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「オラ、炎髪女。足引っ張んなよ。」
「誰に言ってんのよ、焦げ男。私の先陣を切らしてやるんだから、ありがたく思いなさいよ。」
並び立つ炎のヒーローとヴィラン。本来であれば、争う以外の選択肢が無いはずの組み合わせだが、今は隣で並びあっている。
「それじゃあ確認。アンタがピンク脳無までの道を作る。私がピンク脳無を焼く。後は各自で他の脳無を蹴散らす。オーケー?」
「まあ俺は5体同時でもいけるがな。」
「ハイハイ、エンデヴァーも言ってたけど被害が無駄に酷くなるから1体ずつね。それじゃあ、行きなさい!」
「ハァー。冷静に考えると、何やってんだ、俺?」
「速く行きなさい!」
「はいよ。テメェも余計な事しないで、しっかり炎溜めて一撃であのピンク焼けよ、火力弱ぇんだから。」
言いたいことを言い終えると、荼毘が脳無たちに向かって走りだす。
ーーーーー
「(ほんと何やってんのかね、俺は。エンデヴァーと共闘とか、リーダーやスピナーになんて説明すっかな。)」
内心で盛大に愚痴る荼毘。何故さっき、自分の後ろを走るバーニンを助けてしまったのか、を改めて考えていた。
「(そもそも、俺はコイツ、バーニンがあまり好きではなかったはずだ。)」
進路を妨害してくる脳無たちに蒼炎を叩き込み、前に進む。
「(エンデヴァーの事務所で、若手でありながらサイドキックの中心として活躍しているコイツが憎くて、羨ましくて。それなのに、さっき咄嗟に助けに入っちまった。)」
1体、2体と脳無を蒼炎で燃やす。
「(一瞬、あの戦場で戦う、もしもの自分を幻視して、もしもの自分ならどうする?なんて変なこと考えてたら、気がついたら炎撃っちまってた。)」
チラッと、バーニンが付いてきているかを確認する。
『共闘ではなく、あくまで同じ戦場にいるが・・・』
先ほどエンデヴァーから言われた言葉。
『同じ戦場にいる』
このたった一言をエンデヴァーから、お父さんから言われることで、自分がどれほど歓喜しているか、荼毘自身推し量れていなかった。
だからこそ、今荼毘は頗る調子が良く、勢いに乗っていた。
「ピンク、テメェの指揮にどんだけバリエーションがあるかは知らねぇが、一つワンパターンなの所があるぜ。」
荼毘が蒼炎をピンクに向けて放つと別の脳無がカバーに入る。
「へっ、やっぱしな!(今の距離。他の脳無で防ぐより、ピンク自体が回避した方が効率は良かった。つまり、ピンク脳無は攻撃された場合、他の脳無を使って防ぐことが行動の優先順位で高い。なら!)」
「オォラァッ!」
ピンクを狙った射線で、連続して放たれる蒼炎だが、火力よりも勢いに重きを置いていた。既に吹き飛ばした脳無に加え、残りの、ピンクまでの進路上にいる2体を吹き飛ばし、ピンク脳無を護衛なしの丸裸状態にする。
「さあ仕上げだ。」
クルッと後ろを向き、自分の後ろを走るバーニンがいる後方に、蒼炎を灯らせた右腕を向ける。
バーニンの目を見るが、
「チッ、」
その目を見て、バーニンが何かを呟くのを聞き、荼毘は盛大な舌打ちをかましてから、蒼炎を放った。
ーーーーー
「(前にピンクを入れて5体。黒いのはエンデヴァーが相手をしている。後1体は、)」
脳無の数、位置を把握しながら、荼毘の後方を走るバーニン。自身の個性である炎髪であのピンク色の脳無を一撃で倒し切るために火力を溜める。
「(あの焦げ男が言った通り、私の火力はエンデヴァーにも、焦げ男にも劣る。まあアイツらの火力が異常なだけなんだけどね!)」
しかし、コントロールでは劣るつもりはない。制御された溜めで十分な火力は引き出せる。自分にできる事を正しく把握し、自分を世の平和の為に活かす、それがヒーロー。
自分が手間取っていた脳無を、荼毘は次々と吹き飛ばしていく。その火力を羨ましく思うことはあっても、僻むことはない。
何故なら自分はエンデヴァー事務所、炎のサイドキッカーズ、バーニンなのだから。
ピンク脳無までの進路上にいた脳無を全てどかし切った荼毘がくるりとコチラを向く。その手には蒼い炎が靡いていた。
だが、バーニンは荼毘の行動を気にすることなく、ただ前を、撃破目標であるピンク脳無だけを見つめていた。荼毘と目線を合わせることすらせず、
「アンタの仕事よ。」
一言呟き、荼毘の横を通り過ぎる。
「チッ、」
盛大な舌打ちが聞こえてきた直後に、炎が放たれた音がし、
「ギャッ!?」
ピンク脳無への進路上におらず、バーニンを後方から狙っていた羽を持ちの脳無が荼毘によって撃墜された。
「後は私の仕事!」
溜めていた炎を一気に、鋭く解放する。
燃え盛る炎髪を勢いよく振り回し、
「ハァッ!!」
一閃!!
ピンク脳無に見事渾身の一撃を直撃させ、行動不能にする。
「ハッ、どんなもんよ!火力不足は技術と根性でカバー出来んのよ!」
腰に手を当て、勝ち誇るバーニン。その様子を後方から見ていた荼毘は、
「腹立つことに、様になってんな。」
「なんか言った!?」
「うるせぇよ。ほら、残りを片付けるぞ。」
残り5体の脳無が起き上がり、二人を囲う。必然的に背中合わせになる二人は、
「私が足とか焼き切ったりしてサポートするから、アンタが行動不能にしていきなさい。」
「あぁ?」
「火力が強い方がアタッカーすんのは当たり前でしょ。さぁ、きりきり働きなさい!」
「ヘイヘイ。」
その数分後、大きなトラブルもなく、実に効率よく脳無5体は沈黙するのであった。そして、
「ジェットバーン!!」
ゴウッッ!!
牽制の炎を数発放ち、高火力を放っても問題ない位置に誘導、赫灼熱拳を撃ち込み、黒い脳無を撃破した。
「ふぅ。」
「「・・・。」」
ジト目でコチラを睨んでくる部下とヴィラン。
「なんだ?」
「なんかオッサン、ラクしてないですか?」
「上司として、部下に面倒くさい仕事押し付けんのはどうかと思うぞ?」
「何を言っている?貴様らならあの程度、苦戦すらせんだろう。」
何の疑いもない、という顔するエンデヴァーに押し黙ってしまう二人。
「さて。荼毘、悪いが拘束させてもらうぞ。」
バッ、とバーニンが荼毘から距離を取り、いつでも炎髪で確保できるよう構える。
「まあ、そうなるわな。だが良いのか?職場体験中の学生を放っておいて。指名手配中のヴィランと接敵してるかもしれないんだろ?」
「奴らなら問題ない。むしろ貴様とステインを合流させないことの方が重要だ。」
「あぁ、やっぱ俺たちヴィラン連合とステインの関係を薄々気付いて、」
ズンッッッッッ!!!!!
少し離れているが、学生たちとマニュアルが向かった方向から、これまで3人が感じたことのないレベルのプレッシャーが発せられた。
「なぁっ!?」
「コレは?」
「ステインか?コレほどの圧を持つヴィランなのか!?」
「いや、違ぇな。ステインの圧を確かに強ぇが、こんな泥々した圧じゃねぇ。コイツは、先生、って奴のか?オイ、エンデヴァー!」
「なんだ!?」
「ここは俺が引いてやる。炎髪女も現場の後始末に残さなきゃならねぇだろ。速く学生たちんっとこ行ってやれ。」
「・・・どういうつもりだ?」
「言ったろ。今日の俺は気まぐれなんだ、速く行けよ。」
「エンデヴァー、悔しいですが、ここは荼毘の言う通り、ショートくんたちの援護に!」
「チッ、バーニン!ここを頼んだ!」
ゴウッッ!!
と炎を体から噴出し、圧が発せられた方角に向かって飛んでいくエンデヴァー。
「それじゃあ、俺はここらで退散させてもらうぜ。」
背を向け、片手に端末を取り出し、もう片方の手をヒラヒラさせながら去っていく荼毘。
「待ちなさい。」
「なんだよ。さっきまで共闘はただの気まぐれだ。止めるならお前も燃やすだけだぞ。」
顔だけ後ろに向け、バーニンを殺気をこめて睨む荼毘。そんな荼毘を無視してバーニンは、
「アンタとオッサン、エンデヴァーってどんな関係?」
核心に迫る疑問をぶつけるのであった。