事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】   作:山本山 

20 / 69
20話 過去編

スミスは智昭が再び大学に来ている事を知り、会いに行こうと思った矢先、理事長達と警備室へ向うのを見た。そのまま踵を返して研究室へ戻っていった。研究室に誰もいない事を確認してから電話をする。

「依頼された作業はとっくに終わったぞ。藤田は今、警備室に監視カメラを確認しているはずだ。あんな分かりやすい所に車を待機させるなんて、足が着いたらどうするつもりだ?」

「俺はただの運転手だ。依頼人の指示通りにしたまでさ。相手は満足してたぞ(笑)すぐに足はつかないさ。明日にはあの2人は祖国についてるはずだしな。映像確認した。いつもの口座に振り込んでいる。お前こそヘマするなよ。いいお客さん逃したら損だからな。それから又来週中に飛行機の手配を頼む。チケットが届き次第振り込む。」

「あぁわかった。」

「あんたも、いい小遣い稼ぎだな。しかし、いい大学の教授で稼ぎもあるのに、バレたら一貫の終わりだろうによ(笑)」

「はっ、お前に何がわかる…」と

スミスは吐き捨て電話を切った。

スミスは苦々しい表情をしていた。藤田智昭を在学中に取り込めなかった事を非常に悔いていた。彼の研究していたものは確実に軍事産業に利用できるものだ。それさえあればスミスのこの業界での地位は誰にも追いつけない程になっていたはずだ。当時を思い出しスミスは拳を握りしめ思わず口走る

「あの小賢しい小僧め…」

ふぅーと息を吐き捨て怒りをやり過ごす。

当時の智昭はガードが堅く、在学中にほころびをみつける事ができなかった。が、修了パーティーの日に綻びらしきものを見つけた。新田が珍しく同郷ってだけで薬を融通したと聞いた。そしたら融通したその男は智昭に薬を盛ったのだ。スミスはその男の顔を見てみたくなった。新田に聞けば同郷のよしみだとか。その男を調べてみたら娘がA国大学に入学。しかもスミスの研究室に入る事を知った時は、笑いが止まらなかった。そして、今日、スミスが描いた様に事が進んだのだ。彼の口元は不気味に歪んで微笑んでいた。彼が仕掛けた訳ではないが、少し情報を流せばあの男は思った通り動いた。スミスは座り慣れたデスクチェアーに深く腰掛け両手をお腹の前で組んだまま、くるりと回転させて窓から見える空を眺めた。

 

ーーーー

 

智昭はオフィスに戻ると木村洋介に監視カメラ映像データーを渡した。

「映像の解析を頼む」

木村洋介は父政宗が手配した映像解析のスペシャリストの1人だ。

「承知しました。」

「大森優里の情報は?」

智昭が大東聡美に尋ねる。彼女も父政宗が手配した人材で、A国で幅広い人脈を持っている。彼女が本国の政府と秘密契約を結んでいる事はわかっている。が、詳細はやはり伏せられている。

「大森正雄と佳子の娘で貴方の奥様の異母妹ね。8歳までY市で祖父母と母と暮らしていたわね。年少期から活発で目立つ事が好きな性格。頭脳明晰と近所では評判だったみたいね。実際は上の下ってところかしら。従姉妹の結菜と過ごす事が多かったみたいよ。大森家に引き取られてからは、だいぶお金をかけて育てられたようね。だいたいの事はさせてたんじゃないかしら。どれもそこそこ、こなしていた様ね。本国の大学時代に結構な賞レースに参加してそれもそこそこの成績を残した。A国大学の博士課程コースを履修中、特にこれと言って成果は出していないけれども。それにしても車の免許を取ってからはレースまでさせているわね。あら?(笑)男に貢がせるのが得意なのかしら?横恋慕もどこ吹く風ね。婚約者がいようとお構い無しね。分かりやすいわ、男が変わるきっかけは財力みたいよ(笑)ふふ面白い、、貴方前から狙われてたんじゃない?貴方の修了パーティーに彼女と正雄参加してるわよ。誰から招待されたのかしらね?探ってみるわ。」

集めらた情報を次々と話していく聡美。

「その修了パーティーで薬を盛られた、、十中八九正雄の仕業だが、薬の入手経路が今だにわからない。優里も参加していたのなら既成事実狙いは明白だな。俺は随分油断していたんだな…。薬の入手経路最優先で頼む。それと大森の事業の様子はどうなんだろうか?」

「あら?まだ調べてなかったの?珍しい事もあるのね。大森の事業に関して今は手元に簡単な資料しかないけど、引き継いだ事業は結婚して少し上昇。そのまま横ばいだったけど、15年前から緩やかに下降してるわ。離婚と再婚した頃と重なるわね。貴方の本当のお義母さんの手腕だったのかしら?テック部門を立ち上げてからはずっと赤字の様ね、それにしてもどこからレースの資金捻出してるのかしら?優里が男に出させてるの?いや、それは無理ね付き合う男達は家は立派でもまだ何も引き継いで居ない息子ちゃん達ばかりだわ。」

「スミスのその後何か掴めたか?」

「ガードが固いわよ〜。伊達にA国大学の教授してないわね。ただ、度々本国の飛行機チケット入手してるわ。本人は行った様子がないんだけどね(笑)」

智昭は腕を組みながらしばし沈黙している

「聡美は薬の入手先引き続き最優先で同時に正雄のこちらでの交友関係も探ってください。康明は正雄の本国での交友関係と事業の資金の流れ探ってください。」

平山康明も政宗が手配した人材だ。彼は本国に広い人脈と情報網をもっている。やはり彼も政府の秘密契約をしている。

「了解」と

短く聡美と康明は返答する。

 

 

 

 

 





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。