事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】 作:山本山
翌朝、智昭は日課のランニングにでかける。
黒の上下のウェアに着替え、茜がまだ寝ているのを確認してから出かける。周辺をぐるりと小一時間ほど身体を動かし帰宅する。シャワーを浴びスッキリした後に朝のコーヒーを飲む。頭の中を整理していく。
( A国大学には闇があるスミスもそのひとり、黙認してきた大学も同罪だ。証拠は無いがスミスは俺の開発した技術を未だ狙っている。正攻法は諦めた様だな。大森正雄は玲奈ではなく優里との既成事実を狙っていた。そしてコイツも諦めていない。茜の誘拐はどちらかの思惑が叶えられる。誘拐が成功すれば技術と引き換え、誘拐が失敗すれば優里が恩人か…。筋書きはスミスか?)
智昭は聡美に電話をする
「おはよう。朝から悪いな。正雄とスミスの接点を急ぎみつけてくれ。」
「おはようございます。本当、早朝は遠慮して頂きたいのが本音ですが、ボスなので我慢致しますわ。正雄とスミスの接点ね。了解。」
「…すまない。よろしく頼、おねがいします。」
「(笑)ボスにも可愛らしいところあるのね。冗談ですよ。いつでもコールしてください。仕事ですから。他はありますか?」
「あぁ、、追加はそれだけだ。」
「了解。では」
「……」
「ボス?電話切りますよ?」
「あぁ。よろしく」
智昭は女性から、からかわれるのが初めてだったので、正直、面食らった。が、肩の力が抜けた様だった。
ーーーー
開拓事業専属のオフィスで、賢志と愛理は
監視カメラ映像をつなぎ合わせて白バンの逃走経路を探る。途中から消える場所をみつけた。別角度のカメラからも同じで消える場所を特定した。周辺の施設を調べたら公園と商業施設がある。
商業施設と公園の駐車場それぞれの監視カメラに侵入するが該当の白バンが見当たらない。
「愛理、何かアイデアないかな?」
「…車体や鏡に映り込んでるところは、弄ってないかも?」
「なるほど、洋介、これも映像解析いけそう?」
商業施設にあるパーキングミラーを指し示した。
「えぇっ全部?…目ぼしいやつピックアップしてやってみるよ」
「あと、駐車場に入る目的なんだと思う?」
「商業施設で、トイレ?買い物?あーそれじゃぁまたカメラに映ってしまう、、運転手の交代とか?一層の事車買い替え……乗り換えるだな」
「乗り換えに適してる場所は死角が多い場所だな?公園の駐車場の地図画像から見てみるか、愛理は商業施設で見てくれ。」
「はーい」
暫くして愛理が
「賢志さん、この商業施設の監視カメラ台数多いよ。切り替えていくとほぼ死角ない。私が犯人なら公園選ぶ」
「なら公園から頼む。洋介すまん。公園から見てくれ。おかしな車あれば映像解析してくれ。A国大学からここまで約10分監視カメラの時刻は13時57分、14時07分からチェック前後2分ずつ延ばして」
愛理はパーキングの出口にあるパーキングミラーに注目していた。洋介程ではないが画像をある程度鮮明にしてミラーに映る車と車が一致しているか見ていく。幸いそこまで多い台数ではなかったので数はこなせた。
「隊長!ビンゴです。」
隊長とは誰だ?と賢志と洋介の2人は顔を見合わせる。
賢志は(きっと俺だな)洋介は(きっと賢志だな)と理解した。
「黒に変わってます。」
「お手柄」と言って
愛理の頭をぽんぽんと撫でる賢志。愛理は少し照れたが、全然悪い気がしないなんて新鮮な気持ちだった。
「このまま逃走経路確認してわかったら報告してくれ。洋介は男の画像を検索してくれ。どこかで引っかかるかもしれない。タトゥーも同様に。」
「了解」
賢志は智昭に電話をして現状を報告した。
ーーーー
隣の部屋で聡美と康明は寄せられる情報を分析していく。聡美がボソッと
「正雄は人でなしと。」と呟いた。
その言葉を聞いて康明が
「ん?なんかあった?」
「えっ、あぁそうね、異母姉妹が同い年って正妻は辛かったんじゃないかな?と思って、、勿論、これまでコレより断然酷い人間も見てきたけど、同情するわけでは無いけれど、そこに至るまではわりと不幸というか苦難の人が多いのよね。もちろん全員ではないけれど。ただ正雄の場合は単純な心変わりなわけよ。正妻も愛人も8年間宙ぶらりん。こういう人間は結局自分だけが可愛いのよ。そのくせ阿呆みたいに愛を語るのよね。」
康明は腕組みしながら
「(笑)相変わらず毒舌で。そうだな。まだ人間の感情があるだけマシだと思うしかないな。壊れた人間は何するかわからんからな。」
「そうね。確かに。自暴自棄の人間は危ないわ。正雄は自己愛が強いから、そういう人はいつでも人のせいよ。逆に壊れてしまう人は人を愛せる人だし、愛を求める人だと思うわ。」
「うん。異議なしだ。そんな悲しそうな顔しなくていいよ。」
「あらやだ、してないわよ。仕事しなさい。」
「フッ、了解。何かわかった?」
「今朝ボスから正雄とスミスの接点も探すよう言われたんだけどね、娘、優里以外目ぼしいのが無いのよ。貴方は?」
「そうだな、赤字垂れ流してる部門に利益補填してるから、そこまで余裕のある家門ではないんだが、怪しい取引は無いんだ。聡美が言ってた様にレースへの資金も出してる。その資金が佳子の事業からなんだが、なんだか事業の利益と微妙に合わない気がする。ここは勘だがな。」
「オビワンもフォースを信じろって言ってたわ」
「誰だよそれ」
「オビ=ワン・ケノービよ」
「………」
「、、スター・ウォーズの、、もういい。」
康明は背中を向けて笑っている
「フルネームで返答すると思わなかったから、ごめん。」
聡美は立ち上がり
「コーヒー淹れてくる。ついでに淹れてあげるけど、感謝なさい。」と
高飛車に給湯室へ向かった。
■ 過去編 新たなる登場人物 ■
【 組織「スパイダー」】
◆ 新田 篤(にった あつし)
組織の末端。幼い頃から悪童。
◆ スミス教授
A国大学・アルゴリズム研究室教授。
【 智昭極秘チーム 】
◆ 東野 賢志(ひがしの けんじ)
智昭の右腕。ホワイトハッカー/ブラックハッカー。
◆ 木村 洋介(きむら ようすけ)
映像解析のスペシャリスト。
◆ 大東 聡美(だいとう さとみ)
政府秘密契約エージェント。A国の人脈・分析担当。
◆ 徳田 愛理(とくだ あいり)
政府秘密契約ホワイトハッカー。
◆ 平山 康明(ひらやま やすあき)
政府秘密契約エージェント。本国の人脈・分析担当。
(伝手:上杉達也 / 姪:由美子)
◆ 大森 正雄・佳子・優里
優里ー玲奈の異母妹
正雄ー玲奈の実父
佳子ー正雄の後妻。優里の母