マジで連日投稿できてたあの時のやる気ってどこから湧いてたんだろう?
戦場がビルの中から別の建物の上に移動したデンジとポチタ。そして睨み合う形で対峙するサムライソード。
「そんじゃ、いっちょ第二ラウンドといきますか」
「ふざけやがって、ボクシングでもしているつもりか?」
体の調子を確かめるためにステップを踏んで動きを確認するデンジに、苛立ちを覚えるサムライソード。
再び居合の構えに移ろうとしたその瞬間、デンジが行動に出る。今度は鍔迫り合いのような力勝負には持ち込まず、走って距離を詰め、ライダーキックの一撃で居合の構えを崩し、技を強制的に解除させた。
「ちっ!ちまちまと鬱陶しい!!」
「はっ!お前がトロいんだよ!!そのうち、ポチタのチェンソーをまた顔面にぶっ刺して殺してやるからよ、覚悟しやがれ!!」
「ワン!」
「くっ!!」
ダメージこそ受けていないものの、決定打を受けていないだけで、デンジとポチタの方が自分より格上だとサムライソードは心のどこかで認めていた。
その意識が影響しているのか、動きのキレも先ほどまでより鈍ってきている。このままの流れなら、間違いなくデンジとポチタの勝利で終わるだろう。
「っ!!クソッがああぁぁぁ!!!」
「うおっ!?」
「バウッ!?」
自分が見下していた相手より格下だという事実に激怒したサムライソードは、突如として刀で床を叩き壊すという暴挙に出た。足場を崩され下の階へと転落しそうになるデンジに、サムライソードが一気に飛び掛かる。
怒りに支配された結果、戦闘技術で生け捕りにするのではなく、悪魔としての純粋なフィジカルで押し切るという単純かつ最適な戦法を選んだのだ。
「吹っ飛びやがれぇぇぇ!!!」
「ぐっ、おぉぉぉ!!!」
さっきの仕返しとばかりに、足場を崩されてよろめき動けないデンジに蹴りを叩き込み、吹き飛ばす。ポチタのチェンソーを盾にすることで蹴り自体は防いだものの、武器人間の蹴りの衝撃までは受け止めきれず、デンジとポチタはそのまま吹き飛ばされ、再び戦場が変わっていく。
吹き飛ばされた二人は、どこかに衝突する前に再びポチタのチェーンで減速し、近くを走っていた電車の屋根へ飛び乗った。時速100キロで走る電車に着地したデンジとポチタは、すぐさま屋根を切り裂いて車内へ逃げ込む。
強風が吹き荒れる屋根の上では、武器人間であるサムライソードの方が遥かに有利だと判断したからだ。
「「キャ──!!」」
まあ、いきなり屋根を切り裂いて車内に飛び込めば、危険人物として見なされて悲鳴を上げられるのも無理はない。
だが、デンジとポチタはそんな悲鳴を鬱陶しく思いつつも無視し、自分たちを追ってくるサムライソードに警戒を続ける。
ガタゴトと走行する音の中に、何かを破壊して近づいてくる音が混じっているのに気が付く。
「上じゃねえ、後ろだ!」
「デンジぃぃぃ!!!」
自分達が作った屋根の穴からではなく、別の車両に乗り込んでから追ってくるサムライソードに虚を突かれた形となったが、デカイ音を立てて接近して来てる時点で奇襲の意味を成していない。
だが、サムライソードにとってはそんなことはどうでもよかった。デンジとの力量差は明らかで、奇襲といった小細工を使わずとも、真正面から力任せに突っ込めば人間のデンジなど簡単に吹き飛ばせる。
それだけで倒せるわけではないが、勝利への道が開けるのは確かだ。
そして、それが唯一とも言える勝機である以上、逃すはずもなく、サムライソードはデンジの攻撃をあえて受ける覚悟で突撃してくる。
「お前さぁ、サムライならサムライらしく剣で戦いやがれ!」
デンジの言葉にサムライソードは嘲るように笑い、刀を振り回しながら避けられたところをさらに踏み込んで、肩からタックルしてデンジを隣の車両まで吹き飛ばす。
車両を繋ぐ連結部へと繋がる扉の窓ガラス部分を破壊して、デンジとポチタは隣の車両の奥の壁まで吹っ飛ばされる。
「があっ!!」
「これは綺麗事の決闘じゃねえ。殺し合いに『らしさ』もクソもあるかよ!!」
隣の車両まで吹き飛ばされ床に転がったデンジに、サムライソードが刀の切っ先を向けながら正論を口にする。
その言葉に、デンジとポチタは苦々しくも納得しつつ、今の状況のヤバさを再確認する。
電車内は縦に長く横が短い構造で、敵の攻撃は前か後ろへ動くしか避けようがない。ポチタのチェンソーは斬るというより刃を回転させて削るように斬るため、狭い車内で振り回せば壁に当たった時に勢いが殺される。
一方、サムライソードの刀は壁にぶつかっても豆腐のように斬れるため勢いが落ちず、こちらよりも攻撃速度が速いといえる。
どうにかこの不利な戦場から逃れたいのだが、走行中の電車から飛び降りればただでは済まないため、それも難しい。
だとしたら、取るべき手段は一つ。
「アニキは言ってたぜ、こういう時に取るべき手段はなぁ、逃げるんだよぉ!!!」
「……なっ!待ちやがれ!!」
一瞬、デンジの堂々とした逃げっぷりに呆気を取られたサムライソードは、すぐに我に返って後を追いかける。
全速力ならすぐに追いつける距離だが、デンジは逃げる途中で車内のあちこちを斬り、巧みに障害物を作り出していた。そのせいで全力で追おうとしても足を取られ、思うように動けず、デンジとポチタとの距離をなかなか縮められない。
だが、いつまでも逃げ続けられるわけもなく、電車の終わり。すなわち、運転室の目の前まで追い詰められる。
「追い詰めたぞ、クソが!逃げ回るのもここまでだ!!」
「ああ、電車の中での鬼ごっこはな!」
次の瞬間、キィーッという甲高いブレーキ音と共に、急停止した電車の慣性がサムライソードに襲いかかる。
そこで初めて気付いた。デンジはただ逃げていたんじゃない、ここを狙って走っていたんだと。実際、デンジは運転室と車両を隔てる壁を背にして、急停止の衝撃をうまく避けていた。
「アニキの言葉に、逃げたら一つ、進めば二つなんてのがあったけどよ、逃げてテメェを殺すチャンスが一つ!んでもって、殺そうとして進んでテメェの命と手柄の二つをゲットだぜ!!」
前のめりに倒れ態勢を崩したサムライソードに向かって、デンジは背後の壁をバネ代わりに蹴り出して勢いよく飛び出し、ポチタを振り下ろしてその首を狙った。
「くっ!舐めんなぁ!!」
「マジかっ……」
右手の刀を床に突き立てて崩れそうな体勢を無理やり固定し、残った左手の刀でポチタのチェンソーを受け止める。
またもや鍔迫り合いの状態になったが、先ほどの居合の構え以上に不安定なサムライソードは、刀がポチタの刃に食い込むばかりで押し切られていく。このまま押し込めば勝てる、そう思った矢先にデンジのピンチが再び訪れる。
徐々にサムライソードの姿勢が安定し始め、押され続けるのはまずいと判断したサムライソードが自力で体勢を立て直そうとしていた。
これが人間と悪魔……いや、武器人間の力の差かとデンジが舌打ちしかけた瞬間、前のめりの姿勢から立ち上がったサムライソードの一振りで、運転室の壁まで吹き飛ばされる。
「いっでぇ!!」
「バウッ!!」
背中から思い切り壁にぶつかった衝撃で、壁全体が壊れかけヒビが走る。
いくらデビルハンターのスーツとデンジの体が頑丈でも、ここまでの攻撃で既にデンジの肉体はボロボロだ。
このまま攻めれば、サムライソードの勝利は確実。
だが、油断して負けの芽を生むわけにはいかないと学んだのか、デンジとポチタが痛みで怯んだ隙に後方へ跳び距離を取り、居合の構えを取る。
次の一撃で、確実にデンジとポチタを戦闘不能にするつもりだ。
「ちっ!間に合わねえ!!?」
「大人しく喰らってろぉぉぉ!!!」
痛む体を無理やり動かしながら、デンジはサムライソードの狙いを山勘で予測し、チェンソーを盾のように構える。次の瞬間、サムライソードの姿が消えたかと思うと、凄まじい衝撃がデンジとポチタを襲った。
意識が飛びかけ、胃液が込み上げる中、痛みで気絶と覚醒を繰り返しながら、デンジとポチタは電車の外へ吹き飛ばされる。
線路の上をボールのように弾み転がり、勢いが落ちて止まった頃には、着ているスーツのあちこち破れて血が流れ続けていた。
「なぁ、デンジよ。もうやめにしねえか?」
停止した電車から降りてきたサムライソードがゾンビのようにふらついて立ち上がるデンジにそう告げる。
「はぁ?なんで?俺はまだ戦えるぜ」
「噓つけよ。その状態で、しかもお前には心臓に爆弾を抱えている。これ以上無駄にハッタリを言うんじゃねえ」
「残念でした~。お前のお仲間が俺の仲間殺しまくったお陰で、その中の一人の心臓と交換して、完全復活!パーフェクトデンジ様だぜ!!」
ドヤ顔で親指を心臓に向けるデンジを見て、サムライソードは本気で頭が痛くなった。ここまで追い詰められてなお挑発してくるのは、何か策があるわけではなく、ただの考えなしの馬鹿だからだとは理解している。
だが、その馬鹿さ加減がサムライソードの神経を逆撫でしていた。
「じゃあ、お前の悪魔はどうなんだ?散々俺の刀と切り合って、居合の一撃もその悪魔で防いだんだろ?もう限界……というか、折れかけてるんじゃねえのか?」
「やっぱお前らはバカだな!お前らが用意したゾンビの群れ、お前に会う前にぶっ倒しまくって、その血をたっぷり飲ませたからよ、今のポチタのチェンソーは前よりずっと頑丈だぜ!!」
「バウッ!!」
まだ折れていないチェンソーを見せるように、デンジはポチタを持ち上げた。
そこには、以前とは違い、居合の一撃を受けてもなお折れずに残ったチェンソーが確かにあった。
「なるほどな、俺の居合で折れなかったのはそのせいか。だがな、その悪魔が頑丈になったところで、お前は違うだろ。俺の攻撃を何度も耐えた上に、ガードしたとはいえあの居合を受けたんだ、体も随分とズタボロじゃねえか?」
「はっ!何回繰り返してんだよ。もうジジイみたいにボケたのか?」
その挑発がサムライソードの限界を超えた。
「……そうだな。お前には甚爾の居場所を吐かせるために、殺さねえように手加減してたがもういい……」
サムライソードがそう呟いた瞬間、気配が変化する。
「いくら強くなろうと、人間のテメェじゃ!悪魔になった俺には一生敵わねえんだよ!!」
優位性を取り戻して冷静になった感情をかなぐり捨てて、激情に任せてデンジを殺す選択を取る。
先程の電車で見せた居合の構えよりも、さらに深く腰を落として構える。
「人間の俺じゃ敵わねえならよ、悪魔に頑張ってもらうしかねえわな。すぅ~、いっけぇ!ポチタぁぁぁ!!!」
「ガアッ!!!」
一度大きく息を吸い込み、その勢いのまま、ポチタを山なりにサムライソードへと投げつける。
その予想外の行為に、殺意を高めていたサムライソードも啞然とする。
「馬鹿かぁ!?自分から悪魔を放り捨てやがった!!」
サムライソードは居合の構えを解き、投げ飛ばされたポチタに目を向ける。今のサムライソードにとっての優先順位はポチタ>デンジであり、銃の悪魔との契約のためにも何としてでもポチタを確保しなければならない。
反射的にそう判断した彼は、投げられたポチタを見逃さぬようデンジから視線を外し、上空に意識を注視する。
しかし脳裏には、アキとの戦闘での似たような場面が
「いや、これは──!?」
空へ投げられたポチタと太陽が重なり、直射日光による目潰しが狙いだとデンジの意図を読み取った。
そもそも、今のデンジは満身創痍に近しい状態。仮にポチタが囮だったとしても、あの場所からここまで走って反撃を入れることは難しいと判断した。
「そんな破れかぶれの奇策が俺に通じるか、マヌケ!!落ちてきたところを心臓だけ残して細切れにしてやるよ!!!」
両腕を広げ、ポチタが限界まで近づくのを待つ。日光で視界が遮られても、チェンソーの音で距離は把握できる。多少目が眩んでタイミングが掴みにくくても、その音を頼りに迎撃する自信はある。だからサムライソードはポチタが落ちてくるのを待った。
それがデンジの望んだ展開だとは知らずに。
パァン!パァン!パァン!パァン!パァン!パァン!
六発の銃声が鳴り、サムライソードの顔に1つ、肩に1つ、胴体に3つの穴が空いた。
「はぁ?」
「ご丁寧に俺の言葉真に受けてくれてよ、あんがとなバァ~カ!!ジジイから教わらなかったか、獣が狩人の言葉を信じるなってよぉ!?」
サムライソードがポチタに意識を向けて無防備になっているところを、デンジはラーメン屋で奪ったサムライソードの銃を使い、立て続けに6発撃ち込んだ。
「てっ……めぇ……。それは……俺の……銃……!?」
「俺に悪魔を殺せる攻撃力がねえならよ、殺せる武器を隠し持ってりゃいいだけの話だよな!!ポチタの次ぐらいに良い武器だぜ、コイツはぁよぉぉぉ!!!」
それは、この日まで岸辺からの指導で指摘されていた火力不足を補うための工夫だった。
岸辺に相談した結果、銃の使い方も指導され、このくらいの距離で動かない的に6発中5発は当てれる程度には上達出来た。
「あっ……がぁ……」
体だけでなく顔にも銃弾を受け、ふらつくサムライソードに影が差した。
「やっちまえぇぇぇ!ポチタぁぁぁ!!!」
「ワァ~ウゥゥゥッッッ!!!」
落下の重力に加え、ゾンビから蓄えた血で頭のチェンソーの刃を伸ばし、さらに遠心力を加える。
その結果、ポチタは弱点だった重量不足をある程度補い、サムライソードを縦に真っ二つに切り裂いた。
「ッガアアアアアァァァァ!!!?」
激痛に断末魔の悲鳴を上げながら、サムライソードの体が傾き仰向けに倒れた。
「俺らの工夫の勝利だ!!」
「ワウッ!!」
勝利のハイタッチを交わして、デンジとポチタは手柄の報酬で何を食うかの相談をする。
遠くの離れたビルの窓から、右半身の肩下から包帯を巻いている甚爾が今の戦いを観察していた。
「へぇ~、やばくなったら参戦するかどうか迷ってたが、どうにかしやがったじゃねえか」
チェンソーマンにならずに武器人間であるサムライソードを本当に倒せるか、最後の最後までハラハラだったが、まさかの銃を奥の手にして勝利を掴むとは予想外だった。
いくつか殺されるような危険な場面もあったが、敵が明らかに手加減している様子が何度もあったのは気付いていた。
「俺が蒔いた種が実を結んだとはいえ、強くなりやがったな」
懐に忍ばせた2丁の拳銃を撫でながら、弟分の成長を喜ぶ。
必要な武器の調達という目的にプラスして、自分と唯一繋がる存在であろうデンジをヤクザは生け捕りにするつもりで動くだろうと踏んで手を打ったが、どうやらドンピシャだったようだ。
終盤にはサムライソードの殺気が一気に跳ね上がったが、もし最初からあの殺気で来られていたら、今頃デンジとポチタはサムライソードに斬り殺されていたに違いない。
「我ながら、狡猾さは原作通りだな」
そう自嘲しながら、この狡猾さが武器人間に通じるなら、今後の計画もマキマにも通じるだろうと僅かに期待を上げた。
気分はハンターハンターのゴンVSゲンスルー戦を書いている感じだった。
殺したくても殺せないゲンスルー側のサムライソードと、知恵と工夫で一発逆転を狙うゴン側のデンジ&ポチタって感じで書いてました。
ビスケは当然のことながら甚爾君です。