事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】   作:山本山 

12 / 69
12話 現在編

人がまだらな食堂。3人は端のほうで陣取り玲奈の前に礼二、左に翔太で食事をする。礼二が

「翔太、それだけでは足りないんじゃないか?育ち盛りだろ?」

翔太をお子様扱いで機嫌の悪さをアピールする礼二の態度に、翔太は

「礼二さんお邪魔でしたか?俺?でも玲奈さんからのお誘い断るわけないじゃないですか」と

引く様子も立てる様子もない

「玲奈さんフルーツタルトのおいしいお店見つけたんだ、今度食べにいこうよ」

玲奈を方を向いて話す。玲奈はフッと笑って

「いいよ」と

礼二も翔太も軽く驚いた。思いがけない返事に

「約束だよ?いつにする?」

「週末はどう?」と

玲奈が提案に二つ返事で翔太は応え机の下でガッツポーズをしている。

「翔太、社長の俺を無視するとはいい度胸だな。舐められたもんだな。もしかして優しすぎたか?」

片肘をつきながら翔太を見る。

「まさか、、、礼二さんもどうですか?……忙しいと思うので無理に誘いませんが……」

「いくよ。」

ニヤと笑う礼二。喜びが半減した翔太の間で涼しい顔した玲奈

「翔太、あなたA国大学出よね?大森優里って知ってるでしょ?」

翔太は動きが止まった。

「え?」

「大森優里よ。知らないはずないわよね」

「うん、知ってるよ、でも、どうして?」

「彼女の大学での様子教えてくれない?」

翔太は自分と優里の関係を玲奈には知られたく無くて口ごもる。礼二は腕を組みながら2人のやりとりを黙って見ている。

「知ってるには知ってるけど顔見知り程度だよ?」

玲奈は翔太の反応が妙に薄い事を逆に怪しんだ。優里が度々翔太に目線を送ってるのを何度かみていたからだ。翔太と優里には少なからず何か関係があるはず。玲奈は賭けに出た。

「大森優里は、、…私の母の仇の娘であり、異母妹でもあるの」

食堂のざわめきが一瞬止んだようだった。

翔太はあまりの事に完全に止まっている。

礼二が声をかけようとしたが玲奈が軽く手を挙げて止めた。

充分に時間をかけてから玲奈は話す。

「翔太、私を助けて欲しい。」

翔太は玲奈を見つめかえす。玲奈も真っ直ぐ翔太を見つめかえす。彼は覚悟を決めた。

「玲奈さん、何が知りたい?」

「出来うる限り」

たまらず礼二が口を挟む。

「玲奈、君の考えを教えてくれないか?1人でやろうとするな」

礼二はほとんど懇願している。

玲奈はその心配を感じとり

「わかった。無茶はしないし2人にも相談する」礼二と翔太は頷く、

「そろそろ仕事に戻らないと駄目ね」

「週末フルーツタルトのお店楽しみにしてるわ」翔太は緊張から解放されていつもの屈託のない笑顔で応えた。

 

ーーーー

 

玲奈はマンションに帰らず青木家に戻った。おばあさんの看病疲れが出ていないか様子をみるつもりでいたし、病院で付き添ってくれていた時、茜に対して冷たく突き放した事もきっと気に病んでいるかもしれないという心配もしていた。

「ただいま」

珍しく裕司おじさんが在宅していたお茶を飲みながらくつろいでいた裕司が答える

「おかえり、今日から出社して大丈夫だったか?」

「えぇ大丈夫。心配かけてごめんね」

「心配するのは当然じゃないか、、後遺症もなく無事で何よりだよ」

「うん。ありがとう」

「さぁコチラにおいで温かいお茶でも飲みなさい。食事は済んだのか?」

「いいえまだ。軽く何か作るつもり」

おばあさんが部屋から出てきて声をかける

「おかえり玲奈。お疲れ様。無理はしないでね。貴女までに何かあったら私は耐えられないよ…」

「おばあさん、心配かけてごめんなさい。それから付き添いありがとう。おばあさん、体調崩れてない?大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だよ。玲奈の好きな野菜と鶏肉のお粥さんでも作ってあげるから、そこで座って待ってなさい」と

玲奈の手をポンポンと優しく触れる。おばあさんがいつもやる仕草だ。台所に向かうおばあさんの背中をみながら玲奈は思いを巡らせていた。茜についても何も聞いてこない事も有り難く感じていた。あんなに可愛がってくれていたひ孫を手放す決断を勝手にしたのに、責めるどころかいつでも労ってくれ何処までも優しく包みこんでくれる。玲奈は無条件の愛情を全身に受けている事を改めて感じて涙が溢れた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。