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「これはこことここにハンコ。それと、こっちの書類にもハンコを押してね」
マキマに言われるがままに、デンジは書類仕事の内容を覚えさせられる。
隣では窓から差し込む陽の光を浴びて、ポチタが気持ちよさそうに昼寝を楽しんでいた。
「書類仕事ばかりでごめんね。でも、デンジ君とポチタ君の活躍のおかげで死者も出てないから、これでも少ない方なんだ。偉いね」
「う……ウス!ありがとうございます」
ソープの話を聞いて行こうとは思っているものの、どこで営業しているのか分からないデンジはまだ行ったことがなく、ポチタが横にいるとはいえ、マキマと一緒に仕事をしている現状に少し気まずさを感じている。
「デンジ君、何か悩みでもあるの……?」
「うえっ!?いや、別に……。大したことはないっていうか」
あまりにも分かりやすいリアクションを取るデンジにマキマはもしかしてと書類仕事を中断して、少し雑談に入る。
「デンジ君がいつも言ってるアニキっていう甚爾さん。彼の安否が気になっているのかな?」
「えっ?いや、アニキは強いし、最強だから、見つからないのは気にはなるっすけど、どっかで無事に生きてるだろうな~とは思ってます」
「ふ~ん、そんなに強いんだ。君とポチタ君が組んでも勝てない最強のデビルハンターか。早く見つかるといいね」
マキマのその言葉に、デンジは少し心が和らいだ。今は特に自分のことを気にかけてほしいとは思っていなかったが、その優しさに救われたように感じた。
それと同時に、あの日から見つからないアニキの所在が気になりだす。
「けど本当、アニキの奴、何処行っちまったのかな?アニキと一緒なら、公安での仕事ももっと楽しくなれるのに」
「そうだね。こっちもあの手この手で探しているけど、どこにも手掛かりといえるものがなくてね。もしかしたら、公安の手から逃げてるのかな?」
「あ~、どうなんっすかね?アニキは公安のこと知ってたけど、強い悪魔を率先して駆除する組織だってしか教えてくんなかったし、別に嫌ってはないとは思いますよ」
「そう、それは良かった……」
本当に喜んでいるのか分かりにくい表情で、マキマは安堵の言葉を吐いた。
そのタイミングで、日向で昼寝していたポチタが「ファ~」と気の抜けたあくびをして目を覚ます。
「おっ、起きたかよ、ポチタ。なあ、お前はアニキの居場所が分かんねえか?例えばアニキの匂いを追ってとかでよ」
「ンナァ~」
ポチタはデンジの言葉に困ったように鳴きながら首を振る。その仕草を見たデンジは、「やっぱり無理か」とため息をついた。
そして、ふとマキマが何か考え込んでいることに気が付く。
「どうしたんっすか、マキマさん?」
「どうもしないよ、デンジ君。それとお願いなんだけどさ、私にもポチタ君を触らせてもらってもいいかな?」
「キャウン!?」
両手を広げてお願いしてくるマキマに嫌そうな声を上げるポチタだったが、デンジに「ちょっと触らせるぐらいいいんじゃねえの?」と促され、渋々とマキマの広げた両手の間に自分から入っていく。
「ふふ、可愛いねポチタ君。それにモフモフしてる。なのに、チェンソーの部分はすっごく固い」
「ちょっ!?マキマさん、肩!ポチタのチェンソーが当たって血が出てる!!」
「ん、ああ……。本当だ……」
ぎゅっと抱きしめたせいで、ポチタのチェンソーが当たり、マキマの肩から血が滲んでいた。
普段は無表情なマキマも、その時ばかりはほんの少し動揺したような表情を浮かべていて、大きな声こそあげることはなかったが、驚きの声を口にしていた。
「あの、言い忘れてたんですけど、ポチタを抱きしめるときはチェンソーに気を付けなきゃ怪我しますよ。それでこの前もアキの野郎も顔に怪我しちまったし」
「……ふ~ん、アキ君のあの怪我、ポチタ君を抱っこしてできた怪我だったんだ」
そっとポチタを離すと、マキマは満足した声色で「ありがとう」とお礼を言った。そして、服が血で汚れてしまったから着替えてくるといって部屋を出て行ってしまう。
そうして残されたデンジとポチタは悪いことをしてしまった気分になってしまった。
「やっぱし、ちゃんと注意しておいた方がよかったよな、ポチタ」
「ワウ~」
「あ、でもよ、マキマさんに抱っこされてた時のお前、なんか嬉しそうだったよな」
「ワッ!?」
デンジに言われて初めて気が付いたように、ポチタはハッ!とした表情になる。
なんだかんだで、悪魔嫌いのアキを最初は威嚇するぐらい嫌ってたのに、あっちが歩み寄ってポチタを抱きしめてから態度が変わっていたし、マキマに対しても警戒していたが、抱きしめられた時には安心したような表情で受け入れていた。
どうにも、ポチタは抱きしめれば堕ちるチョロい奴みたいだ。
「あっ、ポチタ。お前、チェンソーのそれ……」
「ワウッ?」
デンジがポチタのチェンソーに指差して指摘すると、チェンソーの一部が赤く濡れていた。
どう考えてもさっきマキマを怪我させた時についた血だろう。
「マキマさんの血……。なあ、どうせ拭くんだしよ、ちょっとくらい舐めても平気だよな?」
「ワワンッ!!?」
正気かと言わんばかりにポチタが吠える。
「いいじゃねえか、ちょっとだけ」
「ワウ!ワゥ!!ワンッ!!」
しかしデンジは気にすることもなく、ポチタのチェンソーに付着した血を指で拭って、その指を自分の口に入れる。
「ん~、鉄臭ぇな。でもマキマさんの匂いもする気がするぜ?」
「ワ……ワウ……」
「んだよ、悪魔の血を飲むぐらいなら、マキマさんの血の方が百倍いいぜ!ポチタもほら!」
「ワグッ!?」
ずっとマキマの血を舐めるのに否定的な態度のポチタに、デンジは残った血を拭ってポチタの口に自分の指ごと突っ込む。
ポチタは嫌がったものの、デンジに無理やり口に指ごと突っ込まれては抵抗もできなかった。
「ヴェアッ──」
「いっ!?そんなダメかよ、ポチタ?」
まさか吐き出すくらいダメだとは思っておらず、デンジはぺっぺっ!と口の中に入れられた血を吐き出すポチタに謝る。
「ヴァウ!ヴァワウッ!!」
「わ、悪い、悪かったよ、ポチタ!!」
滅多に見ないガチギレのポチタに、本気の謝罪をする。
それからしばらくして、着替え終えたマキマが戻ってくる。
「ん?どうしたの二人とも?」
「いや、ちょっと俺が悪ふざけし過ぎちまって、帰りにステーキ肉買ってアキに料理してもらうってことで許してもらってたんです」
「ワフッ──」
やれやれしょうがない、とばかりの顔をするポチタに、マキマはクスッと笑う。
「二人は本当に仲良しさんだね。正直、憧れもするし、嫉妬もしちゃうな」
「?だったら、マキマさんも一緒に仲良くなればいいじゃないですか。ポチタだって、なんでか知らないけど、マキマさん警戒してるけども、さっき抱きしめられたときは結構嬉しそうだったっすよ」
「──っ!そう、じゃあ、もっと仲良く出来るように私も頑張っちゃおうかな」
「っ!だったら俺らも、マキマさんが仲良く出来るよう、メッチャ頑張りますんで!!」
そういって笑うマキマに、デンジは見惚れながら、ドキドキと痛いぐらい鼓動する心臓を無視して、今後はもっと頑張ります宣言をする。
その後、有言実行として積み上げられた書類仕事を片付けるデンジだった。
日本海に浮かぶとある無人島には、災害が襲ったかのような破壊の跡が広がっている。
そこはかつて島民が暮らしていたが、悪魔の出現により人々は姿を消し、家屋はそのまま放置されて隠れ家として最適な場所になっていた。そんな島で、昼夜を問わず激しい破壊音が響き渡っている。
「旦那、旦那!!もう止めといたほうがいいんじゃないですかい?」
「いや、まだだ。もう少しこいつを使いこなさなきゃ話になんねえ」
いつものダボっとした服は右上半身の部分がボロボロになっており、その隙間から見える甚爾の肌は血と焦げたような痕が見えた。
どう見ても重傷なそれを軽い応急処置で済ませ、再び訓練に戻ろうとしていた。
「銃の悪魔の肉片を食べさせ過ぎたんですって。もう全然制御出来てませんぜ!?」
「だからどうした。制御も出来てない本気でこの程度だ。こっから先の未来で戦うかもしれない悪魔とのバトルじゃ、とても武器になんねえよ」
鎌の悪魔の忠告も虚しく、甚爾は切り札である悪魔の力を制御しきれないまま、それでも自身が傷つくことを恐れず何度も使い続ける。体がボロボロになるたびに鞭打ちながら、その威力をさらに高め、完全に制御するために全力を尽くす。
そしてまた、島全体に響き渡るような破壊音が鳴り響き続けるのだった。
拙者、修業シーンの描写下手くそ侍でござる。