事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】   作:山本山 

30 / 69
30話 過去編

穏やかに食事が進む。茜もご機嫌に過ごしていたがまだ幼いのでお腹がいっぱいになる頃には眠気と闘っている。

 

「ご結婚はいつ頃されたのですか?」

 

「約5年前になるかな?お父上から聞いてませんか?」

 

「詳しくは…。お姉さん、玲奈さんとは、その、母との事もあり、私は玲奈さんにとっては邪魔な存在だったと思います。私は仲良くしたかったのですが、、玲奈さんは嫌だったみたいです。大森おばあさんも私達は姉妹だからと仲を取りもとうとしてくれていたのですが、受け入れてもらえませんでした。」

 

「そう……。彼女は頑固だからね。」

 

下向き加減のまま相槌をうつ智昭。

 

「優里おばさん、悲しまないで」

 

茜は叔母さんが悲しんでる様にみえたから、ママがいつも慰めてくれる時の様に、慰めの言葉を伝えていた。

 

「えぇ大丈夫よ。茜ちゃんはパパに似て優しいのね」

 

「うん。でも、ママはもっと優しいよ!ちょっとだけ厳しいけど。フフ。」

 

口に手を当てフフと笑い、とても楽しげに話す。

 

「ママね〜パパの言う事は絶対反対しないんだよ。ママはねパパの事大好きなんだよ〜。」

 

茜は満面の笑みで智昭の方を見て大切な秘密を教えてあげた様な気持ちになってる。愛くるしいと言う言葉がピッタリだ。その幼子の表情を見なが智昭は愛おしげに頭を撫でていたが、少し困った顔しながら

 

「茜、ママに怒られちゃうよ?」と、

 

茜は父親にたしなめられて、なんだか不満に思う。が、持ち前の前向きさで、すぐ切り替える。

 

「…わかった。パパが沢山家に帰ってきたらママも喜ぶよ!  パパぁ、茜ね、優里おばさんみたいに人を助ける人になりたい」

 

「人助けか、それはいい事だね。沢山遊んで、沢山お勉強したらきっとなれるよ。」

 

絵に描いたような親子の会話を聞きながら優里は なにか玲奈の欠点はないか?自分が優位に立てるものはないか?と思案しひとつ明確な答えに辿りつく。

 

「玲奈さんは飛び級でT大学入学したと聞いています。もっと活躍されていると思っていたのですが、学士止まりですか?」

 

「あぁ…そうだね。復学する理由もないだろう。貴女は博士過程履修中だね、順調に学ばれてると思うが、もし分からない事があれば、、俺でよければご教授致しますよ。どう?なかなか役に立つと思うよ」

 

少し砕けた雰囲気を醸し出しながら智昭は提案する。

 

「本当ですか?!是非にお願いしたいですが、お忙しいのでは?」

 

「そうだね、忙しいのは変わりないが、茜の恩人に礼を尽くすのは当たり前の事だから。どうぞ、お気になさらず。」

 

「そんな、私にとってはこの上ない幸運です。とても嬉しいです。もし本当にご教授頂けるなら、どうぞ砕けた口調でお願いします。」

 

智昭はフッと笑ってから

 

「わかった。できる限り時間を作るよ。あと、困った事があればいつでも連絡してくれて構わないから。」

 

「ありがとうございます。」

 

「貴女の口調も同じ様に、」

 

「わかったわ。」

 

会話が続いてる中、茜は半分ウトウトしている。智昭は静かに席を立ち茜を抱っこし着席する。その様子を見て優里は智昭に近づくには、「茜」が外せないと感じ取った。すかさず、茜を見つめながら、なるべくさりげなく聞こえる様に

 

「茜ちゃんにとって良いおばさんになれたらいいわ。」と

 

優里は独り言の様に呟いてみる。

 

「そうか、それは茜が喜ぶかもしれないね。」

 

「あ、聞こえて、、えぇ、そうなれれば。」

 

どこまでも、優しげに彼女は微笑んで見せた。

 

「今日は君の時間をありがとう、遅くならないうちに送るよ。」

 

「えぇ、こちらこそお招きありがとう、又連絡するわ。かまわない?」

 

「当然だ、構わない。忙しくて出られない時もあるが、折り返し連絡するよ。勉強も分からないことあれば、いつでも。」

 

智昭は穏やかに微笑んで優里に応えた。

腕の中ではスヤスヤと茜の寝息が聞こえている。

 

彼等は車の後部座席でスミス門下生同士としてAIについて話ていた。優里はスミスに比較的可愛がられてる様子を感じ取った智昭。彼は心の内で焦らずじっくり確実にと呟き狙いを定める様な視線を優里にむけていた。

 

優里は智昭の視線を感じていた。その視線の意図をどの様に解釈すればよいか一瞬戸惑った。が、きっと今回の食事で私の方があの女より優れている事に気づいたのだろうと解釈した。余裕の笑みがこぼれ落ちた。彼女の胸の内で考えていたのは (そうだわ、秋山にも見せつけなきゃいけないわね。待ってなさい。見下した事後悔させてあげるわ) 

 

智昭は彼女を家の近くまで送り届け、玄関先まで見送る事はしなかった。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

賢志は犯人追走のストップがかかり、智昭からの精査は一旦愛理に任せているので、少し暇を持て余していた。正雄のタクシー乗車の映像を殊更丁寧に探していく事に面白さを見いだしていた。

 

「優里が乗るタクシー会社はほぼ同じだな、、正雄もきっと同じだろう、いや、悪知恵が働くなら会社別にするか?、、」

 

「隊長!うるさいですよ!独り言は心の中だけで話してください!それでなくても、このプログラム、神経使うんですよ!こんな$%#&@#?¿@%¥*〜!!!」

 

愛理にガチギレされた賢志は

 

「……すま、すいません。」と、言い残し

 

隣の部屋へ逃げ込む事にする。ノック後に入室し2人の視線が賢志に集まる。

 

「どうし(た?)(の?)」2人の声が重なる

 

「いや、進展があった訳じゃないんだ(笑)愛理の邪魔にならない様に、こちらで作業してもいい?」

 

「別に構わないわよ、ね、康明。」

 

「いいよ。俺も今は情報待ちだし、来週本国行きのチケット手配済みだし。」

 

「じつは、私も情報待ちなのよね。正雄とスミスの5年前のパーティー後の足取り知りたいけど、なかなか…。」

 

「じゃぁお邪魔します。タクシーに乗り込む優里の映像はいくつも見つけたんだが、正雄はまだなんだよな。」

 

「娘に内緒で来て帰ってるかもしれないね、今回ボスは正雄が直接絡んでると言ってたし。私もそう思うわ。」

 

康明が続けて

 

「茜ちゃんが一緒に行くのが決まったのが出発の1週間前。ボスが講演に行くのはそれ以前から決まってた。正雄達の当初の予定が何だったか分からんが、誘拐モドキに切り替えたなら現地に向うよな?」

 

その問いに応えたのは聡美

 

「依頼先との関係で変わるのかなぁ〜まぁあの小心者は向うでしょうね。」

 

2人の考察を聞いて賢志は

 

「そしたら空港のタクシー乗り場の方が確立あがる?まぁ、暇だしやってみるか♪」

 

「珍しいノリノリじゃない?」

 

「昔みた「24」みたいだからね(笑)」

 

と、言ってカタカタと作業を始めた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。