事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】 作:山本山
賢志達の部屋をノックする
「どうぞ」
洋介が返答し、続けて聡美が挨拶しながら入ってくる。
「おはよう。昨日は遅くまでお疲れ様、その後どうかしら?賢志はだいぶお疲れじゃない?」
「これくらい大丈夫だ。問題ない。ミーティング始めよう。こちらの進捗は、誘拐犯の逃走先はM国。足取りはここまでわかった。今後はボスの指示待ちだ。そちらは進展あった?」
「あぁ、正雄の幼馴染の男浅田裕二の息子の名は新田篤。年少期から悪童で両親の離婚をきっかけに更に手のつけられない状態。補導歴ありY市にいられなくなって母方の苗字に変えてA国へ逃走。さっき送られてきた情報だ。まだ報告していない。これから報告する」
「了解」
「正雄はこちらに住んでたかしら?」
聡美の質問に康明が返答する
「いや、基本娘だけがA国住みだ。」
「だよね。だったら移動はタクシーか地下鉄かよね?まぁ地下鉄はあまり考えられないから、タクシーよね。賢志、娘の家の近くからタクシー乗った形跡調べられないかな?」
「できると思うよ。監視カメラ設置してる住宅街がほとんどだしなタクシー会社がわかれば尚よし、、」と
言いながら、賢志は優里の住所近くのカメラを覗いていく。暫くして優里がタクシーから降りてくる映像を見つけた。正雄は映っていないがだいたいタクシーを乗り降りする場所なんて決まってくるもの。同じ場所のカメラ映像の過去データを取りに行く。聡美も康明もこの手の事はわからない。カタカタと指先でたどり着いていく様が手品師の様に見えてしまう。康明が思わず呟く。
「できる男は違うな(笑)」
「(笑)誰が誰に言ってんだよ。天性の人たらしさん。どんだけ情報持ってる人間が言うんだよ。」
「俺がじゃなくて俺の仲間が凄いんだよ。どう?何かありそうか?」
「うん。もう少しかかる。それとボスは1時間後位にこっちにくる。」
「了解」
それぞれが返事をする。洋介が
「以前ネット検索かけてた蜘蛛のタトゥーと帽子男の画像だが引っかかってこなかった。タトゥーは何枚か上がってきたが蜘蛛のタトゥーが同じで帽子男のものではなかった。補導歴があるなら本国の方が上がってくると思うがどうだろう?」
「そうだな。A国では捕まってなかったか。本国の空港カメラならヒットするだろうな、ただ、かなりリスキーなんだ、、ボス経由の方が安全かと思って。」
康明の弁明に3人は頷き、賢志は返答した。
「なるほど理解した」
情報のやり取りが一旦終わり、愛理が待ってましたとばかりに声をあげた。
「あのっ!今朝、聡美さんから差し入れいただきました。食べませんか?」
「おっ!丁度小腹空いてたんです。聡美さん頂きますね。ありがとう!」
と、洋介はサッと自分のデスクに座り食べ始めた。
「どうぞ。軽い物でごめんね。足りなかったら自分で買ってきてね(笑)」
聡美は笑いながら答え、洋介も手を挙げて応える。愛理も自分のデスクで食べ始めた。
賢志はソファを整えてその場で食べ始める。康明と聡美は賢志の真向かいのソファに座り持ってきた珈琲を飲みながら一息ついている。
「ボスはどうするかしら?こちらに来て3日でこんな事になってるなんて、スケジュール漏れてるのかしら?」
「漏れてる、かな?茜ちゃんは急遽ついて来たからな…。漏れてるんだろうな。お金のためなら何でもするやついるしな…。」
賢志が返答する。
「講演会はだいぶ前から決まってたんだからボスが、来ることはわかってた。けど、茜ちゃんが来る事を事前にわかる人間って身内になるのかしら?」と
聡美が話してると、ノックされ、カチャッと扉が開く。賢志たちの視線が一斉に扉に向けられ智昭が入ってきたのを捉えた。
「おはよう。楽にして、メール確認した。逃走犯、M国のカメラで追走は危険だな、そちらはもう切り上げてくれ。あとは新田に力いれてくれ。薬もこの新田からとみていいな。新田とスミスのつながりがないか?ここ重点的に頼む。スミスと正雄の接点は優里だけか。正雄だけでは面会もできないだうな。あの大学もまだまだ人種の偏見は強いからな。裏ルートがあるなら分からんが、正雄に新田以外の人脈あるか?もしくは新田そのものが繋がってるか?、、スミスと新田の動きに注目してくれ。」
「了解。優里は?ノーマークで?」
「優里は俺が直接マークする。今週末食事に行く、その後又指示をだすよ。あと、このチームの存在は俺の父以外、誰も知らない。藤田家も、もちろんだ。君たちの存在は絶対に悟られないでくれ。これから茜を狙った奴らと玲奈を妻を嵌めた奴らを潰していくつもりだ。その中にスミスも含まれる。中長期スパンになると思う。我々の仕業とバレては国が出てくるから、その辺くれぐれも肝に銘じてくれ。君たちの報酬は勿論惜しまない。他言は厳禁、頼まれてくれ。」
「承知しました。」
代表して賢志が返答し他のメンバーは頷いてみせた。
「賢志、愛理、これの精度あげてくれないか?」
と、智昭から差し出されたものを2人は確かめ始める。モニター画面を見ながら2人は顔を見合わせている。
「コレはウィルスの類では?」
愛理が質問する
智昭は口角をあげて答える
「あらゆる条件下でも発動できるよう、精査してほしい。」
「でも、、もし万が一……」
「心配ない。愛理。君はコレに対して対策するだけだ、対策するには知る必要がある。ただそれだけだ。」
「……」
「コレを仕込むのは君でもなければ賢志でもない。そして、俺でもない。君と賢志は精査するだけだ。ただの研究だ。賢志サポート頼むぞ」
「了解。愛理安心していい。ボスのテリトリー内ほど安全圏はないよ。しかし、コレ…期限は?」
「じっくりやってくれ。1年程ある。精査頼む。改良点があるなら随時行ってくれ、その際の報告も忘れずに」
「了解です。」
賢志と愛理は頷く。
「洋介、新田の画像だが瞳の瞳孔がわかるくらいまで精度あげられるか?」
「今のところこれが限界です。本国で探す方が合理的です。」
「そうか、わかった。」
智昭にとっても公安管轄の空港カメラへ簡単にアクセスはできない。事件でもなく私情案件では尚更。むしろ本国で名があるぶん越権行為がニュースにでもなれば株価に大いに響く。本国に味方もいれば藤田グループを陥れたい勢力も存在するのも確かだ。
「康明の伝手待ってみようか…」