議長室は戦闘の爪痕に覆われていた。オラクルのコアは依然として紅い光を放ち、議長ヴェルナは血を流しながらも冷たく微笑む。レイス、エコー、クロウは背中合わせで新たなガーディアンの群れに立ち向かい、ミラのハッキングが完了するのを待つ。
レイスはエネルギー拳銃を握り、ヴェルナを睨む。脳内のナノマシンの疼きは収まらないが、彼の意志は揺らがない。
「ヴェルナ、お前の秩序はここで終わる。人類の未来は、俺たちが守る」
エコーがプラズマブレードを構え、続ける。
「お前のオラクルは、自由を奪う鎖だ。俺たちがそれを断ち切る」
クロウはプラズマライフルを握り、静かに言う。
「俺も⋯⋯議定府の呪縛を断つ。自分の未来のために」
ヴェルナの微笑が深まるが、それを気にせずレイスは自らの決意を告げる。
「未来を、切り開く」
ガーディアンの新たな波が襲いかかる。レイスは段階加速を発動し、ガンカタの流れるような動きでレーザー砲を回避。エネルギー拳銃が青白い光を放ち、ガーディアンのセンサーアイを撃ち抜く。だが、身体は限界を超えていた。ナノマシンの疼きと段階加速の負担で、血が口元に滲み、視界が揺れる。
エコーはブレードを振るい、ガーディアンの装甲を切り裂く。彼女の動きは鋭く、まるで炎が踊るようだ。クロウはライフルで遠距離から援護し、ガーディアンのミサイルを次々と撃ち落とす。三人の連携は、議定府の機械的な秩序に対する人間の意志の結晶だった。
ヴェルナはコアの操作パネルに手を伸ばし、新たな防衛システムを起動。議長室の天井からレーザートラップが展開し、赤い光が網のように室内を覆う。レイスは加速でトラップを回避するが、一本のレーザーが彼の腕をかすめ、血が飛び散る。
「レイス! 」
エコーが叫び、彼を援護。彼女のブレードがレーザートラップの制御装置を切り裂き、網が一瞬途切れる。クロウはガーディアンの群れを牽制し、レイスに叫ぶ。
『みんな! ハッキングはあと30秒! コアの制御コードをほぼ掌握した! あとはヴェルナを抑えて! 』
レイスはヴェルナを視界に捉える。不審な動き。ヴェルナは新たな装置を起動──しない。いや、できなかったのだ。彼女の兵器は、秘策は、秩序は、もう残っていない。
『ハッキング完了、コアの制御コードを掌握! みんな、コアの基部を攻撃して! 』
レイス、エコー、クロウはコアに集中する。エコーのブレードがコアの外殻を切り裂き、クロウのライフルが内部の回路を撃ち抜く。レイスは、コアの中心にエネルギー弾を撃ち込む。コアの光が揺れ、議長室全体が振動する。
ヴェルナが叫ぶ。
「やめろ! コアを壊せば、ネオ・クロノス全体が崩壊する! 貴様らの未来も終わる! 」
ネオ・クロノスには、無数の市民が暮らしている。オラクルのコアが暴走すれば、彼らの命が危険に晒される。だが、揺らがない。
「私たちが未来を守る」
エコーの言葉に、クロウも頷く。
「ヴェルナの言葉は嘘だ。オラクルを止めなければ、誰も自由になれない」
レイスは拳を握りしめ、覚悟とともに告げる。
「未来のために、過去に別れを」
三人は一斉にコアを攻撃。レイスの拳銃、エコーのブレード、クロウのライフルがコアを直撃。真っ赤な光が爆発的に広がり、議長室が白い閃光に包まれる。ヴェルナの悲鳴が響き、彼女の身体がコアの崩壊と共に倒れる。
閃光が収まると、議長室は静寂に包まれていた。オラクルのコアは砕け散り、モニターは暗く沈黙している。ヴェルナは床に倒れ、動かない。レイス、エコー、クロウは息を切らしながら立ち尽くす。
「終わった⋯⋯のか? 」
エコーが呟く。
ミラの声が通信機から響く。
『コアは破壊された! オラクルのナノマシン・ネットワークは停止! けど、中央タワーが崩壊し始めてる! 急いで脱出して! 』
レイスはヴェルナの亡魂を見下ろす。彼女の言葉が頭をよぎる。
コアを壊せば、ネオ・クロノスが崩壊する
だが、不安には感じなかった。未来は、夜明けは、自分たちが作る、その信念が彼にはあったからだ。
三人は議長室を飛び出し、崩れゆくタワーからの脱出を試みる。通路は地震のように揺れ、壁が崩落する。レイスは段階加速を振り絞り、エコーとクロウを援護。ガーディアンの残骸や落下する瓦礫を回避しながら、エレベーターへ向かう。
エレベーターが故障している中、ミラのドローンが新たなルートを指示。
『地下通路に急いで! そこまでたどり着ければ⋯⋯! 』
レイス、エコー、クロウは地下通路の目前までたどり着く。だが、そこには議定府の残党──ヴェルナの直属の執行官たちが待ち構えていた。彼らはオラクルの影響を脱し、なお議定府に忠誠を誓う精鋭だった。
「レイス、貴様は裏切り者だ」
とリーダーが叫ぶ。
「議定府の秩序を、俺たちが守る! 」
「──それは奴隷の鎖だ。俺たちは、その鎖からネオ・クロノスを解き放つんだ」
拳銃を構える。人類の未来を切り開く戦いは、まだ終わらない。