The Last Boss Master ~転生カードゲーマー、悪の組織のボスになる。~ 作:恋愛を知らぬ化け物
【試練を与える者ダルマ・ダルマ】
コスト11 モンスター 種族:マスターオブジェクツ、アポストルズ パワー88888
・このモンスターを召喚するコストを、相手の墓地にあるカード1枚に付き1下げる。ただしコストは1以下にはならない。
・このモンスターはライフを3つ破壊する。
・このモンスターが出た時、相手は自身の墓地にあるカードを全て山札に加えてシャッフルし、その後同じ枚数のカードを山札の上から墓地に置く。
・相手のカードが墓地に置かれた時、自分は相手のエナジーゾーン、または手札から1枚選ぶ。相手はそれを自身の山札の下に置く。
・このモンスターがライフを破壊する時、代わりに墓地に置く。
【補給物資】
コスト2 呪文
・山札の上から1枚をエナジーゾーンに置く。
‐【終わりを告げる者フィーネ】 パワー‐‐
「素晴らしいでしょう?この姿。まさしく、世界を終わらせる者!【フィーネ】は、終わりの巫女たる私だけが操れる、最強のモンスター………!!」
頬を上気させ、蕩けた声音で【フィーネ】を見上げる羽々斬。
神というにはあまりに悍ましく、怪物と呼ぶには神々し過ぎるソレに、彼女は狂っていた。
汚染されているのだ。その強大な力に、終わりの巫女―――【終焉】を御せるはずの彼女が、逆に支配されている。
「でも、幼体だろ?」
「あら、知っているの?………そういえば、龍牙カイナと一緒に居たわね。とすれば、話を聞いていた………あぁ、貴方が私にしようとしている命令はそれね?『世界を終わらせるのをやめろ、【フィーネ】を手放せ』………といったところかしら」
でも残念。それはもう、叶わないわ。
彼女が小さく呟いた瞬間、【フィーネ】に光の楔が降り注ぐ。
遥か上空から、吸い寄せられるように飛来した楔は、全部で4本。
「このモンスターが出た時、山札の上から4枚を裏向きのままこのカードの上に置く。―――この楔こそ、終焉へのカウントダウン。1本抜ける度に、貴方は敗北という結末へ近づくの」
「各ターンの終わりに【フィーネ】の上に置いたカードを1枚ずつ墓地に置いて、置く度に盤面破壊、
「能力についても聞いていたようね。その通りよ」
「………種が割れてるっていうのに、随分余裕なんだな」
「ええ。いくら知っていても、【フィーネ】の齎す終焉から逃れる事は出来ないもの。故に闇の伝説。故に最強!」
天を仰ぎ、両手を広げる。
カードのエネルギーを知覚できるようになった目には、まるで操り人形のように、その体から無数の
なるほど。召喚されると………いや、
………本当は、【フィーネ】は
「さぁ、ターンエンドよ。その時、【フィーネ】の上にあるカードを1枚墓地に置くわ。そして【フィーネ】の上からカードが離れた時、それが1枚目のカードなら相手は自身のバトルゾーンにあるカードを全て持ち主の墓地に置く。………と言っても、既に【絶望と希望の逆転】で何も残っていないわね」
「そっちも【フィーネ】以外残ってないし、トントンだろ?」
「【フィーネ】がいれば十分だ、と言っているのよ。―――さぁ、ターンを始めなさい。そのターンが終われば、貴方の手札は捨てさせられる。次の私のターンが終わる時には、エナジーゾーンが空っぽになる。そして貴方の最後のターンが終われば、ライフが全て破壊され、無防備な状態で私にターンを返す事になるの。1本1本、四肢をもがれ、目に見えた死が迫ってくる感覚………この恐怖、この絶望に溺れなさい」
感動は、もちろんある。神原さんの時のように、オタクとして叫び出したい衝動に駆られる。
―――だが、今はそうすべきではない。
俺の予定通りに事を進めるためには、俺は得体のしれない、底の見えない存在でなければならない。
だから堪える。そして、その代わりとばかりに、不敵な笑みを───敢えて、挑発的な、見下すような笑みを浮かべる。
「四肢をもがれ、そして死ぬ―――それは
カードを引く。と言っても、トップはもはや関係ない。
勝利条件は、既に揃っている。俺の切り札は、既に手の中だ。
「はぁ?………ふっ、ははっ、あはははははッ!!私が、負ける?何を言い出すかと思えば、気でも狂ったのかしら?貴方のデッキは、プレイングや能力から察するに、盤面展開を戦略の要としているでしょう?それを一掃され、手札も数える程度、エナジーは私のちょうど半分な今の状況で、何が出来るというの?………あぁ、エナジーはチャージすれば一応5枚ね。【フィーネ】に抗えるようなカードが、5コスト帯にあるとは思えないけれど」
「手札も数える程度………ね。能力で察するんなら、単なる横展開デッキじゃなく、墓地利用の側面も持ち合わせてる可能性を考慮しておくべきだったな」
「………どういう意味かしら」
「
―――正しくは
少なくとも、彼女の余裕の笑みは消えた。代わりに、訝しむような視線をこちらに向けている。
それでも敗北するとは毛ほども思っていない事は、その瞳の色が雄弁に語っているが。
「チャージはしない。そして―――このモンスターを召喚するとき、バトルゾーンの種族に【少女】を持つモンスター1体につきコストを-1、墓地の種族に【少女】を持つモンスター1体につきコストを-1する。俺の墓地には、さっき破壊された5体と、【終焉】で落とした3枚の計8体の【少女】モンスターが眠っている。よって、コイツの召喚コストは2!【
‐【
シスター服姿の………と言っても、異世界ファンタジーに出てくるような、スリットの入ったちょっとエッチな感じの服装に身を包んだ少女(?)が、錫杖と共に天から降りてくる。
神々しく美しい彼女は、何故か俺の頬をそっと撫でて、すぐに羽々斬へと体を向けた。
「【ジャンヌ】は殉死した【少女】達を蘇らせることが出来る………墓地の種族に【少女】を持つモンスターを全てバトルゾーンに出せる。【レイナ】、【レイチェル】、【クロリス】、【ドリー】、【セシリア】、そして【コトネ】、【ステラ】、【ジャンヌ】をバトルゾーンに」
「8体もの大量展開を………!」
‐【
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地面に魔法陣が輝き、少女たちが復活する。元々バトルゾーンに居た者から、そうでないものまで。
救世教団のメンバーから、関係の無い少女まで。
「【ドリー】の登場時効果で3枚を見て、【招集指令!】をエナジーゾーン、【招集指令!】を墓地、1枚を手札に。次に【コトネ】の効果。相手のバトルゾーンにあるカードを全て手札に戻す。こうして戻したカードを、次の相手のターンの終わりまで、相手は使うことができない。最後に【ステラ】の効果。出た時またはアタックする時に、3つの能力の内から2つ選ぶことが出来る。………が、今回は山札から種族に【少女】を持つモンスターを探索し、手札、エナジーゾーン、または墓地のいずれかに置く効果しか使わない。この時探索したモンスターは、手札に加える時に公開する必要はない」
「【フィーネ】をバウンス………。確かに破壊以外の除去は有効だけど、まさかそれを知っていたの?龍牙カイナも知らないはずだけど」
「【フィーネ】は龍牙に聞かなくても知ってたからな。………それと、このバウンスは特に関係ないよ。【コトネ】が墓地に落ちてなかったとしても、このターン中に【フィーネ】は吹っ飛ばしてたし───なにより、勝ちはもう決まってる」
「勝ち?確かに【フィーネ】が戻されたのも、次のターン再着地させられないのも面倒だけれど、所詮それだけ。【速攻】持ちもいないし、このターンは終わりでしょう?」
嘲笑する羽々斬に、俺は答えない。
正直、【ジャンヌ】で出した奴らの出た時効果は使わなくても良かった。
とはいえ強制効果だし、万が一トドメまで行けなかった時の為に備えるくらいはしておかないと後悔しそうなので、ちゃんとやった。それだけの話だ。
別に、この大量展開とリソース回収だけで勝利云々と格好つけたわけでは無い。
《出番、だね?》
「あぁ。───幕を引こう」
カードが闇を放つ。共鳴するように、山札からも闇が溢れだす。
突然のことに羽々斬が面食らうが、それに構うことなく、俺はあるカードを掲げ───
「呪文、【終幕合図イケニエギロチン】」
―――現れた無数の断頭台が、少女達の首を容赦なく切り落とした。
「ッ、【終幕合図】!?」
「この呪文を唱える時、代わりに自分のバトルゾーンにあるカードを全て墓地に置く。こうして置いたカードのコストの合計が25を超えていれば、この呪文の効果が発動できる───」
少女たちの死体から流れた血が、魔法陣を生み出す。
そして、その魔法陣へと、山札から1枚のカードが飛び出し、そして吸い込まれるように消えた。
「絶対の執行、絶望の到来!終の名を持つ覇王が、今ここに君臨する!さぁ、終幕の刻だ!!」
血濡れの魔法陣に亀裂が走る。汚泥のごとき闇が、王の産湯が、とめどなく溢れだす。
少女たちの死体が呑み込まれる。異空間が揺れ、これまで一度たりともした事が無い
「【
間欠泉がごとく吹き上げた闇の中から、悍ましき異形が姿を現す。
それは、まるで天使だった。
それは、まさに悪魔だった。
無数の目が浮かび上がる、肉塊のリングが無数に絡み合った塊に、純白の翼と、巨大な口が付いた、名状しがたい化け物。
‐【
これこそ、本来の【グランド・フィナーレ】。
数多の世界を終幕に導いてきた、絶対の姿である。
………ただ、なんで本来の姿なんだろう。越智のイラストのカードで召喚したはずなんだけど。
「………あり、得ない。あり得ない、あり得ないありえないありえない!!【グランド・フィナーレ】………!?完成された終焉が、なぜ!?」
「───【イケニエギロチン】の効果は、自分の全てのゾーンを探索し、【終焉覇王グランド・フィナーレ】をコストを支払わずに召喚しても良い、だ。だからこうして召喚された」
「違う!!私が言っているのは、そんな話じゃない!!【フィーネ】は、幼体は私の手元にあるの!なのに、どうしてあなたがソレを………ッ、そもそも、貴方は一体、何者なの!?」
半狂乱の羽々斬に、俺は何も答えない。
彼女に【グランド・フィナーレ】を見せる事。それが何を意味するか、どんな結果を齎すか、俺がわからないはずがない。
いやまぁ、実を言うとここまで動揺されるのはちょっと想定外だが、それでも俺に対して「何としてでも話を聞き出す必要がある」と思わせる事には成功した───と、思う。一周回って「殺さなきゃ」くらい思われてそうだが、その可能性は無いと信じて。
「【グランド・フィナーレ】がバトルゾーンに出た時、相手は自身のバトルゾーン、手札、墓地にあるカードを全て山札に加えてシャッフルする」
「ッ、手札を………」
【フィナーレ】の目が一斉に羽々斬を睨む。
バトルゾーンは【コトネ】で既に空になっているが、手札と墓地は潤沢にあった。それが、全て一瞬で奪われる。
「四肢をもがれ、そして死ぬ───。どうやら、それはお前の話だったみたいだな」
「ひっ───。い、いいえ!まだ、私にはライフが残っている!【グランド・フィナーレ】と言えど、ライフに守られた人間を終わらせることは不可能なはず!」
「確かに、この【フィナーレ】に
別の【フィナーレ】には特殊勝利能力を持ったヤツがあるけど、それが登場するのはかなり先の特殊弾だし、能力的にもイラスト的にも、俺はあんまり好みじゃない。
気丈に振舞ってはいるが、完成された【フィナーレ】は、終わりの巫女であっても───否、終わりの巫女だからこそ、恐怖の象徴として認識してしまうのだろう。アニメで見た事がないくらいに弱々しく、震えている。
だが、自分にまだ逆転の目があると考えていることも事実なのか、諦めたようには見えない。
「でも、終わりの巫女ならわかっているだろ?【フィナーレ】は本体の力だけじゃなく、カードとしての力も終焉にまつわる、相手を終わらせることに特化した能力になっていると。―――【フィナーレ】は【速攻】持ち。即時攻撃可能だ。そしてプレイヤーに向かって攻撃する時、能力発動」
彼女の自信の源である、ライフが全て消し飛ぶ。対戦台の上から吹っ飛んだカードは、全てが彼女の手の中に納まる。
突然のライフ全破壊に、羽々斬の時が止まった。
「このモンスターが攻撃するとき、相手のライフを全て破壊する。───もちろん、攻撃はまだ続いている。【反撃】は使えるけど、無ければそのままダイレクトアタックだ」
「ッ、【反撃】は───」
必死の形相で手札を見る。そして微かな安堵を滲ませたかと思えば、1枚のカードをこちらに向けてくる。
「【反撃】は、無いわ。けれど、逆転の手は【反撃】だけじゃない!【命乞い】を発動するわ!」
涙を流しながら頭を下げる人間のシルエットが描かれたカード。
自分が敗北する時、コストを支払わずに唱える事が出来る、【反撃】以上に逆転を象徴する呪文。
その効果は、『自分はこのターン、ゲームに負けない』。
水戸の御老公がごとく【命乞い】を掲げた羽々斬に、思わず言葉を失う。
「それは………」
「これで私はこのターン、ゲームに負けない!―――残念だったわね、黒井ナラク。貴方がなぜ【グランド・フィナーレ】を操っているのか気になるけれど………それは私に服従させてから聞き出すとしましょうか」
「それは、
「………なんですって?」
既に生き延びたと確信し、自分のターンを始めようとしていた羽々斬が動きを止める。
だが、驚いているのは俺も同じだ。
まさか、あの羽々斬セツナが
「【グランド・フィナーレ】の能力。プレイヤーが敗北する時、または勝利する時、その結果は変更されない。―――
「は、ぁ………!?」
終焉覇王の名に相応しい、唯一無二の能力。終わりに抗うことを許さぬ【フィナーレ】をよく現した効果だ。
ピンポイントなメタ効果に思われるが、意外とウォイトには敗北回避や勝利を無効化するカードが多く存在し、環境でも受け札として使われるのはそういったカード達ばかりだったので、意外と使いどころが多い。どのメディアミックス作品でも、一発逆転と言えば敗北回避、みたいな展開が多かったし。
その上【フィナーレ】には、相手の能力、効果によって選ばれないという能力もあるのだ。
敗北回避と指定除去を無効化する【フィナーレ】は、まさしく最強のフィニッシャーだった。
裁定変更と環境の変化のダブルパンチを喰らってからはただのロマンカードになったけど。
抵抗の手段を失った羽々斬は、なんとかその場から逃げ出そうと後退り、転んで尻餅をつく。
手からカードが零れ落ちるが、そんなことも気にせず、その視線を【フィナーレ】へと向けていた。
「改めて。―――【終焉覇王グランド・フィナーレ】で、ダイレクトアタック」
俺の言葉をトリガーに、極光が少女を灼く。
断末魔のような悲鳴と共に、景色が砕け、一面の漆黒が放課後の屋上へと変化した。
×───×
自分で作った空間でも、決着が付くと同時に砕けるらしい。聞かれたくない内緒話やら勝利前の煽りやらがしたいなら、ダイレクトアタック宣言の前に済ませておく必要があるようだ。
「さ、て、と。約束通り、俺の言う事を聞いてもらおうか」
【フィナーレ】に灼かれたショックからか、反応が鈍い。俺の言葉に何を言うでもなく、黙ってこちらを見てくる。
まぁ、拒もうが何をしようが闇ファイトをした時点で逆らう事は出来ないし、一方的に通告させてもらうとしよう。
「まず一つ。俺が【グランド・フィナーレ】を使ったことを誰にも言わないこと。二つ。天札歪との協力関係を破棄し、今後彼と関わる事なく、指示を受ける事も、支援を受ける事もしないこと。そして三つ。どんだけ体調が悪くても食事と入浴は欠かさず行うこと。以上」
「は………?」
呆然としている彼女に、言うべきことは言った、と背を向ける。
この三つ………というか、後に言った二つさえ守ってくれれば、ひとまず原作通りの死亡エンドは無くなる。
そもそも彼女を死の直前まで追いやったのは
生徒会長と引き離しておけば瀕死になる事も無いだろうし、万が一なってしまったとしても毎日栄養を取らせ、体をしっかりと休ませるようにしていれば何とかなるかもしれない。
とはいえ、今の彼女からすればどれも理解できない命令だろう。最初の【グランド・フィナーレ】を使っていたことを誰にも言うな、くらいは意図もわかるだろうが、それだけのハズ。
だが今の彼女が俺を引き留める事はないだろう。引き留めるどころか、声をかけることすらままならない程に疲弊しているはずだ。闇ファイトに負けるのは、それくらい体力を消耗する。
まして【グランド・フィナーレ】に攻撃されたのだ。終わりの巫女であることを加味しても、数日は疲労感が抜けないだろう。
一応まとわりついていた【フィーネ】のエネルギーは剥がしておいたが、それでどれくらい体が楽になるかも未知数だし。
取り敢えず、大体は狙い通りに事が進んだ。
生徒会長から強制的に引き剥がして、健康的な生活を強制し、ついでに俺に興味を持たせる。この三つさえ達成できたなら、この初遭遇は完璧と言って良い。
これで生徒会長に頼る事が出来なくなった彼女は、唯一【フィナーレ】に繋がる道である、正体不明の『俺』に接触せざるを得なくなる。
終わりの巫女でないにも関わらず【フィナーレ】を使い、カードのエネルギーすら操るような人間を、わざわざ放置するような真似はしないだろう。
そうなれば必然的に会話の頻度も増えるし、それを利用して何度も何度も説得を行う。生徒会長に変なことを吹き込まれて失敗する可能性も、説得に嫌気がさして俺への接触を止める可能性も、現時点ではほぼ0だし………これで、彼女に自分の意思で【フィーネ】を手放させることが出来るはずだ。
《なるほどね。
「ああ。………闇ファイトなのに、ってどういう意味だ?」
屋上を出た途端、越智が話しかけてくる。
珍しく彼女を使った事に対する感想、にしては妙な言い回しに、『誰かに聞かれる可能性があるから家に帰るまで静かにしてろ』と苦言を呈する事も忘れ、素直に訊ねてみる。
《いや、マスターって闇ファイトだと絶対に『あのデッキ』しか使わないじゃん。ほら、あのいかがわしいスリーブを着けたデッキ》
「いかがわ………まぁ、そうだけど」
《というか、あのスリーブに写ってる子、さっきの巫女だったような気がするんだけど………》
「………ノーコメントで」
『あのデッキ』―――彼女が言っているのは、俺の所持デッキの中で最も強い、禁止・制限カードまみれのデッキのことだ。
確かに、闇ファイトでは常にアレしか使っていなかったような気がする。アンリミじゃないと活躍させられないデッキだし、何より使えば確実に勝てるし。
ただ人前に出せるデッキではない。アンリミですら決着まで数ターンかかるような優しいウォイトが主流のこの世界で、先手、後手関係なく1ターンでソリティア*1始めてそのまま
それに『あのデッキ』、前世で
ちなみに色々な意味で危ないそのスリーブから変えようとしない理由は、そっちの方が引きが強くなるからだ。
なんでかわからないが、多分『絶対に負けられない』という状況に自ら追い込まれることで、デッキとの絆とか諸々のエネルギーが増しているんだと思う。少なくとも、R18スリーブを使っている時は確実に1ターンキルに成功している。
《もしかして、あの子ってマスターのお気に入り?さっきトドメを刺す時も、妙に力が抜けたし》
「お気に入り、っちゃお気に入りだな。万が一にも死なないように、カードからお前に流れるエネルギーの量減らしたし」
《あの空間を作ったことといい、マスターは何を目指しているの?》
呆れたような、ドン引きしたような声で訊ねてくる。
まぁ、人間がカードのエネルギーをこれだけ好き放題使っているのはおかしい事なのだろう。実際、自分でもちょっとどうかなと思っていたりする。
………で、俺の目指すもの、か。
襲い来る試練から龍牙達を守る、とか。羽々斬を死の運命から救うとか。そういう転生者だからこその願望もあるし、純粋に彼女が欲しいとか、もっと注目されてみたいとか、そういう俗物的な願望もあるし。ぶっちゃけコレ!って一つ決まったものはない。
無い、が。全部をまとめて、なおかつ【フィナーレ】が好むような言い方をするとすれば、やはり。
「―――最高の終幕、だな」
Q.どうして羽々斬さんのライフがあんなに弱かったんですか?
A.久しぶりの出番+闇空間であるが故のエネルギー過剰供給+ナラクの妙に気取った【フィナーレ】好みの演技で越智のテンションが最高潮に達していた上、ナラク自身も羽々斬セツナという『IGNITE』で1番好きな女と戦っているという状況に昂っていた為、いつになく運命力が高まっていたためです。
Q.羽々斬さん以外のR18スリーブは持っているんですか?
A.『IGNITE』ではなく『ウォイト!!』に登場する脇役(だが同人人気高め)女子『
凄く初歩的なミスをしていたので修整しました。