの方が隙があった。なぜコイツは、これほどまでに攻めてきているにも関わらず、攻め手特有の防御に対しての隙が見つからない!?)」

 

「ゼァッ!」

 

ステインが全力で刀を、ナイフを連続で振るうが、出久はその全てを回避してみせる。

 

「ハッ!」

 

ゴッ、

 

「(浅い。ギリギリで気づかれた。)」

 

「ギィッ!?(技量の桁が違う。俺が見せたつもりのない隙が、コイツ、緑谷出久には見えている。)」

 

ステインの脳裏に逃走の二文字が浮かび上がる。しかし、現状ではそれが不可能であることは戦っている本人が一番理解している。その要因の一つが、

 

「無駄です。この位置でアナタに残された逃走経路は真後ろのみ。背を向けた瞬間、僕はアナタの意識を刈り取る自信があるます。もし仮に、距離が離れた状況を作れたとしても、天哉くん、ヴァンガードがいます。彼のエンストも回復しています。少しの間だけなら、彼一人でもアナタの足止めは可能です。それに、」

 

「悪りぃ、遅くなった!」

 

「二人とも無事かい、ってなんかカオスな状況に!?」

 

遅れて、焦凍とマニュアルの二人が合流する。

 

「フッ、本物の英雄に相応しい者どもに囲まれている状況。俺としては、本物に敗れるのであれば、本望ではある。最後まで抵抗はさせてもらおうか。」

 

4対1、圧倒的不利な状況に陥ったステインではあるが、その目から闘志が消えることはなかった。

 

「スゥゥ、ハァァァ。」

 

これまで出久に向けていた闘志を、別のものに切り替え、

 

「かかってこい。」

 

たった一言をこの場にいるヒーロー全員に発し、闘志ではなく、殺気を向けた。

 

「グッ!」

 

「これが、ヒーロー殺し。」

 

「みんな、下がって。」

 

殺気を感じたことなど、USJでのヴィラン襲撃時以外に経験が無かった天哉、焦凍は本物のヴィランが発する、重さすら感じる殺意に、内心で恐怖を感じていた。また、プロヒーローであり、ヒーローチャートでも上から数えた方が早いマニュアルも完全に腰が引けた状態になっていた。

 

ただ一人、

 

ガッ!

 

緑谷出久が踏み出す。

 

「はい、いきます。」

 

出久の言葉を聞き、ステインが笑顔が見せる。

 

「あぁ。やはり貴様は本物だ。」

 

片手に持っていたナイフを仕舞い直し、刀を両手で構え直し、

 

再度、出久とステインが激突する。

 

ーーーーー

 

大通り

 

「ジェットバーン!!!」

 

ゴウッッ!!

 

エンデヴァーが黒い脳無と戦いながら、隙をみて灰色の肌をした脳無のうちの一体に大技を叩き込み戦闘不能にする。

 

「こらっ、そっちにいくんじゃないよ!」

 

翼を持った脳無が大通りから離れようとした瞬間、バーニンが炎髪を伸ばし、相手の足に巻きつけ、地上に叩きつける。

 

ドオン!

 

「オッサン!絶対に配置ミスだ、これ!デクくんかショートくんのどちらかはコッチに必要だったって!」

 

「やかましい!そして貴様が正しいわ!(くっ、脳無とやら、どいつも無駄にタフだ。この黒いのは勿論、他の奴らも俺とバーニン以外で有効打を与えられるヒーローがいない。)」

 

倒すだけならなんとかる。しかし、問題は場所と状況である。大通りであり、乱戦状態、これでは火力を抑えて戦うしかなく、周囲をフォローしながら戦っているのもあいまって苦戦を強いられていた。

 

「チッ、バーニン!一体ずつ確実に潰してい!?後ろだ!!」

 

「しまっ!」

 

バーニンが他のヒーローのフォローに入った瞬間に生まれた隙をつき、先ほど地面に叩きつけられた翼持ちの脳無がバーニン目掛けて襲いかかった。

 

「(マズイ、防御を、)」

 

ゴウッッ!!

 

バーニンが大怪我くらいは、と覚悟していた所に、彼女を庇う炎が繰り出された。

 

「助かりました、エンデ、はい?」

 

その炎の色は蒼かった。

 

ーーーーー

 

「ふむ。介入する可能性もゼロではない、と思ってはいたが、まさか助けに入るとは。」

 

脳無から送られてきていた映像を見て、ぼやくオールフォーワン。

 

「まあ、現場はさらなる混乱に陥るわけだから結果としては問題ないか。さて、ステインくんはどうしているかな?」

 

羽持ちが先ほどから戦場を離脱しようとし続けているのは、オールフォーワンからの指示であり、ステインの状況を確認したかったからでもある。しかし、それが叶ってない状況に若干の苛立ちが募り、

 

「たまには外出するのも悪くは無いか。」

 

「なんじゃ、お主自ら出るのか?それはまた珍しい。」

 

「気まぐれさ。黒霧、すまないが、こちらにきて私を保須市に転送してくれ。」

 

魔王出陣。

 

ーーーーー

 

「(・・・ぐっ、首が痛い。)」

 

出久の奇襲に合い、気を失っていたレイコムの意識が戻る。出久としては二撃目が本命で、当分は気絶させておく威力を込めるつめりだった。

 

しかし、一撃目が綺麗に入ってしまい出久の予定よりも早く意識が戻ったレイコムは何とか周囲の状況を把握しようと少し首を動かすが、真横に熱風の弾丸が通り過ぎる。

 

「動かないでください。もし、逃走の意思を見せた場合、怪我を考慮しない威力の攻撃を叩き込みます。」

 

レイコムの動きが風探知に引っ掛かり、ステインとの戦闘の真っ最中でありながら、ウィング・スマッシュ、エアフォースを撃ち出し牽制する。

 

「ヒィィィッ!」

 

その様子を見て、出久と刀を振るうステインは、

 

「よく、この俺と戦いながら、そこまで周囲に意識を向けられる!」

 

「いえ、結構余裕ありませんよ!」

 

「よく言う!」

 

そんな軽口をたたき合いながら、二人のA.Tライダーの戦いは激しさを増していく。先ほどまで、本物の英雄候補である出久を殺さないように戦っていたステインは認識を改め、真の英雄の一人である出久に対し、一切の容赦のない、一刀、一撃、一振り、それら全てに殺気を込めて責め立てている。

 

もうステインの脳裏に逃走の文字はなく、出久を殺すか、出久に確保されるかの2択でのみ行動している。

 

出久は事前に天哉が兄から聞いたステインの個性を情報を得ているため、血の一滴も流さないよう戦っている。ステインからすれば熾烈すぎる攻めも、実は細心の注意を払った攻めであった。

 

そういった要素もあり、出久とステインの戦いは激しさを増しつつも、一種の膠着状態に陥っていた。

 

そんな二人を見ながら、レイコムの内心は大いに荒れていた。

 

「(なんで、なんで俺がこんな目にあっているんだ。確かにヴィランと協力したさ。でも怪我人も出ていない。失った金だって銀行の金だ。沢山あるんだから少しぐらい良いじゃないか。それに俺が有名なヒーローになれば、もっと多くの人を助けられるようになる。問題ないじゃないか!)」

 

子供以下の、自己中心的な思考のもと、本人曰く理不尽な目にあっている原因に視線を向ける。

 

「(こいつらだ。ヒーロー殺し、ステインとそのステインと仲良さそうにしているガキ。さっき俺が殺し損ねたネイティブと別のガキ二人。こいつらが生き残っている限り、俺の平穏は訪れない。)」

 

どうにかしなければ、どうにかしないと、自分の人生が狂ってしまう。しかし、出久、天哉、焦凍、見るからに優秀そうな職場体験生3人、プロヒーロー2人、そしてヒーロー殺し、この6人を相手に立ち回ることができる強さなど持ち合わせていないレイコムは内心で罵ることしかできなかった。

 

 

 

「大変そうだね、レイコムくん。力を貸してあげよう。」

 

 

 

ゾッッッッッ!!!!!

 

 

 

その場にいる全員が、これまでに感じたことが無いほどの怖気を感じる。

 

出久は反射的にフレイムソールをターボソールに切り替え、ステインを無視し、路地裏の壁を数度蹴り一瞬で屋上まで飛び上がった。

 

そこで出久は、鉄製のマスクを被ったスーツ姿の男を目撃する。

 

その男の気配、そして姿を直接見た直後に、出久は自身の失態に気づく。

 

「ダメだよ緑谷出久。君が僕の前に立つのであれば、イフリートソールを発動した状態じゃないと、」

 

死んでしまうよ?

 

ボッッッッ!!!!

 

男が右腕を突き出したかと思えば、腕が膨張、その腕が空気を押し出し、凄まじい空圧が出久を襲う。

 

「(間に合え!)ウィング・スマッ、ガッ!!」

 

空圧が直撃し、出久が吹き飛ばされる。

 

「・・・ふっ、やはり他愛もない。所詮A.Tなどというオモチャ頼みの石ころか。さて、」

 

マスクを被った男、オールフォーワンの指先から黒い爪のようなものが伸び、

 

「ギャッ!?」

 

レイコムに突き刺さる。

 

「「「「「な!?」」」」」

 

助けにきたような言動をした男によるまさかの強襲にその場にいるものたちは驚愕の声を上げる。

 

「反動は大きいかもしれないが、君の個性と相性の良い、氷系の個性をいくつか渡してあげよう。」

 

突き刺さった爪から何かが流れ込み、

 

「ぐっ、ぎゃぁあ!!」

 

レイコムの全身から白毛が生え、体格も二回りほど大きくなる。まるで雪男のような姿に変わったレイコムに驚くも、ステインはオールフォーワンに向かって大声を上げた。

 

「貴様!死柄木が、先生、と呼んでいた男だな。その耳に残る話し方、覚えがある。なぜ横やりを入れる。死柄木の意思、いや奴はそんな小さい男ではないな。貴様、何が目的だ!?」

 

「ステインくん、君が期待外れなのが悪いんだよ。せっかく君が仕事をし易いよう、エンデヴァーのようなヒーローの邪魔が入らないよう、わざわざ脳無を街に放ったのに、来てみれば、あんな石ころと楽しそうに遊んでいる姿をみせられたんだ。だから、僕が邪魔に入ろう、と思ったわけさ。」

 

「あ、あんた!レイコムに何をしたんだ!?」

 

やっと体が動くようになったネイティブが立ち上がり、ステイン同様に叫ぶ。

 

「彼かい?この場を乗り切りたそうにしていたからね、ステインくんのサポートを辞めて、彼のサポートに切り替えたんだ。」

 

「ぐぉぉぉぉ!」

 

変容したレイコムがまるで獣のように叫ぶ。

 

「レイコムは彼のヒーローとしての名前だからね、新しい名前を僕から送ろう。そうだね、フリガロ、なんてどうかな?」

 

「おぉぉぉぉ!!!」

 

ガガガキーーン!!

 

と、レイコム改めて、フリガロの周囲に強烈な冷気を放つ氷柱が複数そびえ立ち続け、ステインやヒーローたちに襲い掛かっていく。

 

「はぁ!!」

 

ゴウッッ!!

 

焦凍が炎を繰り出し、氷柱を押し返そうとするが、

 

「なに!?」

 

多少は勢いを削いだが、溶かしきることができず、幾つかの氷柱が一番近くにいた、ステインに襲い掛かる。

 

「チッ!」

 

オールフォーワンに意識が向きすぎていたステインの反応が一瞬遅れる。

 

「(俺としたことが、しくじっ、)」

 

氷柱がステインに直撃する、思われた瞬間、

 

「ハァッ!」

 

ガシャッ!

 

天哉が焦凍の炎によって勢いが削がれていた氷柱を蹴り飛ばした。

 

「・・・なぜ、助けた。」

 

ステインが天哉に疑問を投げかける。薄々、たった今自分を庇った男が先日自分が襲ったヒーロー、インゲニウムの関係者であろうことには気づいていた。

 

再起不能にはし損ねたが、それでも軽くはない傷を親類に負わせた相手である自分をなぜ助ける。

 

そんな疑問を抱いたステインに対して、天哉は、

 

「兄なら、インゲニウムなら、こんな状況であってもアナタを助けた、そう思ったからだ。」

 

「・・・ハァッ、改めて名乗れ、小僧。」

 

「小僧じゃない、ぼっ、俺はターボーヒーロー、ヴァンガードだ!」

 

堂々と名乗りを上げる天哉の姿を見てステインは、

 

「ヴァンガード、その名、覚えておこう。」

 

そう告げた。

 

ーーーーー

 





保須市大通り

プロヒーロー
・エンデヴァー
・バーニン
・地元ヒーロー複数人

ヴィラン
・脳無(限りなく上位に近い中位)1体
・脳無(中位よりの下位【羽根つき】1、下位3)4体

ヴィラン?
・蒼炎を放つ誰か

ーーーーー

保須市路地裏

プロヒーロー
・マニュアル
・ネイティブ
・レイコム→×

職場体験生
・天哉(ヴァンガード)
・焦凍(ショート)
・出久(デク)→一時退場中

ヴィラン
・ステイン

ヴィラン(別集団)
・オールフォーワン
・フリガロ(レイコム)NEW

ーーーーー

・・・書いてて思った、何このカオス
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