プロジェクト・オラクル   作:刹那木ヤクモ

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秩序の崩壊 下

ネオ・クロノスの中央タワーは崩壊の危機に瀕していた。オラクルのコアが破壊された衝撃で、壁がひび割れ、床が揺れる。レイス、エコー、クロウは地下通路を駆け抜け、ヴェルナ直属の執行官たちと対峙していた。執行官のリーダー、ガルスは冷たく笑う。

 

「レイス、貴様がオラクルを壊したことで、議定府の秩序は揺らいだ。だが、俺たちが新たな秩序を築く」

 

「秩序? それは奴隷の鎖だ。俺たちは自由を選ぶ」

 

レイスがそう答え、エコーがプラズマブレードを握り、続ける。

 

「ネオ・クロノスの人々は、もうお前たちの操り人形じゃない」

 

クロウはプラズマライフルを構え、静かに言う。

 

「俺も⋯⋯議定府の呪縛から逃れた。貴様らも目を覚ませ」

 

ガルスは嘲笑う。

 

「自由? そんなものは混沌にすぎん。議定府の意志は、俺たちが継ぐ! 」

 

『レイス、エコー、クロウ! タワーの崩壊まであと5分! 地下通路の出口を確保した! 急いで! 』

 

戦闘が始まった。ガルス率いる執行官たちは、議定府の精鋭だけあって動きが速い。彼らのプラズマライフルとエネルギーソードが、地下通路を光と衝撃で埋め尽くす。段階加速は使用せず、しかしそれでも俊敏な動きで、レイスは執行官の一人を撃ち抜く。

 

エコーはブレードを振るい、執行官のソードを弾き返す。クロウはライフルで遠距離から援護し、執行官の動きを牽制。

 

ガルスはエネルギーソードを手にレイスに襲いかかる。

 

「レイス、貴様は試作体001だ! オラクルの産物が、議定府に逆らうなど愚かだ! 」

 

レイスはナイフでソードを弾き、答える。

 

「オラクルは壊れた。貴様の語る秩序も、俺が壊す」

 

ガルスのソードがレイスの肩をかすめ、血が飛び散る。レイスは、一瞬の、ギアを急激に上げた加速でガルスの懐に飛び込み、拳銃を至近距離で撃つ。ガルスは後退するが、すぐに反撃。執行官たちの攻撃は容赦ない。

 

「レイス、無茶すんな! 私がいる! 」

 

「レイス、俺もここにいる。未来のために戦う! 」

 

通路の奥で、ミラのドローンが最後の支援を開始。電磁パルスを放ち、執行官の武器を一瞬無力化する。レイスは隙を突き、ガルスのソードを弾き飛ばし、拳銃で彼の胸を撃ち抜く。ガルスは膝をつき、呻く。

 

「⋯⋯議定府は、永遠だ⋯⋯」

 

「永遠などない。貴様らの時代は終わった」

 

だが、ガルスの最後の抵抗が炸裂。起爆装置を起動し、通路に爆発が走る。レイスはエコーとクロウを突き飛ばし、爆風を加速で回避。だが、衝撃で彼の身体は壁に叩きつけられ、意識が一瞬揺らぐ。

 

「レイス! 」

 

エコーはレイスに駆け寄り、クロウは残りの執行官をライフルで仕留め、二人を守る。

 

『通路が崩れる! 出口まであと100メートル! 急いで! 』

 

レイスはよろめきながら立ち上がり、拳銃を握り直す。

 

「行くぞ。未来はまだ終わらない」

 

三人は崩れゆく通路を駆け抜ける。背後ではタワーの崩壊音が響き、ネオ・クロノスの空に灰色の煙が広がる。

 

◆◆◆◆

 

地下通路の出口では、リベリオンの陽動チームが待っていた。ガントが率いるメンバーたちが、議定府の追撃を抑えている。レイス、エコー、クロウは彼らと合流し、地上へ脱出。だが、ネオ・クロノスの街は混乱に包まれていた。オラクルのナノマシン・ネットワークが停止したことで、市民たちは洗脳から解放され始めていた。だが、その混乱は新たな争いを生み、スラムでは暴動が起きている。

 

「オラクルは止まった。だが、議定府の残党がまだ動いてる。市民をまとめなきゃ、ネオ・クロノスは崩壊する」

 

ガントの言葉にエコーが頷く。

 

「なら、私たちが市民を導く。自由を取り戻したんだから、未来も私たちの手で作る」

 

レイスは黙って街を見つめる。市民たちの叫び声、燃えるビル、監視ドローンの残骸。かつての彼なら、これを混沌と呼んでいただろう。だが、今は違う。そこには、自由の芽があった。

 

ミラがドローンからデータを送信。

 

『議定府の残党は、スラムの東区に集結してる。彼らのリーダーは、ヴェルナの副官だった男、ゼクス。奴が新たなオラクルの起動を計画してる』

 

レイスは拳を握りしめる。

 

「ゼクス⋯⋯なら、奴を止める。オラクルを二度と復活させない」

 

クロウが静かに言う。

 

「俺も行く。過去を、清算する」

 

「ハハ、いいチームになってきたな。行こう、未来を切り開くために」

 

◆◆◆◆

 

リベリオンの基地に戻り、レイスたちは次の作戦を練る。ゼクスはスラムの東区に新たなオラクルのバックアップコアを隠しているらしい。ミラの解析によれば、バックアップコアは完全には起動していないが、時間が経てば再び市民を洗脳する可能性がある。

 

レイスは通信端末でデータを確認する。そこには、カインの記録も含まれていた。エコーの兄であり、リベリオンのリーダーだった男。カインの笑顔。共に戦った日々。そして、裏切りの日の血。

 

「レイス、言ってしまえば兄さんは過去だ。けど、お前が今ここにいるのは、未来を切り開くためだ。兄さんも、それを望んでる」

 

レイスは目を閉じ、頷く。

 

「⋯⋯ああ。カインの分まで、戦う」

 

ガントが設計図を広げる。

 

「東区の基地は、議定府の旧研究施設だ。防衛システムが厳重だが、ミラのハッキングで突破口を作れる。レイス、エコー、クロウ、主力として潜入を頼む」

 

レイスは拳銃を握り、答える。

 

「分かった。ゼクスを仕留め、バックアップコアを破壊する」

 

「未来は、私たちが作る。なあ、レイス? 」

 

レイスは小さく笑いながら答える。

 

「ああ。未来は、俺たちのものだ」

 

ネオ・クロノスの空は依然として灰色。秩序の世界は終わり、再び自由という名の混沌が生まれた。だが、レイスの心には、自由の光が灯っていた。人類の未来を、共に切り開くための光だ。

 

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