アクションデュエル要素は登場しますが、都合が悪いときだけ使おうかななんて考えてます。オリジナルカードも登場します。
感想等お待ちします。
質量を持ったソリッドビジョンの実現により生まれたアクションデュエルフィールド、モンスター、そしてデュエリストが一体となったこのデュエルは、人々を熱狂の渦に巻き込んだ。
「俺のターン!!」
この日も、虹ヶ咲学園デュエル科では熱烈なデュエルが繰り広げられていた。デュエルフィールドで戦っているのは二人。そのうちの一人は特に注目と歓声を集めている。
「サイバーダークネスドラゴンの攻撃!!フル・ダークネス・オーバー・バースト!!!」
「うぁぁぁぁぁ!!」
相手のLPがゼロになり、勝者が決まる。大画面にでかでかと映し出されたのはデュエル科二年の男子生徒。「Luna Tennoji」と表示される。
「やっぱ瑠和は強いなぁ!」
「エンペラーとか、カイザーなんて呼ばれてるらしいぜ!」
「………」
デュエルに勝利したというのに、瑠和は浮かない顔のまま、デュエルフィールドを去って行った。
―一年生教室―
『フル・ダークネス・オーバー・バースト!!』
「きゃー!」
「すごいねー!!」
ここは情報処理学科の教室。クラスの数名の女子が今日のデュエルの様子を見て黄色い声を上げている。
「そういえば天王寺ってうちのクラスにいなかった?」
「ああ、えっと、確か……天王寺璃奈ちゃん!」
女生徒たちの視線が一気に一人の女生徒に向かった。クラスで一人、いつもぽつんと座っていて、目立つこともなかった少女に急にスポットライトが当たった。
その女生徒の特徴的なピンク色の髪と跳ねた髪型は、瑠和と重なる部分がある。
「ねぇねぇ!ひょっとして天王寺さんってデュエル科の瑠和先輩の兄妹!?」
「髪型とか似てるし!」
「ひょっとして璃奈ちゃんも強いデュエリストだったり!?」
「あ………えと………ごめんなさい!」
璃奈と呼ばれた少女は困惑したような声で席を立ち、教室を出て行ってしまった。璃奈に声をかけた女生徒たちは顔を見合わせた。
「驚かせちゃったかな……」
教室を飛び出した璃奈は小さくため息をつきながら廊下を歩いていた。友達を作りたい。そう思いながらもうまく立ち回れない自分に嫌気がさしていた。
そんな彼女を慰める存在が、一人、いや一体だけ存在した。
「クリクリ~」
「虹クリボー……」
彼女のカバンの中に入っているデッキケースから虹クリボーの精霊が飛び出し、心配そうな表情で彼女のまわりを飛び回る。璃奈には、物心ついたときからデュエルモンスターの精霊が見えているのだ。
「ごめんね。ありがとう」
(想いを伝えることって、難しい)
璃奈は歩いて校舎裏まで来ていた。
「………」
(私の場合は特にそう)
ガラスに映る自分の顔の口に、微笑む口を書く。
(友達になりたい、そんな一言を言うのにも、ハードルがある)
カバンの中のデッキケースから、虹クリボーを取り出し、眺める。
「どーしたの♪」
璃奈の背後から、誰かが声をかけてきた。璃奈が振り返るとそこには金髪の女生徒が立っていた。とっさにリボンの色を見ると、二年生のリボンの色だった。
(上級生……怖い)
「怖くないよ。キミ、なんか元気なさそうだったからさ、」
璃奈の気持ちを汲み取ったようにその上級生は自分の想いを伝えた。さらに、璃奈の手に握られていたカードに気付く。
「お、それって虹クリボー?」
◆
「おい!どこ行くんだよ!」
「ギャラクリ~」
一方、デュエル科でカイザーやエンペラーなどという仰々しい二つ名を手に入れている男、天王寺瑠和。彼もまた、璃奈と同じようにモンスターの精霊が見える体質だった。今日、下校時間に帰ろうとしたとき、カバンから彼のデッキに入ってる「ギャラクリボー」が飛び出し、どこかへ飛んで行ってしまったのだ。
それを追いかけて校門近くまで走ってきたのだが、見失ってしまった。
「まったく、どこ行ったんだか…」
ギャラクリボーを探してきょろきょろしていると、ギャラクリボーの声が聞こえた。
「ギャラクリ~」
「おんやぁ?キミはどこから来たのかなぁ?」
「ギャラクリボー?」
覗いてみると、校門付近のベンチで横になっている女生徒がギャラクリボーの精霊とじゃれていた。
「………見えるのか?」
「ん?この子は君の精霊かい?」
起き上がった女生徒のリボンは三年生の物だった。瑠和はため口で話しかけてしまったことを若干反省しつも、璃奈以外に精霊が見える人物は初めてだったので物珍しさで話しかけた。
「ああ。俺のギャラクリボー……です」
「君も精霊が見えるんだねぇ」
「………初めて見ました。俺と、妹以外に精霊が見える人」
「え!妹ちゃんも見えるの!?いいなぁ、彼方ちゃん妹居るけど見えるの彼方ちゃんだけなんだよぉ」
先輩の名前は彼方というらしい。なんというか、ふわふわしてつかみどころのない先輩だなぁという感想を瑠和は感じていた。
「ていうかもうこんな時間!私はもう行くから、じゃあね!」
どうやら彼方は寝ていたらしく、ギャラクリボーに起こされたようだった。何かしら部活に所属しているらしく、部室棟の方へ走って行った。
「なんだったんだあの人……」
「ギャラクリ~」
「ん、どしたギャラクリボー」
ギャラクリボーが眺めている先には、カードが一枚落ちていた。拾ってみるとそれはクロシープだった。
「これ………ひょっとしてあの人のか」
「クリクリ」
「……」
あとで渡せばいいか。そう思い、瑠和はそのカードを拾って帰った。
―ダイバーシティ―
瑠和は家に帰る前にダイバーシティへ寄り道をした。特に用事があるわけではないが、家に長くいるのも嫌なだけだ。
いつも通りカフェにでも行こうかと考えていると、近くでもめている声が聞こえた。
「あ?」
「そんなことありません私は確かに見ました!」
顔を覗かせてみると、そこはダイバーシティ内に置いてあるデュエルフィールド。そこで行われていたデュエルで不正があったと、少女が異議を申し立てているらしい。
「あの子がアクションカードを取ったとき、確かに観客席にいたあなたが何かを投げ込んで手に当てて、アクションカードを落としたんです!」
デュエルをしていたのは、男と女の子の二人だったみたいだが、その外野にいた男の子分らしき人物がデュエルを妨害していたらしい。
「あの女の子………確かウチの学校でスクールアイドルとかやってる…」
「そんな証拠がどこにあるんだよ!アクションデュエルなんだから攻撃の余波で小石が飛んだんじゃないのか?」
「そんな言い訳…」
「まぁ、落ち着けよ。そこまで言うならデュエルで決着をつけようじゃないか」
デュエルをしていた男が提案をした。
「なぁ嬢ちゃん。ただし、俺たち二人を相手に、そしてデュエルで負けたらなんでも俺らの言うことを聞いてもらうぜ?」
「っ!……卑劣な…」
「なんだよ、自信ないのか?別にいいんだぜ、この場で尻尾巻いて逃げてくれても、そうすりゃ俺様に」
明らかに無茶な提案だ。しかし、気の強い少女はそこで引くに引けなくなってしまったようでそんな無茶な提案も受け入れてしまう。
「いいでしょう!この優木せつ菜!その勝負受けて立ちます!」
「ちょっと待てよ」
瑠和はそれに入り込んだ。
「男二人がかりなんてフェアじゃないだろ」
「あなたは…?」
「なんだテメェ、こいつの知り合いか?」
「いいや、テメェみたいなカスが嫌いなだけだ」
「ほぉ………いい度胸だな。いいだろう。タッグデュエルだ」
相手側も了承したことでタッグデュエルが始まることになった互いはそれぞれデュエルフィールドに上がる。
「あの、どうして…」
「お前もお前だ。女の子があんな無茶するな」
「う………つい熱くなってしまって」
「とりあえず勝つぞ。デュエルの経験は」
「それなりにあります。ご心配なく」
互いがフィールドに揃い、デュエルの準備が完了した。アクションデュエルシステムが稼働し、質量をもったソリッドヴィジョンによる投影が始まった。
「さぁ行くぞ!」
「「「「デュエル!!!!」」」」」
「先行は俺がもらう!俺は手札からオーガ・サモナーを召喚!」
男が先行を取り、デュエルが開始される。タッグマッチでは全員が最初のターン、ドローと攻撃はできないため、5枚の手札で展開を始める。
「このカードは召喚に成功したとき、手札から「オーガ」モンスターを特殊召喚できる!俺は、もう一枚のオーガ・サモナーを特殊召喚し、さらに!アックス・オーガを特殊召喚!俺はこの三体のオーガでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!!オーガ・キング!」
キング・オーガ ATK3500
「ターンエンドだ」
ターンが移り、瑠和のターンになる。
「俺のターン」
瑠和は手札を見る。ある程度の展開はできるが、まだ様子見の段階だと感じた。それにまだタッグのせつ菜のデッキの内容もわからない。
「俺は手札からSR三つ目のダイスを召喚。さらに、手札からSRタケトンボーグを特殊召喚。そして、魔法カードアイアンドローを発動!」
瑠和はフィールドに機械族モンスターが揃ったところでアイアンドローを発動する。
「このターン機械族モンスターしか特殊召喚できなくなるが、二枚ドローできる!」
瑠和がカードを二枚ドローし、手札を確認すると、そこには先ほど拾ったカードがあった。
「……間違えてデッキに混ぜてたか………幸いあって困るカードでもないしな…まぁいいか。俺は三つ目のダイスにタケトンボーグをチューニング!十文字の姿もつ魔剣よ。その力ですべての敵を切り裂け!シンクロ召喚!現れろ、レベル6!HSR魔剣ダーマ!」
魔剣ダーマ DFE1800
「魔剣ダーマのモンスター効果、墓地のタケトンボーグを除外することで、相手プレイヤーに500ポイントダメージを与える」
「ぐっ!」
男LIFE4000→3500
瑠和はキング・オーガを出した男に効果ダメージを与える。
「ターンエンドだ」
「やりやがったなぁ…」
ターンは瑠和から男の子分に移る。
「俺のターン!俺もオーガ・サモナーを特殊召喚し、その効果で手札のオーガ・サモナーを特殊召喚!この二体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろランク4!オーガ・ガードナー!」
オーガ・ガードナー DEF3000
「俺はこれでターンエンド!」
子分からせつ菜にターンが移る。
「私のターン!私は手札からレッドリゾネーターを召喚!このカードが召喚に成功したとき、手札のレッド・ウルフを特殊召喚!レッド・ウルフに、レッド・リゾネーターをチューニング!王者の咆哮、今天地を揺るがす。唯一無二なる覇者の力をその身に刻むがいい!シンクロ召喚!荒ぶる魂、レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト!」
レッドデーモンズドラゴンスカーライト ATK3000
「シンクロ使いか…」
「私はレッドデーモンズドラゴンスカーライトの効果!フィールドのレッドデーモンズの攻撃力以下のモンスターをすべて破壊します!!!」
「え」
「アブソリュートパワーフレイム!!」
レッドデーモンズドラゴンスカーライトがエネルギーを溜め、フィールド全体に炎の波動を放った。
「よし!これで…ってあれ?」
レッドデーモンズの効果により、せつ菜のとなりの瑠和の髪がちりちりになっている。そして、瑠和のフィールドにいたはずの魔剣ダーマが消えている。
「馬鹿やろう!レッドデーモンズドラゴンスカーライトの効果は自陣のフィールドも含めるんだよ!」
「ええー!?ご、ごめんなさい!タッグデュエルは始めてで……あ、でも見てくださいこれで相手のフィールドもがら空きに…」
せつ菜が指差した先には、オーガ・キングとオーガガードナーが健在だった。
「あれ?」
「俺のオーガガードナーは、オーバーレイユニットを使うことで破壊効果からオーガモンスターを守ることが出来るのさ」
「で、ですが、アブソリュートパワーフレイムのもう一つの効果!破壊したモンスター一体につき、500ポイントのダメージを与えます!」
「ぐぁぁ!」
「うおぉぉ!」
男 LIFE3500→3000
子分 LIFE4000→3500
「私はカードを一枚伏せてターンエンドです」
せつ菜の攻撃は結果的に瑠和のフィールドをがら空きにしただけだった。次は男のターンになり、瑠和が狙われる危険がある。
「俺のターンだ!俺は手札から、魔法カードオーバーレイキュアを発動!このカードは、フィールドのオーバーレイユニットを任意の数取り除き、その数×1000ライフを得る」
男 LIFE3000→5000
男はキングオーガのオーバーレイユニットを二つ取り除き、ライフを2000得た。
「そして!キングオーガのモンスター効果を発動!オーバーレイユニットを使うことで、墓地のオーガモンスターを可能な限り、特殊召喚できる!」
男はキングオーガの効果で、墓地からオーガ・サモナー二体とアックスオーガを特殊召喚した。
オーガサモナー×2 ATK1800
アックスオーガ ATK2000
「!」
「これで終いだ。行け!アックスオーガ!」
「ちっ!」
瑠和は後ろに走りだし、あしばを飛んでアクションマジックに手を伸ばす。しかし、そのカードをとった瞬間、何かが手に当たり、アクションマジックを手放してしまった。
「しまっ!ぐぁぁぁ!」
瑠和LIFE4000→2000
「さらに!オーガサモナーで攻撃!」
「この!」
瑠和は先ほど落としたアクションマジックを転がりながらつかみ、今度こそ発動させる。
「アクションマジック!回避!戦闘を無効にする!」
「ならもう一体のオーガサモナーで攻撃!」
「くうぅ!」
瑠和LIFE2000→200
「これで終わりだ!キングオーガで攻撃!」
「俺は墓地から三つ目のダイスの効果発動!このカードを除外することで、攻撃を無効にする!」
瑠和は墓地にあった三つ目のダイスの効果を使い、
「は、ライフを僅かに残したか。ターンエンド」
「…俺のターン、ドロー」
瑠和はカードをドローする。ライフは僅かとなってしまったのに瑠和の顔には焦りは見えない。
「…俺は墓地の魔剣ダーマの効果を発動。俺のフィールドにカードが存在しない場合、特殊召喚できる!」
魔剣ダーマATK2200
「俺は手札から魔法カードダブルアタックを発動。手札のSRビードロドクロを墓地に送ることでこのターン、魔剣ダーマは二回攻撃が可能となる!行け!魔剣ダーマ!アックスオーガを攻撃!」
「ぐお!」
男LIFE5000→4800
「もう一度だ!今度はオーガサモナーに攻撃!」
「俺はアクションマジック回避を発動!戦闘を無効に!」
男は攻撃を食らって吹っ飛んだ先にあったアクションマジックを使い、攻撃を無効にする。だが、瑠和はそれを待っていたと言わんばかりに手札のカードを勢いよく発動させた。
「速攻魔法発動!ダブルアップチャンス!攻撃が無効となったとき!そのモンスターの攻撃力を倍にして、もう一度だ攻撃できる!今度はキングオーガを攻撃だ!」
魔剣ダーマATK2200→4400
「なに!?」
「くっ!罠発動!オーガの咆哮!フィールドのオーガと名のつくモンスターが戦闘を行うとき、フィールドの別のオーガモンスターをリリースすることでバトルを無効に!俺は兄貴のフィールドのオーガサモナーをリリース!」
子分の方が罠カードを発動し、バトルを無効にした。
「…俺はカードを二枚伏せ、ターンエンド。この時、魔剣ダーマの攻撃力は元に戻る」
魔剣ダーマATK4400→2200
「よし!俺のターン!俺は魔法カード発動!オーガ鼓舞!エンドフェイズまでフィールドのオーガモンスターはすべて攻撃力が800上がる!」
「え、彼のフィールドのオーガガードナーの攻撃力は0のはず……」
子分のフィールドにいるオーガガードナー一体のみ。確かに男のフィールドのオーガモンスターの攻撃力は上がったが、オーガガードナーの攻撃力は0だ。
「オーガガードナーは1ターンに一度、表示形式を変更したとき、守備力を攻撃力に加えることができる」
オーガガードナーATK0→3800
「虫の息の兄ちゃんの方はいつでも倒せる!姉ちゃんのモンスターの効果は厄介だからな!処分させてもらうぜ!オーガガードナーでレッドデーモンズドラゴンスカーライトに攻撃!」
「っ!罠カード発動!スカーレッドコクーン!これをレッドデーモンズドラゴンスカーライトに装備!」
せつ菜はとっさにリバースカードをオープンした。しかし、攻撃力はオーガガードナーの方が高く、レッドデーモンズドラゴンスカーライトは破壊されてしまう。
せつ菜LIFE4000→3200
「スカーレッドコクーンの効果発動!このカードを装備したモンスターが破壊されたとき、装備モンスターを復活させます!」
「ちっ、そんな効果が………まぁいい。俺はこれでターンエンド」
「………私のターン!」
最初の威勢はどこへやら、かなり不安な様子でカードを引く。攻撃力ではすでにせつ菜のレッドデーモンズドラゴンスカーライトを超えられている。効果を使おうにもまた瑠和を巻き込んでしまうし、オーガ・ガードナーの効果で防がれてしまう。
(私の手札に今の状況を打開するカードは………)
「おい、せつ菜とか言ったか」
悩んでいるせつ菜に、瑠和が声をかけた。
「え………はい……」
「俺を信じろ。お前は、お前のレッドデーモンズを守れ」
「…………」
「なんだかっこつけちゃってよ。ライフポイントたったの200で何ができる!」
「………わかりました。私はカードを二枚伏せてターンエンドです!」
せつ菜は学校でカイザーとまで呼ばれている男の言葉を信じた。
「へぇ、それじゃ、嬢ちゃんは俺たちに遊ばれる準備してな。俺のターン!俺はオーバーレイリジェネレートを発動!このカードをキングオーガのオーバーレイユニットにする!そして、キングオーガの効果を発動!」
オーバーレイリジェネレートを発動し、キングオーガのオーバーレイユニットを復活させる。さらに、キングオーガの効果を発動し、墓地からオーガサモナーを特殊召喚した。
「これで終わりだ!キングオーガ!攻撃!」
「罠カード発動!シンクロソニックウェーブ!自分のフィールドのシンクロモンスターをエンドフェイズまで除外し、その攻撃力の半分、相手モンスターの一体の攻撃力を下げる!俺はオーガサモナーを選択!」
オーガサモナーATK1800→700
「それがどうした!風前の灯のお前のライフを削り取るには十分だ!!」
「さらに、スケープゴートを発動!俺のフィールドにトークンを生成する!」
「!」
「なら、そいつらを抹殺しろ!オーガ!」
四体のオーガにより瑠和のフィールドのトークンはすべて葬られた。瑠和のフィールドにはこれでリバースカードもモンスターもいなくなってしまった。しかし、瑠和には余裕がある。
「まさか拾ったカードに助けられるとはな…」
「もうおまえのフィールドにはなにも存在しない。カッコつけて出てきたわりに大したことなかったな」
「…お前、デュエルで人を笑顔にする方法、知らないだろ」
「あ?」
「デュエルってのは、観客を楽しませ、相手リスペクトし、全員を笑顔にするものだ。お前みたいなやり方で、それは不可能だろうがな…」
「デュエルは勝ちゃいいんだ!大体、でかい口叩くだけでお前こそ大したことねぇじゃねぇか!」
「それはどうかな」
その言葉で、ガラッと空気が変わる。緊張感が走り、観客の視線は自然と瑠和に向けられる。それを感じ取った瑠和は腕を大きく広げ、制服のコートを翻した。
「さぁ、ショータイムだ。フィールドにはなにもなし、手札もなし、ライフもわずかなこの状況、ひっくり返せたら面白いよなぁ!」
「そんなこと…できるわけ!」
「俺の…ターン!最強デュエリストのデュエルはすべて必然!ドロー!!」
瑠和のドローカードには虹のアークがかかったように見えた。
「この瞬間!シンクロジャンプの効果が切れ、魔剣ダーマがフィールドに戻る!そして俺は、手札からSR赤目のダイスを召喚!俺は赤目のダイスに魔剣ダーマをチューニング!雄々しくも美しき翼翻し、光の早さで敵を打て!シンクロ召喚!現れろ!レベル7クリアウィングシンクロドラゴン!!」
クリアウィングシンクロドラゴン ATK2500
「たかが攻撃力2500!」
「そうでもないさ!」
瑠和はジャンプして一気にクリアウィングシンクロドラゴンに飛び乗る。
「さぁ!クリアウィングよ!!飛び立て!!高く!もっと高く!旋風を巻き起こして!」
クリアウィングが飛び立つと同時に、強風がフィールド内に吹きすさぶ。その風によってフィールドに散らばっていたアクションマジックが巻き上がっていく。
「あれは、アクションマジック!?」
「俺は、アクションマジック、エフェクトバーストを発動!フィールドに存在するモンスターを一体選び、そのモンスターの効果を一つ強制的に発動させる!」
「なに!?」
「ただし、その効果が正しいタイミングでの発動でなかった場合、俺はその攻撃力分のダメージを受ける!俺が選択するのは!レッドデーモンズドラゴンスカーライト!」
「私の!?」
「レッドデーモンズドラゴンスカーライトの効果!アブソリュートパワーフレイム!!だがその瞬間!クリアウィングシンクロドラゴンの効果発動!!レベル5以上のモンスターの効果を無効にし、破壊する!ダイクロイックミラー!」
「ええ!?」
せつ菜のレッドデーモンズドラゴンの効果を発動させたかと思うと、今度はそれを自身のモンスターで効果を無効にし、レッドデーモンズドラゴンを破壊してしまった。
「そして、クリアウィングシンクロドラゴンは破壊したモンスターの攻撃力分の攻撃力を得る!!」
クリアウィングシンクロドラゴンATK2500→5500
クリアウィングはレッドデーモンズの起こした火炎をその翼に巻き取り、業火背負いし龍へとその姿を変える。瑠和はクリアウィングから飛び降り、攻撃を支持する。
「いけ!クリアウィングシンクロドラゴン!オーガサモナーに攻撃!灼熱の!ヘルダイブバーニング!」
火炎を纏ったクリアウィングはその火炎を坂巻き、回転しながら突撃し、オーガサモナーを撃破した。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
男LIFE4800→0
「兄貴!!」
「サポートします!速攻魔法発動!シンクロゲート!フィールドにドラゴン族シンクロモンスターが存在するプレイヤーは、デッキからカードを1枚ドローできる!瑠和さん受け取ってください!」
「助かった!これで決められる!」
瑠和はデッキからカードをドローし、それと同時にアクションマジックを掴む。
「アクションマジック!ダブルバンキング!手札を一枚墓地に送り、このターン、戦闘でモンスターを破壊したモンスターはもう一度攻撃できる!」
「くっ!だが、俺のライフは残る!」
確かにオーガガードナーの攻撃力は3000、クリアウィングの攻撃を受けてもライフは500残る計算だ。瑠和もそれは承知でこの後どうするか考えていた。
「そうはさせません!罠カード発動!!シンクロテールウィンド!フィールドに存在するシンクロモンスターに、墓地のシンクロモンスターの攻撃力を加えます!」
「なに!?」
「よし!行け!クリアウィング!!」
せつ菜の墓地から火炎が巻き上がり、それがレッドデーモンズの形になる。そしてクリアウィングの攻撃に追加の火炎を浴びせてクリアウィングの攻撃を支援した。
クリアウィングシンクロドラゴンATK5500→8500
「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」
子分LIFE3000→0
「やりました!」
勝負が決したことで歓声が上がる。瑠和の見せた逆転劇に観客は夢中になっていたのだ。
「……」
瑠和は倒れている子分の腕を蹴った。子分の腕の裾からは何かの射出装置のようなものが転がった。
「パチンコみたいなもんだ。これでアクションマジックを弾いてたんだろうな」
「く、くそ!」
男たちは逃げるように去って行った。それを見届けた瑠和はデュエルディスクをしまい、デュエル場を降りた。
「………さて、帰るか」
「あ、あの!」
帰ろうとした瑠和をせつ菜が引き留める。
「なんだ、礼なら…」
「スクールアイドル!始めませんか!!」
「…………………はぁ?」
続く