A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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第84話 氷河と炎、そして再来(来ちゃった)

 

カッちゃんと並走して森を進む。

 

木々が左右へ流れていく。

 

足元の枝も、傾いた地面も、僕たちの速度を落とす障害にはならない。

 

「可能性が残った!」

 

「死柄木たちと今回の襲撃犯は協力関係にあっても仲間じゃねぇ!」

 

「仲間なら、目的遂行後に直ぐワープできる。なのにしてない!」

 

「ってなると、森で脳無を放し飼いした奴は黒霧じゃねぇな。」

 

「ワープ持ちが二人もいるのはかなりヤバいけど、」

 

「黒霧ほど超便利ってわけじゃなさそうだ。」

 

思考と会話が、走行速度に追いついていく。

 

僕たちは互いに視線を交わさない。

 

それでも、考えていることは分かる。

 

「なら!」

 

「後はぁ!」

 

森を駆け抜けた先。

 

視界が開けた。

 

そこにいた。

 

お茶子さんと明さんは地面に寝かせられ、ニケが端末で誰かと連絡を取っている。

 

こちらの強襲に気づいたのか、ニケの表情が明らかに強張った。

 

ガッキン!!

 

瞬時に、氷柱が生み出される。

 

壁代わりなのか。

 

A.Tの技も使い、氷柱の硬度をさらに上げてくる。

 

避ければ良い話。

 

でも、

 

今は、

 

ストレス解消も兼ねて、

 

「イフリート・スマッシュッ!!!!」

 

真正面からぶち破る。

 

氷柱が爆ぜた。

 

「バカな!?」

 

あ、避けた所を狙い撃ちするつもりだったのかな?

 

「チッ、グレイシャル・タイダル!!!」

 

今、撃っちゃうのかよ。

 

放たれた氷河は、確かに強力だった。

 

地面を抉り、冷気を撒き散らしながら押し寄せるそれは、直撃すればただでは済まない。

 

しかし、

 

僕らは既に射線上にいない。

 

ダッ!!

 

ニケの右脇に着地し、

 

「シッ!!」

 

「普通の蹴り? 氷膜で耐えてカウッ、ウボォッ!?」

 

氷の防御ごと、ぶち抜いた。

 

衝撃が腹に沈み、ニケの身体が折れる。

 

悶絶するニケ。

 

氷河の個性に、A.Tの技。

 

十分に強力なヴィラン。

 

先ほど駆けつけた時、皆倒れていた。

 

コイツニヤラレタ。

 

ユルサナイ。

 

視界の奥が、赤く染まりかける。

 

思考が熱に呑まれそうになる。

 

「出久!」

 

「ハッ!?」

 

呼び声で、意識が一気にクリアになる。

 

「引っ張られんな。」

 

普段、誰よりもキレるのに、

 

こういった時、

 

誰よりも冷静なカッちゃん。

 

「怒っても良い。代わりに思考は全部、ブチのめすのに使え。」

 

「おう!」

 

カッちゃんは既に二人を確保してくれている。

 

なら、

 

僕がやることは一つ。

 

「ブッ倒す!」

 

「調子に乗るなよガキ共がぁ!!」

 

ニケが踏み込む。

 

振動による拘束狙い。

 

露骨。見え見え。飛べば良い。

 

「フンッ!!」

 

でも、

 

真正面からブチ壊す!

 

燃える脚で、振動を伝播させる地面そのものを蹴り飛ばす。

 

同時に、

 

フェニクス・スマッシュ!!!

 

「ぼ、防御!」

 

A.T技による強化のない氷といえど、強固。

 

炎を纏った大地の砲弾は、防がれる。

 

だが、

 

「パイルトルネード!!!」

 

炎の竜巻を纏い、今度は僕自身を砲弾として、

 

ブチ込む!

 

「ダッ、」

 

「ちょ!?」

 

「リャァァァァ!!!」

 

粉砕。

 

氷壁が砕け散る。

 

「ゴピュッ!?」

 

蹴りがニケの腹に突き刺さった。

 

けれど、

 

「………硬いですね。」

 

手応えはある。

 

だが、浅い。

 

「ボッ、ド、ドウ然だ。この氷叢の最高傑、」

 

「じゃあ、頑張って耐えてください。」

 

「作に、って。え?」

 

「フン!!!」

 

オリジンとの最大の違い。

 

飛び蹴り後の、

 

竜巻!!!

 

「ゴヒャァァァ!!」

 

炎の旋風が爆ぜ、ニケの身体を空中へとブッ飛ばす。

 

さらに、

 

フェニクス・スマッシュ・トルネード!!!

 

追い竜巻を加え、もっと上へと打ち上げる。

 

追加で火の玉を展開する。

 

…………これ、どっかで技名考えた方が良いかな?

 

「うん、っっっしょ!!」

 

僕も空へと跳ぶ。

 

火の玉を足場に、さらに上へ。

 

ーーーーー

 

「………容赦ねぇな、出久の奴。」

 

勝己は、冷静さを取り戻し、冷徹に敵を追い詰めていく幼馴染を見送った。

 

感情に呑まれたわけではない。

 

むしろ逆だ。

 

怒りを燃料に変え、敵を潰すためだけに思考を研ぎ澄ませている。

 

その背中を一瞥した後、勝己は状況を整理する。

 

探知で、先ほど助けた一団も広場に到着したことを確認。

 

常闇たちも、既に広場の集団に合流している。

 

森の中にいた上級脳無も、自分が撃破した5体、出久が撃破した4体。

 

それ以外は探知に引っかかっていない。

 

この状況で盤面がひっくり返されるとしたら、

 

「一つ、まだ姿を見せねぇ。おそらくワープ持ちのヴィランか脳無。」

 

黒霧自身が出張ってきた場合、風でゲートを吹き飛ばせば妨害は可能。

 

だが、そうでない場合。

 

新たな敵は不確定要素が大きい。

 

「一つ、あの腐れ金玉頭が出張ってくる。」

 

出久と二人がかりでも厳しい。

 

来たらヤバい。

 

来んな。

 

「一つ、上級以上の脳無が出張ってくる。」

 

絶対いる。

 

これだけ上級脳無をポンポン出してくるということは、その次の段階の奴がいる。

 

戦力が予想できない。

 

「今、この状況がひっくり返されるとしたら、こんなもんか。」

 

後は、

 

「なぜかはぐれちまってる青山が人質に取られたら面倒だな。」

 

加えて、

 

勝己は地面に寝かされた二人へ視線を落とす。

 

「テメェらをどうするべきか、だな。麗日、発目。」

 

ーーーーー

 

上空で、炎と氷が激突する。

 

いや。

 

激突というには、あまりに一方的だった。

 

「ぐぅぅぅ!」

 

「アナタのA.Tの技術、キーによるものですね?」

 

打ち上げられたニケを、出久が連続して蹴りまくる。

 

落とさない。

 

逃がさない。

 

空中に縫い付けるように、次々と蹴撃を叩き込んでいく。

 

「でも、活かしきれていない。」

 

蹴って、

 

蹴って、

 

「記憶や経験をインストールされた後、練習してませんね?」

 

蹴って、

 

蹴って、

 

「それではA.Tに魂は宿らない。」

 

蹴って、

 

蹴って、

 

「話しかけんなら、蹴るんじゃねぇ!!」

 

完全にボールとされていたニケが、怒号と共に全身から氷河を放つ。

 

「このニケをっ、って何処だ!?」

 

自分を散々蹴り続けた下手人を探す。

 

「クソッ、どっ、」

 

「そして大地の道、それは名の通り大地においてその真価を発揮する。」

 

声は上から降ってきた。

 

「うしっ、ゴッ!?」

 

出久の蹴りが、ニケの顎を捉える。

 

「加えて氷河も、大地の支えが無ければ本来の威力とは程遠い。」

 

「グッ、ガァァァ!」

 

ニケが血を吐き出す。

 

それでも叫びながら、氷河を撃ち出した。

 

加減なし。

 

全力。

 

「グレイシャル・ピリオドォォオ!!!」

 

森を凍らせた大氷結。

 

それを圧縮し、出久一人に向けて放つ。

 

「砕け散れぇぇぇ!」

 

「遠慮します。」

 

「は?」

 

空を飛ぶことのできないニケに、

 

空中を超神速で駆ける出久を捉えることなど、叶う筈もなかった。

 

一瞬。

 

ニケの視界から、出久が消える。

 

そして、

 

「墜ちろ。」

 

スマッシュ。

 

「ギッッッ?」

 

左肩に振り切られた蹴りが突き刺さる。

 

「ギャァァァ!?」

 

鈍い音と共に、ニケの鎖骨がブチ折れた。

 

そのまま地上目掛けて、叩き墜とされる。

 

ーッ

 

ーーッ

 

ーーーッ

 

「ーーーーー助けッ」

 

ドッッッッゴーーーーン!!!!

 

地面が爆ぜた。

 

森が揺れる。

 

土砂と氷片が巻き上がり、衝撃の中心に巨大なクレーターが刻まれる。

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー。死んでねぇよな?」

 

勝己が、たった今できたクレーターを覗き込む。

 

シュタッ、と軽い着地音。

 

「氷の防御はかなり強かったから大丈夫だと思うよ。」

 

出久が地面に降り立った。

 

「ーーーッーーッー。」

 

「ほら。」

 

クレーターの中心で、ニケはかろうじて呼吸をしていた。

 

「………まあ、虫の息でもしてりゃぁ生きてるか。」

 

「とりあえず拘束を、」

 

その時だった。

 

 

 

 

 

「すまないが、」

 

 

 

 

 

たった一言。

 

それだけで、空気が変わった。

 

ゾッッッッッ!?

 

全身の細胞が警鐘を鳴らす。

 

勝己が即座に身構え、出久も反射的に戦闘態勢へ移る。

 

「出てくんのかよ!?」

 

「ラスボス気取るなら勿体ぶりましょうよ!」

 

闇が揺れる。

 

そこから現れた声は、あまりにも穏やかで、

 

だからこそ、絶望的だった。

 

「いやぁ。モニター越しの光景が、あまりに楽しそうでね。」

 

まるで、友人の集まりに顔を出しただけのような口ぶり。

 

 

 

 

 

「つい来てしまった。」

 

 

 

 

 

そこに立っていたのは、

 

この場にいる誰よりも、圧倒的な存在。

 

 

 

 

 

「ぜひ仲間に入れてくれたまえ。」

 

 

 

 

 

魔王、再来。

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