The Last Boss Master ~転生カードゲーマー、悪の組織のボスになる。~ 作:恋愛を知らぬ化け物
【洗礼】
コスト5 呪文
・【反撃】
・モンスターを1体選び、持ち主の手札に戻す。そうしたら、そのモンスターの持ち主は自身のエナジーゾーンにあるカードの枚数以下のコストを持つモンスターが出るまで山札を表向きにし、バトルゾーンに出す。残りを墓地に置く。
転入初日にして、俺の評価は地の底に落ちた。女好きの
その結果、軽蔑の眼差しを四方八方から突き刺されながら、昼休みを過ごす事になった。
「ナラクくんと月夜ちゃん、友達だったんだ。だから知ってたんだね、私のこと」
「うんっ、そだよー!ほんっと、可愛い女の子に目が無いからねぇ
「………か、返す言葉もございません」
なんと、桃倉とカイナ………もとい龍牙は、友達だったらしい。
この時点で俺の知る『IGNITE』とかけ離れてしまっているが、まぁ友達一人増えてるくらいなら問題あるまい、としておく。原作だと秋の終わり頃まで友達いなかったけど。既に原作中盤頃の明るいキャラになってるけど。
まぁ、おかげで俺のやらかしも誤魔化された(?)ので良しとしよう。桃倉が露骨に不機嫌になっちゃったけど。
………後でなんか買ってあげよう。ケーキとか。
「2人とも、同じ学校に通ってたの?」
「うん。中学が一緒で、そん時良く遊んでたの。4組の暁瑠璃って子も、ウチと黒井っちの友達」
「瑠璃ちゃんって、ランキング5位の!?月夜ちゃん、凄い人と友達だったんだね」
「瑠璃っちが凄いのはそーだけど、ウチも4位だからね?それはなんも凄いとか言ってくれないん?」
ぶーぶー、と口を尖らせる桃倉。それに焦った様子でフォローを入れる龍牙を見て、なんだか不思議な気分になる。
まぁ、アニメのキャラと友達が話してるところを見て何も思わない方が変か。
………いや、ちょっと待て。ランキング5位?4位?
暁と、桃倉が?
「そのランキングって、学内ランキングのこと?」
「そだよ。ウチが4位で、瑠璃っちが5位!」
「じゃあ、生徒会入ってんの?」
「んーん。ウチは生徒会蹴ったから、別に何でもないよん。瑠璃っちは入ったっぽいけどねー」
蹴るとかあるんだ、ウォイト学園生徒会。
というか、暁がメンバーに入ってるのか。原作だと全生徒会メンバーに出番があったんだけど。一人消えたの?
「そうそう、凄いと言えば、ナラクくんも凄いよね。だって、転入生って普通に入学するよりもずっと難しいんだよね?」
「そだよ!黒井っちってすっごいんだから。なんてったって、ウチの師匠だもん!」
「えっ、月夜ちゃんの!?」
ざわっ、と、何故か周囲が騒がしくなる。わかっていたことではあるが、聞き耳をたてられていたらしい。
………まぁ、学内ランキング4位の強者が『師匠』とか言い出したら、そりゃ驚きもするか。
「ウチだけじゃなくって、瑠璃っちも黒井っちの弟子だよー。ま、ウチのが歴長いんだけどね」
「そうなんだ………!」
俺を見る目が変わる。視線に戦意が混じる。
そんな『龍牙カイナと言えば』な反応に、感動のようなモノを覚えてしまう。
そうだ。龍牙カイナは
強者との戦いに飢え、敗北を恐れず、常に笑顔を絶やさない、狂犬のような少女。
きっと彼女なら、俺が彼女の隣に座った時からずっと言い出したかった事を、言ってくれるはず───。
「ナラクくん!よかったら、このあと私と───」
「───おぉっと、ちょっと待ってもらおうか」
うん?
龍牙の言葉を遮り、知らない男が割り込んでくる。一応ウォイト学園の制服を着ているが、身長が目算で2メートルもある、とても高校生には見えない男だ。
座ってるせいか?と思って立ち上がってみるも、やっぱりデカい。あと筋肉も凄い。制服のサイズが合っていないのか、今にもはち切れそうだ。
「どちら様です?」
「俺ァ2年8組の
「………誤解、ですよ?」
実際悪い気はしてなかったし、侍らせていたのも嘘ではない。だが、決して周りの連中が考えているだろう事実は無い。
無いのだが、「どーだかな」と軽くあしらわれるだけだった。
「ま、そんなのはどーでも良い。大事なのは───コイツだ!」
バッ!と突き出されたのは、1枚の紙。
A4サイズのその紙には、『ファイト・フィールド使用許可証』と書かれていた。
「ファイト・フィールド………デカい大会の会場とか、大きいカドショに置いてるアレですか」
「その通り!転入生、お前にファイトを申し込む!!逃げようってんなら止めはしねぇが、そん時ゃお前の評判は地に落ちるだろうな」
「もうとっくに地の底だと思うんですけど」
主に女性関係で。
とは言え、断る理由は無い。主人公とのファイトをお預けされるのは少し思うところがあるが、ウォイトで遊べるならそれで良い。
鬼神なんてイカつい名前に、こんな目立つビジュアルをしていながら、彼は原作で登場していないのだ。どんな戦い方をしてくるかも分からないし、そういう意味でも面白い。
………それに、転入初日に先輩から挑まれるファイトは、『洗礼』だからな。逃げればその場で退学確定と言って良い。
「………良いですよ。やりましょうか、ウォイト」
×―――×
ファイト・フィールドは、四方を白い壁に囲まれた、一見すると簡素な空間。
しかしファイトが始まれば、立体映像のジャングルだったり城だったりが表示され、ホログラムの対戦台が目の前に浮遊するようになる。
勿論カードを置くことができるし、使われたカードに反応して実寸大の映像が投影される。
ただの映像なのに、なんでカードが置けるのかって?かがくのちからってヤツだろ。多分。
「随分と余裕そうだな、転入生」
「変に緊張するより良いじゃないっすか。───それに、大勢に見られながらの試合は慣れてるんで」
今の世界でも、前世でもな。
ファイト・フィールド内には、浮遊するドローンカメラが複数台飛んでいる。これを通じて、俺達のファイトが学校内の至る所に設置されているテレビから放送されるのだ。
モノによっては動画投稿サイトでリアルタイム放送される事もあるが、今回は無いらしい。
「なぁ、知ってるか?転入生ってのは、必ず嫌われるところから始まるんだ。俺らが必死に乗り越えた入学試験を受けずに、選ばれたって理由だけで入学を許される………しかも、選ばれた事に調子に乗って、どいつもこいつも鼻が高くなってやがる。俺はお前らとは違う、ってな」
「別に鼻を高くした気は無いですけどね。───はい、カットをどうぞ」
「半分に割るだけで良い。───そんでよ、そんな嫌われ者の転入生を、ねじ伏せてやろうって話が出てくるようになった。ウォイト学園の教育を受けた、2年生以上の強い生徒が、普通の高校からやってきたばっかの、調子に乗った一年を叩き潰す。これで鼻を折って、なんなら追い出せりゃ御の字。仮に勝とうもんなら、ソイツは本物。喜んで受け入れてやろう、ってな」
一年生編の転入生ことモブ顔くんは、確かこの『洗礼』で破れ、灰色の学園生活を送る事になったんだっけか。
同じ立場の俺は、果たして勝利できるのか………っと。
「カットは?」
「上から5枚を山札下に送ってくれればオッケーです。───じゃ、始めますか」
一面の白が、謎の機械が並ぶSFチックな空間に変わる。幻影の機械が、モーターを駆動させる音を響かせる。
目の前に、半透明の板が浮かび上がる。カードを設置する位置が丁寧に表示された、ホロ対戦台だ。
デッキを置き、真横にあるライフゾーンへ、山札上から5枚展開する。
そして初期手札5枚を引いて、準備完了。
近くに浮遊しているドローンカメラにスマホを翳せば、プレイヤー認証が行われ、ファイトスタートだ。
『承認。プレイヤーネーム・鬼神イカリ。ランク・A』
「そら、早く認証しろよ」
「勿論」
『エラー』
………ん?
スマホを翳すも、耳が痛くなる音量でブザー音が響く。もう一度翳してみても、結果は変わらなかった。
あれー?と首を傾げていると、鬼神が小馬鹿にしつつ教えてくれる。
「
「へー、そうなんですか」
「あぁ。くくくっ、隠すってこたぁ、それなりに低いんだろ、お前のランクは!あの桃倉と暁の師匠とか言われてたが、そら昔のことだったようだな!」
「………ま、昔のことなのは否定しませんけど」
最近は師匠面できるほど教えてないし。
───さて。今更ながら、プレイヤーランクについて教えよう。
プレイヤーランクとは、その名の通りプレイヤーのランクを表すもので、対戦の結果に応じて上下するランクポイントによって決定される。
下からF、E、D、C、B、A、Sとあり、その上に世界大会優勝者限定のランク、『MASTER』が存在する。紅ヒイロ先生が目指していたのがコレだ。
そして、このプレイヤーランクというものは、秘匿することができる。基本的には「低いランクが恥ずかしい」という人が使う機能だが、俺は実力をひけらかすと
………まぁでも。ルールなら仕方ない、か。
『承認。プレイヤーネーム、黒井ナラク』
「今度こそ、始めましょうか。楽しい楽しい、ウォイトをね」
『ランク・MASTER』
『プレイヤーが揃いました。山札、ライフゾーンに規定枚数のカードを確認。試合を開始します』
『JUDGE SYSTEM起動。先行プレイヤーを選出します』
『ファーストプレイヤー・黒井ナラク。ターンを開始してください』
一応どこかのタイミングで説明する予定ですが、【反撃】はシールドトリガーみたいなもんです。というか、ウォイトは一部名称が変わっただけで、実質デュエマです。
最初はもっとオリジナリティのあるルールにしようと思ったんですが、複雑すぎるしわかりにくいしで止めました。