エンデヴァー事務所にて、
「本日もよろしくお願いします!」
「・・・なぜいる?」
保須市での騒動の翌日、保須市での事後処理などは他所に任せ、正規の担当地域に戻ってきたエンデヴァー、バーニン、そして焦凍。
流石に昨日の今日ということもあり、疲労を考慮して午前中の職場体験は事務所での簡単な軽作業のみとし、午後からまたパトロールに出ようとしていた。
そこに出久が現れた。
「はい!体はもう問題ない、と診断されたので、病院を退院し、職場体験を再開しにきました。」
「母親はなんと言っていた?」
「お母さんは、やりたいようにやりなさい、と。」
「・・・イレイザーヘッドは?」
「勝手にしろ、と。なので来ました!」
「・・・分かった。体は本当に大丈夫なんだろうな?」
「はい。全力戦闘は流石に避けたいですが、必要であれば問題なく戦えます!」
「うむ、承知した。だが、今日はダメだ。もうシフトを変更してある。デク、貴様は事務所でキドウの手伝いをしていろ。キドウ、デクの面倒をみてやれ。デク、明日の朝からはまた活躍してもらうぞ。良いな?」
「はい!」
その後、出久は何度かエンデヴァーよりも先に事故を解決した。事件に関してはあくまで補助役に徹し続けた。
焦凍は自身の圧倒的な機動力不足を悩み、氷や炎を圧縮して放つ鍛錬を職場体験を通じて行い続けた。炎のサイドキッカーズはその成長速度にドン引きしていた。
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「なあ、緑谷。」
「何、焦凍くん?」
「お前、なにかあったか?」
「・・・職場体験が終わったらお母さん、お茶子さん、明さん、さらに相澤先生から、別途にお説教があるらしいんだ。」
『生きて帰ってきてくれたことは当然嬉しいけど、無茶したことへのお説教はちゃんとするわよ。』
『デクくん。職場体験終わったらちょっと長いオハナシがあるから、ええね?』
『出久さん。なんで私にだけメールが無かったんですか?私ならオールマイトの電話ハッキングするぐらいわけありませんでした。怒ってます!』
『状況的に仕方がなかったかもしれないが、それでも無茶をしたお前を叱らなければならん、いいな?』
「心配かけただろうからな、しょうがねぇえだろ。」
「うん。」
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「天哉くん。本当に明日から職場体験を再開するのかい?」
「はい!出久くんたちと同様、今日からの再開も検討したのですが、兄に引き続き、自分も怪我を負ってしまい、母に心配をかけてしまいました。そこで、相澤先生からの提案で一日母を安心させる為の休養を頂きました。また明日から、よろしくお願いします!」
「アハハハハ、どうしようネイティブくん。雄英の学生ってこんな魔境の住人ばっかなの?あの戦いに参加した子が2日後には現場復帰してるよ。しかもあの感じ、ショートくんやデクくん、ダイナマイトくんたちはもう復帰してるよね。」
報告書を一緒に作りにきていたネイティブ。
「いや、彼らが特殊だと信じてぇよ。」
「いえ?流石に緑谷くんは怪我が酷かったので、」
「「だよね、彼は腹に穴開いてたもんね。」
「今日の午前中は休んでました。」
「「戦闘民族か雄英!」」
「?」
雄英生徒は、授業→怪我する→治療される→授業に戻る→怪我する、のサイクルが出来上がっている為、治れば復帰が常識になっていたりする。
残りの職場体験期間中、保須市では迷子やお年寄りを背負って爆走するヒーローが何度も目撃された。
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「あ、ダイナマイトだ!」
「おーい、ダイナマイト!サインちょーだーい!」
「握手してー!」
「キャプテンを付けろキャプテンを。あと俺は職場体験中でプロじゃねぇぞ。」
ヤンキー座りで、子供たちに目線を合わせて話す勝己。
パトロール中、子供たちに話しかけられることが増えてきた勝己はこの職場体験中に子供や一般市民との交流の仕方を多く学んでいた。
「えー、ダイナマイトのサインとか将来絶対プレミア付くから今欲しい。」
「現金にも程があんだろ現代のガキンチョ!?」
「お、またダイナマイトがキレてんぞ。」
「キレてねぇわ!吹き飛ばすぞ、ゴラァ!!」
言葉使いだけは中々直らない。その光景に大きなため息を吐くベストジーニストであった。
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「キャプテン・ダイナマイト、コーヒー買うけどお前も飲むか?」
「・・・アザッス。」
「爆豪くん、さっきの事故の報告書を書くからちょっと詳細教えて。」
「ウス。・・・あ、先輩、そこ違います。」
「あら、本当。ありがとね。」
「爆豪、みなで食事に行くが、君もぜひ来たまえ。何か好みはあるか?」
「・・・辛いのが結構好きです。」
「では中華だな。」
爆豪はクソ生意気な学生と認知されていたが、何故か先輩ヒーローたちから構われてる姿が多く目撃された。
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リューキュウ事務所にて
「それで、例のデクくんは無事だったのかしら。」
お茶子の職場体験先のプロヒーロー、リューキュウがお茶子に尋ねると、
「無事といえば無事だったんですけど、」
「あら、良かったじゃな、」
「お腹貫かれてたらしいんですよ。」
「それ世間一般の無事とはかけ離れてるわよ!?」
クールービューティで有名なリューキュウが思わずツッコミを入れてしまう。
「不思議〜、なんでお腹に穴が開いてるのに無事だと思ったの?」
雄英の3年生でインターンで先輩からも疑問が飛んでくる。
「波動先輩。実はですね、デクくん、・・・今日もう職場体験再開しとるらしんですよ。」
「「それはおかしい。」」
美人で大人の女性二人が真顔でツッコミを入れた。
「雄英ってそんな厳しかったかしら?」
「いや。流石に入院レベルは休んでるはずだけど、不思議〜。」
「なので、職場体験期間が終わったら一回お説教です!」
そんな気合いを入れているお茶子の様子に呆れながらも、
「ほどほどにね。それじゃあ時間だし、二人ともパトロールに行くわよ。」
「「はい!」」
リューキュウの号令の3人は街の安全のために出動していった。
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リューキュウ事務所電話係は荒れていた。
ただでさえクールビューティで人気のあるリューキュウ事務所。加えて去年からはミステリアスな雰囲気を醸し出すインターン生のネジレチャンが活動しているのだ。
そこに、明るい雰囲気で周囲を和ませる可愛い系、かつA.Tで空を駆ける際には美しさも醸し出す少女が参入したのだ。
お茶子の職場体験期間中、凄まじい量の問い合わせ電話が鳴り続けたそうだ。
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雄英高校にて、
「どうした心操、どんどん個性を使え。個性は身体機能、使った分だけ出力は伸びる。」
「瓦斯島、ブーストされている時の個性の出力を体に馴染ませろ!」
「「はい!」」
午前中、個性をガンガン使う訓練。
「心操、お前には俺の捕縛布の使い方をレクチャーしてやる。身につけてみせろ。加えて完全洗脳後の精度を上げろ。」
「はい!」
「瓦斯島、俺の操血やお前のガスのような個性にはコントロールするためのイメージが重要だ。細かい操作を身につけられれば、それがそのまま威力に繋がる。頑張っていくぞ!」
「はい!」
午後、細かい操作や特殊技能習得訓練。
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「「死ぬ。」」
実質、プロヒーローからのマンツーマン指導を受けている二人は訓練施設にて倒れ込んでいた。
「めっちゃ疲れてんじゃん。」
「大丈夫か二人とも?」
「水飲めるか?タオルいるか?」
そこにC組のクラスメイトたちが様子を見にやってきた。
「てか皆んなどうしたよ?あ、水助かる。」
「ほい。もう放課後の時間だぜ。」
「はい、心操。タオル使いな。」
「サンキュ。」
「・・・それ俺が持ってきたやつ。」
「二人が別授業になって4日目だが、どうだ訓練は?」
C組委員長が訓練の進捗状況を尋ねると、
「チョーキツイ。」
「圧縮訓練なのは分かってたけど、ほぼイレイザーヘッドとブラドキングと一対一で訓練してる。ある意味、ヒーロー科の奴らより贅沢してるかもしれねぇ。」
「でも二人とも、期末試験じゃヒーロー科が受けるのと同じく実技試験受けるんだろ?大丈夫そうか?」
「あー、それな。先生たちは教えてくれなかったけど、ヒーロー科の先輩に聞いたら去年の1学期期末の実技試験はロボとの実践形式だったって。」
「瓦斯島の行動力ヤバいわね、相変わらず。てかロボだと心操不利じゃん。」
「期末試験に限らず直接戦闘が課題だからな。それもあってイレイザーヘッドに捕縛布習ってるんだ。あとA.Tも始めた、ほら。」
心操が脱いでいたA.Tを見せる。
「む、A.Tか。瓦斯島もか?」
「もちろん!なんなら俺の個性と相性良いかもしれない。」
ガスで周囲の探知が走る際に便利だったりする。
「この後はセメントスからA.Tの基礎訓練だ。例のA.T貸し出しの試しも兼ねてんだと。」
よっ、と立ち上がった心操と瓦斯島はストレッチを始めた。
「先にメシだな、弁当食うか。」
瓦斯島が荷物の中から食事を取り出し始めると、
「二人とも学校泊まり込んで訓練してんだもんね。じゃあ私らも。」
「今日もか。帰り遅くならないようにな。」
「食べたら帰るさ、邪魔はしない。しかし、お前らのクラスメイトでいられるのも後わずかだ。これくらいは良いだろ?」
「いや、まだ試験に受かると限ったわけじゃ、」
「「「受かる!」」」
3人が同時に断言する。
「私ら信じてんだよ。アンタらが将来活躍するヒーローになるって。」
「んで俺らは自慢するんだよ。アイツら普通科からヒーロー科に編入してヒーローになって、俺らはそのクラスメイトだったって。」
「手伝えることがあればなんでも言ってくれ、助けになる。」
「みんな。・・・よし、頑張ろうぜ心操!」
「そうだな。ちょっと期待が重いけど、気合いは入るな。」
その後、一週間という限られた期間で自身鍛え抜き、小さな自信を身につけた二人であった。