フィジギフゴリラのデビルハンター   作:リーグロード

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騒がしい早川家

 

「ここは……?なんで俺ベッドの上で寝てんだ?」

「起きたのか……」

 

 デンジが目を覚ますと同時に、病室の扉が開きアキが入ってきた。

 アキはベッド横の見舞い客用のイスに腰を下ろし、今回の一件について説明し始めるが、デンジはぼんやりと聞き流している。

 

「お前、ちゃんと俺の話聞いてるのか?」

「なあ、先輩よ。俺は女とエッチしたくてデビルハンターしてたんだ。マキマさんとだってちゅ~したり、胸揉んだり、セックスだってしたかったんだ」

「なぁっ!?お前、急になに言い出しやがる!!ここは病院だぞ!?」

 

 デンジの口から唐突にとんでもないことが飛び出してきて、アキは動揺して声を張り上げた。

 しかし、それでもお構いなしにとデンジは語り続ける。

 

「でもよ、そんなチンチンで考える俺の行動のせいで俺はポチタを失いかけた。もしこの先同じような事でポチタを失いそうになるくらいだったら、俺はもうチンチンはいらねえんじゃねえかって思っちまってんだ」

 

それが後悔なのか、くだらない下ネタなのか、どっちにしろ馬鹿みたいな内容だとアキは苛立つ。

 

「……っ!それで、俺にどうしろってんだ!?斬り落としてほしいなら、素直にそう言いやがれ。汚ねえが俺の刀でお前の粗末なモン斬り落としてやる!!」

「なっ、俺のが粗末なモンなんてお前が勝手に決めんなよ!っつか、誰も斬り落としてくれだなんて言ってねえ!!」

 

 デンジの語った内容に呆れ果て、頭に血が上ったアキは思わず刀に手をかけた。

 その剣幕にビビるも、ここで退いたらマジで斬られるかもと恐怖する。

 

「だっ、から……。先輩はムラムラしたり、チンチンに考えが支配された時はどうしてるかって、そう聞きたかったんだよ」

 

 恥を忍んでデンジがアキにそう尋ねた。自分が今何を聞かされているのかと呆れたアキは、刀にかけていた手を離し、椅子に深く腰を下ろした。そして、デンジの質問があまりにも情けなくて、病室全体に響くほどの大きなため息をついた。

 

「なっ!?ため息吐いてんじゃねえ!こっちは真剣なんだぞ!!」

「もう頼むから黙ってくれ……」

 

 何も聞きたくねえ……とばかりに膝に顔を埋めるアキの姿を見て、デンジはひどく落ち込んでベッドシーツを握りしめる。

 それでも、この問題を早急に解決したい一心で、嫌いなアキに頭を下げるしかなかった。

 

「頼むよ!俺の周りでこんなの話せる野郎なんてアニキか先輩だけなんだ。そのアニキも今は何処か行っちまっていねえし、だから頼れるのは先輩しかいねえんだよ!」

 

 くだらない内容に必死なデンジの様子を見て、アキはもう一度深いため息をつき、頭をかきながら渋々相談に応じた。

 

「……はぁ~、デンジ。お前、俺と最初にパトロールした時になんで公安に入ったかって聞いたよな?」

「えっ?あ、ああ……」

「そん時お前、なんて答えたか覚えてるか?」

 

 質問する立場だったはずが、いつの間にか質問される立場になり、デンジは戸惑いながらもアキの質問に対する答えを思い出す。

 

「そりゃ、金稼ぐ手段がなくなって、マキマさんに誘われて金稼ぐために公安に入った……」

「それじゃ、デンジ。お前、今どのくらい金は貯まってる?」

「えっと、ゼロがいっぱいあるくらい」

「……本来、未成年のお前に言うのは間違ってるかもだがな、ソープは2万から3万くらいで利用できたし、大抵の店は年齢確認なんてされない」

「ッッッ!!!??」

 

 その情報を聞いたデンジは顔を青ざめさせて震えだす。今のデンジの頭の中には自身の給料が振り込まれた通帳の数字を2万で割って何回利用できるか計算している真っ最中だった。

 

「それじゃ、俺……。女の胸揉めるだけじゃなくて、童貞も捨てられるってことか!?それも何回も!!?」

「ああ、もう!そういうのは後で考えろ!!今はこっちの話に集中しろ!!!」

 

 いつまでも放置していたら、頭がピンク色のことしか考えないデンジの脳天に強烈な拳骨を叩き落として正気に戻す。

 

「もうこれ以上ふざけるのはなしだ。次はないからな」

「おう、了解したぜ、早川先輩」

 

 現金なもので、満足のいく回答を貰えたからか、デンジはとてもいい笑顔でアキの話に耳を傾ける。

 その内容はパワーについてのもので、今回の一件の発端はパワーにあるのかどうかの質問のようなものだった。

 

「各地の監視カメラの映像から、血の魔人がお前をコウモリの悪魔の住処に誘導しているように見えた。どうなんだ、デンジ?」

「……そりゃ違うぜ。俺はパワーの飼ってる猫のとこに案内されただけだ。それに、パワーはポチタを救ってくれたいい奴だしな」

「魔人は悪魔と同じく人の死を望む。お前が悪魔に肩入れした結果、そのザマだってのは覚えておけ。ただ、今回は死者もいないことだし、血の魔人は猫を見せるつもりでお前を偶然、コウモリの悪魔が潜んでいた家に連れて行ってしまった。そう上に報告してやるよ」

 

 虚偽の報告ではあったが、アキは特に否定することもなく、見逃すような一言を残して帰っていった。

 

「ああ、そうだ。ポチタの奴は病院にずっと置いておけないからな。俺ん家にいるからお前は心配するな」

「うっす、了解。……って、あれ?今ポチタの名前呼ん──もう帰りやがった」

 

 いつもなら犬っぽい悪魔とか言って絶対に名前を出さないはずのアキが、ポチタの名前を口にしたことでデンジは驚き、どうしたのか聞こうとしたが、その時にはもうアキの姿は消えており、聞き返すことはできなかったので仕方なくその疑問を飲み込んだ。

 

「へへ、まあいいや。ソープか、ポチタは……留守番だな。流石に連れてけねえだろうし。あっ、パワーにエロいお願いする権利もあるし、店に行く前に使って勉強とかしねえとだよな。やべぇ~、夢がどんどん膨らんでくるぜ!」

 

 そしてまた一人になったデンジは、未来への期待を持ってフカフカのベッドに身体を預けて意識を手放した。

 

「はぁ~、糞ったれが。変に疲れちまった……」

「お~、お疲れアキ君。病室での会話聞こえてたよ」

「ギャハハハ!エロじゃ、エロチョンマゲじゃ!!」

「こ~ら!病院内で騒がないの。にしても、ちょっと意外だったな。アキ君ってあの手の下ネタ話って嫌ってるものだと思ってた」

「そうですよ、俺はああいう下ネタ話はあんまり好きじゃありません。でも、アイツの顔がマジだったんで、先にどうにかしなきゃ話が進まないと判断した結果ですよ」

「ふ~ん、ねえアキ君。さっきデンジ君って子にソープの店の話、妙に詳しく説明してたけど、もしかしてアキ君もそっちの店に通ってるのかな?」

 

 噓や言い逃れは許さないと言わんばかりの眼光でアキを睨みつける姫野に、アキは諦めて正直に答える。

 

「姫野先輩が想像しているようなもんじゃありませんよ。対魔2課の人らと最初の頃の人付き合いで1回だけ利用しただけです」

「……そっか!今度あっちの人達にあったら、色々とお話しなきゃだね」

「姫野さん、あくまでコミュニケーションの一環ですから、あんまり問題になるようなことはしないでくださいよ」

「分かってる分かってる。心配性だな、アキ君は」

 

 その顔を見て心配にならない訳ないでしょという言葉をぐっと飲み込み、アキはパワーの拘束を解き、その後の監視を姫野に任せて、自分はマキマの元へ今回の一件を報告しに向かった。

 

 それから数日が経ち、デンジも無事に退院し終えた日の朝のことだった。

 

「おうおうおう、狭い家じゃのお~!」

 

 血の魔人パワー、早川家への居候が決定した。

 

「にゃ~~!!」

「キャイン!?」

 

 ポチタに興味津々のニャーコが勢いよく飛び掛かり、楽しそうにポンポンと猫パンチを繰り出してじゃれている。

 ただ、やられているポチタはたまったものではなく、涙目になりながら必死にニャーコの猫パンチに耐えている。

 

「ギャハハハ!いいぞ、ニャーコ!そのまま悪魔退治じゃ!!」

「ちょっ、おい、やめろ!ポチタをイジメんじゃねえ!?」

「ぬう、ニャーコのデビルハンターへの道を邪魔する気か!?」

「お前、前にポチタをイジメてマキマさんにどんな目にあったのかもう忘れたのかよ」

「ぐぬぬぬ、ニャーコよ。マキマは不味い!もう止めるのじゃ!!」

 

 まだまだ遊び足らないニャーコを抱きかかえてポチタと距離を取らせる。

 そうしてニャーコが離れたことで、ポチタはデンジの元に急いで避難する。

 

「おい、パワー!今度からその猫をポチタに近づけんなよ」

「ふん、知るかそんなもの!ワシのニャーコは最強なんじゃ!ガッハッハッハ!!!」

 

 それからもパワーの問題行動は続く。

 

「野菜は嫌いじゃ!ポイ!」

「あ!?」

「人参っ」

「ワウッ」

 

 野菜嫌いのパワーがカレーに入れられている人参を投げ捨てポチタが空中で口キャッチしたり。

 

「トイレ?糞はたまにしか流さん派じゃ!」

「流せ!」

「クセえんだよ!!」

「バウッ!!」

 

 放置しっぱなしの糞の臭いでポチタの顔がしわくちゃになったり。

 

「風呂はたまにしか入らん派じゃ!」

「入れ!」

「クセえんだよ!!」

「クゥーン……」

 

 鼻が曲がりそうな臭いにパワーから距離を取るポチタ。

 

 共同生活にとことん向いていないパワーの性格に辟易しながら、デンジは糞を流さずに放置して汚れたトイレの掃除に専念していた。

 

「クゥーン!」

「あぁん?心配してくれてるのか、ポチタ。こんぐらい、ガキの頃に比べればマシだぜ。それよりここはパワーの糞がクセえから、お前はあっち行ってろ」

 

 人よりも鼻の利くポチタを心配して、リビングの方に行かせる。

 そうしてリビングに消えていくポチタと入れ替わるようにパワーがデンジの背後に立つ。

 

「あっ、おいクソ悪魔!テメェの糞がこびりついて取れねえんだよ」

 

 だが、その文句はパワーが胸を持ち上げる動作によって遮られる。

 胸を持ち上げる様子を見たデンジは、自分の身体の一部分に意識を向けた。それはヒルの悪魔との戦いの後に生まれた悩みの種であり、アキに解決方法を教わったソレを使うかどうかを瞬時に判断する。

 

「約束じゃっただろ。ニャーコを助けた見返りにワシの体を好きにさせる……」

「おう……」

 

 狭い個室のトイレにデンジとパワーが二人きりで閉じこもる。デンジの目の前には、無防備に便座に腰掛けるパワーの姿がある。

 

「揉める」「やれる」「エッチできる」と、デンジの頭の中をその3つの言葉がグルグルと駆け巡る。

 

(今までエロ本読んでチンチンおっきくしたことは何度もあっけどよ、女とやれる前ってこんな痛いぐらいでかくなんのかよ)

 

 ズボンの上からでも分かるほどに大きくしたそれに、パワーが視線を向ける。

 

「おうおう、随分と期待しておるようじゃが、条件がある」

「条件……?」

「ワシは体を好きにさせるとは言ったが、ウヌの汚いモノを触るつもりは毛頭ない」

「なぁっ!?約束がちげえじゃねえか!!お前の猫を悪魔から助けたら好きにさせてくれるって約束だろ!?」

 

 パワーから突然突き付けられた条件にデンジは驚き、つい声を大きくして詰め寄る。

 しかし、そんなデンジの態度にパワーは鼻で笑い飛ばす。

 

「おう、確かに言ったのう。じゃがウヌは忘れてはおらんか?ウヌのペットの悪魔を救ったのは誰じゃ?そうワシじゃ!」

「そ、それがどうしたよ……」

「ならば、ワシがウヌの願いに条件をつけるぐらいの見返りはあるのではないか?」

 

 そのパワーの言葉に、デンジは唖然とする。

 確かにパワーはポチタの命の恩人だが、そもそも事の発端はパワーに原因があるわけで、後から条件を付け足すのは卑怯じゃねえか。

 

「まあ、そんな顔をするな。ウヌのソレを触るのは嫌じゃと言ったが、エッチな願いを叶えてやらんとは言っておらん。ほれ、ワシのナイスバディのこれが揉みたいんじゃろ?」

 

 下乳を持ち上げるパワーに、デンジは思わず心の中で天使と崇めた。

 緊張で汗ばみ震える体を必死に抑えながら、デンジはパワーへと一歩近づく。 そして、その豊かな胸にそっと手を伸ばし……。

 

「ここでもう一つ条件じゃ!揉めとは言ったが、揉み放題ではない。ワシのこの胸を揉んでいいのは三揉みだけじゃ!」

「ま、また条件かよ。それに三揉みって……?」

「ニャーコを助けたのが一揉み。コウモリを殺したのが二揉み。そして、チョンマゲからワシを庇ってくれたので三揉みじゃ!」

 

 病院で寝てるときにパワーにどんなエロい願いをしようか考えていた時との大きな落差にデンジがショックを受けるも、よくよく考えてみれば女の胸を揉めるチャンスではあると立ち直る。

 

「じゃ、じゃあ、揉むからな……」

 

 恐る恐る、壊れ物を扱うかのようにパワーの胸に手を押し当てる。

 

「アンアン、あー気持ちい!」

「あア……?」

 

 服の上から初めて女の胸を揉んだが、どうも違和感があった。

 肌の感触というより、何か固いものを触っているようで、さらに胸が大きくズレる感じがした。

 その答え合わせのように、パワーの服の下から妙な物が落ちてきた。

 

「これは……?」

「胸パッドじゃな。つけると胸が大きくなる不思議アイテムじゃ」

 

 悪びれる様子もなく、落ちた物の説明をしたパワーの胸は見る影もなくなっていた。

 

「さあ!あと二揉みじゃ!」

 

 詐欺だ!そう叫びそうになったデンジの脳裏に、かつてのアニキとの会話が蘇る。

 

『アニキ!エロ本拾った!!アニキも読むか?』

『エロ本ね……。俺は興味ないね』

『え~、アニキ男なのにエロ本に興味ないっておかしいぜ?』

『エロ本なんて見るだけで、結局女に触れることはできねえだろ。そのエロ本の表紙の女の胸が大きくても、触れないなら、俺は小さくても実際に揉める生乳の方がいいんだよ』

 

 天啓のように舞い降りたかつてのその会話から、デンジは一つの答えを見出した。

 

「生……乳……」

「ん?なんじゃ……」

「二揉みじゃなくていいからさ、一回だけ……服の下の生の乳を揉ませてくれ」

 

 デンジはパワーの返事も待たずに、生乳を触ろうと彼女の服に手を伸ばして脱がせようとする。

 

「っ!こぉのぉ、馬鹿者がぁ!!!」

「ぐへっ!!?」

 

 脱がされそうになったパワーが渾身の力でデンジの顔面に拳を叩き込む。

 吹き飛ばされたデンジはトイレの扉をぶち壊し、廊下へ転がり出た。

 

「おい!何があった!?」

「ワンッ!?」

 

 その騒ぎを聞きつけたアキとポチタが、何事かと駆けつけてくる。

 

「フンッ!ワシはもう寝る。行くぞ、ニャーコ!」

 

 怒りで顔を真っ赤にしたパワーは、アキとポチタの横をよく通り過ぎ、ニャーコを連れて寝室へと入っていった。

 残されたデンジは、鼻血をボタボタ垂らしながら廊下の壁に寄りかかり、呆然としていた。アキはパワーを問い詰めるより先に、デンジの介抱を優先した。

 

「おい、デンジ!何があった?しっかりしろ!!」

「……俺はさ、約束守って揉もうとしただけなんだ」

「はぁ?お前頭でも打ったか?」

 

 脈絡のない返答に頭でも打って混乱しているのかと思ったアキだが、どこか病院で交わした会話を思い出すようなデジャヴを感じていた。

 

「パワーの猫を助けたらエッチな願い叶えてくれるって言うからよ、必死になって悪魔ぶっ殺してよ。いざ願い事を叶えてもらおうとしたら、胸揉むだけって言われたんだ」

「……ちょっと待て、お前ら俺ん家で何しようとしてたんだ?」

 

 頭痛が痛いとばかりにアキは額を押さえてため息を吐く。

 そんなアキの様子も見えていないデンジは、放心したまま話を続けた。

 

「けどよ、実際に胸揉んでみたら偽物でよ、だったら本物の生の乳が揉みたいって言って揉もうとしたらぶん殴られたんだ」

 

 想像以上のくだらなさにアキは心配して駆け寄った過去の自分を恥ながら、倒れているデンジを放置することに決めた。

 

「……壊れたトイレの扉は明日修理業者を呼んで直しておくから、お前はその壊れて外れた扉を玄関先に出してから寝ろよ。ポチタもその馬鹿は放っておいて、もう寝るぞ」

「ワウ」

 

 未だショックで心ここにあらずなデンジを心配して、デンジの周りをウロウロしているポチタを抱きかかえて、アキは自分の寝室に連れて行く。

 

 

 


 

 

 

「クソっ!どうなってやがる!?尾崎と木下への連絡はまだつかねえのか!!」

「それが、昨晩から音信不通でして……」

 

 ヤクザの事務所にて、組員の二人と連絡がつかないでおり、その尻拭いを組長が急ピッチで進めていた。

 部下もそれに従って動き回り、なんとか形だけは整えたが、尾崎と木下という二人の重要な駒を失った損失はあまりにも大きい。

 

「まさか、公安のデビルハンターが銃の存在をもう嗅ぎ付けたのか?」

「いや、それなら二人だけ消すなんて真似はしないで、一斉検挙の動きを見せるだろうから、その線はないだろう」

「だったら、あいつらが消えた理由はなんだ!?」

 

 公安襲撃の準備に奔走していた組長は、突然の仲間の失踪に混乱していた。

 裏切りが起きた可能性を考慮しても、尾崎と木下の二人が組を裏切るとは考えにくく、その理由がまったく思いつかないでいた。

 

「甚爾だ……」

「なに……?」

 

 ソファーに座っていたヤクザの若頭であるモミアゲが特徴的な男が一人の男の名前を口にする。

 組長はその名前に心当たりがあり、思わずオウム返しで聞き返した。

 

「公安以外でヤクザを敵に回すのなんざ奴しかいねえ。ふざけやがって、目的が金か銃かは知らねえが、ヤクザを舐めたことを後悔させてやる。そのためにはまず、公安にいるデンジ!アイツを捕らえて、甚爾の居場所を吐かせる!!」

 

 怒りで燃えるモミアゲ男は祖父の仇のデンジと合わせて地獄の苦しみを味あわせてやると意気込んでいた。

 

 

 

「っとまあ、ヤクザらは考えてるだろうな」

 

 とある山中で、猪の悪魔を狩り終えた甚爾は銃の悪魔の肉片を手に入れて、山を降りていた。

 

「縄、鎌、こい!」

「「はい(へい)」」

 

 呼び出された縄が空を飛ぶカラスを絞め落とし、鎌は木々や地面を走る鼠を斬り殺した。

 

「カァッ!?」

「チ゛ュッ!?」

 

 合計で百匹以上の小動物を駆除し終えた二匹の悪魔は甚爾の元に集まる。

 

「小動物に姿は見られてねえな?」

「それはもちろん」

「当然ですよ、旦那」

 

 視覚外からの攻撃を命じられていた二匹は、そういった隠密行動が出来るように甚爾に鍛えられていた。

 

「ここ最近、支配の悪魔に支配された小動物の動きが多く見られるからな。あの悪魔の力と契約の関係上、俺も敵対はしたくはねえが……」

 

 まだ戦う準備が整っていない現状では、居場所や契約している悪魔の存在はおろか、姿すら明かしたくないと、少し過敏になりながら行動している。

 銃の悪魔の肉片を着実に集めてはいるものの、支配の悪魔マキマの前では焼け石に水かもしれないと思いつつも、甚爾はいつか訪れるその日に備えて動いている。

 




第一部の序盤で第二部のネタをこする。それくらいのイカレた野郎じゃなきゃ、チャンソーマンの二次小説は書けないの。

あと、結構下ネタ入れちゃってるけど、R15指定のタグ入れてるから大丈夫だよな?
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