A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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今回の話は、「いや、無理がありすぎるだろ」的な展開がありますが、いつものこととして優しく見守ってください。

あと感想、評価があれば、お願いします



第78話 襲来

 

合宿所

「あら、B組も優秀ね。昼頃は流石に過ぎたけど、まだ5時間もかかってないわよ。」

 

マンダレイの視線の先には、A組とは別ルートで魔獣の森を抜けたB組生徒たちの姿があった。

 

「疲れた!」

 

「この森、火力足りねぇとキツイ!」

 

「お腹減った〜!」

 

「ブラド先生、遅くなりました!B組20名、到着しました!」

 

「ウム!報告ありがとう拳藤。全員、無事か?」

 

「はい。疲労はありますが、全員大きな怪我もなく無事です。」

 

「そうか。では少し遅いが昼食だ。その後、君らもあの訓練に参加してもらう。」

 

ブラドがある方向を指し示す。

 

「ああ。やっぱり、あれは訓練の余波なんですね。」

 

指し示された先には、旋風、爆破、火炎、氷結、土煙、紫電など、様々な現象が森の先から絶えず立ち昇っていた。

ーーーーー

 

A組生徒たちがすでに取り組んでいる訓練。

 

それは個性を酷使することで限界値を伸ばす、超ハードかつ危険な訓練であり、全員が限界を突破するために個性を全力で使用している。

 

プッシーキャッツの面々――マンダレイ、ピクシーボブ、ラグドール、虎という、連携と大人数の面倒を見ることに長けたヒーローの協力があってこそ成り立つ訓練である。

 

その中で、例年、単純な増強型や筋トレぐらいしかやりようがない個性持ちは地味な訓練になりがちなのだが、今年は様子が違うようである。

 

「シャアッ!来いや緑谷!」

 

ガキンッ、と全身を全力で硬化させる鋭児郎。

 

足元もA.Tを使い、吹き飛ばされないよう踏ん張っている。

 

「ウイング・スマッシュ、フレイムソール。」

 

そんな鋭児郎に向かって、出久は炎の翼を脚に纏わせる。

 

見学していた洸汰は、目を爛々と輝かせながらその様子を見つめていた。

 

「スマッシュ!!」

 

出久は鋭児郎目掛けて、蹴りを打ち込む。

 

「こ、根、性!!(まだまだ、問題は次!)」

 

側頭を狙った初撃を耐え切った鋭児郎は、さらに歯を食いしばる。

 

「(根!性!)」

 

「シッ!!」

 

出久得意の二連撃目の左後ろ蹴り。

 

イフリートソールは使っていないとはいえ、これまで多くの者を沈めてきた一撃を、

 

「フンガッ!!」

 

鋭児郎は耐えてみせた。

 

そして、それだけで終わることはなく、バシンッと自ら太ももを叩き、

 

「まだまだ!止めんな緑谷!」

 

緩みかけた気持ちに喝を入れ、次を要求する。

 

鋭児郎はそこからさらに数発の、フレイムソール発動中のスマッシュを、相澤のストップがかかるまで耐え続けた。

 

「次は俺だ!行くぞ、緑谷!」

 

鋭児郎が退がれば、今度はトレーニングをしながら待機していた尾白が、個性である尾を立たせ、出久に突っ込んでいく。

 

「ハァッ!!」

 

「シィッ!!」

 

燃え盛る翼を纏った脚と、強靭な尻尾の激突。

 

それも一度で終わるのではなく、

 

「ハァッーーーーー!」

 

「ダァッーーーーー!」

 

二撃、三撃、四撃、五撃と、互いの武器である脚と尻尾をぶつけ合い、連続して打ち合う。

 

こちらも、痛みと疲労が溜まり続けても互いに攻撃を止めず、ストップが入るまで攻撃の応酬は続いた。

 

「ハァッ、ハァッ。」

 

「お疲れ、今度は俺だぜ!」

 

尾白と入れ替わる形で、ケーキを食べ続けていた砂藤が前に出る。

 

個性の許容量以上に溜め込んだシュガードープを解放し、

 

「シュガーラッシュ!!」

 

両腕ラッシュが出久を襲う。

 

体育祭前では掠りもしなかった攻撃だが、威力もスピードもアップしている。

 

何より、

 

「一撃一撃、全力の気合を込めて!」

 

出久からの教えを守り、一撃一撃により強い思いが込められたラッシュは、当たらないまでも、出久に両腕を使って防御させるほどであった。

 

「オッーーーーリャッーーーー!」

 

シュガードープが切れる瞬間までラッシュを続けた砂藤。

 

「退がれ、砂藤。良し、全員通常の訓練に戻れ!緑谷、お前は少し休憩を――」

 

「すみません、相澤先生!次のメニュー、行ってきます!」

 

「あ、コラ!……まったく。」

 

このように、出久という怪物を相澤が有効活用し、地味な訓練の合間に“限界突破のさらにその先”を叩き込むことで、生徒たちの地力とやる気をさらに引き上げようとし、見事成功していた。

 

ーーーーー

 

そんな光景を訓練区画に到着早々見せられた一部のB組生徒たちは、

 

「ブラキン先生!次は俺に行かせてくれ!」

 

「あっ、ズルいですぞ!吾輩ももちろんやるですぞ!」

 

「切り刻ませろ!」

 

テンション爆上げで突っ込もうとし、

 

「鉄哲、お前はまず個性強化訓練だ。宍戸、少し待て。イレイザーと緑谷のメニューを確認し、混ざれそうなら混ざれ。鎌切、発言が完全にヴィランだ、気を付けろ。」

 

ブラドキングに嗜められるのであった。

 

「B組の子たちも、このテンションなのね。」

 

今年の子たちヤバいわ、とマンダレイは頭を抱えていた。

 

「あと、物間。発動型の個性であるお前も強化訓練組だからな。」

 

ガーン!という効果音が付きそうな表情で固まる物間であった。

 

ーーーーー

 

各々が訓練に励み続け、初日の訓練は無事に終了。

 

プッシーキャッツのもてなし料理を食べ、露天風呂を堪能した。

 

なお入浴時、峰田が壁をよじ登ろうとした瞬間、方々から本気の殺気を感じ取り、リトル峰田が萎んだのか登るのを断念――

 

「……したと見せかけて、全力峰田クライム!」

 

するはずもなく、個性を使って壁を登り始めた。

 

性欲の権化、峰田。殺気程度で覗きを諦めるはずもないが、

 

1メートルほど登ったところで、

 

ガッ、

 

「コヒュッ。」

 

出久に首根っこを掴まれる。

 

そのまま万力のごとき握力で締められ、

 

「ごめんね、峰田くん。流石に許容できないかな。」

 

「貸せ出久。このまま森まで吹き飛ばす。」

 

「いっそのこと元凶の部分、削っちまうか?」

 

「凍らして放置が一番安全じゃねぇか?」

 

「「「それだ。」」」

 

哀れ。峰田は現A組上位層のうち4人に囲まれ、リトル峰田ではなく、全身をカチンコチンにされるのであった。

 

なお、出久以外の3人は、なぜここまで敵対しているのか深く考えていなかったりする。

 

ーーーーー

 

2日目、3日目と訓練は続いたが、特に大きな問題は起こらなかった。

 

各自が全力を出して個性の限界に挑戦。

 

食事はクラスで自炊し、緊急時の炊き出し訓練にもなっていた。

 

洸汰は出久のアドバイスを守ろうと努力し、A.Tに関わりのある雄英生たちとも少しずつ打ち解けていた。

 

特に出久に加えて物間とは好みが合ったのか、会話の中で笑顔を見せていた。

 

出久に至っては、洸汰自ら秘密基地にまで案内するほど懐かれている。

 

ーーーーー

 

そして迎える3日目の夜――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて、流石に僕自らが現場に行くのは不味いからね。まずは“前夜祭”でも楽しんでもらおうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日目ともなると訓練が厳しくなり、あまり出久に構ってもらえなかった洸汰は、少し拗ねてしまった。

 

肝試しには参加せず、1人秘密基地へ。

 

今回の合宿には補習組が存在しないため、全員揃っての肝試しだが、A組20人、B組20人、C組2人に明を加えた奇数であるため、

 

「余った。」

 

くじ運で見事に余りを引き当てた出久。

 

B組が森で脅かし役を担当し、脅かされる側であるA組の数ペアが森に入ったタイミングで、

 

 

 

 

森が悪意に満たされた。

 

 

 

 

「グレイシャル・ピリオド。」

 

 

 

 

いや、氷河に覆われた。

 

 

 

 

森の奥。そこには地面に手をつき、森全体を一気に凍らせた下手人、ニケを自称する男がいた。

 

「さて。私の獲物を探すと、……おや?無礼にも私の氷河を踏み荒らす者が何人か……いや、メッチャいる?」

 

いくら距離があるとはいえ、自分の大技を回避した学生の数にニケが驚いていると、

 

「消し飛べ!!」

 

ボンッッッ!!!

 

超爆速で氷結した森を突っ切ってきた勝己が、ニケに肉薄する。

 

一撃で仕留めようと、初撃でフルクラスター・インパクトを叩き込むが、

 

「!?」

 

ニケには直撃しておらず、

 

「爆豪勝己だな?噂に違わぬ速さだ。だが貴様の相手はこの俺ではなく、その上級脳無だ。」

 

黒い肉壁によって防がれていた。

 

「邪魔だ、クソ脳無が!」

 

ーーーーー

 

『ラグドールと合流して、氷を溶かしにいけ!火事にすんなよ!』

 

サーチという、今の状況で最適な個性を持つラグドールと共に、炎を扱え、氷にも耐性がある自分が他の生徒の救助に回るのは分かる。

 

だが、

 

「爆豪の奴、一人で行っちまいやがって。」

 

ヒーローを含め、この場最速の男の使い道などいくらでもあるにも関わらず、まず氷を発生させた主犯を潰しにいった同級生にため息を吐く焦凍。

 

肝試しのUターン地点にいるはずのラグドールと合流しようとし、

 

「轟くん!」

 

「ラグドール!?」

 

「サーチで、君がアチシの方に来ているのが分かったからね。手伝って。生徒のみんなの救助に回るよ!」

 

「はい!」

 

ーーーーー

 

「……なあ、聞いても良いかい?」

 

「なんだ?」

 

「私の目的は、氷叢の穢れである轟家の人間だ。オールフォーワンからも、森を凍結させた後は好きに動いて良いと言われている。」

 

「ああ。だから?」

 

完全に舐めた態度を取る相手に、ニケの額には青筋がいくつも浮かぶ。

 

なんとか落ち着いて会話をする努力をするニケだが、

 

「だったら何故、オールフォーワンの配下である君が私の邪魔をするのかな、荼毘?」

 

目の前の存在への苛立ちは収まらない。

 

「一つ、俺はリーダー、死柄木弔の仲間であって、オールフォーワンとかどうでもいいんだわ。」

 

ヴィラン連合の荼毘は、

 

「一つ、轟家は俺の獲物だ。譲る気はねぇ。」

 

まるで、

 

「一つ、テメェは気に食わねぇ。」

 

ヒーローのように、ニケの前に立ちはだかっていた。

 

「だからよぉ。能書きは良いから、さっさと来い。」

 

「ああ、そうか。……砕け死ね!」

 

蒼炎と氷結が激突する。

 

荼毘VSニケ、開戦。

 

ーーーーー

 

「肉ゥゥゥ!断面ンンン!肉面ンンンンンン!!」

 

「来るぞ常闇!」

 

「弾け、ダークシャドウ!」

 

「ウットウシイ!」

 

タイミングを障子が測り、常闇の指示を受けた、日中よりも凶暴化しているダークシャドウが、無数の刃を弾き返す。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!切れない、斬れない、キレないィィィ!!」

 

全身を拘束具で覆われ、固定具で歯茎を剥き出しにしたヴィラン、ムーンフィッシュは、自分の思い通りにことが進まないことに喚き散らしていた。

 

「フゥ。助かるぞ、障子。初撃もそうだが、よくこの暗闇で攻撃を探知できるな。」

 

暴れようとするダークシャドウをなんとか制御しつつ、頼りになる仲間に賞賛を送る常闇。

 

「緑谷と耳郎のおかげだ。感覚器官を増やせるのであれば、目だけでなく、耳や鼻を増やせば、より探知が強化できる、と緑谷から言われてな。聞くことに関しては、耳郎からアドバイスをもらった。」

 

個性、複製腕で複数の目や耳を増やした障子が答える。

 

「肝試しには不粋かと思ったが、田舎と森に良い思い出がなくてな。警戒していたのが功を奏した。」

 

「だが、あのヴィラン、厄介だな。何度か攻撃を試みたが、速いわけではないのに上手い。攻撃を避けられる上、こっちの位置がバレる。」

 

ダークシャドウの奇襲を幾度も躱し、その度に反撃を喰らっている二人。

 

「ヨルジャナキャ、モウヤラレテタナ。」

 

闇の中、日中よりも強化されているダークシャドウであるため、反撃の刃は痛い程度で済んでいるが、ダメージは溜まっている。

 

「切島や飯田あたりなら突っ込んでいけるのだろうが、」

 

「俺たちの機動力、防御力では無理だな。かといって、コイツを放っておくわけにもいかない。」

 

逃げるのではなく、定期的に反撃を続けているのは、明らかに殺す気で攻撃を加えてくるこのヴィランを、別の生徒の下に行かせないためである。

 

「常闇、俺はこの危険な相手を放置できない。だが、俺一人では奴には勝てない。付き合ってくれるか?」

 

「フッ。思えば、揃って入試実技でゼロポイントがいるにも関わらず救助に励んでいた二人の、再びの共演だ。もちろん、付き合おう!」

 

障子&常闇VSムーンフィッシュ、開戦。

 

ーーーーー

 

肝試しスタート地点。

 

時は少し遡り、

 

「あらあら。可愛い子ちゃんたちがいっぱい。目移りしちゃウ。」

 

現れたのは、男とも女とも取れる雰囲気の人物であった。

 

ソイツは現れ、手のひらをピクシーボブに向けた瞬間、彼女の体を引き寄せた。接触と同時に、地面へと叩きつけようとし、

 

「制圧力のある個性は厄介なのよ、ネ!?」

 

ターボソールを発動させた出久のエアフォースに妨害される。

 

しかし、驚愕したのは出久も同じであり、

 

「近づききれなかったから、とりあえずエアフォースを撃ったけど……体が反発するような感覚。でもピクシーボブは引き寄せられていた。引力と斥力とかか?……大丈夫ですか、ピクシーボブ?」

 

「ええ、ありがとう緑谷くん!ほんと2年後が楽しみ。プッシーキャッツ入らない?」

 

「今ですか!?」

 

「集中せんか!流子は後で説教!そして貴様、引石健磁、ヴィラン名マグネ……か?」

 

虎は記憶にある情報とは異なる容姿と個性の使い方ではあったが、このヴィランに心当たりがあった。

 

「あら、結構雰囲気変わったつもりだったけど、分かる人には分かるものネ。」

 

「貴様の個性は、他者を磁石人間にするものだろう!何故、自分にも個性が適用できている!それにその容姿もだ。男なのか女なのか、」

 

「両方ヨ。」

 

「何?」

 

「ある方から新しい力を頂いたのよォ。自分を磁力人間にする個性と、性別を自由自在にする個性。今の私は、引き寄せるも、引き離すも思うがままヨ。」

 

「新しい個性を……後ろにいるのはオールフォーワンか。」

 

出久が今回の黒幕を察していると、

 

「何が狙いだヴィラン!何故この場所が、」

 

相澤が前に出て、抹消で相手の個性を封じようとするが、

 

「あら、探す手間が省けちゃっタ。ヤリなさい。」

 

森から一体の脳無が現れ、

 

「ガンッ!」

 

「クソッ!」

 

「え?」

 

黒い光線を放った。

 

生徒たちに向けて。

 

相澤は反射的に生徒たちを庇い、光線に直撃してしまう。

 

「先生!?」

 

周囲の生徒たちが駆け寄る。外傷は見当たらないが、

 

「やられた。め、目が見えん。」

 

「そんな!?」

 

相澤の言葉に、顔を青褪めさせる生徒たち。

 

「あら、大丈夫よ。今の個性は一時的に視力を闇で覆う個性で、しばらくはそのままらしいわ。運が良いわねイレイザー。あなたの個性、あの方が欲しがってるから、生かしておいてあげル。」

 

「チッ、やられた。抹消を封じるのが目的か。」

 

すると森が氷に覆われ、戦闘音が聞こえ始める。

 

「向こうも派手に始めたみたいね。じゃあコッチも、」

 

先ほど光線を放った脳無に続き、複数体の脳無が森から現れる。

 

「グゥ、これほどの数を!?」

 

「厄介だな。」

 

「マズイッ、」

 

イレイザーヘッドの行動不能に続き、敵の増援。虎やブラドキングが前に出るが、マンダレイの顔色が悪い。

 

「マンダレイ!僕、場所分かります!」

 

マンダレイの懸念は洸汰であり、この状況下で彼は今、一人である。

 

洸汰の居場所に心当たりがあり、なんなら風探知でその場所にいることを把握している出久が叫ぶ。

 

「相澤先生!」

 

「ぐぅ。この状況だ、仕方がない。マンダレイ、他の奴らにも伝達を!プロヒーロー、イレイザーヘッドの名において、A、B、C組、総員戦闘を許可する!緑谷、必ず無事に戻れ!」

 

許可を得る前から走り出していた出久だが、

 

「はいっ!」

 

許しを得て、さらに加速しようとする。

 

しかし、

 

「だめヨ。あなたと爆豪って子は、特に自由にさせるなって言われて、」

 

姿を変え、出久に向けて個性を発動させようとしたマグネだったが、

 

「ヌンッ!」

 

「ハァッ!」

 

虎が接近して殴りつけ、ピクシーボブの土流が追い打ちをかける。

 

「もう!性別不詳に個性が発動しなイ、とかビックリだし、やっぱり土流が厄介!」

 

「我のキャットコンバットの餌食となれぃ!」

 

「行って緑谷くん!」

 

「だ、け、ど、」

 

マグネが悪意溢れる笑みを浮かべ、森からもう一体、脳無が現れる。

 

その色は黒。

 

上級脳無である。

 

「ソイツが相手じゃ、誰かを助けに行こうとしているみたいだけど、間に合わないかもネ。」

 

行く手を阻もうと現れた脳無とマグネの言葉に、

 

ブッッッチ、

 

出久はキレた。

 

「どぉぉっけぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

イフリート・スマッシュ!!!!

 

自意識など無いはずの脳無だが、確かに見て、認識してしまった。

 

最大級の怒りを表した出久の背後に、巨大な翼を生やした炎魔人を。

 

上級脳無は失ったはずの感情の一つを思い出すも、次の瞬間、

 

反応することすら出来ない速さと、耐え切ることの出来ない威力の炎脚により、

 

たった一撃で地上へと堕とされた。

 

ゴッッッッウ!!!!

 

上級脳無を瞬殺した出久は、体にダメージが出ることも無視し、限界突破の速度で洸汰の下へと駆けていった。

 

「………………え?」

 

先ほどまで笑みを浮かべていたマグネは、今度は間抜け顔を晒す。

 

「ちょ、何今の!?あの脳無、雄英襲撃であの子たちが数人がかりで苦戦した奴と同じスペッ、グベェッ!」

 

信じられない事態に隙を見せていたマグネを、虎が殴り飛ばす。

 

「キャットコンバットォォ!」

 

「見えないが、状況は分かった。ウチの生徒を舐めるなよヴィラン。襲撃から三ヶ月。過去に苦戦した相手に勝ってこその雄英だ。」

 

相澤の宣言に、

 

「「「「「オウ!」」」」」

 

周囲の生徒たちも呼応する。

 

「ブラド、緊急事態だ。B組が心配なのは分かるが、」

 

ボボボボッッッッン!!!!

 

「消し飛べぇぇぇぇぇ!!!」

 

大爆音と大声が上空で響き渡ったかと思えば、

 

ボロ雑巾と化した上級脳無が落下してきた。

 

「クソが!無駄に頑丈な個性で合わせやがって!」

 

落下し、仰向けに倒れる脳無の上には勝ち誇る勝己。

 

「報告!ラグドールと轟、ついでに八百万、葉隠、耳郎、青山が合流。凍らされた生徒の救助に回ってる!B組の生徒も半分は救助済みまたは自力で氷を防いだみてぇだ。ただ厄介そうな脳無がまだ何体かいやがる。ソイツらは俺が片付ける!あとヴィラン連合の荼毘と森を凍らせた奴が戦闘中、かなり強ぇから近寄んな!」

 

報告するだけして、超爆速で去って行った勝己を、面々は唖然と見送ってしまった。

 

「……もう!上級脳無ダメダメじゃない!」

 

顔面を腫らしたマグネが文句を言うが、他の者が相手をした場合、死者が出る可能性が大いにあるのが上級脳無である。

 

だからこそ、出久にしろ勝己にしろ、最大火力を惜しげもなく使い、最速で沈めているのである。

 

「あー、ブラド、どうする?」

 

「上級脳無の相手は一人では無理だ。爆豪の言葉を信じて待つ。」

 

「そうだな。麗日か発目が戻ってきてくれれば、風探知かドローンで状況を教えてもらえるんだがな。一番最後に出たはずの麗日、発目ペアが戻らない。爆豪も話題にしなかったが、無事なんだろうか?」

 

相澤が思案している間も、戦闘は続いていた。

 

もっとも、中級、下級の脳無ばかりであるため、

 

「レッド・ガントレット!!」

 

「アシッドベール!!」

 

「芦戸!酸で氷を溶かせるなら、森の救助の手伝いに、」

 

「そんなコントロールできるかぁ!」

 

「すんません!」

 

「二人とも、集中したまえ!」

 

「「はいっ!」」

 

鋭児郎、三奈、天哉を主軸にしたA組、C組の防御を抜くことはできていなかった。

 

「頼むから、こんな所で誰も死ぬなよ、卵ども!」

 

ーーーーー

 

洸汰の秘密基地。

 

『洸汰!今、緑谷くんがそっちに行ったわ。お願い洸汰、無事でいて!』

 

「お前、洸汰っていうのか?センスの良い帽子持ってるな。俺のマスクと交換しようぜ。ん?殺して奪えば良いか。じゃあマスクやる必要ねぇか。捨てよ。」

 

急に現れ、マスクを捨てて露わになった大男の顔を、洸汰はよく知っていた。

 

忘れる筈がない。

 

「血狂い、マスキュラー!」

 

「なんだ、俺のこと知ってんのか?嬉しいねぇ!」

 

「ウォーターホース!パパとママの、敵!」

 

「おお!あのヒーローたちの子供か!感動的じゃねぇの!」

 

大男は両腕を広げ、宣言した。

 

「せっかくだ。両親に会わせてやるよ!俺が殺してなぁ!!」

 

 

 

 

「ば、バトルだ!」

 

 

 

 

洸汰が高らかに宣言する。

 

『え?パーツウォウで勝つコツ?うーん、色々あるけど、この二つは特に大事かな。常に冷静な部分を心に置いておきつつ、』

 

「僕が逃げるから、10秒経ってから追いかけてこい!僕を捕まえてみろ!(緑谷兄ちゃんが来るまで時間を稼げ!そして、)」

 

『勇気を振り絞ることかな?』

 

「(勇気だ出泉洸汰!)僕と勝負だ、ヴィラン!」

 

そして全力でA.Tを走らせ始めた洸汰。

 

離れていく洸汰に、マスキュラーは、

 

ニィィィッッ、

 

歓喜しかなかった。

 

「こんな、こんな殺しがいがあるガキ、初めてだ!!」

 

洸汰VS血狂いマスキュラー、開戦!!

 

ーーーーー

 

そして、

 

「こんばんは。お二人が麗日お茶子ちゃんと、発目明ちゃんですか?初めまして、トガヒミコです!」

 

「I・アイランドでは会い損なったな。巻巻枢だ。よろしく頼む。」

 

死柄木弔も密かに動き始めていた。

 

 

 

 

 

「さっさと凍れ、燃え滓がぁ!」

 

「燃え滓一人凍らせられないテメェは、カス以下だなぁ!」

 

 

 

 

 

……約1名、がっつり暴れているが。

 

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