A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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第69話 I・アイランド編⑦

 

セントラルタワー上層階

 

「さっき、凄い音したけど、切島たち大丈夫かな?」

 

上鳴が仲間の安否を心配するが、

 

「大丈夫、勝ったみたいだよ。」

 

耳郎が戦闘の結果を伝えた。

 

「この距離で分かるのですか?」

 

八百万が耳郎の知覚範囲に驚くが、

 

「うん。さっき志村さんのアドバイス聞いてから、欠けてたピースがハマったっていうかさ。凄い調子が良いんだよね。」

 

「耳郎もかよ!俺も俺も。なんつうか、出来るのにやってなかったことに気がついた、って言えばいいんかな?電波とか電磁波感じる力はあったけどよ、改めて自分の力として認識して使うと精度が全然ちげぇの。」

 

「うむ!二人のおかげで戦闘を減らしたり、奇襲されずにここまで来れている。」

 

「二人とも良い能力だ。機会があれば私作のA.Tも使ってもらいたいものだ。」

 

天哉と巻巻も耳郎と上鳴を褒め称える。

 

「へー、巻巻もA.T作ってるんだ。私のA.Tもオーダーメイド、とはちょっと違うけど、雄英のサポート科の発目って奴が作ったヤツでさ。」

 

「なに!その話、もっと詳しく、」

 

「てかさー、」

 

そんな会話に峰田が割って入り、

 

「この状況で会話雑談とか、オメェら余裕あるなチキショー!」

 

泣きながら絶叫する。

 

現在、大量に投入された警備ロボットを相手にし、足止めを食らっている状態であった。

 

巻巻は直接の戦闘力が低い八百万がガードを担当し、残り全員で警備ロボットの波状攻撃を迎撃している最中である。

 

まあ、その問題も、

 

「氷華遍在。」

 

焦凍が新技を炸裂させることで一気に解決する。

 

広範囲冷気が広がり、行く手を遮っていた警備ロボットの軍団は、一体の漏れもなく凍結された。

 

「おお、スゲェ、新技かよ。」

 

「ああ。いつまでも負けてらんねぇからな。本気で緑谷や爆豪に追いつくためには止まってなんかいられねぇ。」

 

保須市での戦い。

 

あの時、自分にもっと力があれば、足手纏いになっていなければ、あの凶悪ヴィランを捕らえられていたかもしれない。

 

そう考えていた焦凍は、これまで以上に訓練に力を入れていた。

 

しかし、父親の切り札である赫灼熱拳習得の修行を行うためには、まず炎の熟練度を上げる必要があった。

 

並行して氷の修行も継続はしていたが、伸び悩んでいた焦凍に、意外な所からアドバイスが届いた。

 

ーーーーー

 

期末試験から数日後、

 

「はい、焦凍。母さんから。」

 

「お母さんからの?しかも冬姉が直接預かって?」

 

冬美が手渡してきたのは、母親からだというノートであった。

 

最近になって直接会いに行ったり、手紙のやり取りをしたりと、入院中の母と交流が増えてきたが、

 

「なんでノート?」

 

渡されたものの意図が読めない焦凍。

 

「……もっと勉強しろ、ってことか?」

 

「ちがうよ!」

 

相変わらずの天然を発揮する末っ子に長女がツッコミを入れる。

 

「焦凍が修行に行き詰まってるみたい、って伝えたら、母さんが用意してくれたみたいでね。母さんの実家は氷関係の個性ばかりだから、秘伝?的なコツとかがあるんだって。」

 

「へー。」

 

とりあえず、という感じでノートを開く焦凍。

 

書いてある内容を読み始め、

 

「焦凍?」

 

冬美が焦凍に声をかけるが、

 

「……。」

 

焦凍は、聞こえていないのか、そのままページを捲り、夢中になって読み進めていく。

 

「焦凍!」

 

「わっ。……あ、ごめん冬姉、集中しちまってた。」

 

「大丈夫?疲れてるのかしら?」

 

「いや、お母さんがくれたこのノート凄ぇよ。ちょっと試してくる。」

 

言うや否や、駆け出していく焦凍。

 

「夕食までには戻ってね!」

 

ーーーーー

 

「あれからノートに書いてあった訓練方法やコツを実践したら、氷の細かいコントロールが格段に上がった。あと、氷の扱いが上手くなって、炎で無茶が効くようになって修行が進んだのは嬉しい誤算だった。」

 

これまで、出力に任せて広範囲を凍結させるか、氷塊を叩き込む、が戦法だった焦凍に、コントロールと炎という選択肢が増えたことで戦術の幅が広がっている。

 

「追いついてみせるさ。」

 

差はまだまだある。しかし、諦めるつもりなど微塵もない焦凍は、出久と勝己がいる高みに向かって駆け上がり続けるのであった。

 

ーーーーー

 

セントラルタワー、メインコントロールルーム

 

「チッ、なんなんだコイツらは。おい、放送入れろ。これ以上好き勝手するなら銃口が民間人に向くってな。」

 

ヴィランのボスであるウォルフラムからの指示に、部下の一人がパネルを操作し始める。

 

「……オイ、どうした。早く放送を、」

 

「そ、それが、システムの一部が奪取されたようで。」

 

「何?」

 

ウォルフラムは最初、保管庫で作業しているデヴィットを疑うが、

 

「いや、違うな。保管庫側からじゃこのメインコントロールルームを飛び越えて操作は出来ない。外部からのハッキングだ、調べろ。」

 

「外部って、ここはタルタロス並みの施設なんですよ。そう簡単にハッキングなんて、」

 

「だが、事実として一部システムを奪取されているんだ。早くしろ。」

 

「は、はい、ってなんだ!?今度は凄い勢いでハッキングされてます!」

 

「クソが!バレたと分かって隠すことを止めたな。オイ!このセントラルタワー自体の警備システム、それだけはなんとしても死守しろ。」

 

そう指示を出し、メインコントロールから出ていくウォルフラム。

 

「どこに!?」

 

「博士たちを急かしてくる。ソキル!お前はガキどもの足止めに行け。」

 

ソキルと呼ばれた男は怪しい笑みを浮かべ、

 

「殺してしまっても問題ないんですよね?」

 

「当たり前だ。むしろ一人残らず殺せ。」

 

「へッ、了解。」

 

両腕を刃へと変化させ、両足には特殊な刃機構が付いたA.Tを履いたソキルが雄英生に襲いかかる。

 

ーーーーー

 

「レシプロ・エクステンド!」

 

「ブベッ!」

 

「ハートビート・インパクト!」

 

「ゴベッ!」

 

「トリモチ弾!」

 

「アンド、電撃!」

 

「アンド、振動ショック!」

 

「ギョギョギョバッ!」

 

「極点凍華!!」

 

「ギャッ!」

 

哀れ、劇場版第一作で唯一劇中に名前を呼ばれたヴィラン、ソキルは強化された雄英生6人に瞬殺された。

 

「鋭い剣筋ではあったが、ステインと比較すると止まって見えてしまったな。」

 

「A.Tも速かったけど、爆豪の速さとじゃ比較にもならなかったしね。」

 

「普段から緑谷さんや麗日さんの走りを見てますから、」

 

「こう言っちゃあれかもしんねぇが、練習不足だよなぁ。」

 

「つーか、先ず巻巻を狙ったのが許せねぇ。」

 

「だが、弱くはなかった。こっちの運が良かっただけだ。」

 

シレッと二つ目の新技で止めの一撃を決めた焦凍は、階段の先を見上げる。

 

「さあ。そろそろ最上階だ。」

 

セントラルタワー決戦の決着が近づいている。

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