事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】 作:山本山
智昭と茜は自宅に戻り、念のため医者に連れて行くつもりが、茜が嫌がった。彼女は舞台袖で長時間お利口さんにしていたし、その後びっくりする事があったし全然遊べてない。なのにお医者さんになんて行ってられなかった。
「パパ!お医者いや!あかね元気だから」と
プクッと口を膨らませてプイっと横を向く。
確かに腕をつかまれた以外コレといった危害はないし、あのアルコール臭はお酒の匂いで間違いなさそうで様子を見る事にした。茜はすっかり元気を取り戻してお手伝いさんと遊んでいる。
智昭はお手伝いさんに茜を任せ2階の執務室に向い、電話をかける。
「大森優里を洗いざらい調べてくれ、さっき頼んだ監視カメラ要請通ったか?」
「要請は出しておりますが、まだ返答がありません。」
「何故だ?大学前で起きた事だぞ?……わかった。直接出向く。周辺の監視カメラ侵入できるか?」
「はい。多分可能かと侵入経路ダミーと合わせてやりますのでお時間頂きますが、、」
「頼んだ、、頼りにしてる。」
「かしこまりました。大森優里も合わせて調べておきます。」
智昭は再び大学に向かった。
今日は講演会もあり理事長も学長も揃って大学に在籍していた。智昭の面会は割とスムーズに行なわれた。
「お忙しい中、お時間頂きありがとうございます。」
学長のジョージが応える
「いえいえ、今日の講演も素晴らしいものでしたね。若者の瞳に希望が宿っていましたよ。」
続けて理事長のクレアが応える
「こちらこそお会い出来て光栄です。藤田さんの多大なるご支援誠にありがとうございます。今日のご活躍も拝見させていただきましたよ。」
「ありがとうございます。まだまだ勉強不足ではありますが、そう仰って頂けると励みになります、、、本日はひとつお願いにあがりました。」
「なんでしょうか?」
ジョージとクレアは智昭に殊更丁寧に向き合う。
「今日の午後私の娘が見知らぬ男女に拐われそうになり、犯人は大学正門から白いバンで逃走しました。私共から監視カメラの閲覧要請を出していたのですが、お返事がなかったものですから直接伺った次第です。」
ジョージとクレアの顔色が変わっていく、
閲覧の要請も誘拐未遂の報告も2人には届いていない。クレアは慌てて返答する。
「なんと言う事でしょう、、、誘拐未遂事件も閲覧要請も私どもの所に上がってきておりません。こちらの不手際です。」と言って立ち上がり電話をかける。
「本日全部の監視カメラの映像すぐに送ってちょうだい。正門付近のカメラから先に、急いで」
「全部となりますと膨大な量になります。理事長が許可して頂けたら直接こちらで閲覧していただく方がよいかと思います。が、ひとまず正門付近の映像だけ送ります」
「分かった急いで」
クレアは続けて執務室にあるノートパソコンを示しながら
「藤田さん、暫くすれば玄関前のカメラ映像こちらに送られてきます。あと他の所の映像は警備室で直接閲覧していただけたらと、警察には通報されましたか?」
「はい。腕をつかまれただけであとは何もなかったので出来る事がなく、手がかりの白いバンを巡回で探すとの事でした」
「そうでしたか、監視カメラの映像が必要でしたら直接警備室に、いかがでしょう?」
「感謝します。早速よろしいですか?」
「分かりました。」
クレアは警備室に連絡をいれ、一行はすぐに警備室に向った。智昭は無事映像を入手した。
「ご協力ありがとうございます。お礼は後ほど 」と
挨拶を済ませ大学を後にしそのまま会社に戻った。
クレアはホッと胸を撫で下ろした。智昭が在学中、藤田家から大学に寄付された金額は相当な額だった。在学中の金額に比べれば減りはしたが、今も継続的に寄付されている。
クレアはジョージに尋ねる。
「藤田さんが狙われたのかしら?今や本国では飛ぶ鳥を落とす勢いだと聞いたけれど、娘さんがいらしたのね。」
ジョージは眉間にしわを寄せながら、内心はA国の人間でもない若造の娘の事など気にも止めていなかった。実際事件にあった訳でもないのに大袈裟だと感じていた。監視映像も差し出したのだから後は理事長に任せておけばよいと判断していたがそれはおくびにも出さず口を開く
「そのようですね。在学中に自分の会社を興して全て上場させた様ですね。専門分野の見識もかなり深い様です。今日はスミス君の招待でしたかな。私も彼から話しを聞いておきます。」と
ジョージはクレアに話し退室した。
彼はそのまま学長室へと戻っていった。