The Last Boss Master ~転生カードゲーマー、悪の組織のボスになる。~   作:恋愛を知らぬ化け物

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【救世少女ジャンヌ】
コスト10 モンスター 種族:少女、救世教団、
・このモンスターを手札から召喚する時、墓地の種族に【少女】を持つモンスター1体につきコスト-1、バトルゾーンにある種族に【少女】を持つモンスター1体につきコスト-1して召喚する(ただし、コストは1以下にならない)
・このモンスターがバトルゾーンに出た時、墓地の種族に【少女】を持つモンスターを全てバトルゾーンに出す。
・【救済7】

【時を統べる者ダイン】
コスト3 モンスター 種族:アウトサイダー
・【反撃】
・このモンスターが出た時、ターンの残りを飛ばす。


コスト10+コスト3 【救世少女ジャンヌ】/【時を統べる者ダイン】

 

 神原騎士は、『IGNITE』には居ないはずのキャラクターだ。

 

 彼は紅ヒイロのライバル。『ウォイト!!』第二話にて登場し、敵対と協力を繰り返し、最後にはJJC(Japan Junior Cup)という大舞台で戦い、敗れた男だ。

 『ウォイト!!』完結後はスピンオフ作品『ウォイト!!騎士物語』にて高校生となった姿が描かれ、修羅高校という学校で校内で起こる事件だったり、『ウォイト!!』の時に登場した敵との再戦をしたり、変わらぬ活躍を披露していた。

 

 そう。彼の通うべき学校は、修羅高校という全く別の学校。永川ウォイト学園ではない。

 なのに、何故か彼はここに居る。俺の目の前で、ウォイト応用を共に受ける者として握手を求めてきている。

 

 疑問が無いわけでは無い。本来通ってる学校が違うだろと、ツッコミたい気にはなっている。

 だが修羅高校が()()()()()ことは元々知っていた。『ウォイト!!』の世界なら存在しているはずだし、唯一神原さんだけがネームドキャラの中で進学先が明らかになっているキャラだったからだ。

 他はみんな、アメリカ行ったとか地元で進学したとか、ぼかされてたんだよな。

 

 まぁ、考えていても意味のない事か。

 修羅高校に通うはずだった、なんて言っても伝わらない可能性が高いし、万が一修羅高校が存在し、通おうと考えていたとしたら、なぜそれを知っているんだと面倒な事になりかねないからな。

 

 ―――だから、今は喜んでおこう。ずっと会いたくて、何故か一度も直接お目にかかることが出来なかった『ウォイト!!』のキャラに、ついに出会えたという事を。

 

「神原騎士さん!?よ、よろしくっす!!俺、黒井ナラクです!」

「あ、あぁ。知っている。………そんなに畏まられる理由が分からないのだが、どうした?」

「いやいやいや!神原さんと言ったら、あの紅ヒイロ先生の永久のライバル!ビートダウンデッキにあるまじき堅牢さを誇る【騎士ビート】を使い、多くの強豪をねじ伏せてきた伝説級のプレイヤー………!!!同じウォイトプレイヤーとして尊敬してます!しまくってます!!」

「そうか、その………ありがとう。と言うべきか?ただ、伝説級というならお前もだろう。かのMasters Cupで3度も王座に立った最強のプレイヤー。複数のデッキを使い熟すという、前人未到の偉業を達成したプレイヤーだ。敬意を表すべきは、俺の方だと思うが」

 

 しまった、と思った時にはもう遅い。

 憧れの『ウォイト!!』キャラに出会えて、感情が高ぶりすぎた俺は、強火のファンみたいな反応を見せてしまった。

 

 何事か、と周りの視線を集めてしまったし、何より神原さんに引かれている。これは不味い。

 

 幸いなことに、知っていてもおかしくない事しか言わなかったから怪しまれてはいないが………あっ、暁がすっごい目でこっちを見てる………。

 

「それでも憧れなんですよ、神原さんと紅ヒイロさんは!JJC決勝戦はもう、日本ウォイト史に残る名試合でしたし!!」

「そうか。………これでは、互いに平行線だな。ならば、この話はもうやめにしよう。───男の語らいには、これが相応しいだろう?」

 

 デッキを出し、不敵に微笑む神原さん。

 こちらとしてもファイトせずお話だけして終わりなんて願い下げだし、何よりこのままだと変な奴のまま終わってしまう。

 

 もちろん、と頷いて、空いている対戦台へと向かう。口を開いたら余計な事を言いかねないので必死に閉じて、スマホを翳す。

 

『承認。プレイヤーネーム・黒井ナラク。ランク・MASTER』

『承認。プレイヤーネーム・神原騎士。ランク・S+』

 

 この声を聞けば、意識も切り替わる。

 『ウォイト!!』のキャラに出会えた喜びも落ち着き、ファイトに集中するモードに入る。

 

「Sランクは何度か相手しましたけど、+マーク付きは初めてっすよ」

「それを言うなら、俺もMASTERランクとの戦いは初めてだ。───宵闇の騎士達よ、我が下に集いて力を示せ!!!」

 

 +マーク付き。特定の大型大会で優勝したプレイヤーを指す言葉だ。

 JJCでは紅ヒイロ先生に敗れた彼だが、しっかり他の大会で勝利していたらしい。

 

 ()()()()口上と共にデッキを置き、ライフを展開し、手札を揃える神原さん。

 対する俺は、あくまで静かに冷静に、準備を整えた。

 

『プレイヤーが揃いました。山札、ライフゾーンに既定枚数のカードを確認。試合を開始します』

『JUDGE SYSTEM起動。先行プレイヤーを選出します』

『ファーストプレイヤー、黒井ナラク。ターンを開始してください』

 

「「ファイト、スタート!!」」

 

 同時に叫び、手札を構える。

 『ウォイト!!』でしかやっていなかった掛け声だが、『IGNITE』の舞台でも神原さんはしっかりと叫んでいた。

 

 二人揃って口角を上げ、試合が始まる。

 

「―――俺のターン、【卍死増殖(バンデッド・クラスター)F・エール】をチャージしてターンエンド」

「俺のターン。ドローして───【苛烈なる騎士ジェノン】をチャージし、ターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー。【妖艶英雄マイ・コハーン】をチャージして2コスト。呪文【ネオンライトサイン】」

 

 山札の上から1枚をエナジーゾーンに置き───種族に【マシン・ヒーロー】を含むカードだった為、追加で1ドロー。

 

 手札的には一応、次のターンから【D・パンク】を出して【ダークマイザー】に繋げる動きが出来るが、【騎士(ナイト)】デッキ相手に最速で殴りに行く動きは正直弱い。

 

 神原さんのデッキは【騎士】デッキの中でも攻撃に寄せた構築になっているはずなので、他の【騎士】を相手にする時よりは受け札の警戒をしなくても良いとは思うが………まぁ、念には念を入れるべきだな。

 

「ターンエンドで」

「俺のターン、ドロー。【誓いの託宣】をチャージして2コスト、呪文、【騎士の威光】を詠唱する。効果で山札の上から1枚をレストした状態でエナジーゾーンに置き、置かれたカードが【騎士】を種族に持つモンスターならさらにもう1枚、山札の上からレストした状態でエナジーゾーンにカードを置ける。―――来たのは【ファントム・ナイト】。よってエナジーをもう1枚追加だ」

「………俺のターン。ドローして、【獄炎英雄イグニス】をチャージ。2コスト支払って、【正義英雄ディセイア】を召喚」

 

 -【正義英雄ディセイア】 パワー4000-

 

 正義降臨、と書かれた横断幕を片手に、丸みを帯びたデザインの機械人間が登場する。

 

 コイツさえ置いておけば、展開の大半を踏み倒しに頼っている【騎士】は動きが止まる。

 とはいえ、対策(メタ)モンスター1体だけなら処理しつつ展開するなんてことも簡単に出来るだろうし、あまり過信するのも良くないか。

 

「さらに2コスト払って呪文、【デス・グリップ】。この呪文は唱える時に自分の手札を1枚相手に見せる事で、追加能力を得られる。俺は【卍死黎明D・パンク】を公開し、通常効果で相手の手札を見ないで1枚選び、捨てさせ───追加効果でさらにもう1枚捨てさせる!合計2ハンデス*1だ!」

「くっ!!」

 

 落ちたカードは、【円卓の騎士王アーサー】と【騎士の威光】。【威光】はともかく、展開の起点となる【アーサー】を落とせたのは強い。

 これで相手の手札は2枚だし、トップが余程のカードでなければ大量展開はまずあり得ない。【騎士】の展開には手札が必要だからな。

 

 ターンを返し、自分の手札を見つつ次の行動を考える。

 既に【D・パンク】は公開済み。残りの1枚は【ダークマイザー】だし、トップ次第では受け身の考えを捨てて殴りに行くことになるだろう。

 

 ま、手札が細ければ相手の展開もそこまで怖がる必要無くなるし。問題ない───と、そんな事を考えた、次の瞬間。

 

 ニヒルに微笑み、ポーズを決め、山札に指をかけた神原さんを見て、俺は思わず後退った。

 

 だって、あの構えは。

 

「【D・パンク】は確か、コスト軽減と【速攻】を兼ね備えた7コストの【マシン・ヒーロー】。お前の切り札、【ダークマイザー】に繋ぐことが出来るカードだ。そうだろう?」

「そう、っすね」

「そして、俺のこの手札。なるほど窮地だな。この学園に来てから、何度も味わったつもりだが───やはり、何度味わってもこの高揚、この熱さは変わらない!!」

 

 『ウォイト!!』の名物。主要キャラクターならば誰もが行う、熱いアレ。

 

 ()()()()()()が、俺の目の前で。

 

「騎士たちよ、我が声に応えよ!我、欲するは、敵を殲滅し、勝利を掴む為の切り札なり!うォおおおおッ!!バニシング・ドローッ!!」

 

 前口上の直後、カードを引く。まるで達人の居合かのような動作は、カードが消えてしまったかのような錯覚を見る者に与える。

 

 神原騎士の必殺ドロー、バニシング・ドローだ。これをした時、彼は必ず、必要なカードが手元に来る。

 

 そうか―――俺は神原さんに、バニシング・ドローを使わせたのか。

 

「ふっ、【ポイズン・ナイト】をチャージする。そして俺は、コスト5を支払って呪文、【俺が道を切り開く!】を詠唱する!効果で相手のコスト3以下のカードを1枚破壊し、その後手札から種族に【騎士】を持つコスト7以下のモンスターをコストを支払わずに召喚する。【ディセイア】を破壊し、手札から【ナイト・リーダー】を召喚だ!!」

「つンよっ」

 

 ‐【ナイト・リーダー】 パワー7000‐

 

 剣が虚空から投擲され、【ディセイア】を破壊する。その後、騎士が威風堂々と現れ、手にした旗を掲げた。

 その旗が輝き、その眩しさに目を細める。視界が戻った時には、そこには2体もの騎士が増えていた。

 

 ‐【ワンモア・ナイト】 パワー5000‐

 ‐【バーサーク・ナイト】 パワー10000‐

 

「【ナイト・リーダー】の能力で、俺は山札の上から3枚を見て、【騎士】を持つモンスターを1体バトルゾーンに出せる。出したのは【ワンモア・ナイト】。コイツがバトルゾーンに出た時、俺は直前に発動したモンスターの能力をもう一度使う事が出来る。よって山札の上から3枚を再び確認し、今度は【バーサーク・ナイト】を出した」

「流石は神原騎士さん、と言うべきですか。あの手札から、【陣形】を完成させる(3体も並べられる)なんて」

「そちらも、当然【陣形】については知っているか」

 

 種族に【騎士】を持つモンスターが複数体並ぶことで発動可能になる、【陣形】。これが発動している間、バトルゾーンの【騎士】は全て同じ効果を獲得する。

 例えば【陣形3】で【速攻】を付与、と書いてあれば、バトルゾーンに【騎士】が3体以上いる時、自分のバトルゾーンの【騎士】は全員【速攻】を得る。

 

 このように、【騎士】を展開して【陣形】を発動し、防御したり攻撃したりして、相手を制圧していくのが【騎士】デッキだ。

 

「【ナイト・リーダー】の【陣形3】発動!俺の【騎士】は全て【速攻】を持つ!よってバトルフェイズだ!まず【バーサーク・ナイト】でプレイヤーに攻撃!このモンスターの攻撃時、自分の山札の上から1枚を表向きにし、手札に加える!」

「そしてソレが【騎士】なら、このモンスターをアクティブにする───うっわ【シールド・ナイト】か」

「よってアクティブに!【バーサーク・ナイト】でライフを2つ、破壊する!」

 

 ‐黒井ナラク ライフ5→3‐

 

 【反撃】は───ある。

 対戦台から吹っ飛んできたカードを、神原さんへ突きつける。

 

「【反撃】発動、【卍死破砕(バンデッド・クラッシュ)K・ネグラ】!コイツがバトルゾーンに出た時、俺は山札の上から4枚を見て、2枚を手札に加え、2枚をエナジーゾーンに置く」

 

 ‐【卍死破砕K・ネグラ】 パワー5000‐

 

「リソースを確保してきたか。―――警戒し、止まる方が賢明ではあるが………ターンを返せば再び窮地に追いやられるだけだ。ここで止まる理由は、無い!再び【バーサーク・ナイト】でプレイヤーに攻撃!この時、山札の上から1枚を表向きにして───【円卓の騎士ガウェイン】!【騎士】を持つモンスターなので【バーサーク・ナイト】をアクティブに!」

「いいや、それは短慮だ!!【K・ネグラ】は【守護】を持つモンスター!よって、【バーサーク・ナイト】の攻撃をブロック!―――()()()()!」

 

 【守護】は、相手のモンスターが攻撃するときに【守護】を持つモンスターをレストさせる事で、攻撃先をそのモンスターへ変更させる能力。

 そう。()()()()()()()()なのだ。

 

「【ヒーローズ・スクランブル/D‐side・7】発動!―――悪に染まりし正義の英雄、その王よ!今、その力、その破壊に喝采を!」

「【D・パンク】が脅し(ブラフ)の可能性に賭けたが………ドローもしていたしな。無理もないか」

「残念ながらコイツはずっと握ってましたよ!【卍死喝采リベリオン・ダークマイザー】、現着!!」

 

 ‐【卍死喝采リベリオン・ダークマイザー】 パワー98765‐

 

 疾走する【バーサーク・ナイト】の前に、可憐な少女が現れる。

 彼女は静かに大剣を構えると、駆け寄ってくる【バーサーク・ナイト】を無言で切り捨て、破壊した。

*1
相手の手札を捨てさせること

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