事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】   作:山本山 

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第2話

玲奈の病室を出た青木おばあさんと茜は藤田おばあさんの病室に向かって歩き始めた。

 

青木おばあさんは孫娘の苦労を思うと止めどなく涙がこぼれる。母の事で負う必要の無い傷を受けた娘にこんな酷い現実があるだろうか?

ただひたむきに誠実に向き合ってきた玲奈の心を想うと胸が潰されそうだった。

 

 

茜は何かが定まらない状態で歩いている。

 

一時は優里おばさんがみせてくれる、今までと違う新しい世界を充分に楽しんだ。

 

だけど、いつからか、その楽しみをママに内緒にするのが悪い事の様に思えてた。

フェンシングの試合も授業参観も本当はママとパパがよかった。ママも一緒がいいって思ってたんだ。

だって親子ゲーム参観、今までで1番楽しかったんだもん。

 

茜は散らかったおもちゃの中からやっと大切な宝物を見つけた気持ちだった。

 

「ママごめんなさい」

 

茜はママの涙がとても悲しかった。今までで1番母を恋しく思った。

 

青木おばさんと、茜のふたりは寄り添いながら、そして、同じ人を想いながら藤田おばあさんの病室に入っていった。

 

 

 

ーーーー

 

 

ひと足先に玲奈の病室を出た智昭は、足早に藤田おばあさんの病室に向かっていた。

 

おばあさんに、玲奈が無事目覚めた事と、一度会社によってくる事を告げて駐車場に向かった。

 

駐車場には先に帰ったはずの辰也がいた。

辰也の視線の先は玲奈の病室だ。幼い頃から知ってるはずの男が今は敵に見えてくる。

 

智昭は会社に戻って様々な業務をこなした。

上がってくる書類に目を通し、急ぎの仕事をこなして延ばせる出張は延ばし時間を確保した。

 

電話がなる優里からだ…。

 

智昭は、いつから彼女は頻繁に、些細なことでも電話をしてくるようになったんだろうと考えていた。

 

今は電話に出る気にならない。

 

しばらくして呼び出し音は鳴り止み静かになる。

 

騒がしさの後の静けさが、どこか玲奈に似ているなとふと思った。

玲奈の病室での様子がありありと目に浮かぶ。

 

(どいつもこいつも気に入らない…)

 

 

秘書の慎也を呼び出し智昭は指示をだす。

 

「玲奈の事故の映像は手に入るだろうか?」

 

慎也はひと呼吸おいて

 

「ツテを辿ってみます。 急ぎますか?」

 

「あぁ、全てにおいて優先してくれないか?」

 

「承知しました。」

 

慎也はすぐさま仕事にとりかかった。が、彼は落ち着かない様子だ。智昭とのいつもと変わらない会話なのに、今の智昭の声には怒気が含まれているのを感じている。

やぶ蛇は突かない方がいいと言わんばかりに、慎也はさっさと執務室から退出した。

 

 

 

仕事をさばいた、智昭は会社を出て花屋に向かった。

玲奈には優しい色合いの花束を、おばあさんには明るい色合いの花束を購入した。

 

しかし智昭にとって今日は本当についていない。

彼が誰よりも気に食わない奴が近づいてくる。

瑛二だ。

 

智昭の瞳に一段と陰りが差した。

目が合ったと同時に瑛二が話しだす。

 

「智昭、その花束は愛人にか? それとも病室で寝ている妻か?」

 

智昭は目を細めながら

 

「お前には一切関係のない事だ。妻の見舞いのお礼は後ほど」

 

瑛二は退かない。

 

今朝、父親から聞いた智昭と優里の関係に鮮血が流れ出る様な怒りが湧いていたからだ。

 

「礼など要らない。お見舞いは当然だ。大切な人だからな。お前の見る目の無さに感謝するよ。誰が相応しいのか? きっとそのうち分かるさ」

互いに抱えてる花束が震えてる様だった。

それ以上の会話は無くそれぞれの車に向かった。

 

 

瑛二は仕事に向かう前にもう一度玲奈の病室を訪ねた。

病室には誰も居ない。玲奈は眠っているよう様だ。

 

彼は入室するか迷った。が、そっと扉を開けてみたら、

青木おばあさんのジャケットがある。

 

今は席を外しているだけだろうと考え、扉付近でしばらく待っていた。腕時計に視線を落とすと、瑛二の出勤時間が迫っている。

 

彼はそっと病室の扉からテーブルの方へと進み、花束と果物をテーブルに置いた。ベットには近づかず離れた場所から玲奈の横顔を確かめている。

 

涙の跡だろうか? 睫毛が濡れてる様にも見える。

近づいて確かめたい気持ちだったが、これ以上近づくのは流石に礼儀に反すると思い諦めた。玲奈の心身の回復を祈りながら花束にキスをして病室を後にした。

 

 

 

 

智昭は花屋のあと行きつけのレストランへ行き、

おばあさんと、玲奈用のお粥をテイクアウトし病院へ向かった。智昭は先ず玲奈の病室に向かった。

 

玲奈の病室に青木おばあさんと茜の姿が見当たらない。

荷物があるので席を外しているのだろうと、然程気にも止めなかった。

テーブルに置かれた花束が目に入る。

 

瑛二が持っていた花束だと確信する。智昭は花束を握りゴミ箱に投げ入れと思ったが寸での所で思いとどまった。瑛二の花束は玲奈から遠い場所に置き、自分で買ってきた花束を玲奈からより近い場所に置いた。

 

玲奈の顔を覗き込む智昭。玲奈の頬に涙のあとをみつけ、思わず指先が彼女の頬に向かうと同時に、玲奈の規則正しい寝息を聞いて智昭は安心した。触れるか触れないかわからない程そっと頬を撫でたあと、玲奈の病室を退出し藤田おばあさんの病室に向かった。

 

藤田おばあさんの病室には、青木おばあさんと茜がいた。青木おばあさんは、智昭の姿を確認してから智昭と目も合わさず一礼して退出していった。

 






■ 登場人物相関図(第1話・入院時) ■

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【 中心の家族(夫婦別姓) 】

◆ 藤田 智昭(夫/藤田グループ社長)
  ↑
 (夫婦)
  ↓
◆ 青木 玲奈(妻/長墨ソフトAI技術者)
 ※専業主婦から現場復帰を果たしたが、現在事故により入院中。

◆ 茜(智昭と玲奈の愛娘)

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【 玲奈の職場と仕事仲間(長墨ソフト・軍関係) 】

◆ 湊 礼二(長墨ソフトCEO・玲奈の兄弟子)
◆ 秋山 翔太(玲奈の同僚)
◆ 真田教授(玲奈の師匠)
 └─→ 復帰した玲奈の類まれな才能を高く評価し、支える存在

◆ 瑛二(軍のパイロット)
 └─→ 玲奈が軍基地で技術作業をしている際に出会う

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【 玲奈のルーツと因縁(大森家・青木家)】

◆ 大森 優里(玲奈の異母妹)
 └─→ 玲奈の居場所に対し、激しい嫉妬を抱く
◆ 大森 正雄(玲奈の実父)
◆ 大森 佳子(正雄の現在の妻)
◆ 青木おばあさん(玲奈の祖母・青木家の過去を知る存在)

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【 智昭のしがらみ(藤田家・権力)】

◆ 藤田おばあ(藤田家の重鎮)
◆ 清司・辰也(智昭の気心の知れた幼馴染)
◆ 晴見・義久(政府の重役)

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