A.T使ってガチバトル   作:ken4005

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第92話 疑念

 

 

神野決戦。

 

 

 

ナンバーワンヒーローにして平和の象徴、オールマイト。

 

事件解決数史上最多を誇るフレイムヒーロー、エンデヴァー。

 

個性社会を裏から牛耳ってきた魔王、オールフォーワン。

 

そして新進気鋭のヴィラン、死柄木弔。

 

 

 

一人が本気で暴れれば、街一つを容易く壊滅させるほどの戦力。

 

その四人が神野市上空で激突している今、地上ではーーー

 

黒霧やお茶子、ヴィラン連合の面々、そして三〇〇〇人のA.Tライダーたちによって避難誘導が進められ、

 

 

 

「おい、撤収するぞ!」

 

「本当にもういねぇのか? もうちょっと確認して回ったほうが……」

 

「麗日のお嬢さんと発目のお嬢さんが二人揃って撤収指示を出したんだ。人どころか、ペットだって残っちゃいねぇよ!」

 

 

 

実質ゴーストタウンと化していた。

 

 

 

「お前ら早くしろ! あの空が見えないのか!?」

 

 

 

撤退が遅れている一般ライダーたちを急かすリーダー格のライダー。

 

促されて彼らが見上げた先では、

 

旋風と突風が荒れ狂い、

 

個性によるものとはいえ、人が生み出しているとは思えない轟音と衝撃波が、絶え間なく空を震わせていた。

 

 

 

「「撤退ーーー!!」」

 

 

 

やがて戦闘区域に入っていたA.Tライダーたちの退避も完了する。

 

 

 

「さて、二人はまだ参戦しなくて大丈夫なのかい?」

 

 

 

見晴らしの良いビルの屋上で、

 

麗日建設でA.Tを扱う社員Aさんが戦場となっている空を睨み続ける出久と勝己へ声を掛けた。

 

 

「はい。オールフォーワン一人に対して、オールマイトと死柄木が共闘しているこの状況なら、僕たちはまだ待機です。」

 

 

「俺がフルクラスターでかっ飛ばせば、大概のことには間に合う距離だ。加えて、動きがあれば麗日からのバフもある。」

 

 

「お茶子ちゃんのゼログラビティによるブーストか。必要に応じて私たちも動いていいんだね?」

 

 

「はい。黒い脳無が出てきた場合は特Aクラスのライダーの方々に対応をお願いしたいです。」

 

 

「俺が出てもいいんだぞ、緑谷。」

 

 

「いえ。オーバーホールがオールフォーワンに目を付けられたら厄介です。治崎さんは後方で怪我人の治療をお願いします。」

 

 

「了解した。無料で治療してやるから、安心して怪我してこい。」

 

 

軽口を交わしながらも、

 

その場の誰一人として視線を戦場から外さなかった。

 

戦う者たちの癖、間合い、呼吸。

 

敵として対峙する場合も、味方として共闘する場合も想定し、得られる情報を一つ残らず頭へ叩き込んでいく。

 

 

そして――

 

 

 

「来た!」

 

 

 

「動きやがった!」

 

 

 

展開されたのは、黒霧のものとは異なるワープゲート。

 

その異常なまでの巨大さを見た瞬間、オールフォーワンが切り札の一つを切ったことを悟り、二人――いや、三人が同時に動く。

 

 

 

『ゼログラビティ・ブーステッドフィールド!!!!』

 

 

 

ゲートから現れた巨人は、落下することなく空中で静止していた。

 

同時に、出久と勝己のA.Tへ限界以上の性能を引き出すためのバフが付与される。

 

 

本来、宇宙空間での使用を目的として開発されたA.T。

 

その真価は、無重力環境でこそ最大限に発揮される。

 

 

 

「おい出久、あの巨人やべぇぞ!」

 

 

 

「うん。あれが暴れたら、この一帯が数分で更地になっちゃう。」

 

 

 

「だったら――」

 

 

 

「やることは一つ!」

 

 

 

「イフリートソール!!!!」

 

 

 

「フルクラスター!!!!」

 

 

 

お茶子からのバフを受けた二人は、迷いなく全力戦闘形態へ移行する。

 

業炎と爆炎をまといながら、二つの閃光が一気に戦場へ駆け抜けた。

 

 

 

「「一撃必滅!!」」

 

 

 

圧倒的な加速を維持したまま、二人は巨人へ一直線に突撃する。

 

 

 

「……いや、ヒーローが滅したらまずいんじゃないか?」

 

 

 

社員Aさんの冷静なツッコミに応える者は、誰一人いなかった。

 

 

ーーーーー

 

 

そして現在、

 

 

 

「グゴォッッ、」

 

 

 

出久と勝己の手加減なし、容赦なしの攻撃を受けたギガントマキアだが、

 

 

 

「ガァァァァッッッッ!!!!」

 

 

 

雄叫びを上げながら、出久と勝己目掛け腕を振るった。

 

 

 

「マジか!?」

 

 

 

「あっぶね!?」

 

 

 

オールフォーワンの配下最大戦力は伊達ではなく、耐え切るどころか、ガムシャラに腕を振り回しただけではあるが、反撃すらしてみせた。

 

 

 

「(想像以上の耐久力。今の連撃を喰らって反撃してくるってことは確実に防御系の個性持ち!)」

 

 

 

「(ダメージが入ってないわけじゃねのに、痛がるそぶりはなし。痛覚遮断か?)

 

 

 

一撃必滅に失敗した二人ではあるが、決して焦ることはしない。

 

世の中、自分たちの思い通りにならないことの方が多いことを知っている二人である。

 

ましてやこれは命懸け戦闘、相手も必死に耐え、必死に攻撃してくるのは当然であり、だからこそ冷静に、持ち前の分析能力で相手の個性を暴いていく。

 

 

 

「(お茶子さんのゼログラビティが付与されている以上、今この状態のコイツに脅威は少ないはず。)」

 

 

 

「(だが、この化け物を一度地上に落としちまった場合、周囲が更地にされちまうのは間違いねぇ。)」

 

 

 

そしてそれは、ギガントマキアを呼び出した側も理解している。

 

 

 

「ハァッ!!!」

 

 

 

ギガントマキア目掛けオールフォーワンから風圧が撃ち出される。

 

いくらゼログラビティが付与されているとはいえ、風圧によって加速した巨体が地上に激突すれば、それだけで大災害になる。

 

 

 

「フェニクス・スマッシュ!!!」

 

 

 

炎の波で風圧を相殺する出久。

 

だが、風圧が飛んできたこと、それ事態に驚愕する。

 

 

 

「(オールマイトと死柄木の二人を相手取りながら、まだ他に意識を割く余裕があるのか!?)」

 

 

 

「(Unbelievable!大振りを狙われた!戦い方が上手くなったとかいう次元ではないぞ!?)」

 

 

 

隙の突き方は勿論、間合いの取り方や呼吸の読み合い。

 

蹂躙ではなく、戦うための技能を身に付けたオールフォーワンはオールマイトを相手に有利に戦闘を進めている。

 

これが1対1であった場合、オールマイトが敗北していることはなくても、周囲に大きな被害を出してしまったいたであろう。

 

それを覆しているのが、

 

 

 

「ははっ。黒霧から聞いてはいたがスゲェの隠してたじゃねぇか、先生!」

 

 

 

やはり弔である。

 

 

 

直撃すれば即死の崩壊の個性。

 

キーだけの練度ではないA,Tライダーとしての技量。

 

オールフォーワンの思考を先読みする知性。

 

 

 

それに加え、

 

 

 

「それにしてもこの無重力バフ、いいねぇ!」

 

 

 

弔もお茶子の遠距離ゼログラビティ付与によってブーストされることで、能力を強化、オールフォーワンを自由にさせていない。

 

先ほどの風圧も、オールマイトの大振りから生まれた隙を上手く突けただけである。

 

 

 

「(チィッ!僕の後継者として育て、器として鍛え上げたことはある。)」

 

 

 

奥の手の一つを切らせ、即座に潰すことに成功したヒーロー側は、流れがコチラにあると判断する。

 

 

 

「このデカブツの相手は俺に任せろ!」

 

 

 

炎を噴かしながら地上から上がってきたエンデヴァーが、ギガントマキアに向け炎を放ちながら叫ぶ。

 

 

 

「オールマイトォ!空中戦ならば、俺よりもそこの二人の方が役に立つ!さっさと終わらせて、」

 

 

 

本来、戦場に立たせるべきではない学生2人、いやおそらくサポートを含めれば4人。だが、彼らも覚悟を持ってこの場にいる。ならば………

 

 

 

「イレイザーやそいつらの保護者を呼んで大説教だ!!」

 

 

 

「………プッ。」

 

 

 

エンデヴァーの発言がツボに入ったのか、吹き出すオールマイト。

 

弔はニヤニヤしながら出久たちに視線を向け、

 

当の二人は、

 

 

 

「「(マジか〜。)」」

 

 

 

ゲンナリしていた。

 

 

 

「HAHAHAHAHA!!その通りだエンデヴァー!」

 

 

 

オールマイトの笑顔から固さが消えていく。

 

 

 

「(そうだ!さっさと終わらせよう!)二人とも!平和の象徴と共に自称魔王を討ち取る気概は、」

 

 

 

「あります!」

「あるに決まったらぁ!」

 

 

 

「聞くまでもなかったね!では、行くぞ!」

 

 

 

 

「「「プルス・ウルトラァァァア!!!」」」

 

 

 

炎の魔神と大爆殺神を従えた平和の象徴と現魔王の戦いが佳境へと突入する。

 

 

 

「(………おかしい。)」

 

 

 

そんな中、徐々に追い込まれていく魔王に、叛逆中の教え子だけが違和感を感じていた。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

おかしい。

 

 

 

いくらなんでも順調すぎる。

 

 

 

先生がアジトに来たタイミング。

 

周囲を囲んだヒーローの戦力、俺や同類たちが用意した人員。

 

全てを先生に向けているからこそ、今俺たちが優位であり、こちらの作戦や動きがハマっている。

 

だが………ハマり過ぎてないか?

 

 

 

それに黒霧の話だと合宿襲撃で先生は同類たちの足止めのためとはいえ脳無をほぼ全て使い切ったらしいが、それも変だ。

 

明らかに今の先生は戦力を不足している。

 

にも関わらず、この決戦に踏み切った理由は?

 

 

 

なんだ?

 

何かを見落としているのか?

 

本当にこのまま、先生を倒しきれるのか?

 

 

 

目の前では同類、緑谷出久と爆豪勝己がさっきまでの俺の代わりに先生にオールマイトの隙を突かせないための動きをしている。

 

 

 

「オールマイト、好きに攻めてください!フォローは任せて!」

 

「爺さんの世話は若者にまかせろってなぁ!」

 

 

 

同類二人は勢いよく攻めてるな。

 

 

 

この違和感は俺だけか?

 

 

 

「ゼェェイッ!」

 

 

 

先生も押され気味ではあるが、あの3人を相手に負けていねぇ。

 

 

 

チィッ、分からん。

 

戦力は十分、なら先ず先生を仕留めることに全力を尽くす。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

さあ、クライマックスだよ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の僕。

 

 

 

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