終わった、戦闘が。
とある日、雄英高校にて。
「え?電波対策ですか?」
サポート科で既に圧倒的存在感を示し、既に専用の作業スペースを確保、与えなかった場合は確実に周囲に被害が出る、した明の所に、出久、お茶子、そして勝己が集まっていた。
「うん。訓練中に上鳴くんが電撃を使ってきた時にふと思ったんだけど、電子機器って強い電気とか電波に弱いから、対策的なのはどうなってるのかな?って思って。」
出久の質問に勝己が補足を入れる。
「当然俺らがあのアホの攻撃を喰らうなんて事はないが、今後広範囲の電波攻撃とかの個性持ちが出てきてA.Tが使えなくなったら面倒だ。」
「前に確か、電撃対策はしとる、的な話は聞いた覚えがあったから、電波の方の確認をしよう思って。」
「してありますよ、電波対策。」
はい、解決。
「あ、いや、明さん。解決、ではあるんだけど、どれくらいのレベルまで大丈夫なのか聞いても大丈夫?」
「電撃対策に関しては、おそらく何も問題ありません。地面立っているなら受けた電気を地面に流す機能もありますし、空中であってもパーツや制御コンピューターも耐電性の強い仕様なので、雷が直撃してもビクともしません。」
「肝心の電波の方の強度は?」
「そうですね。シミュレーションしかしていないので、確実かどうかは置いておいて、とりあえず軍隊で使用する電磁パルス攻撃に耐えられるレベルにはなってると思いますよ?」
「「電磁パルス攻撃?」」
「(軍隊って、それ核使った・・・、聞かなかったことにすっかな。)」
ーーーーー
グシャッッッ!!!
「ぐっ、おぁ!?」
「すみません。電磁パルス、対策済みです。」
オールフォーワンを蹴り飛ばした緑谷出久が堂々と宣言する。
「ウチのメカニックは超優秀なんで。」
出久たちの武器であり、特に出久にとっては生命線でもあるA.Tを、戦闘に耐え得るものにする努力を明は惜しまなかった。
ただの電波対策だけでは耐えられなかってであろうオールフォーワンによる電磁パルス攻撃を、発目明の特製A.Tは見事耐え切った。
出久の装備に一切の妥協を許さなかった明の献身と、その明の言葉を信じ防御でなくカウンターを選んだ出久。二人の信頼と狂気が、魔王の鉄マスクを粉砕したのである。
「・・・この僕を、ここまで手間取らせたのはオールマイト以外では初めてだよ。」
マスクがひしゃげ、屋上のフェンスにもたれかかっていた無惨な状態の魔王は立ち上がり、感覚器官が軒並み潰れたノッペリとした顔を前に向けた。
「オイ、出久。テメェとうとう一撃で顔面グチャグチャにするようになったか。」
「いや、あれどう見ても古傷!」
勝己のボケにツッコミを入れる出久だが二人とも油断なく視線をオールフォーワンから外さず、感知も怠らない。
「貴様ら、等間隔でふざけないと戦えんのか。」
焦凍を伴ったエンデヴァーが二人に近づいてくる。
「昔アメリカのヒーローが戦ってる様子を見て学んだんですけど、適度にふざけて肩の力を抜いて戦う方がパフォーマンスが高いんですよ。」
「・・・誰だそのヒーローは。」
「スカイクロウラーっていうんですけど。」
「ふっ、ふふふ、はっはっはっは!そこでその名が出てくる辺り、やはり今日は運命めいたものを強く感じる日だ。」
何事も無かったかのように立ち上がってくるオールフォーワン。
もしもの世界では(メタ!)天候すら変える拳を顔面に受けても生きていた魔王は伊達ではない。
「このまま続けても良いが、君らとオールマイトに合流されたら流石に面倒だ。引かせてもらうよ。」
「その口ぶり。オールマイトがまだ来れねぇのはテメェの仕業か。」
「彼は手の届く範囲が広いからね。同時多発的に起きる事件事故に対応せざるを得ないのさ。」
勝己とオールフォーワンとの会話にエンデヴァーが割って入る。
「逃すと思うか?この俺が。」
「エンデヴァー、君の事も見誤っていたよ。あの場面で、学生たちに戦闘を押し付け、自分は奇襲のタミイングを計っていたなんて。」
「惑わそうとしても無駄だぞ。俺はデクと、そのライバルの力を信じただけだ。」
自信を持って答えるその姿にオールフォーワンは内心で舌打ちする。
「(心の部分が頑丈になっている?以前様子を確認した時は実に脆い内面だったはずだが。ここ数ヶ月でこの変化、面倒だな。)」
オールマイトを除いて、日本で自分に対抗しうる唯一の存在。実力は申し分無かったが、メンタルに隙を多く持っていた男の脆い部分が補強されている事実に驚異を感じるオールフォーワン。
「だが足手纏いな身内を抱えながら僕と戦うのは得策じゃないのも分かっているだろう。(これは、計画を練り直すべきだね。何よりも。)」
感知の個性を戦闘用から再度切り替える。
目の前には、あの日亡くしたなんとも愚かしい弟(石ころ)の緑と、何度縊り殺しても殺したらない憎き男(鬱陶しいハエ)の赤。
「彼らをどう扱うか、じっくりと考えたいんだ。すまないが本気で逃げさせてもらうよ。」
ズズズズッッッッシャ!!!!
今まで指さきからのみ打ち出されていた鋲突を、体全体から伸ばす。
予想外の奇襲ではあったが、エンデヴァーは焦凍を抱えて後退し、出久と勝己は躱しつつ、おそらく躱せないであろう焦凍と彼を抱えたエンデヴァーの元に攻撃が行かないよう迎撃していく。
「これは痛いし、治すのが手間だからあまりやりたく無かったんだが、この状況では仕方がない。」
オールフォーワンが改めて宣言する。
「これまで僕にとって最高に弄りがいがあったオモチャはオールマイトだった。だがぁ、今日の新たな出会い、過去の隆起を経て、緑谷出久、爆豪勝己、愛しき石ころ、憎きハエである君たちも僕の新しいオモチャとなった!」
「誰がハエだ!誰がオモチャだ!!(この爪みてぇな個性、厄介だ。この規模で展開されると回避し辛くて今の状態じゃ攻勢に出れねぇ。)」
「愛しき、とか気色悪いんでやめてもらって良いですが!?(くっ、血を流しすぎたか!?体のキレが悪くてなって。)」
数十キロ先から駆けつけた勝己と腹に穴が空いている出久。
加えて使用中に自損ダメージが発生するイフリートソールとフルクラスターを発動し続けていた二人は既に満身創痍である。
鋲突による波状攻撃を続けるオールフォーワンの背後に黒霧のワープゲートが現れる。
「君らがなんと言おうとこの決定は覆らないさ!!待っていると良い!!この先、君らの元に、」
ゾッッッッッ!!!!!
悪意しかない圧が二人に向けられた。
「僕が、来る。」
オールフォーワンはワープゲートに消えていった。
ーーーーー
「・・・あの野郎、あんだけボコられて、燃やされてんのに、なんであんな勝ち誇った感じで逃げられんだ?」
「貫禄出したかったんじゃないかな。でも正直、」
「ああ。」
フラッとビルの屋上に倒れ込む二人。仰向けで天を仰ぎ、
「流石にもう無理。」
「同感だ、全身が痛ぇ。またアイツがきたら、流石にもうエンデヴァーに任せようぜ。」
「そうしよう。あ、カッちゃん。」
「なんだ?」
「駆け付けてくれてありがとう。」
「おう。」
ーーーーー
保須市決戦、決着。
最終ラウンド、オールフォーワンVS出久、勝己、エンデヴァー、焦凍
オールフォーワンの撤退により、痛み分けの引き分け。
直撃回数
出久、鋲突が腹に直撃、イフリートソールによる自傷ダメージ
勝己、フルクラスターによる自傷ダメージのみ
エンデヴァー、プロミネンスバーンによる自傷ダメージのみ
オールフォーワン
①イフリートソール発動中のスマッシュを腹部に直撃
②背後からのプロミネンスバーン直撃
③正面からのフェニクス・スマッシュ、プロミネンス(出久・勝己・エンデヴァーの合体技)直撃・・・しかけるも掠り当たり
④イフリートソール発動中のスマッシュを顔面に直撃、ただしマスクによりダメージ減
ゲームと同じです。ボスキャラは沢山ボコらないと倒せません。
ーーーーー
「あ、出久。おばさんと麗日、発目ように、その怪我の言い訳、考えとけよ。」
「だよねー。」