A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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第53話 期末試験VERYHARDMODE

 

雄英高校ヒーロー科の期末試験は入試と同様に筆記試験と実技試験が実施される。

 

中間試験よりも出題範囲が広く、学校行事などで一度浮かれた学生を改めて学業に集中させるため、学校側としてはとても重要なイベントである。

 

またヒーロー科はその性質上、学力よりもヒーローとしての素質が入試合格の要素で比重が重くなっている。そのため入学後に学習面で苦労する生徒が例年出てくるのだが、

 

「「筆記試験なんとかなったー!」」

 

学力上位層が下位層をサポートすることで、学力に不安があった面々はなんとか試験突破に成功した。さらに、

 

「なんなら、実技試験もなんとかなったー!」×ヒーロー科生徒一同(一部生徒除く)

 

学校側は、今年に入ってから多発している雄英生を巻き込んだ凶悪ヴィラン事件を考慮し、生徒たちの対人能力の向上を計った。そのため対教員ヒーローとの次戦形式の実技試験が実施された。

 

生徒たちが抱えている問題点を突ける力を持った教員ヒーロー1人がペアになった生徒たちを担当、生徒たちは制限時間内にヴィラン役の教員ヒーローの確保、またはどちらかがある地点まで退避することが合格の条件になっていた。

 

もちろん2対1とはいえプロが相手では生徒側が不利であるため、重しをつけるなどのハンデはあった。それでも十分に突破困難な試験をA組、なんならB組の生徒も全員突破してみせたのである。

 

これにはちゃんと理由があり、

 

ーーーーー

 

期末試験数日前、

 

「切島、瀬呂、上鳴!テメェらは考えなしに動きすぎ、個性使いすぎなんだよ!切島、テメェは脳味噌まで硬化しとんのか!?A.Tが使えるようになったんなら機動力もちゃんと活かせ!飯田を見習え!」

 

「根性!」

 

「飯田!テメェもテメェで攻め気が無さすぎんだよ!ちゃんと射程に入ったんなら俺にすれ違いざま、蹴りを打ってくるぐらいしろや!」

 

「くぅ!やってみせる!」

 

「瀬呂、テメェは逆だ!その個性は絡めてを身につけりゃ十分強力なんだよ。攻めばっか意識すんな、引く時は引け!」

 

「おっ、おう!」

 

「上鳴!テメェは今すぐサポート科行って指向性を持った電撃を放てるアイテムもらってこい!」

 

「なんか俺だけ雑じゃない!?」

 

「身体能力が並の人間スタンガンなんぞいくらでも対応されんに決まってんだろうが!発目にはもう話を通してある。早よ言って相談して来いや!」

 

「は、はいぃぃ。」

 

セメントスに用意してもらった障害物ありのフィールドで勝己から多対一形式の模擬戦という名の一方的な爆破を浴びせられる面々。

 

どうにか対処しようとするも、直線的な動きばかりで行動が読まれる切島。

 

機動力の正確さは上がったが回避ばかりで攻め手に欠ける天哉。

 

動き回る勝己をなんとか確保しようと、攻めばかり意識してしまている瀬呂。

 

そもそも役に立てていない上鳴。

 

彼らにダメ出しを続ける勝己。

 

期末試験に向け、ハードな訓練を熟す生徒たちだが、その中には意外な光景もあり、

 

「青山!溜まったんならさっさと撃ってこい!」

 

「全力全開!ネビルレーザー!」

 

「A.Pショット、ブラスター!」

 

青山が溜めに溜めた渾身のネビルレーザーは勝己が無造作に放ったブラスターに相殺されるが、

 

「良し!」

 

「良いじゃねぇか、青山。今の溜め時間でその威力が出せんなら十分だ。おら、もう一回走ってこい。次は連射だ。」

 

「はい!」

 

勝己は青山に、移動砲台になる案を提示した。走りながらチャージし、攻撃を放つ訓練を課したところ、意外な青山の熱意も合わさって、成長がしっかり見られている。

 

「おー、スゲェな青山。とうとう爆豪のブラスター止めたぜ。」

 

「ああ。何回レーザー消し飛ばされて、爆破されたか分かんねぇぐらいなのに。アイツも漢だな!」

 

なお、会話しながら視線を逸らすという完ぺきな隙を見せた瀬呂と切島の二人は、もれなく即爆破された。

 

ーーーーー

 

「砂藤くん、時間制限ありの強化個性は使うタイングだよ。戦うため、守るため、避けるため、逃げるため、どこで個性を使うかをよく吟味するんだ。そして、その吟味の時間を確保するために、」

 

「お、お、お?ちょ、た、タン、」

 

「ヴィランは待ってくれないよ。技量を磨くのがベスト!」

 

出久との模擬戦を通じて、個性抜きでの戦闘技能を物理的に叩き込まれ続ける砂藤。ある程度砂藤をボコした出久は視線すら向けずに、見えないはずのクラスメイトに話しかけた。

 

「葉隠さん、また気配が漏れたよ。光を捻じ曲げる個性で姿は消せても、気配は消えない。なら気配を自力で消す技術を身につけるんだ。」

 

「そんな技術、一朝一夕じゃ身に付かないと思うんだけど。」

 

「基本は呼吸と足音、そして精神。周りで戦闘が起こっていても呼吸と歩みを乱さず、ブレることないメンタルを保ち続けるんだ。先ずは慣れだよ、続けて。」

 

「お、鬼がいるよ〜。」

 

常に出久たちの風探知の監視下に置かれ、危ない際は助けに入ると言われているが、訓練施設を一定のリズムの呼吸と歩みを維持して動き回る特訓をやらされる葉隠。

 

「ダァリャアァァァ!!」

 

「良い攻めだよ尾白くん!以前まであった大技を出す際の隙が全然ない!油断すれば僕も危ないレベルだ!うん、少し本気出すから頑張って受け流して。」

 

「え、ちょ。」

 

「フェザー・スマッシュ、フレイムソール!」

 

「クッ、かかって来い!」

 

おそらく勝己を除けば最も出久と訓練している時間が長い尾白は、近距離限定に限り、炎なしの出久とならば互角に近いレベルで戦えるようになっていた。そのため、次のステップとしてフレイムソールの相手をするようになったのだが、

 

「(一番弱い火力でこれか!?)ゲフッ!」

 

狭い空間でならあの勝己すら後手に回る炎を纏った連続蹴りを喰らい、あえなく撃沈する尾白であった。

 

「おっ、りゃあ!」

 

「おっと、今のは危なかった。良いよ峰田くん、モギモギを使ったトランポリン移動、十分武器になってる。」

 

「ケッ、しっかり躱しといてよく言うぜ。」

 

モギモギを訓練している空間に散りばめ、トランポリンの要領で飛び回り、出久の隙を突いたつもりで繰り出した峰田の攻撃はしっかりと回避された。

 

「その技が完成すれば、ヴィランの確保も撃破もできる更にカッコいいヒーローになれるよ!」

 

「(更にカッコいい=更にモテる。)オッシャァ!やったる、ギョパ!」

 

「でも油断はダメだよ。て、ゴメン!フレイムソールのまま蹴っちゃった!」

 

峰田が勢いをつけ、真正面から出久に突っ込むんだところ、綺麗にカウンターが入ってしまう。フレイムソール込みのカウンターは即リカバリーガール行き案件だった。

 

ーーーーー

 

「耳郎ちゃん、防御張るならしっかりと張らな。ヤオモモちゃんがピンチになっとるよ。」

 

「え、ヤバ!?」

 

音の衝撃波で自分と後ろにいる八百万を守ろうとしていた耳郎だったが、お茶子の範囲攻撃の威力を流しきれず、八百万を自前でアンカーを創造し耐えねばならない状況になっていた。

 

「ヤオモモちゃんもやりたい事が沢山あるけど、出来ないって顔やね。」

 

「そ、それは、」

 

入学してからここまで、なかなか自分の成長を実感できていない八百万は自信なさげな顔をしてしまう。しかし、お茶子は笑顔を作り、言葉を投げかけていく。

 

「どんどんやってこ。」

 

「え?」

 

「これ、訓練やもん。いつかくる失敗できない状況に向けて、いっぱい失敗して、いっぱい考えて、いっぱい試す。それが出来るんが私ら学生の特権や。」

 

「どんどんやっていく、学生の特権ですか。・・・分かりましたわ!耳郎さん、私のオペレーションに付き合っていただけますか!?」

 

「オッケー、ヤオモモ!あの自信満々な風の少女に一泡吹かせて、」

 

「フン!!」

 

「「わきゃー!」」

 

余計な事を言った耳郎とその巻き添え喰ってしまった八百万はお茶子はが繰り出したエリアエアフォースによってかっ飛ばされていった。

 

「芦戸ちゃん、この風に対して酸をどう当てに行くか、よく考えへんと一生当たらへんよー。」

 

「ねぇ、まって!八つ当たり、これ絶対八つ当たりだって!」

 

「ハァッ!」

 

「ミギャー!」

 

ついでに吹き飛ばされる芦戸。

 

その後、八百万の指示のもとお茶子の風を突破するべく様々な作戦が行われ、後半からは別でトレーニングしていた、焦凍、常闇、障子、口田、蛙吹も加わり、総勢8人がかりでお茶子撃破に取り組んでいた。

 

「なんかヤベェことになってるけど、止めなくて良いのか?」

 

訓練をひと段落させた切島が代表して出久と勝己に尋ねる。いかにお茶子といえど流石に8人がかりは危ないのでは、と危惧した発言だったが、

 

「問題ないかな。」

 

「問題ねぇな。」

 

「問題ありませんね。」

 

「3人とも同じ意見なわけか。・・・ん?3人?」

 

シレッと訓練施設の中に入り込んでいた明がタブレットを操作しながら、お茶子とクラスメイトたちの訓練をモニタリングしている。

 

「明さん、訓練中は危ないから勝手に入ってきちゃダメだよ。」

 

「問題ありません!出久さん、勝己さん、お茶子ちゃんの様子はA.T経由では把握しています。私が施設に入れば直ぐに感知でき、安全が確保されるのを確認できていたので勝手に入りました。私一人のせいで訓練を中断させたら申し訳ないですし。」

 

「明さん。」

 

明が周囲に気を遣えていることに感動を覚えた出久だが、勝己が呆れた表情をしながら、

 

「で、本音は?」

 

「なかなか興味深い訓練でしたし、中断されたらデータが取れないじゃないですが。あと、直にモニタリングしたかったので勝手に入りました!」

 

「僕の感動返してよ!?」

 

一瞬で感動を打ち砕かれた出久が項垂れるのを無視し、お茶子たちをモニタリングし続ける明に勝己が近づき、

 

「正直どうよ、麗日の調子は?」

 

「悪いわけではありません。しかし、やはり攻撃面の加減が難しいようで苦戦していますね。」

 

「あれで加減してるのかい!?」

 

遠距離攻撃主体の青山の視界に映っているのは、突風を巻き起こし、ダークシャドウによる攻撃も、酸も、氷も、炎も、砲弾も完全に防ぎ、反撃の風撃でクラスメイトたちを転げ回しているお茶子である。

 

加減している戦闘力とは思いたくない強さだが、

 

「体育祭じゃ轟に負けたが、メンタル的な部分がデカかったからな。」

 

「正直、ルール無用だった場合、僕もカッちゃんも勝つためには切り札を切らないと負けるし、」

 

「切った所で確実に勝てる保証はねぇしな。」

 

「本気の麗日ってそんなにやべぇのかよ。」

 

耐えられる自信ねぇな、と顔を青ざめさせる切島の横から、

 

「麗日くんがしている加減とは?」

 

会話に加わった天哉にショックから復帰した出久が簡単に説明をする。

 

「えっとお茶子さんの得意技は、エアフォースとかの風弾は当然として、瓦礫なんかを撃ち出したりする技もあってね、」

 

「(入試で見たな。)」

 

「他にもお茶子さんを中心に僕のトルネードなんか比較にならないくらいの竜巻を発生させる技もあって、」

 

「(轟くんとの試合の最後に出したヤツだな。)」

 

「あれら全部、加減して入試や体育祭で見せた威力だから、本気だしづらいんだよ。」

 

「あれ加減してたのかい!?」

 

愛用のメガネにひびが入るほど驚いてしまった天哉。

 

「覚えておけよお前ら。麗日がガチギレしたら、マジで手が付けられなくなるからな。オールマイトは災害を吹き飛ばす力を持ってるが、麗日が本気出したら、災害が意思を持って襲ってくるぞ。」

 

勝己からの忠告に、A組生徒たちは首を大きく上下させ、連続して頷くことで答えるのであった。

 

ーーーーー

 

「おーい、A組、一緒に訓練しよー、ってなんじゃありゃ!?」

 

更に、本来の流れよりも交流が増えているB組の面々がA組の訓練に加わり、生徒たちは格上や多種多様な個性との戦闘経験をより多く積むことができた。

 

B組の多くの生徒は改めて、出久、勝己、お茶子のでたらめっぷりに驚愕しまっていたが。

 

また、出久、勝己、お茶子も己に制限をかけながら他の生徒の相手にしたり、多対一の訓練に励むことで着実に実力を伸ばした。

 

そこに定期的に明が参加することで、サポート科目線のアドバイスが加わり、全員が体育祭、職場体験から比較して飛躍的に実力を伸ばしたのである。

 

その結果、一部の生徒を除く、A組・B組のヒーロー科38人の生徒たちは見事、対ヒーローの実技試験に合格したのである。

 

では、タイトルにある『期末試験VERYHARDMODE』とはどういうことなのかというと、

 

ーーーーー

 

 

「では、君たちには特別試験を実施させてもらうよ。」

 

 

ヒーローコスチュームに着替えたオールマイト。その身に、明がデザインを担当したヴィラン役が付ける重りは無い。

 

 

そして、

 

 

「貴様らに手加減などは不要だと考えている。なんなら連携の練度を考えれば、同格以上を相手にするつもりでいくぞ。」

 

 

「本来このような試験、認めるべきではないのだろう。しかし、君らが置かれている状況を鑑みるに、必要だと判断した。もしもの時の対応として、リカバリーガールやイレイザーヘッドも待機してくれている。悪いがベストを尽くさせてもらうよ。」

 

 

炎を滾らせ、戦意に満ち溢れたエンデヴァーと極太特殊繊維で作られたワイヤーを用意したベストジーニストが並び立つ。

 

 

期末試験VERYHARDMODE

 

 

オールマイト・エンデヴァー・ベストジーニストVS出久・勝己

 

 

「「いや、ちょっと流石に無茶では。」」

 

 

開幕。

 

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