事故ったのは玲奈だった 〜社長夫人はずっと離婚を考えていた〜【原作伏線回収・再構成】   作:山本山 

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36話 過去編

新田は父親である浅田に電話し、疑問をぶつける

 

「正雄はなんで藤田智昭を狙ったんだ?」

 

浅田は息子の突然の問に少々面食らった。

 

「なんだ?いきなり?」

 

新田は、顔は見えないが電話の向こうで親父が驚いているのが伝わってきた。今まで他人の事や事情に関心を寄せる事など無かったのだから当然の反応だ。彼は少し気まずさを覚えていた。しかし、そんな感情に振り回されてる場合ではないと思い直し再び訊ねる。

 

「いや、正雄がやたら藤田に執着してるようだから少し気になって。」

 

「そりぁ、泣く子も黙る藤田家の御曹司だからな(笑)誰でも接点は欲しがるんじゃないか?」

 

新田から見た正雄は、そんな軽い執着じゃない気がしていた。

 

「それだけか?危険冒しても近づきたいものか?」

 

息子の問いに、新田は右斜め上を見あげながら大森家の数十年前に起きたゴタゴタを思い出している。

 

「あーそういえば、あいつの別れた妻、前の奥さんな、前妻の母、青木のばあさんと藤田のばあさんは旧知の仲だぞ。」

 

新田は目を丸くして驚いた。

 

「なにっ?おい嘘だろ?あいつ結婚2回目かよ…。物好きがこの世の中に2人も居てたのかよ。」

 

浅田は軽く笑ってから

 

「それだけじゃないぞ、前妻との間に娘がいてるんだが、その娘が、なんと藤田智昭の奥さんだ。ほんとんど知られてないけどな。」

 

更に目を見開く新田。

 

「?!なんだそれ……」

 

以外な事実に今度は新田が面食らう。

 

「にしても、親父よく知ってんだな。」

 

浅田は滅多に感情を表さない息子が、はっきりと驚いているのがわかり、楽しくなりだした。次第に昔の記憶もスルスルと思い出される。

 

「そりゃ正雄が飲みながら散々愚痴ってたからな。アイツの相手するのオレしかおらんからな。何年か前、正雄に薬融通したの覚えてるだろ?」

 

「あぁ、あったな。そして失敗してたな(笑)」

 

「そう、それな。アレは厳密にいうと藤田智昭に薬を盛るのは成功してたんだよ。今の娘で既成事実を狙ってたんだが、どういう訳か、前妻との娘がその場に居てたらしい。 まぁ、、後で調べたら、たまたまその時期に留学に来てたらしい。

正雄にしたら、どちらも娘に変わりないんけどな(笑)正雄の今嫁、佳子は、強欲で大層な見栄っぱりだからな。佳子からみたら、憎い前妻の娘に狙ってた獲物を掠め取られた訳だ。そりゃあ正雄、、嫁に責め立てられてたぞ。あの時の正雄はなかなか家に帰ろうとしなかったしな…(笑)それにだな、、、奥さんなだめる為に、なんとか藤田家に人をまわしたらしい。ま、出入り業者か、通いのお手伝いさん、だろうけどな。」

 

「結構な情報量だな、ふーん、だから今回子供がついてくること知ってたんだな。正雄の事1ミリ程見直したよ。しかしぶっ飛んだ倫理観だな。俺でもしねー様なクズっぷりだな(笑)」

 

「(笑)あいつがペラペラ喋ってただけの事だ。適当に聞いとけよ?」

 

新田は、今日聞いた事の裏取りする段取りを頭でつけながら

 

「あぁわかった。正雄は前妻の娘の事どー捉えてんだ?佳子との娘は可愛がってる様だが、いや可愛がってるとは、ちと違うか…道具として大切にしてるってところか?」

 

息子の疑問に浅田自身が突然答える気が失せる。彼は他人の事情など心底どーでもよいからだ。

今回は息子が珍しく感情を露わにしたので面白がっただけだ。自身の友達の事であろうと踏み込む気など皆無だ。

 

「他人に興味ねーよ。お前、次はどーすんだ?又あの駐車場使うのか?」

 

「あぁ、だいたい1ヶ月後になる。」

 

「そうか。近くになったら連絡くれ。」

 

「わかった。」

 

電話を゙切った後、暫く新田は思案にふける。

ひとまず、あの頃A国大学に留学していた正雄のもう一人の娘を調べてみようかと思ったが、こういう関係には全く伝手が無い…。腹黒教授が居てるが妙に頭が回るのと、あと、憶測でしかないが、スミスも藤田への執着は並々ならぬ物を感じている。

 

「待てよ、藤田にしてみたら、正雄からもスミスからも激しく執着されてる訳だな?そして俺は2人に加担しているがスミスと正雄の情報もある訳だ。このまま何もせず藤田にバレたら俺も『敵』認定確実だ…。相当な力を持ってる藤田智昭から逃られるか?スパイダーはトカゲの尻尾切りだしな。むしろ始末されるな。」

 

新田は熱いお茶をすすり湯呑をカタンとテーブルに置いた後、視線は窓の外へと移る。

相変わらず窓から聞こえる音や見える景色はぬるい平和そのものだ。新田が求めてきた真逆の世界が窓の外に広がっている。その僅かに沸いている好奇心を新田自身は気づいていない。

 

もう一度お茶を啜り仕切り直す。

 

「正雄は、既に娘が藤田家に嫁いでるのに今の娘に拘るのは何故だ?、、、ん?たしか、親父は、藤田の結婚は殆ど知られてないと言ってたな。公表してないのか?ややこしいな。

いやいやちょっと待て、その前段階もうひとつ重要な事いってたぞ、、前妻の母親が藤田のおばあさんと旧知の仲…正雄はなんで藤田と接点持たなかったんだ??正雄を調べる方が何かみつかるか?前妻の母は青木おばあさん、、青木、どこかで聞いた様な、俺、本国ではY市しか知らねーのに、、聞き覚えがあるって事は青木家はY市出身なのか??親父に聞く方が早いか。」

 

繰り返す日々に飽きている新田は退屈しのぎが出来る感覚を感じはじめている。

口元を片方のだけやや上げて、再び父親の浅田に電話をかける。

 

「なぁ、さっき話に出た青木のおばあさん、青木家ってY市出身なのか?」

 

電話を受けて浅田は如何にも面倒臭そうな声で返答する。

 

「あぁそうだよ。」

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