事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】 作:山本山
康明も昼頃本国に戻った。仕事だからのんびりできないのが残念だなと考えながらぐっと伸びをし、そして康明の伝手、達也に電話をかける。
「もしもし、本国の首都に戻ってきた。暫くこちらにいる。達也、お前は今どこ?」
「おぅ、俺はY市で浅田の同僚してるぞ。」
「仕事がはえーな。流石だな。」
「仕事きっちりがモットーなもので(笑)浅田に動きあればすぐ知らせる。」
「頼りにしてる。」
康明の今回の帰国目的は大森佳子の実店舗を探る事だ。佳子の美容関連事業はエステから健康食品、ネイルサロン、美容室等々、主なターゲットが女性。実店舗に足を運ぶには男性だと悪目立ちするので康明は首都に住む大学生の姪、由美子と店舗に足を運ぶ事にした。
「おじさん、お久しぶりね!本当に好きに過ごしてもいいのね?これも仕事の一貫?」
「そうだよ。何も気にせず3ヶ月好きに過ごしてよ。出来る事全部やる勢いで。その代りおじさんも一緒に同行させてもらう。箱入りお嬢さんの付き添いだと思って。」
「わかった!任せて。」
姪は返事を終えると直ぐ様、お店に予約を入れヘアー・ネオル・まつ毛・エステと様々なコースを選択していく。3ヶ月間に出来る事を詰め込む。
「おじさん、早速明日からだよ。よろしくね。」
「了解、経費だから、遠慮すんな(笑)」
「勿論(笑)」
翌日から、康明と姪は実店舗に足を運んで行く。半月を過ぎた頃、店舗併設のカフェで姪を待ってる間、いつもの様に周辺の会話に耳を傾けていたら背後の方から聞こえてきた内容に引っかかりを感じた。
「最近このサプリ飲み始めたんだけど、いい感じなのよ!でね、これね、紹介というかね、、」
「待って、待って、いい感じって何がなの?」
「そうよね、(笑)ダイエットサプリになるんだけどね、食欲が本当抑えられるのよ!イライラしないし何だか元気になるのよ。色んな栄養素が入ってるんだって。」
「へぇ…そんな都合のいいものあるの?」
「それがあるんだって!私も初め疑ってたんだけど、、ねぇ、やってみない?」
「確かに最近の貴女調子よさそうだものね、飲んでみようかしら。」
康明は姪より少し年上の女性達の会話を聞き入っていた。
(紹介制?のサプリ?!、、)
「あの、失礼は承知の上なんですが、そのサプリ本当にダイエット効果あるのでしょうか?、、突然すみません。お恥ずかしい話なんですが、身内に思い悩んでる娘が居てまして、最近では塞ぎ込んでしまって…。よければそのサプリのお話お聞かせ願えないでしょうか?」
「えっ、、」
女性達は顔を見合わせながら、康明を訝しげにみつめる。康明は慌てる事なく名刺を差し出し、申し訳けなさそうにしながら、、
「大変失礼しました。警戒されて当然ですね、私の名刺をお渡ししてもよろしいでしょうか?」
康明はA国の会社名と肩書の入った名刺を差し出し、彼女達の警戒心をほぐす様に話かける。
「今日付き添ってる姪の妹になるんですが、姉と違って繊細な子でして…昔は元気な子だったのですが、その、年頃の時に容姿をからかわれた事がありまして、それ以来すっかり……。僕に出来る事はしてやりたいと色々情報を集めているんです…。ですので、無理強いするつもりは全く無いのですが、先程のサプリのお話教えて頂けないでしょうか?」
「そうですか…。こちらこそ失礼な態度を、、サプリですが、ここの系列会社が健康食品を販売されてるんです。店頭販売はしていなくて、口コミ?だけで販売されてる様です。紹介制みたいな?こちらのカードがお店の紹介、招待カードになります。差し上げますので、直接店舗でサプリの事お尋ねください。姪御さんのお力になれたら幸いです。」
「ありがとうございます。早速本人にも相談してみたいと思います。もしかしたら、彼女に合うかもしれないです。突然にもかかわらず、ご親切に感謝致します。」
「いえ、お年頃にショックな事があれば塞ぎ込んで仕舞うのも理解できます。女の子なら尚更ですわ。美しくありたいと願う女性がほとんどですもの。」と
女性達は怪しむ事なく康明に紹介・招待カードを譲った。
一連のやり取りを終えた頃に姪が今日のエステコースを終えて戻ってきた。
「お疲れ様、由美子、この後この健康食品の店舗に行きたいんだが、いいか?」
「もしかして、サプリ?」
「そうだよ。ダイエットサプリだそうだ。もしかして勧められた?」
「うん。今日施術してもらってる時スタッフさんからオススメしてもらったわ。VIPの方限定だって言ってたわ。」
「なるほど。由美子にも声が掛かったなら話しは早いな。早速向うけど疲れてない?」
「ぜーんぜん(笑)フフ、だっておじさん仕事してる時かっこいいし、見てるだけで何か楽しい。」
康明は片眉を少し上げながら
「ふっ…そうか(笑)流石は俺の姪だな。由美子は昔からお利口さんだったからな。 今から君は容姿に自信がない繊細な人で、僕は心配してる身内だ。他の事聞かれたら神妙な顔しといてくれ。君は極力関わらない。話さない。口外しない。いいね?」
「了解。バイト代弾んでね!!」
由美子の明るい声色を聞き、彼女の頭を思わず撫でた彼の顔つきは優しいくなっていく。束の間平凡な日常を゙味わっていたが、現実に引き戻すメールが達也から届いた。
( 近々浅田の息子が帰国する様だ )
ふぅーと息を゙吐き気持ちを再び引き締め、仕切り直す。
「では、行こうか。」
健康食品の店頭でサプリの話しをすると個室に通された。スタッフの話によると、様々なコースがあるとの事。何故、店頭での販売ではなく口コミの形なのかを尋ねるとサプリが高額になる為だと説明された。康明は話しを聞きながら、上流階級層でこの手の情報を聞いた事が無かった。なぜ?わざとか?効果が確かなサプリなら広まってもおかしくないが……。ひとまず勧められたサプリを購入し持ち帰る。数種類ある全てのサプリを成分分析にまわす。数日後に結果が届けられた。案の定1つのサプリに微量のコカインの成分が検出された。微量でも摂取すれば依存性が高まる。
康明はボスに報告する。
「佳子の事業、健康食品のダイエットサプリにコカインの成分検出されました。ターゲットは富裕層の女性。ただ、僕の知る限り上流階級では知られてない気がします。」
「確かに、聞いた事ないな…。政府の要職についている人間が多いからか?摘発を恐れて…なのかもしれないな。地方出身者の富裕層でそんな話し無いか調べる価値はありそうだな。」
「了解、調べます。それと近々浅田の息子新田が帰国する様です。」
「わかった。サプリの証拠集めてくれ。薬物だけか…?新田と正雄の関係探れたら頼む。人材が必要なら知らせてくれ。」
「了解です。」
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「おじさん、お試しサプリが無くなる日だよ。又あのお店行く?」
「あぁ行く。もう少し付き合ってもらわなきゃならんな、すまん。明日いけるか?」
「いいよー!探偵みたいで楽しんでるから」
翌日、店舗に向う。又、前と同じ個室に通されて
本格的に定期購入の手続きを終えたあとにスタッフからパーティーのお誘いを受けた。
「サプリ購入して頂いてる方に今度パーティーが開かれます。ちょっとした余興などもあります。ご招待致しますので、どうぞご来場ください。」
( パーティー?どんなパーティー…?)
2人は余計な事は話さず、招待状を受け取り店舗を後にした。
「なにのパーティーなんだろうね、おじさん。参加するよね?招待されたの私だし、付き添いでおじさん参加できるよ。」
「君をそのパーティーには連れて行きたくないなぁ、、だけど、このパーティー調べる必要がありそうなんだよなぁ……。おじさんの側から絶対離れないでくれよ?」
「わかってるよ。絶対離れない。約束。おじさんドレス買ってね♪」
好奇心丸出しの顔で小指を差し出した由美子。
若干の不安は残るが護身用の小物を渡す事で納得する事にした。