A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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第81話 撃退

 

「時よ!!!」

 

超加速からの多連打をヴィランに叩き込む!

 

B組みんなと訓練に励み、会得した技。

 

相手の初動を潰し、動きを、時を封じるこの技で時間を稼ぐ!

 

連打を続ける。

 

僕の連打が続く限り、コイツを抑えられる。

 

ライダーとしての直感、

 

様々な個性をコピーしてきた経験、

 

そして――

 

僕の全細胞が訴えている。

 

コイツには絶対に勝てないと。

 

緑谷くんと爆豪くんがこの場にいない。

 

つまり、別の場所で戦っている。

 

僕の役割は足止めだ。

 

彼らが来るまでの繋ぎ、

 

捨て石――

 

……………上等!

 

そのかわり、助演男優賞はもらっ――

 

「飽きたな。」

 

え?

 

「良い連打だが、」

 

く、クソッ、

 

動き出しを察知して、攻撃を入れているはずなのに――

 

時を、

 

止めきれない。

 

「軽すぎる。」

 

「ゴッッッ」

 

「「「「物間!?」」」」

 

腹に、打ち込まれた。

 

ーーーーー

 

「「「「物間!?」」」」

 

B組の生徒が物間を助けようと駆け出すが、

 

「ぐる゛な゛!」

 

その当人の叫びに制止される。

 

「フッ、」

 

ニケは嘲笑いながら個性を発動しようとするが、

 

「ジッ!」

 

フェニクス・スマッシュ、トルネードモドキ!!

 

火炎の竜巻を巻き起こす。

 

「妨害だけなら゛!」

 

血を吐きながらも物間は前に出る。

 

「ど、時よ゛!」

 

再度繰り出す超加速の連打。

 

「私の蹴りをモロに喰らって、よく頑張るじゃないか。」

 

「ベッ」

 

口内に残った血を吐き捨て、

 

今度は物間が挑発的な笑みを浮かべる。

 

「もっとエグいの喰らったことがあって、ね!」

 

「ほう?良い経験だ。」

 

会話しつつも物間は攻撃を続けているが、効果が薄い。

 

「物間の攻撃だって弱くねぇはずなのに、なんで効かねぇんだ!?」

 

物間のサンドバッグとして何度も打ち込まれてきた鉄哲。

 

素手はまだしも、A.Tの蹴りの連打は生身で耐えられるものではない。

 

「さっき僕が飛ばした氷を痛がっていた。カラクリはあるはず!」

 

「いや。物間はもう気がついてる。」

 

役に立てない現状を歯を食いしばりながら耐えていた拳藤は、物間が攻め方を変えたことに気づいていた。

 

「(それと、)」

 

まだ攻め手を残した者がいる。

 

「頑張れ、物間!」

 

何もできない自分の情けなさに耐え、声援を送る。

 

そして――

 

「爀灼ッ、熱拳!」

 

攻撃が何度無駄に終わっても、焦凍は諦めなかった。

 

氷がダメ、咄嗟に放った炎もダメ、

 

ならば全身全霊の炎を放つのみ。

 

物間が時間を稼いでいてくれる今、

 

限界以上の火力を引き出し、溜め続ける。

 

「(一撃でいい。親父の炎に、荼毘の蒼炎に匹敵する火力を捻り出せ!)」

 

左手に纏う炎が圧縮され、輝き始める。

 

「(まだだ。暴発させるな。今撃ったら物間を巻き込む。)」

 

「まさか、バレていないとでも?」

 

ニケが視線だけを焦凍に向ける。

 

「良いだろう、撃ってみろ!無論、躱すか防ぐがな!この小僧ごと撃てば当たるかもしれんが、」

 

「氷の膜を纏ってんだろ、アンタ。」

 

物間が攻撃を続けながらニケのカラクリを言い当てる。

 

「まさか、バレてないとでも?」

 

「ハッ!バレたところで貴様に何が出来る!?」

 

「ツインインパクト。」

 

「あぁ?」

 

「ファイア!」

 

「なっ!?ちょ、ま――ブベラッッッ!?」

 

ドドドドドドッッッッッッ!!!

 

物間が放った連撃の数倍の威力がニケに叩き込まれた。

 

庄田のツインインパクトをコピーしていた物間。

 

人体の急所となる箇所にのみツインインパクトを仕込み、タイミングを測っていた。

 

「あっれー?あんだけ強者感出しておいて、『ブベラッ』とか、」

 

最高のタイミングで煽り散らす。

 

「小物じゃん。」

 

「ぎざま゛!!」

 

「今!!」

 

「じま゛っ――」 

 

「見様見真似だが、」

 

溜め続けた炎が解き放たれる。

 

「ジェットバーン!!!」

 

圧縮された炎は、熱線となり、

 

森を、大地を、飲み込んだ。

 

ーーーーー

 

広場

 

「(またデカい音が……)蛙吹、すまん。状況は?」

 

戦闘音が、森の奥から断続的に響いてくる。

 

地面が微かに震えるたび、広場に残る生徒たちに緊張が走っている。

 

視力がまだ戻らない相澤の護衛は、蛙吹と砂藤。

 

他の者たちは脳無とマグネの対応に追われていた。

 

「ケロッ。さっき爆豪ちゃんがB組の集団を連れてきてくれてからは変化なしです。ラグドールからの通信で、緑谷ちゃんが洸汰くんの救出に成功したことと、森に厄介な奴が現れたことは確認できているけど。」

 

蛙吹の報告を聞きながら、相澤は眉間に深い皺を刻む。

 

視界が塞がれている今、状況判断の全てを他者に頼るしかない。

 

その事実が、彼をひどく苛立たせていた。

 

「ラグドールの通信から数分は経過している。それでも緑谷がいないなら、戻れない状況ということか。」

 

「あと、お茶子ちゃんと発目ちゃんも戻ってないんです。」

 

「なに? クソ、目さえ見えれば……!」

 

拳を握る。

 

教師でありながら、生徒たちを助けに行けない。

 

その無力感が、相澤の胸を強く締め付けていた。

 

そして、

 

広場の戦闘は佳境へと突入していた。

 

「切島くん、芦戸くん! 君たちの連携が鍵だ、作戦通りに頼む!」

 

戦場全体を見渡しながら、天哉が鋭く指示を飛ばす。

 

その眼差しには、焦りよりも確信が宿っていた。

 

「分かった!」

 

「任せて!」

 

返事と同時に、鋭児郎と三奈が前へ出る。

 

二人の足元でA.Tの火花が弾けた。

 

天哉は、ここまで初級・中級脳無の群れを相手取っていた二人を、

 

逆転の一手として配置換えする。

 

「虎、ピクシーボブ、下がって! そいつの相手は彼らに!」

 

ここまでマグネの相手をしていたプッシーキャッツの二人だったが、

 

女性であるピクシーボブは執拗に狙われ、あと一歩のところで攻め切れない。

 

ならば、

 

その構図ごとひっくり返す。

 

「引力と斥力を自由自在に扱えるのは、確かに強力な個性です。」

 

冷静に分析しながら、天哉はマグネを見据える。

 

「しかし、明確な弱点もある。」

 

マグネが舌打ちした。

 

嫌な予感がしたのだろう。

 

「性別で変換して操作するなら、男女のペアかつ接近戦のスペシャリストを突っ込ませる!」

 

「今は女だけど、元は男――っていうかヴィラン! 私が許す、全力で殴れ切島!」

 

「おうよ!」

 

瞬間。

 

鋭児郎のA.Tが唸りを上げた。

 

溜め込んだエネルギーを一気に解放し、

 

爆発的な加速でマグネとの距離を潰す。

 

「レッド・ハンッ――」

 

その拳が届く前に、

 

マグネの肉体が男性へと切り替わる。

 

「離れなさい!!」

 

不可視の力が鋭児郎を拒絶する。

 

「ッ、マ!? グッ、近づけねぇ……けど!」

 

体勢を崩しながらも、鋭児郎は笑った。

 

その瞬間にはもう、

 

「次は私!」

 

三奈が飛び込んでいる。

 

男性への斥力を発動中、女性は反発できない。

 

そこを突く。

 

「アシッド――!」

 

強力な一撃を放とうとする三奈。

 

「こんな所で……!」

 

マグネの顔に焦りが浮かぶ。

 

追い詰められている。

 

そう理解した瞬間、

 

「切り札を使わされるなんて!」

 

ぐにゃり、と、

 

その肉体が歪んだ

 

「ベッ!? なにその姿!?」

 

先ほどまでの、男性か女性かが明確だった外見とは違う。

 

肩幅も、腰つきも、声すらも曖昧に混ざり合った、

 

中性的――いや、両性的な姿。

 

「あら、褒めたって良いのよ?」

 

妖しく笑うマグネから、威圧感が溢れ出る。

 

「ふっふっふっ。この姿の私は、本当の意味で全てを拒絶し、受け入れられる!」

 

「奴め、あんな奥の手を!」

 

虎が前へ出ようとする。

 

だが、それより早くマグネは勝ち誇るように叫んだ。

 

「男は度胸、女は愛嬌。ならオカマはなんなのか知ってる?」

 

鋭児郎と三奈、二人同時に斥力を浴びる。

 

まるで壁に押し返されるように速度が鈍った。

 

マグネがニヤリと笑う。

 

「最きょ――」

 

「「フンガ!!」」

 

「ちょ!? 決め台詞!?」

 

次の瞬間。

 

二人は無理矢理踏み込んでいた。

 

斥力で押されようが関係ない。

 

足を止めなければ前へ進める。

 

「言わせないわよ! そのセリフは、もっとカッコいいオカマが使うべきなんだから!」

 

「しかもヒーローのセリフじゃねぇか! 調子乗んなヴィラン!」

 

「グゥ、この脳筋コンビが!」

 

マグネが個性の出力をさらに上げる。

 

それでも、

 

「ハッ、脳筋で結構!」

 

「ウチには超優秀なブレインがいんのよ!」

 

二人は止まらない。

 

「はぁ?」

 

怪訝に眉をひそめた、その瞬間。

 

「レシプロ・エクステンド!!」

 

轟音。

 

一直線に突っ込んできた天哉の蹴撃が、

 

マグネの顔面へと突き刺さった。

 

「ぎょべぇ!?」

 

吹き飛び、

 

完全に沈黙する。

 

一瞬の静寂。

 

そして、

 

「おお!!」

 

「凄い!」

 

広場に歓声が上がった。

 

凶悪ヴィランを撃破した学生たちへ、

 

プロヒーローたちですら惜しみない称賛を送る。

 

「よっしゃ! 飯田の読み通り!」

 

「読み通り、というと?」

 

虎の問いに、天哉は眼鏡を押し上げた。

 

「切り札が両性であることは読んでました。そもそも、あの姿で最初に現れましたし。」

 

「ああ、確かに。ぽんぽん性別が変わっていたが、最初はそうだったな。」

 

「ええ。そして、両性の時は出力が落ちることも予想できていました。」

 

「なに?」

 

「緑谷くんが最初に攻撃を入れようとした時、奴は男性に姿を切り替えました。両性のままでは拒絶しきれないと判断したんでしょう。」

 

虎が感心したように息を漏らす。

 

「それで両性の姿を取らせ、奇襲をかけたわけか。」

 

「はい!」

 

緊急事態であっても冷静に状況を分析し、

 

最適解を導き出す判断力。

 

そして最後の一撃を成立させる実行力。

 

虎は内心で舌を巻く。

 

「(今からでもトッププロで通用するぞ、この少年!)」

 

だが。

 

まだ終わっていない。

 

「脳無の方もあらかた片付いた。後は――」

 

虎が森へ視線を向ける。

 

その奥からは今なお、

 

爆音と轟音が鳴り響いていた。

 

誰かが、まだ戦っている。

 

戦いは、まだ続く。

 

 

 





時×ツインインパクト。

時の弱点、攻撃の軽さを完全に克服してる気がします。

あとこの時期の焦凍は自分より強い相手への勝ち筋が無さすぎる。
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