A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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リアルの仕事が忙しく過ぎるため、執筆速度が上がりません。

明日の『more』を観て気合を入れなおします。

読者の皆さんの感想や評価も力になります。応援よろしくお願いします。


第76話 合宿開始

 

「わぁ、心操くん! もしかして、ヒーロー科への編入、夏休み後に早まりそうなの!?」

 

「お、おう。合宿に参加するだけでよく分かったな。」

 

食い気味に話しかけてきた出久の様子に、若干引き気味の心操。

 

「そうか。普通は2年進級時が転科のタイミングなんだろうけど、心操くんと瓦斯島くんの活躍は凄かった。なんなら二人とも、戦い方や個性の使い方が相澤先生やブラドキングと合ってる。実力を示し、1年生の段階で先生方から学べる機会を増やすために、雄英側が判断した可能性が十分ある。なんなら自由な校風である雄英なら確実だと思うんだ!」

 

「止まれ、出久。そのブツブツマシンガントーク、初見の奴だと引く通り越して怖ぇから。」

 

食い気味を遥かに超えた出久の首根っこを掴み、心操から距離を取らせる勝己。

 

「まあ、だがよ。歓迎するぜ、心操。」

 

「ありがとう。爆豪からそんなに歓迎されるのは意外、」

 

「お前からは同類、苦労人の匂いがする。頼りにしてっぞ。」

 

「同類が苦労人に聞こえたんだけど!?」

 

心操の鋭いツッコミに、見込み有りだな、と満足げに頷く勝己、そして相澤だった。

 

「瓦斯島くん、よろしく頼む!」

 

「あ、はい。よろしくお願いします。」

 

天哉が握手を求め、瓦斯島もそれに応じるが、

 

「ぜひ君とは再戦したいと思っていたんだ。また機会があればよろしく頼む。」

 

「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします。(あれ? なんか雰囲気変わった? なんかめっちゃ強そうになってるんだけど。)」

 

ステイン戦&I・アイランド戦の経験値は伊達ではなく、貫禄が出てきた天哉にビビる瓦斯島だった。

 

「お前ら、速やかに着席しろ。バスを出すぞ。」

 

ーーーーー

 

それから数時間、バスに揺られて移動していたが、

 

「(こいつら、緑谷たちに影響されすぎだろ。)」

 

相澤が生徒の様子を確認すると、雑談に興じつつも、A.Tやサポートアイテムを身につけ、緊急時用の携帯バッグを肌身離さず持ち、いつ何が起きても対応できる状態を維持していた。

 

「(こりゃ、内容を一部変更する必要があるな。)」

 

相澤は合宿先にいるヒーローたちに、奇襲は中止、と連絡を入れた。

 

それからしばらく走ったのち、バスが止まる。

 

バスが止まった瞬間、A組全員が臨戦体制に入るのを見て、心操と瓦斯島は非常に驚いた。

 

「(これが1学期分の差か!?)」

 

内心で心操が悔しがっているが、今年のA組生徒たちが異常なだけである。

 

「安心しろ。奇襲は止めた。」

 

「(奇襲かける予定はあったんかい!?)」

 

瓦斯島が心の中でツッコミを入れる。

 

全員がバスから降りると、そこにはプロヒーロー、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツのマンダレイ、ピクシーボブ、加えて少年が一人待ち構えていた。

 

「わぁ! 山岳救助なんかで活躍してるプッシーキャッツや!」

 

「お茶子ちゃん、救助系ヒーロー好きですよね。」

 

好きなヒーローたちの登場に喜びつつ探知を広げ、周囲を警戒するお茶子と、その隣でドローンを飛ばしながら端末を操作し始める明。

 

「カッちゃん、ピクシーボブがいる。足場注意。プッシーキャッツは4人組ヒーローだ。相澤先生が奇襲はなしって言ってたけど、それすらフェイクかもしれない。」

 

「分かってら。だがこの人数だ、万が一落とされるなら、他の奴らは自力で着地してもらうしかないな。」

 

そして、完全に臨戦態勢の出久と勝己。

 

その他のA組の生徒たちも警戒を解いておらず、彼らに倣い、心操と瓦斯島もできる範囲で周りを警戒していた。

 

「ハァ。奇襲は無しにしたと言っただろう。それだけ準備万端なお前らに奇襲しても、あまり意味はない。」

 

そんな生徒たちの様子に溜息を吐きつつ、相澤が前に出て説明を始める。

 

「元々は奇襲をかけ、山中での対応力と現状の自分たちの実力を改めて確認してもらおうと思っていたんだが、緑谷や爆豪に毒されすぎているお前らには不要と判断した。」

 

サバイバル訓練をさせる予定が、完全に山奥へ放置されることを想定され、準備までされていては意味がない。

 

「だが、ピクシーボブが準備してくださった魔獣の森は有効活用させてもらう。麗日、緑谷、爆豪、それと発目はバスへ。それ以外の面々は必要最小限の荷物のみを持って崖近くに集合。ピクシーボブの土流で崖下まで落としてもらい、森を抜けた先にある合宿所を目指してサバイバル訓練を行ってもらう。」

 

「B組も同じ訓練を行うが、あっちが20人で、こっちが17人じゃ不利だからな。そこで心操と瓦斯島の二人はA組に合流してもらうこととなった。お前ら、ヒーロー科として二人をしっかりサポートしろ。」

 

「はい!」×17人

 

「「(ある意味、足手まとい扱い。悔しければ自力で評価を改めろ、ってことか。)」」

 

相澤の言葉を聞き、元気よく返事をするA組の面々と、やる気を燃え立たせるC組二人。

 

「先生、僕らはどうすれば?」

 

しれっと外された四人組を代表して出久が尋ねると、

 

「お前らはいち早く合宿所に行って個性強化訓練だ。」

 

「「「はい!」」」

 

ーーーーー

 

「それじゃあ皆んな、奇襲は中止になったけど、そろそろ良いわよね?」

 

ピクシーボブは生徒たちの返事を聞く前に土砂を操作し、出久たちを除いたA組の生徒たちは崖下へと降りていった。

 

「行くぞ、皆んな!!」

 

「おう!」×16

 

委員長である天哉の号令の下、崖下へと落とされたA組&C組二人は森へと駆けていった。

 

「今9時だから、12時半までに辿り着かないと昼抜きになるから頑張ってね〜!」

 

クラスメイトたちを見送り、残された出久たちがバスに乗り込もうとすると、

 

「あ、こんにちは!」

 

出久はマンダレイの近くを歩いていた少年に声をかける。

 

「僕は緑谷出久。知ってると思うけど、雄英高校の1年ヒーロー科、よろし、」

 

「……フン!」

 

「なんで!?」

 

挨拶の途中、少年は問答無用で出久の股間を狙ってパンチを放った。

 

もっとも、今の出久に小学生の拳など当たるはずもなく、軽く避けてしまうが、その予想以上の攻撃速度に驚いていた。

 

「チッ!」

 

避けられたことに盛大な舌打ちをした少年は、背を向け、道路に向かって走っていってしまった。

 

「あ、コラ、洸汰!」

 

マンダレイが少年の行動に気が付き、止めようとするも、

 

それよりも速く、出久が少年の前に回り込んでいた。

 

「凄い! その歳でそれだけ綺麗に走れるってことは、かなり練習してるってことだよね、A.Tを。」

 

洸汰と呼ばれた少年は、出久たちと同様にA.Tを履いていた。

 

出久が洸汰に積極的に話しかけにいったのも、自分が始めた年齢と同じか、それよりも幼い少年がA.Tを身につけていたからである。

 

「でも、子供一人で道路をA.Tで走るのは危ないよ。だから、」

 

「うるせぇ!」

 

洸汰は差し出された出久の手を弾く。

 

「俺はヒーローになりたい、なんていう奴らとつるむ気はねぇ! ヒーロー科ってことは、ご立派な個性持ちなんだろ? どうせそのA.Tも片手間で、本気じゃないんだろ!?」

 

怒鳴り声を上げた洸汰の言葉を聞き、出久は困った表情をしてしまう。

 

自分は無個性であり、A.Tに命を懸けている、と説明したとしても、ヒーローを目指していることには変わらない。結局彼からは拒絶される、と考えて出久は、

 

「相澤先生。この後、合宿所に着いたらやることは個性強化訓練ですよね?」

 

「ん? そうだな。だからお前には、事前に自分で考えてもらった、あのアホみたいなメニューを仮で提出してもらったわけだが。」

 

無個性である出久は、他の生徒たちが行う個性強化訓練は実施できない。

 

だからこそ、相澤は事前に出久と相談し、合宿期間中の出久専用メニューを考えていたりする。

 

なお、提出されたメニューは基礎訓練の質・量ともに、おかしいのは頭か身体か? と考えたくなるようなメニューであったため、一部変更済みである。

 

「僕、この後、彼、えっと、洸汰くんと一緒に合宿所までA.Tで走っていって良いでしょうか?」

 

出久のアホな提案を予想していたのか、

 

「はぁぁぁ。……本人が了承するなら許可する。」

 

相澤は盛大なため息を吐き、そう答えた。

 

「ハァッ!? 何勝手なこと言ってんだよ、俺はお前なんかと一緒に走ったりしないぞ!」

 

完全に予想外なことを言い始めた出久に怒鳴る洸汰だが、

 

「うん、分かった。マンダレイ、洸汰くんを車に乗、」

 

「乗らねぇ! 一人で帰る!」

 

「乗らないそうなので、僕が一緒に、」

 

「だから、なんでそうなる!?」

 

「一人で道路は危ない。危ないことを見過ごすのは、ヒーロー以前に人としてダメだからね。妥協案として、僕と一緒に走るか、諦めてマンダレイ、ピクシーボブと一緒に車で行くか、どうする?」

 

かなり無茶苦茶な理論を振りかざしてくる出久に、マジかコイツ、という表情で唖然とする洸汰。

 

その後ろで、マジかこの子、と口を開けて驚くマンダレイとピクシーボブ。

 

「ん、ん~~~。……付いてこれなかったら置いていくからな。」

 

「うん、ありがとう! 頑張るね!」

 

不満だらけではあるが、ここで車に乗って帰るのは一番負けてしまった感があると感じた洸汰は、出久と一緒にA.Tで帰ることを決めたようである。

 

「ええな~、私もランで行こうかな。」

 

「お前らは個性強化訓練があると言っただろう。ほら、さっさと行くぞ。昼前までに着かなかったら、森に入った奴らが先に着く可能性がある。」

 

「あら、イレイザー。今年の子たちは、ピクシーボブの魔獣の森を3時間足らずで攻略できそうなの?」

 

例年、昼前どころか夕食の時間にすら間に合わないことが多いピクシーボブの魔獣の森攻略だが、相澤の様子を見てマンダレイが話しかける。

 

「ええ。今年の奴らは舐めてかかると、」

 

会話をしている最中に、森で轟音が響き渡る。

 

モニターで森の様子を確認していたピクシーボブやマンダレイ、そして洸汰が森の方を見ると、爆弾でも爆発させたような土煙が上がっていた。

 

「えらい目に遭います。」

 

「うーん、切島くんの成長が著しいね。」

 

「Ⅰ・アイランドで上手いことコツを掴んだみてぇだな。あの大砲、当たればヤベェぞ。」

 

ーーーーー

 

魔獣の森。

 

時は少し遡り、崖下に落とされた直後。

 

A組とC組コンビは、すぐには森に入っていなかった。

 

「障子くん、口田くん! 様子はどうだい?」

 

「予想通り、大型の獣のような外見をした何かが徘徊している。いったい土流をどう扱えば、土塊をああも操れるのか。」

 

「今、鳥さんたちに聞いたけど、動きが鋭いのと鈍いのがいて、合宿所への直線コースにいるやつほど動きが鋭いみたい。」

 

「ふむ。大回りすれば敵は弱くなるが、最短距離を選べば強敵が立ち塞がる、ということか。」

 

索敵担当の二人からの報告を、委員長である天哉が整理し、全体に方針を確認する。

 

「皆んな! 昼食に間に合わせるには、直線コースを駆け抜けるしかないと思う。困難な道だが、構わないだろうか?」

 

「オウ! 爆豪たちがいなくても、このメンバーでわざわざ遠回りを選ぶ必要はねぇだろ。」

 

「それね! 近距離、中距離、遠距離、索敵、サポート、なんでもござれよ!」

 

鋭児郎と三奈が気合を入れながら周囲を見渡す。

 

出久、勝己、お茶子という規格外戦力を抜いたとしても、A組には様々なタレントが揃っている。

 

機動力とリーダーシップに優れた天哉を中心に、近距離は尾白と砂藤、中距離は常闇、瀬呂、上鳴、遠距離は青山と、攻めのバリエーションがまず豊富である。

 

また、八百万、蛙吹の二人は頭脳と冷静さで、障子、口田、峰田、葉隠はそれぞれの個性で周囲をサポートすることができる。

 

さらに、範囲攻撃が可能な焦凍と耳郎、Ⅰ・アイランドでの戦いを経て圧倒的な突破力を手に入れた鋭児郎と三奈もいる。

 

そこにC組コンビも加わるのだ。

 

「心操くん。君の洗脳によるブースト、頼りにしても大丈夫かい?」

 

天哉が心操に話を振る。

 

「ああ。正直、まだ接近戦は訓練中だが、催眠ブーストなら体育祭で慣れてる。任せてくれ。」

 

「よし! 瓦斯島くん、君のガスには索敵能力もあると聞いた。障子くんたちと索敵に回ってもらって良いだろうか?」

 

「むしろ土塊の魔獣に毒ガスは効かないだろうから、そうさせてください!」

 

若干後ろ向きではあるが、二人の参戦によりサポートがさらに充実し、万全の体制でA組、C組チームは進軍を開始した。

 

ーーーーー

 

そして現在。

 

「レッド・ハンマー!!!」

 

鋭児郎は、その剛拳をもって襲いかかってきた土塊の魔獣を真正面から粉砕する活躍を見せるが、

 

「馬鹿! 切島、今のアンタが本気で殴ると土煙が凄くなるから、控えろって言ったじゃん!」

 

「す、すまねぇ!」

 

気合が空回りしてしまい、相棒に説教されていた。

 

「I・アイランドの戦いで何かを掴んだ、とは聞いていたが、」

 

天哉が土煙の晴れた先を見ると、魔獣は粉砕され、振り下ろされた拳の威力によってクレーターが出来上がっていた。

 

「……凄まじい威力だ。俺も負けていられない!」

 

道を切り開くため、先陣を切っているのは鋭児郎、三奈、そして天哉である。

 

天哉は、攻撃力は高いが荒さが目立つ鋭児郎と三奈の近くを右へ左へと走り回り、二人が立ち回りやすいようフォローし続け、必要な時は攻撃にも回っていた。

 

逆に鋭児郎と三奈は、自分たちにはできない立ち回り方を続ける天哉の動きを、少しでも学ぼうと必死であった。

 

「(機動力は当然として、周囲を見てのあの立ち回り、最適な行動選択が取れる頭脳がねぇとできねぇ動きだ。)」

 

「(撃ち漏らしの迎撃、私たちを戦いやすくするための位置取り、頭脳だけじゃなく周囲を観察する目の使い方が凄いんだ。)」

 

この三人が集団の槍として道を切り開いている一方で、

 

「む、一気に来たな。スイッチ!」

 

「任せろ、氷華偏在!!」

 

「一気に吹き飛ばすよ。ハートビート・インパクト!!」

 

次に前に出るのは焦凍と耳郎。

 

咲き誇る氷結の華が魔獣たちの足をピンポイントで凍らせることで動きを封じ、強力な音撃が魔獣を吹き飛ばす。

 

魔獣が数で押しに来た場合は、制圧攻撃が可能な二人の連携が魔獣たちを寄せ付けない。

 

特に焦凍は、これまでのように大規模攻撃を繰り出すのではなく、コントロールされた氷結を使用することで継戦能力が高まっている。

 

この5人の活躍によって、異常な進行速度で魔獣の森が攻略されていく。

 

また、後ろに続く者たちも、ただ付いていくのではなく、

 

「ネビルレーザー!」

 

「ほぉら、よっと!」

 

「ダークシャドウ!」

 

「アイヨ!」

 

側面や後方、前方5人がカバーしきれない箇所から襲い掛かってくる魔獣たちを、遠距離・中距離攻撃の個性持ちたちが可能な限り迎撃していく。

 

それすら潜り抜けてくる小型魔獣は、

 

「尾空旋舞!」

 

「シュガーラッシュ!」

 

近接担当たちが撃退し、サポートチームへの行く手を阻む。

 

サポートチームも、ただ守られているだけでは当然なく、

 

「来るぞ、側面から5体。」

 

「こっちも来たよ。空を飛べるやつ、2体。……なんで土塊が飛べるの!?」

 

※アニメ版だと飛ぶ奴がいてビビった。

 

「ケロッ、空を飛ぶ奴をまず落とすわ。瀬呂ちゃん、手伝って!」

 

「あいよ。任せな、梅雨ちゃん!」

 

「5体の方は砲撃で分断しますわ。葉隠さん、サポートをお願いします!」

 

「任せて!」

 

「瓦斯島、頼んだ!」

 

「オッケー、ガス散布!! ……よし、後方からの追撃は止んだみたいだ。」

 

連携によって、より効率的に魔獣を探知、撃破していた。

 

C組名コンビも健在であり、ブーストからのガスによる広範囲探知で、後方の安全確保を担当。

 

さらに、

 

「心操のブースト、スゲェ!」

 

「オイラ無双だぜ!」

 

共に後方の安全確保を担当している上鳴と峰田は、催眠ブーストによる強化でテンションが上がり、瓦斯島の制止を無視してブーストを多用して大活躍していた。

 

その結果、

 

「「疲労感がヤベェ〜。」」

 

疲労でフラフラになっていた。

 

「あれ?」

 

「心操。お前のブースト、慣れないとキツいって言ったじゃん。」

 

「……委員長とか平気だったから、ヒーロー科なら大丈夫かな、って。」

 

「委員長はマッチョだから別もんだろ。」

 

 

 

 

 

 

そうこうしているうちに、約3時間後。

 

 

 

 

 

ボン!!! ボン!!! ボン!! ボン!!! ボン!!!

 

「あ、カっちゃん。今、途中で威力落ちたよ。」

 

「クソが!!!」

 

ボン!!!

 

フルクラスターを発動させ、高火力砲撃を連射し続けている勝己は、一発でも威力が落ちると出久から指摘が飛んでくるため、悪態を付きながら訓練に励んでいた。

 

フラッ、

 

「お茶子ちゃん。大きいのがブレ始めてます。細かい瓦礫の操作に集中し過ぎて、大きい方の維持が雑になってます。」

 

「う゛、あ、アカン。最近容量オーバーとか最近ほぼあらへんかったから、いざ吐き気が来ると昔よりキツイ!」

 

お茶子はピクシーボブの個性によって準備された大量の瓦礫や山のような大岩を、個性で浮かべ続けていた。

 

「隙あり!」

 

「おっと! いいよ、洸汰くん! その調子で、走りながらの攻撃に慣れていこう。個性で攻撃してきても良いからね。」

 

「分かった、緑谷兄ちゃん!」

 

「出久さん。時間ですので、次のトレーニングに移行してください。」

 

「次なんだっけ?」

 

「今までは手立ちしながら動き回る訓練でしたので、次はお茶子ちゃんが空中に浮かべている岩を、イフリートソールなしで粉砕していく訓練です。」

 

「了解! あ、洸汰くん。空中は流石に危ないから、ランの訓練をしながら好きなタイミングでカっちゃんに攻撃して。カっちゃん、当たっても罰ゲームとかは特にないけど恥ずかしいよ。」

 

先ほどまで、手で走る、という某風の王、嵐の王コンビが病院で行っていた修行を土の地面で行っていた出久は、攻撃訓練へと移っていく。

 

「当たるかボケ! 来いやガキ!」

 

「うん! 緑谷兄ちゃん、当てたら約束通り例のトリック教えてね!」

 

「うん、約束!」

 

「……………」×19

 

魔獣の森を抜けたA組・C組コンビが最初に見たのが、今の訓練風景である。

 

「………やっと着いたよ~。」

 

「キラメク僕らでもキツイ道のりだったね。」

 

「ウェ、ウェ~イ。」

 

「死ぬ。煩悩が枯れそうなほど、マジ死ぬほど疲れた。」

 

「いや、アンタらは心操の洗脳ブースト使い過ぎただけじゃん。」

 

「相澤先生! ヒーロー科1年A組17名、およびC組2名、計19名。無事魔獣の森を抜け、合宿所に到着しました!」

 

全員の表情から疲労がにじみ出てはいるが、天哉の報告通り、誰一人欠けることなく合宿所に到着した。

 

「いや、あなた達、あの光景を見てもコメント特になしなの?」

 

マンダレイが出久たちを指さしながら言うと、

 

「ん? ……そういえば、緑谷がやけに、あの少年と仲良くなってますね。」

 

「あの子もA.Tを使ってたから、それ繋がりで仲良くなったんじゃないか?」

 

「共通点があるほど、仲が深まるのも早いものだ。」

 

障子や尾白、常闇の反応に、

 

「いやいやいや! あの訓練を見て、なんか言うことないのかよ!」

 

まだA組に毒されていない瓦斯島がツッコミを入れるが、

 

「「「いや、普段からあんな感じだし。」」」

 

「怖ぇよ、ヒーロー科!」

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