フィジギフゴリラのデビルハンター   作:リーグロード

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デンジが主人公だと滅茶苦茶筆が進むのなんでだろ?
他にも書かなきゃいけない小説があるのに、書いてて楽しいのはこっちなんよな。


おれは!!!!弱いっ!!!!

 

「おい、ポチタ……?しっかりしろ、動けよおい!」

 

 デンジは突如現れた悪魔よりも、自身を庇って致命傷を負ったポチタを優先した。しかし、揺すっても叩いても、ポチタの腹に空いた穴から血が流れるばかりで、目を開けることも、いつものように元気に吠えることもなかった。

 

「俺の、俺のせいで……?俺が胸を揉めるとか、そんなことで騒いでたからポチタは……」

 

 目を覚まさないポチタの上にポツポツと雫が落ちる。ポチタを抱きしめて、デンジは声を押し殺して泣いた。

 自分が馬鹿で、愚かだったせいで、ポチタを死なせてしまった。その後悔と自責の念がデンジの心を苛む。

 

「や~ね~、男の癖にメソメソとみっともない。そんなすぐ死ぬような弱っちい悪魔が一匹死んだところで何だってのよ?」

「……黙れよクソ悪魔」

「なんですって?ボソボソ言っても聞こえないわよ!」

「黙って死ねつったんだよクソ悪魔ぁぁぁ!!!!」

 

 デンジは涙に濡れた顔を上げ、ポチタの腹に大穴を開けた悪魔に怒声をぶつけた。

 頭の中は怒りで満ちていた。ポチタを殺したこの悪魔が憎くて憎くてしょうがなかった。

 そっと抱えていたポチタを地面に横たえると、修羅のごとき形相で悪魔を睨みつけた。

 

「ごめん、ポチタ。でも、必ずお前の仇は取ってやる!!」

「なにそれ?さっきから私に勝てるつもりなの?」

「勝てるつもりじゃねえ、殺すつもりだ!!」

「プッ!アッハッハッハ!!人間の癖に面白いこと言うのね。あら……、よく見るとカワイイ顔してるじゃない。好みの顔してるから特別に今なら見逃してあげる!」

「俺は見逃すつもりはねえぞ!」

 

 怒りに任せた大振りの右ストレートを悪魔の顔面に叩き込む。

 並みの人間なら一発KOする威力のパンチだが、悪魔にとってただの人間のパンチなど蚊に刺されたも同然のダメージ。

 

 即座にやり返しの一撃をデンジに浴びせんと触手のような腕を振るうも、デンジはそれを巧みに避けて悪魔に殴り掛かる。

 だがそれも悪魔にとってはかゆい程度の一撃に過ぎない。悪魔の方は一撃でもデンジに当てられれば勝負がつくのに対して、デンジの方はポチタがいないせいで圧倒的な火力不足になってしまっている。

 

「ねえ、ちょっと。それで本気なわけ?噓でしょ……!?」

「んだよ、何が噓だってんだよ?」

「こんな子犬ちゃんと弱っちい悪魔のコンビにコウモリは殺されちゃったの!?」

 

 信じられな~い!といったイントネーションで喋る悪魔の声に、デンジの怒りがさらに増す。

 

「コウモリは私と一緒に人間を全て食べる夢を見ていた……。無謀だけど崇高で素敵な夢。それを子犬と雑魚の悪魔のコンビ程度にぶち壊された。殺すのはもったいない顔だけど死んでちょうだい」

「……訂正しろ。ポチタは雑魚なんかじゃねえ」

「あら、この期に及んでまだあの悪魔の事で怒ってるの?」

 

 ポチタはデンジにとって大事な家族であり、親友だ。そのポチタを殺したこの悪魔にだけは負ける訳にはいかなかった。

 しかし、そんなデンジの想いとは裏腹に、悪魔は未だにピンピンしており、逆に自身はコウモリの一戦から今までずっと動きまくったせいでどんどんスタミナが減っている。

 

「はぁ、はぁ、早川先輩よぉ。やっぱし、信念だどうのこうのじゃ、結局弱い奴は死ぬみたいだぜ」

「んふ、ようやく諦めた?さっきからブンブンと蠅みたいに動き回って目障りだったのよね」

 

 触手のような腕で狙いを定め、デンジの胸に向かって最後の一撃を放つ。

 デンジはふらつく体を必死に抑え込み、触手の一撃を紙一重でかわすと、その触手を食い千切らんばかりに噛みついた。

 

「イタあ!?」

「────っ!!……っぺ!殴っても効かねえならよ、食っちまえば問題はねえよな!テメェが死ぬまで顎が砕けるくらい食い散らかしてやらぁ!!!」

「吠えててカワイイわあ!子犬みたいに嚙みついてくるなんて、本当に犬みたい。だったら、アタシが逆にアナタを食べたげる!!」

「ぎゃッハ!!いいぜ!!テメェの腹の中でガッツリ内側から食い殺してやるぜ!!!」

 

 吠えて吠えて吠え散らかして。あの手この手で悪魔を食い殺してやろうと動いても、どうしたってアイツの命には届きはしない。

 だってのに、あっちは触手ブンブン振り回して当たれば終わりって、ズルくねえか?さっきから掠るだけで俺の体がバラバラになりそうだってのによ。

 あれ、俺って今までどうやって悪魔を狩ってたっけ?

 

 ワンッ!!!

 

 ああ、そうか。いつもポチタがいてくれたから悪魔を狩れたんだ。

 んだよクソ!俺ってば、ポチタがいなきゃ、こんなクソ悪魔すら倒せないのかよ。

 ちくしょう、アニキだったら俺なんかと違って、こんな悪魔なんざ最初のグーパンで終わらせれただろうな。

 ごめんな、ポチタ。必ずお前の仇は取ってやるなんて言ったのに、俺よわっちくてあの悪魔殺せそうにねえや。ポチタの仇も取れずに死ぬなんて、俺って本当にダセえな……。

 

『デンジ……』

 

 誰だ?今俺の名前を呼んだの?

 

『デンジ……!』

 

 だから誰だよ、俺の名前を呼んでんのはよぉ!?

 

『デンジ!!』

 

「ワン!!!」

「ポチタ……」

 

 俺の横にポチタがいる。腹に空いてた傷は──ふさがってる!?

 何がどうなって……?

 

「デンジぃぃぃ!!!」

 

 パワーの叫ぶ声が聞こえたのでそちらに目を向けると、息も絶え絶えで地面に倒れ込んでいるパワーの姿があった。

 

「ワシの血を限界までポチタに飲ませてやったんじゃ!これで負けたら承知せんぞ!!!」

「ウ~、ワン!!!」

 

 ポチタが吠えた。その目は、まだ終わってない!と俺に訴えかけてきている。

 そうだよな、パワーもポチタも諦めてねえのに俺が先に諦めるなんてダセえよな!!

 

「──っは、パワー!お前、最っ高のバディだぜ!!!」

「ふっ、じゃろう……」

 

 ポチタの尻尾のスターターロープをいつものように引っ張って、チェンソーの刃を回転させて構える。

 俺一人じゃ勝てねえから……、いや、そもそも俺には悪魔と戦える強い力なんかない弱虫でよ! でもよぉ!!大事な家族のお前とならなんだって出来る気がするんだぁ!! なあポチタァ!そうだろ!!??

 

「あら、さっき殺したと思った雑魚悪魔じゃない。そんな悪魔が一匹起き上がったところで、私に勝てるつもり?」

「お前もコウモリも俺の言ったことすぐに忘れるよな!!勝つつもりじゃねえ、殺すだって言ってんだろうがぁぁぁ!!!」

 

 ポチタがいないときは嚙みつくぐらいしか出来なかった触手を、デンジはチェンソーの刃でズタズタに切り裂いた。

 

「ギャアァァァ!!!イタイ!イタイぃぃぃ!?」

「どぉ~だぁ!!これが俺とポチタが組んだ時の力だぁぁぁ!!」

 

 痛みに悲鳴を上げる悪魔に、デンジは勝ち誇るかのように叫ぶ。

 更に細切れにしてやろうとデンジが追撃を仕掛けると、悪魔はデンジを近寄らせまいと周囲の建物を破壊して瓦礫の雨を降らせた。

 その瓦礫をチェンソーで切り裂き、悪魔へと近づいて行くデンジ。

 

「逃げんなクソがぁ!さっさと俺とポチタに殺されろ、クソ悪魔ぁ!!」

「ひぃぃっ!!なによなによなによ、さっきまであんなに弱かったのに、あんな雑魚悪魔一匹が増えただけでなんで私が逃げるハメに──」

 

 尚も被害を拡大させて逃走を図る悪魔の顔を狐の手がロックオンする。

 

「コン」

 

 ガブ!!!

 

「はぁあ゛!?」

 

 突然現れた巨大な狐の顔が悪魔の頭を食ったことに驚きの声を上げるデンジ。

 

「こいつはヒルの悪魔だね。飲み込んでいい?」

「よし」

 

 すると、狐はヒルの悪魔の頭を飲み込み、現れた時と同様に一瞬で消えていった。

 その様子にデンジが唖然としていたが、その場に現れたアキの姿を見つけると獲物を横取りされたと怒りだす。

 

「おい、てめえ!あの悪魔は俺とポチタの獲物だったんだぞ!横取りは業務妨害だってマキマさんが言ってたかんな!!」

「それは民間が手を付けてた場合の話だろうが。お前は公安で俺も公安だ。それにあのままお前とその悪魔に任せてたら周囲の建物の被害状況がさらに増えていた。だから俺は間違った判断はしていない」

 

 デンジでは反論できないような小難しい正論で論破されてしまい、これ以上何も言い返すことは出来なかった。

 

「話は終わりか?だったら、帰ったら覚悟するんだな。お前と血の魔人の2人は病院で治療後に事情聴取だ」

 

 それだけ伝えるとアキは他の公安のデビルハンターに指示を出して事件現場の処理に取り掛かった。

 

「おい、まだ話は──いっでぇ!!!」

「はぁ、ようやく痛みが回ってきたのか。肩貸せ、救急車まで連れてってやる」

 

 ヒルの悪魔に痛めつけられた箇所に痛みが走ったデンジはアキの肩を借り、そのまま救急車へと乗り込んだ。

 

「ワウッ……」

「ん?お前は……。大人しくしておくなら、デンジの傍にいることを許可してやる。だけどもし暴れるような素振りを見せるようなら、俺は容赦なくお前を殺すぜ」

「ワン!!!」

 

 救急車に担ぎ込まれるデンジを心配そうに見つめるポチタに、アキが許可と警告を出す。

 それを了承したように鳴くポチタに、今も救急車の中で痛みで暴れるデンジと見比べて悪魔の方が大人しいってどうなってんだよ……、とアキは深くため息を吐いた。

 

 


 

 

 バサッと朝の新聞を広げた甚爾は、一面に大きく載っている記事を見て口元に笑みを浮かべた。

 

「へぇ、公安のデビルハンターがコウモリとヒルの悪魔を駆除。活躍したデビルハンターはデンジか。随分と頑張ってるみたいだな。それに……」

 

 文章には書かれていないが、粗い白黒写真の一部にチェンソーの刃がついた犬のような悪魔が映っているのを見つける。

 

「なんだ、生きてやがったのか。俺が関わったことによるバタフライエフェクトか?まあ、どっちにしろ、生きてるんならいいさ……」

 

 淹れたてのコーヒーを味わいながら、ポチタの生存を嚙みしめて、いつもより美味いコーヒーに感謝する。

 




デンジが物凄く書けるのに対して、甚爾はすげえ書きにくい。
一応、裏で暗躍してるって風に書いてるけど、登場予定がまだ先だから、全然オリ主してないんだよな。
正直、活躍してるのなんか、デンジが原作と違う行動取らせる際の「アニキが言ってたぜ」ぐらいにしか使えてない。
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