議定府によるネオ・クロノスの支配は終わり、灰色の空には確かな光が灯っていた。今この時も、リベリオンを筆頭に様々な勢力が自治を開始している。リベリオンはアウターズとの対話が成功したことにより、静観していた他のスラム外の勢力との協力も進んでいった。
武力ではなく、対話で。支配ではなく、協力を。互いの主義主張を重んじながら、時にはぶつかったとしても平穏を目指して共に歩んでいく。理想的な協調関係が構築されていた。
レイス、エコー、クロウは今日の会議を終え、スラムに戻ると、市民たちは新たな希望で動き始めていた。新たに協力関係を築いた勢力による通信網がスラムに接続され、情報が透明に共有された。配給所はさらに安定し、仮設学校は本格的な学びの場に変わりつつあった。いつの日か、レイスたちに感謝を告げていた老いた男性が、再びレイスに言う。
「あんたたちが、未来をくれた。それだけじゃない。未来へ続くバトンさえ用意してくれた。本当に、ありがとう。感謝してもしきれない」
レイスは静かに答える。
「…⋯俺は、俺たちは、自らの天秤に従ったまでだ。これがより良い明日になると、そう信じてな」
ミラが語る。
「データによれば、ネオ・クロノスの団結指数は最高値。議定府の影は、完全に消えた。これで、本当に終わり。今までよく戦ってくれたね。ありがとう」
クロウが静かに、しかし珍しく笑みをこぼしながら言う。
「俺も…⋯自分の未来を、ようやく信じられる。過去は、確かに消えない。だからこそ償っていく。その贖罪の道が、ネオ・クロノスの新しい未来を作る礎になる。そう思えたからだ。ありがとう、レイス、エコー」
エコーはいつも通り、豪快に笑う。
「お前も、いい奴になったな。⋯⋯贖罪、贖罪か。一概に英雄とは言えない私たちに、ピッタリの言葉かもな。この清算の旅で、カインの分まで、未来を作ろうぜ」
レイスはネオ・クロノスの空を見つめる。灰色の雲は薄れ、かすかな青空が覗いていた。彼はカインの笑顔を思い出し、呟く。
「カイン。善悪の天秤で推し量る⋯⋯いや、それだけじゃない。いろんな人の思いで描かれた未来が、この先どこに向かうのか。俺はそれを、見届けようと思う」
市民たちの声が、スラムの通りを満たす。希望の光は、ネオ・クロノスの新たな夜明けを照らし、レイス、エコー、クロウは未来への一歩を踏み出した。物語は、ここで終わる。だが、彼らの未来は、まだ始まったばかりだった。