事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】 作:山本山
康明は聡美が淹れてくれた気高いコーヒーを飲みながら、本国での正雄の資料と行動を読み込んでいる。先程、聡美に説明した通り、再度読み込んで導き出したものも同じだ。離婚と再婚を境に事業の業績はなだらかな右肩下がり。テック部門を立ち上げてから加速度的に財政は赤字続きのはずなのに、新しく借り入れた様子もない。そこまで余裕のある家門でもないはずなのに、娘のレース費用は佳子の美容関連事業から支出している。この事業もここ数年目新しいものが開発された訳でも展開した訳でも無いが売り上げが伸びたのだろうか?裏取引か?裏稼業か?と思案しながら康明は資料を眺めていたら、ふと正雄の出張先に目が止まった。ほぼ同じ場所を一定回数訪れているのだが、Y市への訪問回数が他の所より多い事に気づいた。正雄がY市出身なので特別おかしな事ではないのだが、、
「オビ・ワン・ケノービ師匠を見習ってみるか?」と
眉毛を上げながら呟やき聡美の方に目線をやれば聡美も康明のほうに視線を向け
「フォースと共にあらんことを」と
神妙な顔つきで言ったあとククッと笑った。
康明は本国にいる康明自身の伝手に電話をする
「変わりないか?」
「変わらずだ、そろそろ本国にもどるのか?」
「いや、懐かしく思うにはまだだな(笑)Y市での行動を調べて欲しい人間がいる。頼めるか?」
「大丈夫だ。詳細メールで送ってくれ、わかればメールで送る」
「ありがとう。助かる、今から送付する」
「オッケー。じゃぁまた」
隣の部屋では賢志と洋介と愛理が作業していた
賢志が白バンがそのまま廃車工場に向かったまでは掴めている。廃車工場の監視カメラでは帽子男の姿しか映っていなかった事を確認して、やはり公園の駐車場で実行犯は違う車に乗り換えた事は確実だった。愛理が白バンが駐車した場所の映像を見ていて、その後止まった車も追跡したが公園を出て暫くして消えた。
「隊長、白バンの後に止まった車、降りてきた運転手は男だったのに、次乗り込んだのは男女でした。この車が乗り換えた車に間違いないですが、また途中で消えました。」
「…そうか、向こうも短時間で仕事が早いな。パーキングミラーで確認できるか?」
「それが、車体が太陽光の反射でわかりづらいです」
「…駐車してる場所別角度からの監視カメラはどうだ?」
洋介が割ってはいる
「帽子男、白バン降りて戻る時何か手に持ってましたよ。ちょっとまって、ホットドッグだ、近くにホットドッグ売店あるならそこにもカメラあるな、オーケーオーケー、近くにあるぞ、賢志侵入できる?」
「いける、ちょっと待ってな、コレだな、角度的に映り込んでたらいいが、、駄目だ車映ってないな。それでも帽子男はサングラスかけてるがしっかり映り込んでるな。洋介頼んだ」
「了解」
「愛理、追ってる車が消える一分前の映像に映り込んだ車と追ってる車が消えた後にも同じ車を消去するプログラム組めるか?そのプログラムまたどこかで役にたつはずだ。いけそうか?」
「了解、難しくはないはず、いけます。」
「頼んだ。洋介、帽子男の画像解析できたら教えてくれ」
「時間はかからない。あと10分ほど」
「プロは凄いな」
その言葉を聞いた、愛理と洋介は同じ様なキョトン顔を賢志に向けていた。視線を向けられた賢志は肩をすくめて笑った。そうこうしてるうちに洋介の画像解析が上がってきた。
情報共有のために聡美と康明の部屋へ向う
挨拶かわりのノックを早いテンポで打ってから部屋にはいる。
「どう、捗ってる?」
「いや、ちょっと煮詰まってる」
康明が答えると聡美も頷いて同調した。
「帽子男の顔100%ではないが80%程の解析画像持ってきた。2人のメールにも送信してるが、コレが帽子男だ。今、ネットにこの男の画像と手の甲の蜘蛛を検索にかけてる、何か情報上がればまた知らせる。あと、交代で休んでくれよ。休息も仕事だから」
「了解。聡美、どうする?手が離せるなら、先に休んでくれ」
康明は思い出したかの様にレディーファーストを心がけてみた。
「えぇありがとう。お言葉に甘えるわ。収監されてる囚人でスパイダーと思われる人間のピックアップが少しづつ上がってくると思うわ、出揃ったら連絡くれるかしら?」
「了解、連絡する」と
賢志が答え
「他なにもなければ隣の部屋に戻るが?」
「大丈夫、何かあれば知らせる。」
「あぁ、了解」
賢志は戻っていった。聡美も一旦家に帰ると言って部屋を、出ていった。
康明は頭を休める為軽食を取ってソファに横になり目を閉じた。うつらうつらしていただけだと思っていたが気がつけばすっかり日が落ちてる。ぐーと背伸びをして顔を洗い。なんで俺スーツ着てきたんだ?と思いながらオフィスに置いてあるラフなシャツとスラックスに着替えた。
再び作業に戻れば早速本国からのメールが届いていた。
正雄がY市に訪れた際訪ねているのは幼馴染の男だった。幼馴染の男はずっとY市に住んでいる。特別何かある様な人物でもなく親の代ではまだ家門も保てていたが親が亡くなった今ではごく普通の下町の家と変わらない。幼馴染の男の名前は浅田裕二。離婚歴があり息子が1人居てる。3ヶ月に1度位の頻度で帰省してるようだ。
浅田の写真も見るが特別善良な人相でも凶悪な人相でもない。じっと眺めているが、何か引っかかる。
「なんだ?何が引っかかってるんだ?賢志に見せてみるか…」
隣の部屋に向かい、扉をノックして入る
部屋には洋介と賢志だけで、愛理は家に帰り休息してるとのこと。康明が引っかかってる浅田の写真を見せる
「大森正雄の幼馴染の男なんだが定期的に訪れているようだ。その男に特別怪しいところも無いんだが、何か引っかかるんだ、」
「人相が悪いのか?じゃなく普通なんだな、、でも違和感と言うか康明の言う引っかかり、理解できる、、既視感か??」
賢志は視線をパソコンの画面に映し出されてる帽子男に向けた。
「似てないか?」
康明と洋介が見比べて、頷く。洋介が
「似てるな。ちょっと見比べてみようか」
洋介の作業を賢志と康明が後ろから覗き込み結果を待つ
「写真では勿論断定はできないが、顔の骨格がだいたい一致してるな。鼻の形もかなり似てる。身内路線で考えてもいいかもしれないな。」
「正雄はスパイダーと繋がってたのか?組織に所属してる?」
それを聞いた賢志が
「スパイダーはA国も全貌を掴めてない組織なのにこんな簡単に映像残すか?杜撰すぎないか?」
洋介が
「でも、監視カメラの介入は早かったですよ。それ以外は杜撰。ただの時間稼ぎですかね」
康明が
「浅田の息子の写真本国でとれたら確実だな?ありがとう早速手配してくる。お前らも休めよ。」
「あぁ、交代で休む。康明も無理するな」
賢志の言葉を聞いて康明は頷き、部屋へ戻っていった。
原作では大森家が首都に来た時期が優里が帰国した時なのか
それ以前からなのか事業は展開してるのか?曖昧だったので
大森家は優里が留学してる段階で首都に移り住んでいる事で話進めています。パラレルなので、誤差、許容していただけるとありがたいです。