事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】 作:山本山
A国大学に留学して1ヶ月。生活にも少し慣れて大学にも昼食を共にするくらいの友達はできた。名前はエイミー。その彼女から
「ねぇ、玲奈バイトしてみない?簡単なバイトなのよ。ペットを散歩させるバイトなんだけど。欠員出ちゃって頼まれちゃったの。だけど、私、動物が苦手で困ってて……頼まれてくれない?」
「そうなの?動物苦手なんだエイミーも大変ね。いいよ。やってみる。」
玲奈はにっこりと笑ってこたえる。
「本当!ありがとう。貴方って本当に優しいわ。今日依頼主さんの所に行かなくちゃいけないんだけど、都合どうかしら?」
大袈裟に喜んで見せるエイミー。それは彼女のサービス精神からくるものだと理解している玲奈は嫌な気待ちにはならない。
「夕食までは大丈夫よ。予定はないわ。」
「よかった。じゃぁ悪いんだけど午後4時に正門前の花壇で待ち合わせでいいかしら?」
「わかった。持ち物とかある?」
「そうね。身分証明証と汚れても大丈夫な服でお願い。1時間程度のバイトだから」と
言い終えるとウィンクしながらエイミーは講義を受けに早足で教室に向かった。
玲奈は新しい事への挑戦に少しワクワクしている。今日は智昭から夕食のお誘いがあったので食事の時間を確認することにした。
智昭にメールする時、玲奈は毎回ドキドキしていた。いつも色々言葉を考えるんだけれど、結局シンプルな文面になってしまう。
「こんにちは、今日の晩御飯は何時頃予定されてますか?バイトに誘われて午後4時から2時間ほど予定入れます。夕食に間に合う様にしたいので時間教えて頂けますか?」
玲奈はドキドキしながら送信。するとすぐに返信があった
「19時頃予定してる。因みに誰からのお誘いかな?」
玲奈は気にかけてくれてる様で嬉しくなり頬が緩んでしまう。
「エイミーからのお誘いです。欠員が出てしまって困っていた様なので、ペットを散歩させるバイトです。」と
送信して、又、直ぐに返信があった。
「そうか。遅れても大丈夫。怪我しないでね。君に何かあれば、おばあさんに叱られてしまうからね」
玲奈は、はじめの文章を読んでまた嬉しくなったげど藤田おばあさんの文字をみて胸がチクリとした。
「やっぱり保護者みたいな気持ちなんだ…。」
玲奈は女性として見てもらえないのが悲しい。
「仕方ないかぁ…」と呟いた。
多感な時期に経験した事が影響したのか、そもそもの性格も相まってか、玲奈は諦めるのが癖になっている。
智昭は玲奈の最初のメールを見て気が気でなかった。不快感が顔に現れたまま呟いている。
「誰が玲奈を誘ったんだ?変な奴に絡まれたらどうするつもりだ…。男だったら止めないと、男は半分下心だって言ってるのに…」
その後に送られてきたメール内容で誰からの誘いだったか確認でき、智昭はホッと胸を撫で下ろしてみたが、まだ何だか落ち着かない。
「玲奈は無防備だからな……いや、待てよ、依頼人が男かもしれない。まずいな…」
智昭はこの後の予定を全てキャンセルして玲奈の様子を離れた所から見守る事にした。
午後4時正門花壇で待ち合わせ。
エイミーに連れられて、徒歩で依頼人の場所まで向う。連れてこられたのは、ペット用品&ペットホテルの店だった。このお店は保護犬や保護猫も居て、ペットホテルには何頭かの猫や犬が居てる。玲奈のバイトはペットホテルに預けられている犬の散歩だ。オーナーが
「今日は急遽引き受けてくれたんだって?助かるよ。ありがとう」
「玲奈です。バイト自体が初めてなのでよろしくお願いしますします。」
「可愛らしいお嬢さんは声も可愛いんだね」と
微笑んで応じてくれた。とびきりの美男ではないが、オーナーの優しさと人柄の良さが全身から溢れてる様な人だ。笑顔も人を安心させる。緊張していた玲奈だったが彼の人柄に触れてリラックスできた。エイミーは違う所のバイトがあるのであとは玲奈に任せてバイト先に向かった。玲奈がオーナーに
「お仕事は散歩をさせるだけでいいのですか?」
「そうだよ。大型犬が多いから1度には難しいかな?2回に分けて散歩してくれるかい?あと、今預かってる子達、所謂セレブさんの子達なんだけど、そのせいか、気位が高くて(笑)先に慣れてもらった方がいいかな?」
オーナーは玲奈に話しながらワンちゃんが過ごす場所へ移動する。今預かっているのは全部で5頭いるとの事。玲奈達が部屋に入ってるくなり一斉に扉の方へ顔を向け様子を伺っている5頭のペット達。
「良い子ちゃん達ご機嫌どうだい?今日のシッターさんだぞ、、さぁ玲奈ちゃんこちらに」
一頭一頭充分な大きさのカプセルの様なゲージに入れられている。どのワンちゃんも手入れが行き届いていて毛並みも艶も素晴らしい。
「ボーダーコリーのレイ君・ゴールデン・レトリバーのショウ君・ラブラドールのタツ君・ジャーマンシェパードのエイジ君に、1番気位の高いドーベルマンのトモ君。君の匂い嗅がせてあげて。それがワンちゃんへの挨拶になるから」
「はい。噛まれたりしないですか?」
「大丈夫だよ。大変躾が行き届いていて、こちらに悪意がなければ噛む事は無いよ。ただそれぞれ本当気位が高いから彼らも人間を選ぶんだよ(笑)」
「こんにちは玲奈よ。今日、貴方達のシッターなのよろしくね。」と
一頭づつ匂いを嗅がせていく
「(笑)君たち達も美人さんが好きなんだね、それに、玲奈ちゃんの声は穏やかで優しいから。玲奈ちゃんは動物に好かれるんじゃないか?彼等にしては珍しく君の事気に入っているみたいだよ。」
「…そうなんですか?私には分からないですけど、気に入ってくれてるのかな?動物、そういえば嫌がられる事はない?かな?」
「ほら、君が話すと、どの子も、耳が君に集中してる。尻尾もユラユラと大きく揺れてるよ。よかった君がシッターとしてきてくれて」と
オーナーがにっこり笑い。玲奈に握手を求め玲奈がそれに応えると、ワンコ達はボリュームは小さいが低い唸り声を出している。オーナーは不思議に思ったが気に止めなかった。
「挨拶が終わったら少しずつ触れ合って玲奈ちゃんの号令聞ける様にしよう。(待て)と(おいで)おやつを使って、まず、れい君からやってみよう。ゲージから出してあげて」
「はい。レイ君おいで」
コリー犬のレイ君はとっても賢い。そして今日のシッターさんは入って来た時からいい匂いがしている、レイ君は鼻をクンクンさせていた。どうやらかなり好きな匂い。撫でてほしくて頭を近づけたりしている。クイッと鼻先をあげて1番はいつだって俺だぜ?と得意満面になってる様だ。その様子を見て玲奈は楽しくなり自然と笑みがこぼれている。玲奈の号令に対して阿吽の呼吸で応える。レイ君。鼻先を上に向けて玲奈のご褒美を待つ。尻尾はパタンパタンと振り続けている。
「まぁレイ君はとても賢いのね素晴らしいわ」
褒められたとわかるや否や、レイ君は嬉しそうに玲奈の周りをぐるぐると周り、もう少しでお腹を゙見せる寸前だったが、玲奈がゲージに戻したので面食らった様な表情に変わってる。だけど気分はいつもより上々の様だ。
「次はタツ君ね、おいで」
ラブラドールのタツ君は名前を呼ばれるのを今か今かと待っていた様子。まるで今日のシッターさんに喋りだしそうな程にみつめ表情が柔らかい。そして名前を呼ばれる前から尻尾の振りが止まらない。最初、玲奈が匂いを嗅がせに来た時は、タツ君自ら頬を擦り擦りやっていた。タツ君が玲奈の方をジーっと見る姿は、飼い主は玲奈と言っても何の疑問もない程だ。むしろやっと飼い主が迎えに来た場面なんじゃないかと。尻尾もずっと大きく大きく揺れて、尻尾につられて身体も揺れてしまう位だ。それでも呼ばれるまでは我慢強く待ち、玲奈が振り向くのを待ってる。
「タツ君は落ち着いてるのね」
やっと声を゙掛けられ嬉しくて嬉しくてタツ君は玲奈にピッタリひっついてみせた。タツも玲奈の号令に素早く反応してみせ、最後のご褒美もゆっくり食べてみずからゲージに戻った。ただただ褒めてもらい様子だ。玲奈が最後頭を撫でている時のタツは最高に誇らしそうだった。
「次はショウ君ね、おいで」
レトリバーのショウ君は、もう本当に待ちきれない様子でゲージの中でも落ち着きなく右へ左へと移動しながら待っていた。いよいよ出番がきて勢いよく玲奈の側に駆け寄りワンワンと元気に吠えていた。
「わっ、びっくりした(笑)元気だねショウ君は」
名前を呼ばれただけでショウ君は興奮気味の様子だ。ショウはどうやら玲奈の優しい声と匂いが大好きみたい。玲奈が挨拶と言って匂いを嗅がせてくれた時にショウ君も挨拶代わりに手の甲をペロっと舐めてから、きょとん顔まで披露していた。彼の愛情表現といって間違いない。玲奈の事が初対面から大変お気に入りらしい。玲奈の号令の前に全部やってみせたショウ君。玲奈から「号令の前にやっちゃったら意味ないのに」と苦笑いされてたけど、今日はなんて幸せな日なんだと表現する様に、ブンブンと音が聞こえそうな程尻尾を振りゲージに戻っていった。戻った後にも(ワン)とひと吠えしてみせた。玲奈はクスッと笑った。
あと2頭になった時オーナーが
「玲奈ちゃん先に3頭散歩に出てしまう?この3頭なら行けそうだよ?」
「どっちがいいのかわからないのでオーナーが決め、、」
話してる途中から、ドーベルマンのトモ君が扉をガシャンガシャンと前足で掻いている。
ジャーマンシェパードのエイジ君は低く短くワンと鳴いた。
「??君たちも出して欲しいの?珍しいね。誰が来てもどこ吹く風なのに。」と
オーナーは呟く。
「玲奈ちゃんトモ君と触れ合ってみて」
「わかりました。おいで、トモ君」
ドーベルマンのトモ君は流石、身体が大きく仔馬位ありそう。なのに音も立てず静かにゲージから出てきた。チラッと玲奈の方を伺うと玲奈の右横にピタッとひっついてお座り。鼻先で玲奈の手を自分の頭の上に置くかの様な仕草をしてみせた。撫でて欲しいみたいだと感じた玲奈は、頭をゆっくり撫でてあげる。トモ君は気持ち良さそうに目を閉じてされるがままになった。短尾でわかりづらいが尻尾は高速で振られている。
「トモ君は静かに主張するんだね。遠慮してるのかな?それとも気位が高いからなの?」と
思わず玲奈が言葉にすると、耳先が少しだけへニャとなった。玲奈がそれは落ち込んだのかガッカリしてるのか分からないで居ると、トモ君はスクっと立って手の甲をペロっと舐めてみせた。
玲奈は号令を出せのサインだな?と思ってトモ君に号令を出す。トモ君はとても静かに優雅にやった。ただ耳先はへニャっとなったまま。
ご褒美のおやつをもらって自らゲージに戻っていく姿が物足りない様にみえて、玲奈が最後にトモくんのそばに寄り「お利口さんね」と
頭を撫でたらやっと耳先がピンと戻る。勿論短尾は優雅に高速で振られている。ただわかりにくい。玲奈は初めて尻尾に気づいて尻尾って大事なんだ、と、ひとり納得していた。
「最後になっちゃったね。ごめんね。おいでエイジ君」
呼ばれるまでジッと観察していたのか、慌てる様子も無くゆっくりと玲奈の側に寄る。玲奈の顔をジッとみつめて挨拶する様に(ワフッ)と鳴いた。玲奈もしっかり顔を合わせてにっこり笑って応える。エイジ君は慌てるでもなく興奮するでもなく玲奈の隣にいるのは当然の様にお座りする。玲奈もふっさりした首の毛並みをわしゃわしゃと撫でている。エイジ君の優しい目元がより一層優しく玲奈を見つめてる。玲奈はワンちゃんも色々なんだなぁと思いながら、エイジ君の優しい視線に安心感さえおぼえた。それに気づいた玲奈は
「ねえ、エイジ君の瞳って安心感あるのね。不思議だわ」と
再度、ふっさりした首元を撫でた。
号令も難なくこなして、いつも通りにゲージに戻るエイジ君に慌てておやつをあげたのは玲奈の方だった。「エイジ君って何だかジェントルマンね」と頭を撫でた。エイジ君は気持ち良さそうにして、頃合いをみてゲージに戻っていった。尻尾は勿論一定のリズムで乱れること無く終始ゆらゆらしていた。
「さぁではお仕事の散歩に出てもらおうかな?」
オーナーの言葉を聞いてゲージの中で一斉に立ち上がった5頭の姿を見て、
「玲奈ちゃんは凄いね!!いつもなら知らん顔してる子達なんだよ。よかったらペットショップで働かないか?」と
わりと本気の勧誘をしているオーナー。玲奈は嬉しい様な恥ずかしい様なで、はにかみながら微笑んでいる所に、来客を゙知らせるベルがなる。ペットが寝床にしている場所の2面は腰の高さまでが壁で上部は防音ガラスでてきた壁に囲まれている、ペットホテルの場所からも店内からも、ほぼ見渡せるせる仕組みになってる。オーナーと玲奈は自然と客人の方へ目線を送ると1人の男性がこちらにゆっくりと歩いてきているのが見える。
「えっ?智昭さん?」
玲奈は驚いて、思わず声が出ていた。
「玲奈ちゃん知り合いかい?」
「はい。偶然だと思います。少し挨拶してきてもいいですか?」
「もちろんさ。お客様でもあるからね。僕も一緒にいくよ。良い子ちゃん達少し待っててくれよ。さぁ、、玲奈ちゃんいこうか」
オーナーは扉を開けて彼女を促し、その仕草にお礼の意味を込めて玲奈は微笑んでみせた。
その一部始終の動きを智昭は観察し玲奈がオーナーに微笑むのがわかると指先がピクッと反応してしまう。
「いらっしゃいませ、何かお探しでしょうか?
何もなくても、どうぞ店内ごゆっくりご覧ください。」と、
一礼してオーナーはもう一度ワンコ達の所に戻っていった。
「こんにちは、智昭さん、私、今日のバイトここなんです。今からワンちゃん達の散歩に向うところなんです。」
「そうか、外から君に似てる人がいるなと思って入ってみたんだ。本当に玲奈さんだったね。バイトの邪魔かな?」
「?これから5頭を散歩させに行きます。」
「一緒に散歩しても大丈夫だろうか?」
「?!オーナーに聞いてきますね!」
玲奈はいそいそとオーナーがいる場所へ向う
「オーナー、今いらした男性なんですが、私の知り合いで私がこれから行く散歩一緒に行ってもいいですか?」
「バイト代は1人分しか出ないけど、それでよければ構わないよ?でも、おしゃべりに夢中にならないでくれよ?お仕事はちゃんとしてもらわないと困るからね。それが約束できるなら」
オーナーは快く承諾してくれた。
「智昭さん、大丈夫です。準備してきますので、待ってて下さい」
玲奈は嬉しそうに話しワンちゃん3頭を連れてきた。
「玲奈さん俺も居るから残りのワンちゃんも連れて来たらどう?その方が早く終わるよ?」
「そうですね!私は嬉しいですけど、智昭さんは忙しくないんですか?」
「今日の予定は全部終わったんだ。だから大丈夫。オーナーに聞いておいでよ。」
玲奈は満面の笑みで頷きオーナーの許可をもらい残りの2頭も連れてきた。すると先に出て待っていたレイ君、ショウ君、タツ君も先を争いながら玲奈の側に寄っていく。玲奈の右にトモ君、左にエイジ君が既に陣取っている。わちゃわちゃしながらやっと位置が決まった。右からトモ君タツ君レイ君ショウ君エイジ君の順番で玲奈を囲む。レイ君が先頭に立つ形で収まった。
「俺がリード半分持とうか?」と
智昭が手を出せば一斉にワンコ達が低く唸る。
その様子をみていたオーナーが
「(笑)こりゃぁ相当気に入られてるね。玲奈ちゃんの彼氏さんかい?この数の犬相手では、負け勝負ですね。玲奈ちゃんの後ろからついて行ってもらえますか?この様子だと暴漢も逃げ出すだろうけど何かあった時にお願いしますね。玲奈ちゃんこの仕事本気で考えてみてくれよ。君なら世界一のドッグトレーナーになれるよ。おっと、時間だね、、公園を数周まわって充分運動させてあげて。ドックランもこの子達は慣れてるから寄ってくれてもいいよ!。おやつ忘れずに、散歩よろしくね」と
言い残し店内の作業に戻っていった。
玲奈達も店を後にする。
華奢な女性が立派は犬を従えて、加えて後ろからは美しい青年が付き従う絵面になっている事は本人達には全くわからない。オーナーも店内からその姿をみて、遠慮がちな女性と思っていたが自分の見る目が未熟だったのか?と
「わかんないもんだね〜」と
心の声が漏れ出ていた。
智昭は玲奈との距離を詰めようと左側から近寄るとエイジ君が間髪入れず振り向く。
「気のせいか?牙も出してる様な…?」
何度か試みるがエイジ君だけでなくレイ君もショウ君もタツ君も同じ反応を示していた。唯一トモ君だけ知らん顔している。
「右側から寄ってみるか、」と
動きを変えた時トモ君が低い唸り声をあげていた。智昭は肩をすくめて思わず
「犬までライバルなのか…。玲奈は規格外だな…。」
智昭はふと玲奈に質問してみた
「玲奈さんは動物が好きなの?1番好きなのは何の動物?」
「そうですね。動物全般好きです。けど1番と言われたら、、馬かもしれません。」
5頭の尻尾が一斉に下がり、耳はしょんぼり。
その様子を見て智昭はほくそ笑んだ。
玲奈はそんな攻防が繰り広げられているなんて全く知らずに、
人生初のバイトを存分に楽しんだ。
あれやこれや無い頭をフル活動させながら、
智昭チームやら活動考えてたら、まとまらん頭に
んなっーーー! (ノ ̄皿 ̄)ノ ⌒== ┫
てなってしまいました…
全部智昭が悪いねん(八つ当たり)
で、全く関係無い玲奈のバイト書いてみました