A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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カオスな状況をなんとかしようとしたら、この作品最大のカオスが生まれました。


第42話 職場体験 ヒーローVSヴィラン応用(中編③)

 

「オイ。エンデヴァー、気がついてるか?」

 

「無論だ!コイツら、さっきから急に組織だって動くようになりおった。」

 

「やっぱし!なんか倒し難くなったな、って思ったのよ。」

 

地元ヒーローたちも下がらせ、もう大通り近辺には脳無を除けば、エンデヴァー、バーニン、そして荼毘の3人だけしか残っていない。

 

「一番鬱陶しいのはピンク色のヤツだな。知らんうちに追加されて、アイツを中心に雑魚脳無が上手く連携していやがる。」

 

「そのうえ、回復役まで担っているせいで、倒したと思った脳無が気がついたら復活してんのよ。面倒くさいったらありゃしない。」

 

「黒いヤツとピンクのヤツ、コイツらをどうにかせんと被害が拡がる一方か。バーニン、荼毘、黒い奴は俺が抑える。荼毘、お前は他の脳無をピンクから引き剥がせ。バーニン、隙を見て最大火力でピンクを焼け。」

 

「別に5体同時に燃やせるけどな。」

 

「その場合、街の被害が大きくなる。やめておけ。」

 

「てか、指示出すオッサンもオッサンだけど、その指示を聞いてて良いのかよ、ヴィラン連合の荼毘?」

 

ジト目でエンデヴァーと荼毘を見るバーニン、

 

そういえばそうだな、みたいな顔をするエンデヴァーと、ヤケクソ気味の表情をする荼毘が視界に入り、

 

「もう半ばヤケクソだ。」

 

「本当にヤケクソなんかい!?」

 

そして、ふと感じた違和感。

 

「(なんか似てるか?この二人。)」

 

ーーーーー

 

どこかの病院地下

 

「よろしかったのですか、先ほどの中位の脳無を戦場に送って。最初はオールフォーワンからの要請であっても残しておいた個体ですよね?」

 

ドクターと共に脳無から送られてくる映像を観ながら、確認を取る黒霧。

 

「他者を回復させ、指示も出せる後衛指揮官型の脳無、なんてコンセプトで調整しとったんじゃがのぅ。現状の、自分では思考できない脳無ではどうしても中位で頭打ちじゃ。」

 

ドクターはチラッと黒霧に視線を向ける。

 

「黒霧、お主の様に、複数の最適個性を組み合わせ、一つの新たな個性へと進化させ、それを意思を持って扱える怪人は中々作れんのじゃ。」

 

「承知しています。しかし、実質ワープゲートの個性しか使えない私は脳無としては失敗作ですから。」

 

「ふむ。自分で思考し、複数の個性を完全に使い熟す、ハイエンド脳無。オールフォーワンが望む、最強の駒。」

 

黒霧に向けていた視線を別の映像に向ける。そこには自分たちの主人であるオールフォーワンが映っていた。

 

戦闘中であるオールフォーワンの視線の先にいるのは、平和の象徴でもなければ、トップヒーローでもなく、プロヒーローですらなく、なんなら個性すら持ち合わせていない学生。

 

本来であれば、オールフォーワンの前に立つ資格などない石ころは、その両脚に、個性ではなく技術の塊を身につけ魔王の前に立っている。

 

「ワシが提唱した個性終末論、個性の進化が人類を終焉に導く、という考えは変わらん。変わらんが、・・・技術の進化も侮れんのぉ。」

 

既に戦いが始まって数分は経過している。魔王の前に数分間立ち続けているなど、いくらオールフォーワンが本調子では無いにしても異常事態である。

 

「じゃが、何よりもワシが驚いておるのは、」

 

改めて映像に映るオールフォーワンの様子、そしてマスクから送られてくるデータを見る。

 

「なんか、こう。えらい感情的では無いかの、オールフォーワン?」

 

「ですよね。私もそう思ってました。」

 

ーーーーー

 

保須市路地裏から少し離れたビルの屋上

 

空気を押し出し、空圧の弾丸を、いや規模を考えれば砲弾を撃ち出し、出久を襲い続けているオールフォーワン。

 

「どうした?逃げるだけかい、緑谷出久。そんな立派な靴を履いているんだ、せっかくならステップでも踏んだらどうだい?どれ、手伝ってあげよう。」

 

個性を、空気の押し出しから鋲突に切り替え、指先から黒い爪を伸ばし、稲妻の如き勢いで出久を攻め立てていく。しかし、

 

ザッ、シャーッ、ギャッン、ザザッ、ゴッッッウ!!!

 

A.Tを走らせ、走らせ、躱し、躱し、迎撃する。

 

下手に飛び上がりのではなく、屋上を上手く使い、駆け回る。攻撃の合間を縫って、

 

「バッ、レッット!!」

 

「・・・フン。」

 

「(現状一番効果が得られるバレットは地面がないと撃てない。飛び上がっても、フェニクス・スマッシュなら効くと思うけど、戦闘の規模が大きくなったら不味い。)」

 

今自分が無事なのは相手が、戦闘、をしているのではなく、遊び、をしているから、それを出久は理解している。

 

「(援軍、理想はオールマイト、次点でエンデヴァー、最悪ヒーローチャートトップランカーのヒーローの誰かが、・・・いやダメだ。多分トップツー以外じゃ太刀打ち出来ない。)」

 

時間を稼ぐこと、自分の今の役割を正しく理解していた。

 

「(エンデヴァーが合流するか、オールマイトが駆けつけてくれるか、それまで耐えるしかない。・・・カッちゃんとお茶子さん、飛んできたりしないよな。)」

 

そんな思考があるくらいなので、多少の余裕はある。

 

「どうした?鬼ごっこの最中に考えごとかい?僕を相手に随分と余裕じゃないかぁ。」

 

その余裕を少しずつ、魔王は削っていく。しかし、オールフォーワン自身も自分の行動に違和感を感じていた。

 

ーーーーー

 

「(オカシイ。)」

 

無個性の石ころに攻撃を加えているが、その攻撃が自分が行なっているとは思えないほどに非効率だ。

 

「(先ほどの防御も、何故僕は焦ったんだ?まるで僕に殺意を向けるはずの無い存在から殺意を向けられたような反応をしてしまった。)」

 

だが、それもおかしな話である。自慢にはならないが、各方面からこれでもかというほど恨みを買っている。いつ誰に攻撃されるか分からない立場であることから魔王は決して、誰も信用していないのだから、殺気を向けてこない存在などいるはずがない。

 

『ザザッ』

 

ドクターやマキナですら、いつか裏切る可能性を秘めている。

 

『ザザーッ』

 

「(さっきからなんだ。)」

 

『ザーーーッ』

 

攻撃を繰り返し行い、感じる違和感。

 

「(攻撃することに、傷つけることに違和感は感じていない。ただ、最初に放った一撃、防がれたとはいえ殺すつもりで放ったあの一撃が直撃してからしばらく、どうにも調子が出なかった。)」

 

目の前の、A.Tなどというオモチャを使い、個性という圧倒的な力に抗おうとする、愚かな石ころ。

 

「(そして今も、何故僕は、この石ころを殺すことに忌避感を感じているんだ?)」

 

原因が目の前の石ころ以外に考えられない、と考えたオールフォーワンは自分に使っている個性を少し調整する。

 

周囲への感知に重きを置いた構成だったものを、目の前の状況を正しく把握するものに切り替える。

 

「(ふむ、これで音や風景、色なんかも正しく把握、で、き、)」

 

そこで初めて、オールフォーワンは緑谷出久をしっかりと見た。石ころとしてではなく、出久個人を、正しくは出久の目を見た。

 

「その目、与一と同じ、」

 

「与一?」

 

攻撃を止め、まるで失くしたものを見つけたかのように手を伸ばすオールフォーワンに怪訝そうな表情をする出久。そこに、

 

「無事か出久!?」

 

都心から真っ直ぐ飛んできた勝己が、オールマイトよりも、エンデヴァーよりも速く救援に駆けつける。

 

「カッちゃん!?」

 

自分にではなく、駆けつけた勝己に視線向ける出久と、出久に近づいていく勝己の目を見たオールフォーワンは、自分の人生で、もっとも最悪だった瞬間を思い出した。

 

『待て』

 

『何故逃げる』

 

『お前は誰だ』

 

『何故僕のもの触れている』

 

『僕のものにならないなら』

 

『ザーーーーーーーーーッ』

 

ブチッ、

 

「近、寄るなーーーーー!!!!!」

 

激情の咆哮が、空気を震わした。

 

「あっ?」

 

「えっ?」

 

「それは僕の、僕のオモチャ、僕のモノだ!!!!!」

 

出久と勝己は予想外の出来事に唖然とし、オールフォーワンへと顔を向けた。出久は驚きのあまりイフリートソールを解除してしまう。

 

「オイ、出久。テメェ、いつからオールマイトの宿敵のオモチャなんつう特殊な立場に収まったんだ?」

 

「遊ばれている自覚はあったけど、あんなに執着されるようなことした覚えはないんだけど。軽く煽ったぐらい。」

 

「それだな。きっと煽られたことがなかったんだよ。」

 

「え〜、そんなことある?」

 

「その目!その目だ!!」

 

「トチ狂ってるわけじゃねぇなら、誰かと勘違いされてるっぽいな。オイ、出久、テメェが、」

 

「その目をしている奴が、僕のモノに近付くんじゃない!!!」

 

「あ゛?」

 

「カッちゃんも勘違いされてるみたいだね。」

 

グルん、と鉄のマスクで見えないオールフォーワンの顔が再度出久に向く。

 

「勘違いなどしていない!!だが、ああ、ああ!!緑谷出久、君の目は与一の目だ!無力でありながら、魔王である僕に立ち向かうという、無駄な努力をする、その緑の目!ソックリどころじゃない、そのものだ!!!」

 

ギュるん、と今度は勝己にオールフォーワンの顔が向けられる。

 

「そしてぇ、君は爆豪勝己だね。君の目は、僕がこの世界で最も憎んだ相手。ああ、そうだ!僕がこの世で最も憎んだ男、駆藤とそっくりだ。だが奴の血縁はありえない、しっかり絶やしたからね。」

 

ビキッ、

 

「だが今!!奴に、駆藤に似た意志を宿した少年と、与一そのもの目をした少年が、時空を越えて僕の前にいる!!!」

 

両腕を大きく広げ、天を仰ぐオールフォーワン。

 

「これまで神など信じてこなかったけれど、今だけは信じてみたくなった。僕にあの日を、あの僕の人生最大最悪の日を、やり直すチャンスを与えてくれたんだからね!!!!!」

 

フゥ、と一度息を整えたかと思えば、

 

「さて、」

 

ズンッッッッッ!!!!!

 

たった一言の呟き、その一言で出久と勝己はこれまでの人生でトップクラスの圧力を浴びせられた。

 

「カッちゃん、オールマイトは!?」

 

「相澤先生に連絡は入れてもらった、はずなんだかな!!出久、俺の探知じゃ近くに飯田たち以外の気配はねぇ!」

 

「同じく!大通りの騒ぎで皆んな避難してくれてる!」

 

「ならやるぞ!!」

 

「うん!先ず第一に自分たちが生き残る!!」

 

ボッッッン!!!

 

ゴッッッウ!!!

 

フルクラスターとイフリートソール発動し、勝己と出久は魔王に挑む。

 

「とりあえず、攻めて、逃げて、逃げる!!」

 

「異議はねぇ!!」

 

挑む?

 

ーーーーー

 

路地裏

 

「ねぇ!今、ヤバかった気配がもっとヤバい気配になったんだけど。俺の個性で感じられる土地精霊たちがずっと全力で逃げろ、って言いまくってんだけど!」

 

「ネイティブ、目の前に集中しよう!まあ、出来ることは声援を送るしかないけど。」

 

二人のプロヒーローの前では、大男が氷を振り撒きながら暴れ、その周りを学生と指名手配中の極悪ヴィランが縦横無尽に駆け回り、もう一人の学生が炎と氷で撃ち込んでいく。

 

ザッ、

 

「グゥ、やはり斬撃の効果が薄い!」

 

「ハァッ!!」

 

ドッ!!

 

「ゴギャッ!」

 

「良いぞ、飯田!今んとこお前の打撃が一番ダメージが入ってる!」

 

「炎と氷の小僧、炎をどんどん撃て!ヴァンガードの足場を最優先で確保しろ!ヴァンガード、隙を作る!渾身の一撃を奴の顔面にブチ込め!」

 

「分かった!!」

 

大通り、路地裏の戦いは佳境を迎えようとしていた。

 

屋上?カオスだよ。

 

ーーーーー

 

 

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