事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】   作:山本山 

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11話 現在編

翌朝いつもの様に目覚めた玲奈は身支度を整え車に乗り込む。運転しながら辰也だけでは思いの外、情報が得られない事に落胆していた。

彼等は薬を盛った犯人が私じゃ無い事に辿り着いていた。なのに、その後も私は無下にされてたの?隠されてきたの?智昭程家でも外でも力を持っている人間が本気で望めば私と別れる事も容易いはずなのに。何故?

玲奈は藤田家と智昭に認められる事に重きを置きすぎていた事にやっと気付いた。

 

久々に出社した玲奈。受付に

「おはよう」と

いつもの様に挨拶をしたら

「おはようございます。青木さん、もう大丈夫なんですか?ご無理なさらないでくださいね」

受付の女性がにこやかに挨拶してくれた。

玲奈は仕事場でこんな気遣いをされたのは久方振りでやりきれない気持ちを抱えていたが心が少し軽くなった。

「ご心配ありがとう」

優しく微笑んでオフィスに向う。

「ねぇ〜見たっ?今の青木さん本当女神かと思っちゃったわ。あの微笑みめちゃくちゃ綺麗だったぁー」

横並びにいた女性が続けて

「仕事も無茶苦茶出来てさ、あんなに目を引く美人よ。なのに私達にもいつも挨拶してくれるのよ。本当素敵だわ。私が男なら絶対口説くわ」

「フフ、わかる。生まれ変わったら青木さんみたいに生まれたいわね」

その話しを聞いていた礼二が静かに歩み寄ってきた。

「君達の意見には完全に同意だけど。私語には気をつけて。おはよう。」

受付の2人の女性はその場で顔を見合わせて

「失礼しました」と

謝罪をし頭をさげた。少し先でエレベーターを持っている玲奈に追いつくため礼二は小走りしていく。

その姿をみて彼女達は

「社長、ファイトです」と

彼には聞こえない声で囁きあった。

そんな心配に似た応援をされているとは知らずに、礼二は小走りで玲奈に追いつく。

「おはよう。退院おめでとう。無理してないか?」

「えぇ、おはよう。大丈夫よ。忙しのにお見舞いありがとう」

玲奈はにっこり笑った。程なくしてエレベーターが到着し乗り込む。玲奈と礼二はまず執務室へ向かい今の仕事の進捗を確認する。幸い今のところ大きな問題は起きていない。

玲奈の活躍を目の当たりにした技術者達のモチベーションがあがり各々の技術や学びを深めたお陰で長墨ソフト全体の技術が底上げされているからだ。

「皆、君に大いに影響されているんだよ。6年の沈黙を経て再びこの世界を牽引してしまうなんてとんでもない人だね。」

「なに?急にどうしたの?先生が何か言ってた?」

「いいや、俺がそう思ってるだけだよ。」

礼二は病室で力なく話していた玲奈を思い出しながら見つめていた。

「そう?やっぱり忙し過ぎた?」と

答えて、いたずらっぽく笑う玲奈

礼二は気の抜けた様に笑い

「もう、俺にしとけ。」と

挨拶するみたいに言った。玲奈は礼二と目が合った。すぐに返答ができない。十数年来の付き合いのある礼二からの言葉に戸惑った。

彼からこの類の言葉を聞くのは初めてだから、かなり驚いてしまった。

「そんなに驚く事か?(笑)まぁいいよ。ひとまず仕事に、戻ろうか。」

礼二は何でも無い様に笑って自分の席に戻りながら

「頭の片隅にでも留めておいて」と。

そのあとは淡々と仕事に没頭していた。

 

手を付けなければならない仕事は一通り済ませた頃、遅い昼食を取る事にした。

「外いくか?」

礼二が玲奈に声をかける。

「いいえ、食堂で」と

同時にドアがノックされた。

礼二の了承後に入ってきたのは翔太だった。

「玲奈さん!退院おめでとう。」

邪魔にならない大きさのフラワーアレンジを差し出す。

「机に飾ってよ。」

夕陽に照らされた時と同じ笑顔で玲奈を見つめる。

「ありがとう、綺麗ね。翔太、忙し中お見舞いありがとう。」

「うん。お礼にデートしてくれる?」

あざとく翔太は玲奈に問いかける。が、礼二が間に入る

「お前、よく社長同席の執務室でデート申し込むな?お子様は家で宿題しとけ、さぁお昼にいこうか、玲奈。」

腕を引いて連れ出そうとした。玲奈は少し止まって考える仕草をした。

「翔太、お昼は?」

翔太はとっくに食べたが

「まだだよ。」

「じゃぁあなたも食堂で食べよう」

玲奈は2人の思惑など丸っと無視して

食堂に向かいはじめた。玲奈の右側を礼二が左側を翔太が陣取り3人で食堂へ向かう。

廊下ですれ違う人々はすれ違った後、必ず振り返り確認してしまう。朝の受付の女性達もすれ違った

「?!ちょっっ美女がイケメンに挟まれてたわ」

「声大きいって!!」

礼二は振り返り女の子達に人差し指を立てて口元に当て、たしなめた。

翔太は振り返りウィンクしてお礼を伝えた。

朝の受付嬢達の盛り上がりは退社まで続いた。

 

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