A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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第58話 期末試験 ヒーローVSヒーロー超応用⑤

 

実技試験会場

 

十字砲火が躱された瞬間、

 

出久の中にあったのは、

 

「(オールマイトもエンデヴァーも、やっぱり凄い!)」

 

プロヒーローたちへの賞賛だった。

 

限界を踏み越えた勝己の一撃も、完璧なタイミングで放った連携も、オールマイトとエンデヴァーは超えてみせた。

 

そして今、攻めていたはずの出久たちはピンチに陥っている。

 

「(エンデヴァーの攻撃が来る!ここでフォローに入らないとカッちゃんがヤバい。でも、オールマイトが飛んできたら対処できなくなる。なら、)」

 

出久は、燃え盛る拳を引き絞るエンデヴァーも、その拳の向かう先である勝己も放置した。

 

言葉を交わさず、目線すら合わせず、出久はオールマイトに向かった。

 

「(僕とカッちゃん、二人が生き残るための最適解は、互いを信じて託すこと!)」

 

出久は、勝己があの状況を乗り越えることを信じた。

 

そして、エンデヴァーの攻撃が繰り出されたにも関わらず、勝己の気配は変わらない。

 

むしろ普段以上に洗練されていた。

 

そして、普段あまり表に出さない、A.Tライダーとしての気配がどんどん高まっている。

 

「・・・フハッ、」

 

思わず、といった様子で口角を上げてしまう出久。

 

個性を発動した様子は無かった。

 

なんなら、今もなお、使用する気配が無い。

 

「(本当に、本当に、カッちゃんは凄い人だ!)」

 

緑谷出久は知っている、もう爆豪勝己が折れることなどないと、屈することはないと。

 

爆豪勝己の信念は、決して折れず曲がることのない金剛の槍であると。

 

だからこそ、緑谷出久は負けられない。

 

己の中にある勇気を、狂気に変え、笑いながら突き進む。

 

叩かれ、叩かれ、何度も鍛え上げられた、玉鋼の刃として。

 

己の道を切り開き、仲間の脅威を払う刃として、

 

両脚と狂気を燃え上がらせ、緑谷出久が前に出る。

 

勝己を攻撃しようと飛び出していたオールマイトの進路上に躍り出る。

 

「来るか、緑谷少年!ならば、」

 

オールマイトの拳は既に繰り出され始めている。この一撃に攻めの防御は間に合わない。

 

されど忘れてはいけない。出久のイフリートソールはあの脳無の腕を圧し折った実績があるのだ。

 

「「スマッシュ!!!」!」

 

二人のスマッシュが激突し、

 

「オッフ!?」

 

ヒットしたのは出久の、

 

二撃目。

 

「(緑谷少年の十八番、右回し蹴りからの左後ろ蹴りの連撃!?)」

 

オールマイトの腕を右で逸らしきり、、間髪入れずに二撃目を放った出久。

 

しかし、

 

「(硬すぎる!溝を外したにしても、何を蹴ったんだ僕は!?)」

 

力んだオールマイトの肉体に阻まれる。

 

「(いや、なんつー蹴りだよ。お昼戻しかけちゃったよ。)」

 

オールマイトもオールマイトで、イフリートソールを纏った出久の蹴りの威力に驚愕する。

 

「(ほぼ耐えられた。なら、)更に!」

 

「向こうへ!(緑谷少年に大振りはまず当たらない、なら、)」

 

「「プルス・ウルトラ!」」

 

両者前に出る。パンチを出せば、蹴りを出せば届く距離に、身を置く。

 

オールマイトが選択した攻撃はラッシュ。

 

どんな一撃でも、ヒットさえすれば大ダメージが入るオールマイトならではである。

 

しかし、この選択はオールマイトの欠点を露にする。

 

「ぬう!?」

 

既に無数の、百以上もの連打を放っている。

 

超スピードのラッシュ、普段であれば、既に顔面を大腫れさせたヴィランが出来上がっているはずである。

 

しかし、スピードとパワーが足りていても、技術が足りていない。

 

そして、技術がなければ緑谷出久は捉えられない。

 

数百に到達したラッシュを、出久は被弾ゼロで避け切ってみせる。

 

「マジかよ!?」

 

「(風探知全開で、オールマイトの動きを先読みしろ。目線、筋肉の動き、呼吸、オールマイトの情報を読み取れ!)」

 

他者から見れば、オールマイトの拳が一枚の壁のように迫っている状況だが、実際は腕2本だけである。

 

出久は風探知から得られる情報、呼吸、筋肉、目線、そこから読み取れる情報、あらゆる情報を収集、アップデートし続けている。

 

より正しい情報が更新されれば、それだけ回避は容易くなる。

 

なるはずだが、

 

「(マジか。だんだん攻撃が鋭くなってる。)」

 

少しずつ、少しずつ、拳の鋭さが増しているのは気のせいではない。

 

「(いや、まさかこれ、)」

 

「最近強敵と戦うことも、苦戦することも、滅多になかったからね。ヘイヘイ!だいぶ調子が戻って、きたぜぇぇい!?」

 

オールマイトが一等キレのある左を打ち出した瞬間、

 

一瞬での視界反転。

 

 

 

「油断!」

 

 

 

「What!?」

 

 

 

調子が上がり、調子に乗ったオールマイトの左腕を掴み、背負い、投げる。

 

 

 

「一本背ぎょ!?」

 

 

 

本来背中から落とす一本背負い。

 

背中から落とすことで投げられた側に受け身を可能とさせ、

 

ダメージを減らすのが通例である。

 

 

 

そして、

 

 

 

投げ方を調節することで、背中ではなく、脳天から落とすことも可能であったりする。

 

 

 

ーーーーー

 

実技試験会場モニタールーム

 

「あいつ今、ヒーローとしてあるまじき技使いませんでした!?」

 

ーーーーー

 

サポート科発目専用区画

 

「絶対良い子に真似させちゃダメな奴!?」

 

ーーーーー

 

投げ技脳天落とし、ダメ、絶対

 

ーーーーー

 

自身の勢いをそのまま利用された投げ技によって、コンクリートに脳天から落とされたオールマイト。

 

視界にチカチカと星が舞う。

 

 

 

「(シット!視界がバグった。なんつー危険な投げ方を、)」

 

 

 

まず逆さの状態から脱さなければ、と体を動かそうとするが、

 

 

 

ボヤける視界一杯に、赤が広がり、更に慌てふためく。

 

 

 

 

「ホワッ!?」

 

 

 

 

緊急脱出のため、逆さの状態から腕の力だけで飛び上がったオールマイト。

 

先ほどまでオールマイトの顔面があった場所を猛火が、出久の蹴りが通り過ぎる。

 

「・・・攻撃に、爆豪少年よりも殺意が込もってないかい、緑谷少年よ?」

 

「必死ですから。」

 

呟きに返事を返す出久が、オールマイトを見上げる。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあラストアタック、行きます!」

 

 

 

 

 

出久は全速力で駆け出すと同時に、今日何度目かもはや分からない大爆発が起こる。

 

設置しておいた爆汗をすべて炸裂させることでエンデヴァーを引き離した勝己は、個性を使って空中へと上がる。

 

自分の方に駆けてくる出久、その速度と角度、オールマイトの位置。それら情報を統合し、幼馴染が何をしようとしているかを察した勝己は、

 

 

 

 

「ぶっつけ本番の連携だぞ!?」

 

 

 

 

「でも、これぐらいやらないと、オールマイトには通用しない!」

 

 

 

 

出久と勝己の連携技の中でも使用頻度の高いエクス・デク・カタパルト。

 

爆破の加速と遠心力を用いて出久をぶん投げ、相手に飛び蹴りを打ち込むこの技をまだ、二人は全力で放ったことがなかったりする。

 

合流した二人は、これまで以上に、互いに互いの腕を硬く握る。

 

今ここで、全力を越える技を放つ。

 

 

 

「1人じゃ、届くだけで超えられない!」

 

 

 

 

「だったら、熨斗付けて送り出したるわ!」

 

 

 

 

超爆速による超加速が加えられた、

 

 

 

 

「フルクラスター!」

 

 

 

 

炎を纏った人間砲弾を、

 

 

 

 

「エクス・デク!」

 

 

 

 

発射!

 

 

 

 

「カタパルト!」

 

 

 

 

だが、足らない。平和の象徴を超えるため、

 

 

 

 

 

「パイル!」

 

 

 

 

パイルトルネードは出久のお気に入りの技の一つだが、イフリートソール発動中、探知以外の風を火力の制御に回しているため、使用できない。

 

しかし今、超加速でかっ飛ぶ出久の周りには十分な風が存在している。

 

 

 

 

「ま、わ、れーーーー!」

 

 

 

 

自らを回転させ、風を纏い、纏った風に更に炎を纏わせる。

 

 

 

 

風は竜巻となり、熱風を撒き散らす。

 

 

 

 

出久を中心に渦巻く超速の炎がオールマイトに迫る。

 

 

 

 

 

「フッ、ハッハッハッハッハッ!ラストアタックに相応しい一撃がきたじゃぁないか!」

 

 

 

 

オールマイトは理解する。この一撃は自分を戦闘不能にするのに十分な威力を持っていることを。

 

 

「(だが、黙って当たってあげるわけにはいかないんだよねぇ!)」

 

 

オールマイトの拳は固く握られ、全身の筋肉が盛り上がる。

 

 

「腰を入れて、ぶん殴る!デトロイト!」

 

 

インパクトの瞬間、宙を蹴り、

 

 

「スゥッ!」

 

 

一瞬一撃のみ、空中での腰の入った一撃を繰り出す。

 

 

「マーッシュッッッッッ!!!!!」

 

 

「トルネーーーーード!!!!!」

 

 

災害を消し飛ばすオールマイトのパンチ。

 

 

超速で進む災害を超える人災。

 

 

両者の激突の勝敗は、・・・互角!

 

 

オールマイトにダメージを与えられずとも、出久にもダメージは入っていない。

 

 

 

「さぁ!次はどうする少年たちよ!」

 

 

 

「ハァッー、」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

「アァァァァァ!!!!!」

 

 

 

「そ、そうか!こっちのパイルトルネードには!」

 

 

 

「アァァァァァ!!!!!ぶっ飛べぇ!!!!!」

 

 

 

「吹き飛ばし効果がーーーーー、」

 

 

 

オールマイトの一撃を受けても、散ることのなかった炎の竜巻は、そのままオールマイトを巻き込み、真っ直ぐ、フィールド外へと進んでいく。

 

 

 

「狙いは私を遠ざけることか!?」

 

 

 

「それと時間!」

 

 

 

「ラスト数秒!この数秒、二人がかりでエンデヴァーを落とす!」

 

 

 

出久が導き出した、完全勝利の条件。

 

 

 

30分タイムアップの瞬間数秒前に、オールマイトをフィールドから追い出した状態を作り、エンデヴァーを撃破。

 

 

 

若干屁理屈にも感じるが、オールマイトの撃破が現実的でない以上、これしかない、とオールマイトを熨斗付きの炎の渦で追いやることに成功した出久は限界が近い体に鞭を打ち、エンデヴァーへと向き直る。

 

 

 

「あとは!」

 

 

 

「あとは、二人がかりで俺を落とせば終わり、か?」

 

 

 

「カハッ、」

 

 

 

「カッちゃん!?」

 

 

 

向き直った出久が見たのは、腹にエンデヴァーの拳を突き立てられた勝己の姿であった。

 

 

 

「その速度、は、」

 

 

 

「制御は甘いが、貴様らの速度に追いつくぐらいはできそうだ。」

 

 

 

背中の複数箇所で、点で炎を放出する技術を会得したエンデヴァーは

 

 

 

超速で勝己に対して間合いを詰め、一撃を入れたのである。

 

 

 

ガシッ、と何かを掴む音が響く。

 

 

 

「貴様まだ!?」

 

 

 

「出久!らす、

 

 

『ビーーーーーーーーーー!!』

 

 

「とぉー。」

 

 

『30分経過試験終了!30分経過試験終了!』

 

 

空中にいた3人は地面に着地し、なんとも言えない表情で立ち尽くす。

 

 

「「「・・・。」」」

 

 

各々、言葉もない状況である。

 

 

ーーーーー

 

 

雄英高校1学期期末実技試験

 

 

緑谷出久、爆豪勝己・・・合格

 

 

30分間、オールマイト・エンデヴァー・ベストジーニスト相手に逃げ切ることに成功。

 

 

ベストジーニスト、撃破

 

オールマイト、試験終了時に場外

 

エンデヴァー、戦闘継続可能

 

緑谷出久、自損ダメージはあるが体に問題なし

 

爆豪勝己、自損ダメージとエンデヴァーの腹パン、腹痛ぇ

 

 

ーーーーー

 

期末試験 ヒーローVSヒーロー 決着!

 

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